管理している物件で、孤独死などの事故が発生したら直ちに対処が必要です。気付かずに放置してしまうと、遺族や近隣住民にとってもよくありません。死臭の概要や対処法を紹介します。自力で対応できるかも含めて見ていきましょう。
死臭とはどんなもの?
人や生物が死んだ後、そのまま放置しておくと死臭が発生してしまいます。一般の人がよく嗅ぐ臭いではありませんが、一体どのような臭いなのでしょうか。死臭について解説します。
生き物が死ぬことにより発生する
死臭は生物が死んだ後に放つ臭いのことです。その臭いは形容し難いものであり、人によって捉え方も異なります。
遺体が放置された場所や環境にもよりますが、一般的にはチーズが腐った臭いに近いといわれます。またくさやや生ゴミが腐った臭いとも表現されることもあるほどです。
言葉だけ聞けば大したものには感じないかもしれませんが、人の遺体はとても大きいためかなり強烈な死臭を放ちます。専用のガスマスクを着用しないと、その場で立っていられないほどの悪臭なのです。
なぜ死臭は発生するのか
人や動物の体内には細菌が住みついていますが、生きている間は免疫作用により大きく増殖することはありません。
生物が死ぬことでその免疫作用がなくなり、体内で一気に細菌が繁殖してしまいます。細菌は体中の細胞を分解するため、遺体の腐敗が進み死臭が発生したり体液が出たりするのです。
死臭は約400種以上の揮発性有機物が複雑に混ざり合って放たれます。夏場では2〜3日、冬場は5〜7日程で死臭が発生するといわれています。
環境によって臭いが発生するまでの時間は異なりますが、気温が高いほど細胞分解は早く進んでしまうでしょう。
死臭の注意点と悪影響
死臭はただ臭いが強烈で、気分が悪くなるだけではありません。健康状態に影響を及ぼす場合もある危険な臭いなのです。死臭の注意点と悪影響を紹介します。
臭いがこびりつく
死臭は一度発生すると、簡単には取り除けません。人の体液や血液には油分が混じっているため、水で洗い流した後に乾燥させても、臭いの原因となる物質が残ってしまうからです。
市販されている芳香剤や消臭剤でも、臭いは取れないといわれています。こびりついた死臭は近隣の部屋まで臭ってしまうほど強烈なものです。
1度この臭いを嗅ぐと、精神をむしばんでしまうともいわれています。あまりに強烈なために、特殊清掃後もまだ臭いが残っていると錯覚してしまうケースもあるようです。
ウジなど害虫が湧く
死臭がすると、少しの間で微生物やハエなどの害虫が卵を産みつけにきます。ハエは1匹で1,000個ほどの卵を産むので、放置している時間が長いほど状況はかなり悲惨なものになります。
卵からかえる時間も短く、1日も経てばウジが湧いてしまうでしょう。これらの害虫は、遺体だけでなく遺品に対しても危害を与えてしまうのです。
また遺体の体液は床奥深くに浸透するので、下の住民や近隣住民にも被害を及ぼします。そうならないためにも、早期発見と対処が必要となるのです。
細菌などによる健康への被害も
自力で死臭のある部屋を片付けようとすると、さまざまな所に触れなければなりません。
現場には目に見えないあらゆる細菌が繁殖しているので、感染症にかかるなどの健康被害を受けることもあります。
結核菌などの空気中のウィルスにも要注意です。血液がある場合はHIV感染などに気を付けなければなりません。
ハエやウジだけでなくゴキブリなどの害虫も集まるので、これらの伝染病も危険です。
自力で対処すると死臭や害虫の気持ち悪さばかりに気を取られ、体や精神がダメージを受けてしまうでしょう。
死臭を取り除きたい場合の対処法
管理している物件に孤独死などが発生した場合は、自力での対処は困難です。業者に依頼することを前提として、死臭を除去したい場合の対処法を紹介します。
特殊清掃・遺品整理を依頼する
死臭が発生した場合、その周りの物ほとんどに臭いがこびりついています。そのため遺品といえども、残す物は必要最低限に絞り残りは全て処分した方がよいでしょう。
特殊清掃・遺品整理業者は、特殊な消臭剤を使用します。この強力な消臭剤で遺品を清掃しないと、こびりついた死臭は大きく取れません。
市販されている消臭剤では、効果にほとんど期待できないでしょう。
捨てる遺品は「お焚き上げ」などでしっかり供養して処分します。このような手順や段取りは、業者に依頼すれば全てやってくれるでしょう。
業者探しのポイント
業者に依頼する際はホームページなどで実績や保有資格を確認しましょう。「事件現場特殊清掃士」などの資格保有者がいると、より安心です。
口コミを参考に対応時の態度や仕事ぶりをチェックするのも有効といえます。
これらをクリアしたら見積もりをもらい、金額とサービス内容を確認します。比較するため、複数業者から相見積もりを取るとよいでしょう。
その際はミツモアを利用し、迅速に見積書を集めるのも一つの手段です。業者ごとに状況を説明して見積もりを集めるよりも、ミツモアで最大5件の専門業者に一括見積依頼をかければ探す手間が省けます。
清掃前に入室しないよう注意
「人に見られたくないものがあるかも」と、故人を気遣って身内の人が先に入室する場合があります。しかしこれはおすすめできません。
時間が経過していれば中は悲惨な状況となり、強烈な死臭で体調を崩してしまう可能性も高いからです。
また故人を知る人が部屋の凄惨な状況を見てしまうと、精神的なショックを受け幻臭症状やうつ病を引き起こしてしまう人もいるといわれています。
清掃業者が入る前は入室しないように気を付け、身内の人にもそのように対応しましょう。
死臭が発生した部屋は早めの対処が肝心
死臭は形容し難いものですが、くさややチーズが腐った臭いをさらに強烈にしたものといえます。
そのためこびりついた臭いは簡単には取れず、ハエやゴキブリなどの害虫を多く引き寄せてしまいます。
臭いや見た目の問題だけでなく、感染症や細菌による健康被害を受ける場合があり、死臭のある部屋は危険な場所でもあるのです。
自力での対処は難しく、業者に任せるのが得策といえます。特殊清掃業者などに相談し、遺族へ誠実に対応すると共に近隣住民への被害を防ぎましょう。