羽アリは人々にとって害を与えるものと、そうでないものがいます。両者の違いをよく知り、必要であれば早めに対処するのが望ましいでしょう。羽アリの種類や生態、対処方法などを紹介し、実際に依頼する業者を選ぶポイントも解説します。
羽アリとは
羽アリは建物に被害を与えるシロアリと、直接は建物に被害を与えないクロアリの二つに分かれます。羽アリの生態と、シロアリであった場合の影響を紹介します。
羽アリの生態
羽アリとは、シロアリやクロアリに羽がついているアリを指します。
女王アリや働きアリなど、シロアリやクロアリの役割によって異なる種類のひとつで、巣から離れた場所で繁殖をする役割を持ちます。
新しい巣を作り繁栄させたら、また別の地に行き新しい巣を作るのです。種類にもよりますが、シロアリは春先から初夏にかけて飛び回り、繁殖を拡大させます。
シロアリは建物に影響を及ぼす
羽アリは大きく分けて、シロアリとクロアリに分類され、中でもシロアリは建物にさまざまな悪影響を及ぼします。
シロアリは湿気を好み、紫外線を避けるので、ジメジメした暗い場所に生息します。そのため家の床下から侵入する場合が多く、地面に近い基礎や、床下の柱を侵食してしまうのです。
床下の柱が食い尽くされると、家が傾くほどの被害を受ける可能性があります。特に風呂場やキッチン、トイレなど水気のある床下の被害が多く、ひどい場合は床が抜けてしまうほどです。
壁の中にある断熱材も食べるため、エアコンの効き目が悪くなったり、壁の耐久性が下がってしまったりします。
羽アリの種類を紹介
日本でよく見られるシロアリの羽アリは、主に3種類であり、これらを放置しておくと建物に大きな被害を与えてしまう可能性があります。シロアリの羽アリの種類を紹介します。
イエシロアリ
イエシロアリは日本で被害が1番多く報告されているシロアリです。羽アリの見た目は全体的に黄色っぽく、乳白色の羽が特徴です。
発生時期は6~7月の初夏であり、主に西日本を中心に分布しています。夜になると活発に動き始め、光に集まる習性があるため、家の網戸や窓ガラスによくとまっています。
地中に巣を作り蟻道を作って家に侵入するため、被害を受けやすい場所は床下です。しかし床下から壁を侵食し、そのまま屋根裏まで食い尽くす場合もあります。
屋根裏が被害に遭うと、屋根が崩れやすくなる恐れがあり危険です。
ヤマトシロアリ
ヤマトシロアリはイエシロアリに次いで、日本で2番目に被害報告が多いシロアリです。
羽アリの体は黒っぽく、丸みを帯びた羽を持つのが特徴です。4~5月に飛び回り、主に昼間に活動します。
巣を作らず、湿気が多くエサがある場所に住み着くため、風呂場やキッチンなど、水場の床下が被害に遭いやすくなります。
寒さに強く、北海道北部以外であれば、広い範囲で見られるシロアリです。
ヤマトシロアリとイエシロアリを区別する際は、見た目の色と、昼間帯に見られるか夜間帯に見られるかで判断できるでしょう。
アメリカカンザイシロアリ
アメリカカンザイシロアリは元々日本にいないシロアリであり、外来種として日本で数が増えてきています。海外から輸入した木材の中に紛れ込み、日本に持ち込まれたといわれています。
羽アリは7~9月にかけて発生しやすく、頭部が赤褐色であるのが特徴です。乾いた木材の中に生息し、家全体に被害を与えます。
木材の中にいることや、被害が目に見える形で現れるのに時間がかかるため、早期発見が難しいシロアリです。また完全な駆除も難しいとされているため、大変厄介な存在といえます。
木材の表面に穴を開けてフンを出すため、床に小さい粒が多く存在したら、アメリカカンザイシロアリが潜んでいる可能性があります。
シロアリとクロアリの羽アリの見分け方
シロアリの体全体の色は、黒に近いです。
そのため、体全体の色を見てクロアリと見分けるのは、素人では非常に難易度が高くおすすめしません。
羽の特徴や、体の形から見分けるようにします。
羽が閉じている時の見分け方
シロアリもクロアリも、羽の枚数は4枚と同じですが、大きさが異なります。シロアリはそれぞれの羽がほとんど同じ大きさですが、クロアリは前羽が長く、後羽は短いことが特徴です。
またシロアリの羽は非常にもろく取れやすいものです。地面に多く羽が落ちていたら、それはシロアリの羽といえるでしょう。
羽がない時の見分け方
羽がない時は発生した数の多さに注目してください。羽アリが大量発生している場合、シロアリの可能性が高くなります。シロアリは数が増えて巣が狭くなると、羽アリを外に出す習性があるためです。
また地面に羽が大量に落ちている場合も、シロアリであることが多いでしょう。先述のように、シロアリの羽は非常にもろく、取れやすいためです。
羽がないシロアリを見た目で判断する場合は、体の色ではなく形や触覚を見てください。
シロアリは頭部から胴体にかけて、ほぼ同じ太さになりますが、クロアリは胴体にくびれができています。触覚もシロアリの方が短く、数珠状です。クロアリの触覚は長く、L字型になっています。
発生時期の違い
シロアリの羽アリが発生する時期は、春から初夏の間です。ヤマトシロアリは4~5月、イエシロアリは6~7月に発生しやすくなります。またアメリカカンザイシロアリは7~9月にかけて、多く見られます。
一方クロアリは5~11月に発生します。夏が終わり少し涼しくなってきた時期に、羽アリを見かけたら、それはクロアリの可能性が高いでしょう。
羽アリの対処方法
羽アリを見つけた時は、焦らずに適切な対処を取る必要があります。方法を誤ってしまうと、被害が拡大する恐れがあり危険です。適切な羽アリの対処法を紹介します。
シロアリの場合は床下調査を
家で羽アリを見かけたら、まずは業者に相談しましょう。
特にシロアリの可能性がある場合は、被害を最小限に抑えるためにも、早急な対応が必要です。クロアリであった場合も、エサであるシロアリを捕食するために、侵入してきた可能性があります。
シロアリ調査は基本的に、無料で行っている業者がほとんどです。また調査時間は1~2時間と、比較的短い時間で済みます。費用や時間で不安に思っている人も、安心して依頼しましょう。
調査後は結果が報告され、必要があれば、駆除や予防に関する見積書等が提示されます。これは必ずしも契約が必要なわけではありません。不要と判断したのであれば、断ることが可能です。
一時的な羽アリの対処方法
目の前に羽アリが発生していたら、一時的な措置を取るのも一つの手段です。
どうしても今すぐ対処したい人は、掃除機で吸い取りましょう。羽アリはあまり耐久性が強くないため、掃除機の吸引だけで死滅します。
夜間などで掃除機が使用しづらい場合は、粘着クリーナーで駆除するのもおすすめです。死骸はポリ袋に入れて、燃えるゴミとして捨てましょう。
上記の方法はあくまでも応急処置にすぎないため、根本的に解決するためには、業者に相談することをおすすめします。
羽アリを見つけた際の注意点
殺虫剤を羽アリに吹きかけるのは避けてください。
殺虫剤を使うと、これまで活動していたシロアリが危険を察知し、違う場所に移動してしまう恐れがあるためです。被害が広まってしまったり、調査が難しくなったりするため避けましょう。
また殺虫剤にはほとんどの場合、忌避剤が含まれており、一度噴射した場所にシロアリが寄ってこなくなる可能性があります。
かえって駆除が困難になってしまうので、殺虫剤は使わないようにしましょう。
羽アリの調査を業者に依頼する際のポイント
シロアリ業者の選択はとても重要です。悪徳業者を選定してしまうと、ずさんな調査をされる場合があります。羽アリの調査を業者に依頼する際の、ポイントを紹介します。
相見積もりをする
業者に相談する際は、1社だけでなく複数社に見積もりを依頼する、相見積もりがおすすめです。複数の業者を比較することで、より納得のいく業者を選びやすくなります。
シロアリ調査は基本的に無料ですが、中には有料としている業者もあります。費用とサービス内容を比較するためにも、相見積もりは有効です。
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安心できる資格を持っているか
悪徳業者にあたらないために、信頼できる資格を持っている業者であるか、確認しましょう。
例えば「日本しろあり対策協会」会員であると、信頼性の高い業者といえます。この協会に入るためには、「しろあり防除施工士」と呼ばれる資格を、取得した社員がいることが条件になります。
また労働災害保険や、賠償責任保険に加入していることが必須です。
これらの条件を全てクリアした、信頼できる業者しか入れないため、協会の会員であるかどうかは、信頼性を計る目安の一つといえます。
羽アリを見かけたらすぐに業者へ相談を
羽アリは大きく分けると、シロアリとクロアリに分類されます。シロアリは建物を浸食し、さまざまな悪影響を与える害虫です。
日本に生息し被害をもたらすシロアリは、主に3種類います。見かけた場合はすぐに対処した方がよいでしょう。
シロアリとクロアリの見分け方には、見た目だけでなく、発生時期などの判断材料があります。
仮にシロアリを一時的に駆除したいのであれば、掃除機や粘着テープで対処します。殺虫剤はかえってその後の駆除が難しくなるため、使用しないようにしましょう。
シロアリを見かけたら、まずは業者に連絡し、シロアリ調査することをおすすめします。
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