野芝は野生種に近い、日本芝の代表的な品種です。ほかの芝生と比べて葉幅が大きく、寒さや病害虫に強い特徴があります。また成長スピードが遅いため、芝刈りなどの手入れも頻繁に行う必要がありません。
芝生をいざ植えようと思っても、種類が多くてどれにするべきか悩むことも多いでしょう。「野芝を庭に植えるべきかどうか悩んでいる・・・」という方のために、この記事では野芝の特徴や高麗芝との違い、張り方や手入れの方法を紹介します。
野芝は管理のしやすさ重視の方におすすめ
野芝は数ある芝生の種類の中でも手入れのしやすさが特徴の品種です。管理のしやすい芝生を求めている方にはおすすめの品種といえるでしょう。
野芝は日本芝の一種で、高麗芝や姫高麗芝と並んでゴルフ場や公園などにも採用されている芝生です。
野芝の特徴
山芝・地芝などの別名を持つ野芝は、野生種に近い日本の品種。天然芝は大きく「日本芝」と「西洋芝」に分けられ、野芝は日本芝の一種です。
生えてくる葉は幅が4mm以上で大きく粗めですが、手入れに手間がかからないため、忙しくてなかなか庭の手入れができない方におすすめの品種です。野生種に近い品種であることも長所で、踏まれても弱りにくい頑丈さを合わせ持っています。
野芝は日本芝の中でも寒さに強い「耐寒性」の特徴を持っています。このことから、東北や北海道南部といった寒い地域でも人気が高いです。
ゴルフ場や公園などで使用される
公園などでも目にする野芝は、丈夫なうえに手間がかからないため、ゴルフ場のラフなど広い場所でもよく利用されています。
また似ている品種として「高麗芝(こうらいしば)」も有名です。高麗芝は葉が細く密度も高いため、手入れをしっかりと行えば美しい庭に仕上がります。
ゴルフ場ではグリーンの芝生として活用されますし、住宅の庭にもよく使われる品種です。
野芝と高麗芝の違い
これから芝生を植えるうえで「どの芝生を植えればよいのか悩んでいる・・・」という方も多いのではないでしょうか。野芝と高麗芝のそれぞれのメリットを比較して、どの芝生を庭に植えるべきか検討してみてくださいね。
野芝は葉が固くて丈夫
野芝の特徴は次の通りです。
- 葉が固くて丈夫
- 成長が遅いため手入れが楽
- 耐寒性が高い
野芝が持つ最大のメリットは耐久性の高さです。高麗芝が葉幅1.2mm~2mm程度の葉をつけるのに対し、野芝は葉幅4mmほどの大きさの葉をつけます。葉が固くて丈夫なため踏圧に強く、踏みつけられても芝生が弱らない性質を持っています。
また野芝は高麗芝と比較して成長スピードが遅いため、頻繁な草刈りの手入れが必要ありません。頻繁に肥料を与えなくても健康的に育つ特徴もあるため、高麗芝よりも手入れの手間がかからないのが特徴です。
野芝は耐寒性も高いため、冬の寒さが厳しい東北地方などでも育てられます。日本芝の中でも最も耐寒性が高いため、寒冷地にお住まいの方には有力な選択肢となるでしょう。
高麗芝は葉の発色がよく柔らかい
高麗芝の特徴は次の通りです。
- 葉の発色がよい
- 葉幅が細く柔らかい
- 葉の密度が高い
高麗芝は野芝と比較して、葉の発色がより鮮やかな緑色をしています。そのため庭の景観を重視して芝生を植えたい方には、野芝よりも高麗芝の方がおすすめです。
葉幅は1.2mm~2mm程度と野芝の半分ほどしかなく、そのぶん柔らかな芝生を張れます。芝生の上で寝転んだり、芝生の上で子どもやペットを遊ばせたりする場合には高麗芝のほうが優れているでしょう。
また高麗芝は葉の密度が高く、ギュッと詰まった印象に仕上がります。成長スピードも野芝と比較して早いため手入れの手間はかかってしまいますが、より美しい芝生の景観を実現できるのが高麗芝の特徴です。
野芝の張り方
「野芝を植えたい!」と思った際に気になるのが芝生の張り方です。「どうやって植えたらよいのかわからない」という方のために、野芝の施工方法を解説します。
張り方のポイントを押さえれば、よりきれいな芝生のある庭を実現できますよ。
マット状のものを張る
野芝はマット状やロール状にあらかじめカットされた、切り芝の状態で販売されていることがほとんどです。春頃になるとホームセンターでもその姿を確認できるようになります。
マット状の野芝は束単位で販売されており、1束の価格相場は1,000~2,000円ほど。1束でおおよそ1平米の広さをカバーできます。
マット上の野芝はある程度育った状態で販売されているため、庭に張って根が定着するのを待つだけできれいな庭を手にできます。なるべく早めに芝生で庭の雰囲気を変えたいと考えている方に最適でしょう。
マット状の野芝を張る手順
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下地となる土つくりも重要なポイントになるので、芝生を購入する前にはスコップやクワで庭を20〜30cmほどの深さまで耕します。芝生によって通気性の良し悪しは重要なため、定着するように土づくりをするのがポイントです。
次の記事では芝生の張り方を詳しく解説しています。「芝生をDIYで張りたい!」という場合にはぜひ参考にしてみてくださいね。
種をまいて育てる
種から野芝を育てる方法もあるため、時間をかけて徐々に庭をきれいにしていきたいと考えている方は検討してみましょう。
費用を抑えられるのも種まきのメリットのひとつなので、庭の面積次第ではマット状の芝生と比べて相当なコストカットになります。
野芝の種まきの手順
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種まきも土作りが重要です。スコップ・レーキ・ローラーなどのガーデニング用品は買いそろえておきましょう。
レーキは熊手に似た外見をしており、細かなゴミをかき集めるだけではなく種まきの前にはまっすぐな溝を掘る役割を担っています。溝に合わせて種をまいていくようにしましょう。
種まきのあとには水やりを継続的に行うことも大切です。種まきの際にたっぷりと水を与えるだけでなく、1週間程度を目安に毎日水やりを行ってくださいね。
芝張りに最適な時期は春から夏前
芝生は夏の乾燥に弱く、冬は休眠期に入るので、植えるなら春から夏前までが狙い目です。
地域により若干の差がありますが、次のタイミングを目安に芝張りを行うとよいでしょう。
地域 | 時期 |
関東~関西 | 3月中旬~6月 |
東北などの寒冷地 | 4月上旬~6月 |
芝は暑すぎても寒すぎても根付きがよくないので、気温が15℃以上になってからの植え付けが最適です。そのため秋植えも可能ではありますが、すぐに寒くなって冬には休眠期を迎えてしまいます。根付くことを考えれば春植えがおすすめです。
野芝の手入れ方法
野芝は他の芝生と比較して日頃の手入れが簡単であるものの、きれいな芝生を維持するためのメンテナンスは必要です。手入れ方法や時期を確認して、健康的な野芝を育てましょう。
芝刈り
野芝の芝刈りは5月~10月ごろに実施します。芝刈りをしっかりと実施すれば、密度が増してよりきれいな芝生を実現できますよ。
芝刈りの頻度の目安は、野芝が大きく成長する夏には月4回、春や秋には葉の伸び具合を考慮しながら2~3週間に1回程度です。
また一気に短く刈ると「軸刈り」になってしまい、芝生の生長点を落としてしまうことにつながります。芝生を弱らせてしまう原因になるため、定期的な芝刈りを行うように注意しましょう。
芝刈りを行う際には芝刈り機の使用がおすすめです。次の記事ではおすすめの芝刈り機を紹介しているので、芝刈り機選びの際には参考にしてみてください。
水やり
野芝の水やりは、時期に合わせて与える頻度を調節します。春には1週間に2~3回、夏には毎日水やりを行うとよいでしょう。冬は休眠期に入るため、水やりの必要はありません。
また気温が高い状態で水やりをすると芝生が蒸れてしまい、生育に悪影響を与えます。できれば午前中に水やりをするように心がけてくださいね。
野芝に水やりをする際は、少し多めに感じる量の水を与えましょう。与える水分量が不足していると地中まで水が届かず、生育不良の原因になります。
肥料
野芝の肥料は芝生の成長期に与えます。春~夏にかけて芝生用の化成肥料を与えましょう。また真夏などの猛暑日は肥料焼けのおそれがあるため、避けるようにしてくださいね。
草取り
野芝の草取りは年間を通じて実施します。芝生に雑草が生えているのを見つけ次第、こまめに抜き取るように心がけましょう。
また芝生に生えた雑草の処理には除草剤の使用も効果的です。芝生用の除草剤を選び、雑草だけを枯らす「選択性除草剤」を使うのがおすすめです。
野芝は芝生の密度が低いため、隙間から雑草が生えてきやすい特徴があります。雑草をそのまま放っておくと芝生が成長するのに必要な養分を奪ってしまうため、早期の対策が重要です。
サッチング
芝刈りで刈った草や冬になって枯れた葉が堆積したものを「サッチ」と呼びます。サッチを取り除くサッチングを実施しないと野芝が病気にかかったり、地面の水はけが悪くなったりして生育に悪影響を及ぼすため、こまめにサッチングを行うようにしましょう。
野芝のサッチングは芝張りから2年目以降、年に1~2回程度を目処に実施するのがおすすめです。熊手を使って手作業で取り除く方法や、分解材を用いる方法があるため、芝生の範囲やサッチの発生状況に応じて使い分けてくださいね。
以下の記事ではサッチングの方法を詳しく解説しています。サッチを取り除いて、野芝の健康的な成長を促しましょう。
エアレーション
エアレーションとは芝生に穴を開けて地中に空気を入れる作業のことです。穴あけ器やスパイクで穴を開けて土壌を耕せば、水の浸透力を上げたり、通気性を向上させたりできるため、野芝のさらなる活性化につながります。
エアレーションの手順
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野芝のエアレーションは春と秋が適期です。3月~6月、9月ごろを目安に実施するとよいでしょう。高温の夏の時期や休眠期の冬は、芝生への負担が高くなってしまうため避けてくださいね。
手入れが楽な野芝で庭の緑を楽しもう
野芝は成長が遅く耐久性にも優れているため、他の品種よりも手入れが楽な点が魅力です。春頃にはホームセンターでマット状の野芝が販売されますので、まずは春に向けて庭の土作りをしておきましょう。
「手軽に庭の天然芝を楽しみたい!」と考えている方におすすめの野芝。憧れの芝生のある庭を実現してみてはいかがでしょうか。
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