ヒバはヒノキ科アスナロ属に属する日本固有種の針葉樹です。正式名称は「アスナロ」「ヒノキアスナロ」ですが、東北を中心に「ヒバ」という呼び方で親しまれています。
お手入れをしなくても枯れることはほとんどないので、育てやすい木として人気ですが、成長が早いため適切な剪定をする必要があります。
今回はヒバの剪定時期や剪定の方法について紹介します。
ヒバの剪定時期は5~6月と9~11月の年2回
ヒバは生命力が強く、樹高が大きくなりやすい樹木なので、剪定は年に1~2回行うのがおすすめです。
年に1回しか剪定ができない場合は、秋の時期9~11月に剪定を行いましょう。
年に2回剪定できるのであれば、5~6月に1回目、9~11月に2回目の剪定を行うことを心がけてください。
ヒバの剪定に必要な道具
ヒバの剪定に必要な道具を紹介します。
ホームセンターや園芸ショップで手に入るので、自身にあった道具を見つけましょう。
剪定用手袋
剪定用の手袋を準備しましょう。
普通の軍手ですと剪定中に枝や葉が刺さってケガをする場合があります。
手のひら側が樹脂コーティングになっているものがおすすめです。
剪定ばさみ
ヒバの枝を切断するための専用ハサミで、片刃が鋭利な刃物、もう片方の刃は平らな受け刃になっています。
植物の枝を傷つけることなく、きれいに切断することができ、高炭素鋼やステンレス鋼などで作られているので長期間、切れ味を保つことができます。
サイズは色々あるので手の大きさ、左手用など自分にあったものを選びましょう。
脚立
脚立は背の高い樹木を剪定するときに使用します。
剪定では幹や枝の隙間に足をねじ込んで脚立を立てることが多いので、三脚を使いましょう。
脚立を使う際には、以下の注意点を守って使用してください。
- 登る前に調節器具がロックされていることを確認する
- 一番上の段に載って作業しない
- 上を向いて作業しない
- 悪天候下では使わない
ヒバの剪定方法
ヒバは丈夫で生長スピードが速いため、剪定をせずに放置してしまうと、樹高30mを超える場合もあります。
そのため、剪定では、不要な枝を取り除きつつ、高さの調整をしてあげることが必要です。
1.枯れている枝を取り除く
まず、ヒバの内側に枯れ枝がある場合は、取り除きましょう。
内側の枯れ枝は病害虫の温床となりやすく、放置するとヒバ全体に悪影響を及ぼす可能性があります。
枯れ枝を取り除くことで、空気の流れが良くなり、日光が内部まで十分に届くようになります。
作業の際は、剪定バサミを使用して、枝の付け根からきれいに切り取ることを意識してください。
2.不要な枝を間引く
枝と枝の間隔が狭すぎると、風通しが悪くなり、病気になりやすくなるため、不要な枝を間引いていきましょう。
不要な枝は下記画像を参考にしてください。
枝の種類 | 枝の状態 | その他 |
---|---|---|
枯れ枝 | 変色し、周囲の枝と比べてツヤがない | 残しておくと病害虫の発生原因 |
徒長枝 | 勢い良く伸びた枝 | 他枝の生長を妨害、樹形を乱す原因 |
車枝 | 幹の一ヵ所から数本の枝が放射線状に伸びている状態 | 樹形を乱すので1~2本だけ残す |
平行枝 | 長さや太さ同じの枝が上下、左右に平行して伸びている枝 | 樹形を乱すので1~2本だけ残す |
下り枝 | 主枝からわかれて、下に向かっている伸びる枝 | 樹形を乱す原因 |
逆さ枝 | 主枝の向きに逆らって、幹に向かって生えている枝 | 樹形を乱す原因 |
絡み枝 | 枝同士が交差しながら生長しあっている枝 | 通気性の悪化、樹形を乱す原因 |
かんぬき枝 | 幹の左右前後に対象に伸びる枝 | 片方の枝を剪定する必要 |
胴吹き枝 | 幹から直接生えている枝 | 栄養分を過剰吸収し、樹形を乱す原因 |
ふところ枝 | 幹付近から伸びた枝 | 樹形を乱す原因 |
ひこばえ | 樹木の根元から出ている細い枝 | 樹木を衰弱させたり、樹形を乱す原因 |
交差している枝や、内側に向かって伸びている枝を優先的に間引いてください。
また、間引く際は、枝の根元から切り取ることを意識しましょう。枝の途中で切り落とす「切り戻し剪定」をむやみに行うと、樹形が乱れる原因になります。
間引く枝の量は、幹や主要な枝が少し見える程度が理想的です。
3.高さの調節をしながら樹冠を整える
ヒバの高さを決めたら、余分な枝を切り落としましょう。
一般的な庭木として管理する場合は、2〜3mを目安に、円錐形に刈り込む形が人気があります。
大きくなりすぎてから強く刈り込んでもきれいに見えない場合も多いため、少しずつ形を整えていくことを意識してください。
ヒバを剪定するときの注意点
ヒバを剪定するときの注意点は下記の通りです。
暑すぎる時期と寒すぎる時期は避ける
ヒバは丈夫な木なので、剪定のダメージ回復も早いですが、暑すぎる時期と寒すぎる時期の剪定は避けてください。
真夏(7〜8月)は、強い日差しと高温によってヒバにストレスがかかりやすい時期です。厳冬期(12〜2月)も、寒さによって生育が停滞している時期であり、剪定には適しません。
ヒバの剪定は、春期:5〜6月(新芽の成長が落ち着いた時期)と、秋期:9月下旬〜11月(夏の暑さが和らいだ時期)の年2回に行うようにしましょう。
強い剪定はしない
一度にたくさん切りすぎる剪定は、ヒバに大きなダメージを与える可能性があります。具体的には以下のようなリスクが考えられます。
- 樹勢が著しく低下する
- 病害虫への抵抗力が減る
- 見栄えが悪化する
- 回復までに長時間を要する
ですので、剪定を行う際は、以下のポイントを心がけましょう。
- 全体の枝量の20%程度までの剪定にとどめる
- 徐々に形を整えていくことを意識する
- 樹形の基礎となる太い枝は極力残す
ヒバのお手入れ方法
適切なお手入れを行うことで、より美しく健康的に育てることができます。
ここでは、ヒバの基本的なお手入れ方法について詳しく解説します。
水やり
植えてから2年以内のヒバは、以下のポイントを意識して水をやります。2年以上経ったら、基本的に水やりをする必要がありません。
- 土が乾くたびに、たっぷりと与える
- 朝または夕方の涼しい時間帯に実施する
- 根元にゆっくりと染み込ませるように水やりを行う
- 新芽の生育期は週に2~3回程度土の状態を確認して水やりを行う
肥料
ヒバは肥料を与えることで、より丈夫に育ちます。
毎年、2月頃の成長期を目前に控えた時期に、有機質の肥料を与えるのがおすすめです。
ポイント
- 根元から少し離れた位置にまく
- 施肥量は株の大きさに応じて調整する
- 施肥後は土の状態を確認し、十分な水やりを行う
- 根元への直接の接触を避ける
植え付け
ヒバの植え付けるときのポイントは下記の通りです。
植え付け時期は、春(3~4月)が一番おすすめですが、真夏と厳冬期を避ければ、基本的にはいつでも植え付けは可能です。
植え付け場所
- 日当たり:明るい日陰~日向な場所
- 風通し:良好な場所
- 土壌:水はけの良い肥沃な土を準備する
- スペース:成長後のサイズを考慮して選ぶ
植え付け時
- 植え穴は苗のポットの1.5倍程度にする
- 底部に軽く堆肥を混ぜた土を入れる
- 苗は水につけて十分に吸水させておく
- 植え付け深さは従来の土の高さを維持する
- 空気が入らないよう、しっかり土を押さえる
- 植え付け後はたっぷりと水を与える
挿し木
挿し木はヒバを増やしたいときに行います。
挿し木の用意は2~3月頃に行いましょう。
真っすぐ伸びた枝を選び、先端から10cm程度の場所で切り落としてください。このとき、下部の葉は除去し、切り口は斜めになるように意識します。
切り落とした枝は、プランターやポットの土に1/3程度挿して肥料を撒き、明るい日陰に置いてください。
挿すときは、土をしっかり押さえて、まっすぐに立てます。
その後は、土の乾燥具合をチェックしながら、十分な水やりを行っていれば、枝の切り口から根が生えてきて、苗木の完成です。
ヒバの病気・害虫対策
ヒバが気を付けるべき、病気や害虫について紹介します。
病気:ベト病(灰色かび病)
ベト病は、ヒバの深刻な病気の一つで、主に梅雨時期や秋の長雨の際に発生しやすいです。
症状
- 葉が灰褐色に変色する
- 灰色のカビが発生する
- 枝先から徐々に枯れ込む
- 重症化すると株全体が枯死する場合もある
予防&対策
- 風通しを良くする剪定を行う
- 株元を清潔に保つ
- 梅雨時期前に殺菌剤を散布する
- 梅雨時期の雨の後は注意深く観察する
- 症状が出た枝葉の速やかに取り除く
病気:白絹(しらきぬ)病
白絹病は、土壌伝染性の病気で、一度発症すると治療が難しい病気です。
症状
- 地際部の樹皮が褐色に変色する
- 根が白く腐敗する
- 葉全体が黄化して萎れる
- 株本に白いカビが発生する
- 症状が進むと株全体が枯死する
予防&対策
- 排水性の良い土壌で管理する
- 地際部の状態を定期的に観察する
- 症状が出た株は早期撤去し、土壌の消毒を行う
害虫:ヨトウムシ
ヨトウムシは、夜行性の害虫で、主に夜間に活発に活動し、葉を食害します。
特徴
- 成虫は褐色の蛾
- 幼虫は緑色や褐色で、体長3~4cm
- 新芽や若葉を好んで食べる
- 集団で発生することが多い
予防&対策
- 適切な殺虫剤を散布する
- 幼虫を見つけたら手で取る
- フェロモントラップを設置する
害虫:ネキリムシ
ネキリムシは、地際部にダメージを与える害虫で、ヒバの若木に特に深刻な被害を与えます。
特徴
- 夜間に地際部を食害する
- 若い苗木の根元を切る
- 春から初夏に被害が多発する
- 土中で蛹化する
予防&対策
- 苗木の周りに保護柵を設置する
- 定期的に地際部の観察を行う
- 殺虫剤を散布する
- 土壌を適切に管理する
業者にヒバの剪定を依頼する場合の費用相場
剪定を業者に依頼する場合、費用の算出方法は主に2つのパターンがあります。
樹木の状態や規模、地域によって大きく異なるため、事前に複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。
樹木のサイズによる料金
樹木の大きさを基準に費用が決定します。
一般的には樹高や枝の広がり、幹の太さなどが考慮されます。
剪定金額の目安は、以下の通りです。
剪定金額の目安料金
高さ | 料金 |
---|---|
3m未満 | 3,000~5,000円 |
3m~5m未満 | 5,000~15,000円 |
5m以上 | 16,000円~ |
作業時間別の目安料金
剪定に要する時間を基準に費用が決定されます。
時間 | 料金 |
---|---|
30分未満 | 5,000円〜8,000円 |
1時間程度 | 8,000円〜15,000円 |
半日(4時間) | 15,000円〜30,000円 |
剪定料金の詳細はこちらの記事を参考にしてください。
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