バックカメラは車両後方の画像をモニターに映し、車庫入れなどの事故防止をサポートします。バックカメラが義務化され、現在所有している車両にどのような影響があるのか、また後付けする際のカメラの選び方についても解説します。
車両のバックカメラ装着の義務化とは
2021年6月に『道路運送車両の保安基準』などの一部が改正され、国土交通省から後退時車両直後確認装置(バックカメラやバックセンサー)の義務化が発表されました。義務化の対象となる車両の種類や、義務化が始まる時期を見ていきます。
バックカメラ装着義務化の対象車両
国土交通省が発表した『後退時車両直後確認装置に係る基準』によれば、バックカメラ装着義務化の適応範囲は一般的な四輪自動車全般です。つまり普段の生活で使う乗用車やトラックは、義務化の対象になります。ただし二輪自動車や側車付き自動車などや、バックカメラ・バックセンサーを備えられないとして、告示で定められた自動車も除外されます。
バックカメラ装着はいつから義務化される?
バックカメラ装着が義務化される時期は、新型車の場合2022年5月からです。すでに流通しているモデルを継続して生産する場合は、2024年5月以降の新車から義務化の対象になります。
ただし2024年1月時点では、バックカメラ装着の義務を課されるのは自動車メーカーです。すでに購入した車両や中古車は、義務化の対象ではありません。
しかし今後は一般的な四輪車全般への義務化も予想されます。あわててバックカメラを取り付ける必要はありませんが、早めの購入を検討した方がよいでしょう。
早めにバックカメラを装着しておくのがおすすめ
バックカメラ装着が義務化された背景として、後方への確認不足による四輪車の事故の多さが挙げられます。
公益財団法人『交通事故総合分析センター』の調査によれば、2008~2017年の10年間で後退事故の件数は減りましたが、交通事故全体の中で占める割合は高まっています。
後退事故をさらに減少させるため、今後は購入済みのトラックや乗用車についても、バックカメラの装着が義務化される可能性があるでしょう。需要の高まりを受け、バックカメラの値段や取り付け価格が上がる前に、装着しておくのがおすすめです。
トラックに後付けするバックカメラの選び方
所有するトラックにバックカメラを後付けする際には、まず国で定められた要件を満たさなければなりません。次に後退事故を防げるレベルの性能が求められます。必要なカメラの基準や、自分に合った選び方を紹介します。
義務化で定められたバックカメラの要件
国土交通省によれば、設置する必要があるバックカメラの性能基準は以下の通りです。
- 車体の後方0.3~3.5mまでの範囲を確認できる
- 高さ0.8m直径0.3mの円柱を確認できる
義務化の内容はバックカメラ、ソナーなどの検知システム、またはミラーを取り付けることです。バックカメラと検知システムの両方を設置するという内容ではありません。後付けのバックカメラを購入する場合には、まず製品が義務化の要件を満たすか確認しましょう。
使いやすいバックカメラを選ぶポイント
バックカメラの選び方は、レンズ、画質、夜間対策、耐久性・防水性の4点がポイントです。レンズの標準タイプは、障害物との距離がつかみやすいものの、見える範囲が狭いため目視確認が必要です。
視野角の広い広角タイプ(画角が約170~180度)や魚眼レンズのメリットは、死角の少なさですが、見え方に慣れるまで時間がかかります。
映像の明瞭さを考えると画質は30万画素以上が目安です。また夜間向けに、使用している車庫や駐車場が暗い場合は赤外線センサー付き、明るい場合はライト付きを選びましょう。カメラの防水性能がIP67以上で、コネクターや配線にも防水加工されている製品がおすすめです。
トラックのバックカメラ後付けにかかる費用相場
バックカメラを取り付ける工賃は、約1~2万円前後が相場とされます。バックカメラ本体の費用を入れると、約2~6万円が一般的です。カー用品店や個人業者に頼んだ場合、取り付け費用は1万円前後、ディーラーに頼むとやや高めの2万円前後が平均的です。
自分でバックカメラを取り付けられれば、工賃を浮かせて安くできます。ただしバックカメラのコードを、後ろのナンバープレート付近から前方のナビまでつなぐには、車両の内装や配線に関する知識が必要です。
作業中に車体を傷付けてしまう可能性もあるので、専門知識のある業者に頼んだ方が安心でしょう。
トラックへのバックカメラ装着の問題点
今後バックカメラの義務化の対象が広がり、個人が購入したトラックや乗用車にもバックカメラの後付けが義務化された場合、さまざまな問題点も生じます。バックカメラ装着が難しい軽トラや、コストの問題について見ていきます。
- 軽トラの使用環境はバックカメラ装着に向かない
- メンテナンスコストが高くなる
軽トラの使用環境はバックカメラ装着に向かない
購入済みの乗用車やトラック、中古車も、近い将来バックカメラの装着が義務化されるかもしれません。とはいえバックカメラの装着に向かない車もあります。代表的な例は、農作業などでよく使われる軽トラックです。
農作業で使用する場合、バックカメラのレンズが泥などの汚れですぐ見えにくくなるため、設置する効果が低いという問題があります。
荷台の開閉や荷物の積み込みにより、カメラの配線が傷付き故障してしまう可能性もあります。故障の度にカメラを頻繁に買い替えれば、経済的にも大きな負担になるでしょう。
メンテナンスコストが高くなる
バックカメラの装着が義務化されると、車にかかるコストが以前より上がる恐れがあります。例えばバックカメラやモニター用のカーナビ代金が上乗せされ、義務化前よりも車両の平均価格が高くなると考えられるからです。
さらには車検のチェック項目にバックカメラの有無や性能が加わり、車検費用が高くなる可能性があります。トラックや乗用車を所有している人は、維持費の見積もりに注意した方がよいでしょう。
トラックへのバックカメラ義務化に備えよう
2024年1月時点において、個人が購入済みの車両は、バックカメラ義務化の対象ではありません。しかし義務化の背景が後退事故率の高さにある点を考えると、今後は個人所有のトラックなども、義務化の対象になる可能性が高いといえるでしょう。
需要が高まって値段が上がる前に、必要な条件を満たしたバックカメラの購入がおすすめです。また有線のバックカメラは素人では取り付けが難しいので、無理せず業者に頼んだ方が安全でしょう。