「自分の会社」を持ちたいと思っている人、すなわち「起業したい人」が増えてきています。
人生100年時代と言われるこのご時世において、雇用される時代は終わり、自分で起業して社会にインパクトを与える事業を行いたいと考えている人が多く、中には学生のうちから起業の準備をしている人も少なくありません。
しかし起業して成功するためには、起業の前の準備をしっかりと行って万全の体制で臨む必要があります。
そこで今回の記事では、起業する前に行う準備を詳しく解説していきます。
この記事を監修した税理士
高崎文秀税理士事務所 - 東京都文京区本郷
起業する前の準備のポイントー事業計画編ー
起業する前の準備として事業計画の作成は欠かせません。
何から収入を得て、その収入を得るために掛かる費用はいくらなのか、収入と支出のバランスを考えながら緻密な事業計画を考える必要があります。
事業計画をしっかりと作成することで、起業のための準備が一気に早まると言っても過言ではありません。
ここでは事業計画の考え方や作成方法について詳しく解説します。
事業計画の決定
まずは事業計画の中身を決定します。
ここでのポイントは、「事業の収入源及びその収入を得るために掛かる支出はどのくらいになるか」を明らかにすることにあります。支出が大きくなるパターンや銀行融資用など、複数の事業計画を作成しておきましょう。
また事業は単年度で終わるのではなく、中長期にわたって継続していくことが肝要になります。そのため事業計画も単年度だけでなく、3年・5年単位といった中長期計画を作成しましょう。
事業計画を作成することの意義
起業準備中の人の中には、事業計画はあくまで銀行の融資を受けるために作成するものであって、事業を行っていく上で不要と考えている人も多いようです。
しかし事業計画は自身が思い描いた事業を見直すために必要なものであり、決して作成して終わりというものではありません。
作成当時においては、事業計画は事業の将来予想ではありますが、事業を行っていく過程で実績を反映し、適宜修正を行っていきます。そうすることで自身の事業の軌道修正を図ることができるのです。
ターゲットになる顧客を選定する
事業を認知してもらうためには、収入源であるターゲット顧客層にPRする必要があります。
またターゲット顧客層にアプローチするためのPR方法も決めておき、どのくらいの支出になるか見積る必要があります。そのためにはまずご自身の事業のターゲット候補となる顧客層や、その人たちに対するPR方法を決めておく必要があります。
若い世代がターゲット顧客層であるならば、スマホを利用したリスティング広告などのPR方法があるでしょう。逆に高齢世代の人がターゲット顧客層ならば、チラシが有効的かもしれません。
いずれにしても限られた予算の中でPRをしていかなければならないため、ターゲットは明確にすることが大切です。
競合他社のリサーチをする
あなたと同じように起業しようと考えている人は世の中に多く存在します。
似たような事業を行っている競合他社も当然存在するため、自身の事業との差別化を図るためにも競合他社のリサーチは起業前において欠かせません。
競合他社は商品の価格設定をいくらにしているのか、自社独自の強みは何か(USP)、そして提供するサービスの質で自身の事業が勝っている点を徹底的にリサーチします。
競合他社との差別化が図れることで初めて事業は成功します。同じ事業を展開していては、圧倒的な資本力を有する会社や既存会社に負けてしまいます。
起業して成功するためにも、競合他社のリサーチは徹底して行いましょう。
起業する前の準備のポイントーお金編ー
事業計画を作成していざ起業といっても、直ぐに起業できるわけではありません。
会社の開業資金や運転資金がある程度なければ、事業が継続できなくなってしまうのは明白です。ここでは起業する前の準備として、「お金」について説明します。
準備資金としてどのくらいのお金があればよいのか、また経費や税金はどういったものがかかるのか詳しく解説していきます。
半年分の貯金はしておきたい
起業準備中の人の中には、銀行融資で簡単にお金を借りられると思う人もいるかもしれませんが、そう上手くはいきません。
既に社会的な信用力が高い人ならまだしも、初めて事業を起こすとなると融資はまず下りないでしょう。そのため無駄な支出を避けて、起業のための資金を貯金しておく必要があります。
会社に勤務しているのであれば、給与から起業資金を貯金します。起業当初は売上も全くなく支出のみが嵩むことを考えると、自己資金を切り崩していくことになります。
そうなると1年間は収入がなくても生活できる資金を蓄えておくことが理想ですが、最低でも6ヵ月間は、生活ができるだけの資金は確保しておきましょう。
事業資金はコツコツ貯める
事業資金を貯める際には秘訣があります。それはコツコツ貯めることです。
なぜなら銀行融資といった民間融資の他に公的融資がありますが、この公的融資を受けるために必要な作業とされているからです。
毎月コツコツ事業資金を貯めることで、公的機関は「しっかりと着実に起業のための資金をためているな」と良い心証を与えることができるため、審査が通りやすくなるのです。
自己資金だけでは難しい起業で公的融資を受けるためにも、ぜひ実践してみましょう。
クレジットカードは在職中に作っておく
独立後は現金以外の支払い方法の準備も必要になってきます。
中でもクレジットカードは特に有効な支払い手段になるので作成する必要があるでしょう。
個人でクレジットカードを保有している人は、新たに作成する必要はないと考えているかもしれません。しかし個人事業主になると、確定申告のためなどに日々経費の記帳を行う必要があり、記帳が乱雑になるのを防ぐために個人と事業用のクレジットカードは分けて作成する必要があります。
また起業後に作成しようとしても、事業が成功していない段階ではクレジットカードの審査が通らないことがほとんどです。そのためにも事業用のクレジットカードは生活が安定している在職中に作るようにしましょう。
起業後の経費・税金についてリサーチする
起業後は会社員の時よりも様々な経費や税金がかかってきます。
経費であれば事業所の家賃や水道光熱費が挙げられるでしょう。また業務を委託する場合などは、業務委託費を支払う必要があります。さらに従業員を雇用する場合は、社会保険に加入する必要があるため、従業員の保険料を半分負担することにもなります。
税金についても今までは会社が代わりに支払っていてくれたのが、事業主として税務署に申告・納付することになります。
例えば個人事業税は事業で得た所得にかかる税金で、起業後に事業で収入を得ていると支払う必要があります。
また源泉所得税は従業員を雇用している場合に支払う必要があり、各従業員の給与所得に応じて事業主が給与所得から所得税を天引きし、税務署に納付する必要があります。
いずれの税金も申告漏れがあると、追徴課税や罰則の対象になるため、自分が支払う義務のある税金の種類はきちんとリサーチしましょう。
失業保険について調べる
起業準備中の人は失業保険について調べている人は少ないと思います。見落としがちですが、会社を退職し起業準備している人でも失業保険を受給できる可能性があるのです。
起業のためには少しでもたくさん資金が必要になるので、ご自身が受給資格を得ているかきちんと調べましょう。
例えば起業準備と並行して資金やノウハウ獲得のための再就職の求職活動をしている人は、失業保険を受給することができます。
実際に再就職するかどうか別として、求職活動を行っていれば失業保険を受給できるので申請しておくのがよいでしょう。いずれにしても起業の準備を終えてしまうと失業保険を受給できなくなるので、失業保険についてもしっかりと調べておくことが肝要です。
起業する前の準備のポイントー知識・人脈編ー
経営やマーケティングの知識や事業を助けてくれるパートナーを見つけるための人脈は、起業後に成功するためには欠かせない要素です。
しかし知識や人脈はどのように作っていけばよいのかと考えている人も多いはずです。
ここでは知識の習得方法や人脈作りについて詳しく解説します。
マーケティング・営業のセミナーを受講する
起業当初は事業で得る収入が少ないのは当然のことです。
収入を増やすためには、自身で商品を売り込む営業やPRするためのマーケティングのノウハウが必要になってきます。そのため起業準備の一環として、マーケティングや営業のセミナーに参加し、知識を習得することをおすすめします。
またセミナー参加者の中には、支援してくれるパートナーがいることもあるので、人脈作りの場としても大変有効です。
成功するためにもぜひセミナーに参加しましょう。
「創業塾」に参加する
起業を目指している皆様は、商工会議所で開催している「創業塾」というセミナーの存在をご存知でしょうか。
このセミナーは起業を目指している人を対象としており、起業で成功するためのノウハウが詰まった素晴らしい内容になっています。
さらに参加者は全員起業家なので、様々な業種の人と知り合うことができ、人脈作りの場としても大変効果的です。
起業を志す人であれば学生でも参加できますし、土日二日間で開催するため会社員の人でも参加しやすいのが特徴です。各セミナーの詳細は各地域の商工会議所から確認できますので、ぜひチェックしてください。申込みも商工会議所から行えます。
起業家の交流会に参加する
起業家の交流会に参加するのも知識や人脈作りには欠かせません。
こういった交流会は起業してから参加すればと考えている人が多いですが、既に起業している人の起業時の苦労話や事業成功のためのアイデアを聞くだけで勉強になりますし、アドバイスを貰えることも多いのです。
場合によっては仕事を得る機会でもありますし、自身の名刺を持って積極的に参加しましょう。
起業の準備におすすめの本3選
起業準備中の人の中には、成功のための本を探している人も多いでしょう。
世の中には数多くの起業に関する著書がありますが、以下の3点は起業で成功するためのエッセンスが詰まっており大変おすすめです。
①「1万円起業 片手間で始めてじゅうぶんな収入を稼ぐ方法」(著者:クレス・ギレボー)
1万円で起業を成功させるノウハウが詰まっている一冊になっています。 ただのノウハウ本だけでなく、実例が掲載されているので1万円起業の具体的なビジョンが見えてきます。 ②「はじめの一歩を踏み出そうー成功する人たちの起業術」(著者:マイケル・E・ガーハー) 起業家とは何かを教えてくれる一冊になっています。 さらに起業家とはどうあるべきかを述べた一冊になっていて、起業を目指す人にとってはオススメの一冊です。 ③「起業のファイナンス ベンチャーにとって一番大切なこと」(著者:磯崎哲也) ビジネス成功のためには金融機関との付き合いがつきものです。 資金調達のノウハウなど必要な知識が詰め込まれた一冊になっており、起業家ファイナンスを学ぶためにはオススメの一冊になっています。 |
以上3冊を紹介しました。ぜひ手に取っていただければと思います。
起業する前の準備のポイントーPR活動編ー
起業したら当然ですが、自社のサービスを知ってもらわなくてはいけません。何もしなくても売上が伸びていくことはまずありえません。
売上を伸ばすためにはPR活動が必要になってきます。また知識・人脈編でも紹介した起業塾などのセミナーに参加したときにも、自分の事業をPRすることもできます。
起業後にPR活動を行えばよいと考えている人が多いのですが、PR活動のためには前段階として様々な事前準備が必要になってきます。ここでは起業する前の準備ポイントして、PR活動について詳しく説明します。
徹底的に準備を行って自社及びサービスを多くの人に知ってもらい、利用してもらいましょう。
事業用のウェブサイト
まず行うべきことは自社のウェブサイトの作成です。
起業後に作成すればよいと考えている人も多いですが、起業前に作成するようにしましょう。
ウェブサイトの作成には数か月程掛かるため、事前にしっかりとしたものを作成しておき、起業後直ぐに事業を知ってもらうようにしましょう。
さらに事前に作成しておくことで、周りからしっかりした事業を行っていると認知されますので、ウェブサイトは準備するようにしましょう。
自分の名刺
セミナーや交流会に参加した際、名刺交換は必ず行われる儀式です。自身の名刺があればPR活動は効果的になります。
自社やサービスを口頭で説明しても、多く人と交流するわけですから忘れてしまうのがおちです。そのため会社・事業を覚えてもらうためにも名刺は絶対作成して臨むようにしましょう。またデザインや印刷はプロに頼みましょう。
仕上がりの印象は信用にも関わることなので、多少の経費がかかってでもしっかりとしたものを準備しましょう。
会社のロゴ
自社のロゴは会社の事を視覚的に覚えてもらうためにも効果的です。
クラウドワークスやランサーズでロゴの作成を手頃なお値段で依頼することもできます。
ぜひデザインに凝った素敵なロゴを作成しましょう。
気になった広告やキャッチコピーを溜めておく
PR活動の中でも広告はとても効果的な手段です。
そのため広告を打つことは必須になってきますが、どういった広告が有効的か分からないことも多いかと思います。そのような場合は自身が気に入った他社の広告を溜めておくのがよいです。
日常生活を送っていれば広告に接する機会も多いため、積極的に広告をストックして広告作成の参考にしましょう。
また事業をPRするためのキャッチコピーもとても大切になってきます。頭に残るキャッチコピーは直ぐに思いつくものではありません。
そのため広告と同様に気に入ったキャッチコピーも溜めておき、リスト化するようにしましょう。
起業してから考えていては時間を浪費するだけなので、しっかりと準備してください。
挨拶状・会社概要チラシ
挨拶状・会社概要チラシは、起業したことを知ってもらうための重要な手段です。
名刺交換した人やお世話になった人には挨拶状を送れば、起業したことを知ってもらうと同時に、ビジネス上でお付き合いの機会を得るきっかけにもなります。
また会社概要のチラシを配って、相手に会社の存在を知ってもらうことも大切です。挨拶状とは違ってチラシは掲示してもらえることもあり、色々な人の目に映る可能性が高いのです。
会社と事業を知ってもらうためにも挨拶状と会社概要のチラシはしっかりと準備しましょう。
営業資料
事業の内容や料金体系を知ってもらうために営業資料を作成しましょう。
ユーザーにとっては他社との比較にもなりますし、資料として手元に残ることで依頼もしやすいため、サービスの購入率が上がるのです。
また他社と比較するためのツールにもなるので、自社のサービスのメリット・デメリットが分かるという効果もあります。
監修税理士のコメント
高崎文秀税理士事務所 - 東京都文京区本郷
まとめ|起業に不安があれば税理士にご相談を!
起業は自身の人生の中でもとても大きなイベントです。
廃業する企業が多い中で起業しても成功するかどうかは、事前の準備をしっかりと行うことがとても重要になってきます。
しかし会社設立など、専門的な知識が必要になることも多いのが現状です。そんなときは税理士に相談しましょう!税理士に相談することで、起業成功へ大きく前進できるはずです。
起業前準備チェックリスト
最後に本記事の中で述べてきた事項についてまとめましたので確認しましょう。
起業する際は各項目を確実行うことを忘れないようにしてください。
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やることは多岐にわたりますが、起業して成功するためには必要なことですので、着実に行動するようにしましょう。
また起業を考えるに当たっては、家族の理解と同意を得ることを忘れないください。
事業はマラソンです。一人では絶対に成功しないため、家族に理解いただき、協力してもらいながら事業を成功に導きましょう。
専門家に相談するのが一番安心できる
会社設立の手続きはとても複雑で、税務署などの行政に提出する書類も数多くあります。書類の添付・記載漏れなどの間違いが起こることが多いのです。
また事業計画の作成や銀行融資の審査などは、個人でやるには不安があります。こういった不安を抱えている人は、会社設立のプロである税理士に相談しましょう。
書類の作成から会社設立や事業計画の緻密な設計など、様々なところでサポートを受けられますし、何より起業のためのスピードを一気に早められます。
これから起業を考えている人や在起業準備中の人は、ぜひ税理士に相談してみてはいかがでしょうか。
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