ミツバチは庭先などで見かけることもある身近な存在です。ミツバチの生態や役割を知ると、さらにおもしろい世界が見えてきますよ。この記事ではミツバチの習性やよくある疑問にお答えします。
ミツバチの役割は?
蜂蜜を作ること以外に、私たちの食生活に欠かせない農作物の受粉を行なっています。人間の食料に大きな影響を及ぼすほど重要な役割を持っているのです。
ミツバチは人を刺さないって本当?
ミツバチはおとなしい性格の持ち主なので、こちらから刺激を与えない限り刺されることはめったにありません。
ミツバチの生態と1年の活動サイクル
ミツバチは丸っこい見た目をしていて、黒の胴体に黄色のしま模様があるのが特徴的です。
性格は穏やかで、自ら攻撃することがあまりありません。スズメバチやアシナガバチに比べたら毒性が低いですが、巣を攻撃すると大群で襲ってくることがあるので油断は禁物です。
ミツバチの食べ物と集め方
女王蜂はローヤルゼリーを、働き蜂とオス蜂は花の蜜や花粉をエサとします。スズメバチやアシナガバチは昆虫をとらえて食べますが、ミツバチは他の生物を食べません。
ミツバチがエサを集めに行く範囲は巣から半径2〜3km程度。頭が良いので自分たちの巣に迷わず帰ってこれるのです。
また良いエサ場を見つけると8の字ダンスをして仲間にエサの位置を伝えます。
ミツバチはこうして集めた花の蜜の糖度を濃縮し、巣に保存します。これが普段私たちが口にする蜂蜜のもとです。
ミツバチの1年
ミツバチはほかの蜂と異なり、ほぼ1年を通して活動します。年間の活動サイクルは以下の通りです。
時期 | 活動内容 |
2月 |
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3~4月 |
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5月 |
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6月 |
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7~8月 |
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9月 |
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10月 |
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11~1月 |
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春のきざしを感じると女王蜂が産卵を始め、働き蜂は蜜の収集をします。新女王蜂が誕生すると、6月に元の女王蜂が働き蜂の半数を連れて新たな巣を作ります。これが分蜂です。
夏の休息期を終え、秋になると越冬のために活動が活発になります。寒い日は蜂球となり体を温め、秋に集めた蜜を食べながら越冬します。冬でエサを集めに行くのは気温の上がる日中のうちでしょう。
ミツバチは女王蜂以外の蜂も越冬するのが特徴。スズメバチやアシナガバチは女王蜂のみが越冬し、働き蜂などは冬前に死んでしまいます。
ミツバチの集団は階級社会!階級ごとの役割
ミツバチは女王蜂、働き蜂、オス蜂で構成されています。それぞれの役割はバラバラです。ここでは役割ごとの生態を紹介します。
女王蜂
性別 | メス |
役割 | 産卵 |
一群当たり | 1匹 |
エサ | ローヤルゼリー |
寿命 | 1~8年 |
産卵 | メス、オスの両方を産める |
王台と呼ばれる特別な部屋に産み付けられた卵からのみ女王蜂は生まれます。王台に産み付けられた卵からふ化した幼虫は、働き蜂の分泌液から作られたローヤルゼリーを与えられるのです。
女王蜂と働き蜂は卵自体に違いがないのですが、産み付けられる場所とエサによって女王蜂になるか働き蜂になるかが決まります。
王台は1つの巣につき多くて10室。複数の卵が産み付けられた場合は、最初に羽化した女王蜂が他の女王蜂を殺します。最後まで生き残った1匹のみが本物の女王蜂になり、生涯ローヤルゼリーをエサとして生活します。
女王蜂の役割は産卵です。毎日1000個以上の卵を産み、ほとんどが働き蜂の卵です。新女王蜂の卵は生涯多くても100個程度に留まります。
ミツバチが活発になる4〜6月のみ、未受精卵を産卵しオス蜂が生まれます。それ以外の次期はオス蜂と交尾をして受精卵を産卵し、女王蜂や働き蜂といったメスが生まれるのです。
働き蜂
性別 | メス |
役割 | 蜜集めなどの労働 |
一群当たり | 3万~6万匹 |
エサ | 蜜、花粉 |
寿命 | 1ヵ月(越冬時は半年程度) |
産卵 | 通常産まない。女王蜂が居なくなった場合のみオスを産む。 |
働き蜂はその名の通り、巣のために沢山働きます。成虫や幼虫の食糧となる花の蜜や花粉といったエサの調達も、働き蜂の役目です。
幼虫にエサを食べさせたり、身の回りを世話したりするほか、巣の中の清掃も働き蜂が行っています。外部から敵が襲ってきた場合に巣を守るのも働き蜂です。
産卵は女王蜂の仕事ですが、女王蜂がいなくなった場合のみ働き蜂も産卵できます。ただし働き蜂から生まれるのは全てオス。そのため新女王蜂が生まれることはなく、女王蜂が死んだ巣は滅びてしまうのです。
オス蜂
性別 | オス |
役割 | 交尾 |
一群当たり | 100~2,500匹 |
エサ | 蜜 |
寿命 | 60日程度 |
目が大きいのが特徴のオス蜂の役割は、女王蜂との交尾です。それ以外のことは一切行わず、エサも働き蜂に頼りっきりです。
成長したオス蜂は外部の女王蜂と交尾をするために、決まった時間に巣を飛び立ちます。オス蜂は女王蜂と交尾をすると死んでしまいます。交尾したときに生殖器が爆発するようになっているからです。
交尾に失敗した役立たずのオス蜂は、越冬準備の時期に巣から追い出されてしまいます。
交尾に成功しても死に、失敗しても追い出されて死んでいく。悲しい運命ですね。
ミツバチの天敵はスズメバチ
ミツバチの天敵はスズメバチです。スズメバチにとってミツバチは捕食対象であり、成虫や幼虫だけでなく卵までエサとします。
スズメバチはミツバチの巣を見つけると襲いかかり、巣の中のほとんどを持ち帰り食べてしまいます。
ただしスズメバチの成虫が、ミツバチを食べるわけではありません。固体を飲み込めない成虫の代わりに幼虫が捕食します。幼虫はエサを食べると特殊な液体を分泌しますが、これを成虫が食べるのです。
ミツバチはスズメバチにやられるだけではなく、反撃をします。1匹のスズメバチであれば、多くのミツバチで取り囲んで蒸し殺す「熱殺蜂球」で撃退します。囲まれた内部は最高48℃程にまで上がるため、スズメバチはしばらくすると死んでしまうのです。
ミツバチの寿命
ミツバチの寿命はどれくらいなのでしょうか?また針を使うと死んでしまうというのは本当なのでしょうか?
ミツバチの役割によって寿命が違う
ミツバチは役割によって寿命が違います。女王蜂は1~8年生きられますが、働き蜂は約1ヵ月(越冬時は半年程度)、オス蜂は60日程度しか生きられません。
沢山動く働き蜂は、日齢に応じて短期間で仕事内容が変わるのが特徴です。
羽化~3日目 | 巣の掃除 |
4~15日目 | 子育て |
15~20日目 | 巣作り、門番 |
20日目~ | 蜜や花粉の採集 |
越冬期間は活動量が減るので、働き蜂の寿命も半年程度に伸びます。通常期にどれほど命を削って働いているかが伺えますね。
またオス蜂は、交尾をするとその場で死んでしまいますが、交尾できなかった場合も冬が来る前に巣を追い出されてしまうという悲しい運命です。
針を使うのは一生に一度だけ
ミツバチはおとなしい性格なのでよほど刺激を与えたり、巣を壊そうとしたりしない限りは、自ら刺すことはありません。
ミツバチは一度敵に針を刺すと死んでしまいます。針にはかえしがついており、一度刺すと内蔵ごとお腹がちぎれてしまうからです。
針を一度刺すとミツバチは絶命してしまいますが、残った針はピクピクと動き毒を注入し続けます。ミツバチは死んだ後も敵を攻撃するのが特徴です。
ミツバチの視覚は特殊で学習能力は高い
ミツバチの視覚は特殊で、赤色を見ることができません。その代わり、人間には見えない紫外線を頼りに蜜のある花を探しているのです。
またミツバチは学習能力が高いのも特徴です。巣箱や花の位置、開花時刻などを細かく覚え、エサ集めのヒントにしているのです。
ミツバチの巣
ミツバチの巣はどのような形や材料について解説します。また巣の引っ越しである分蜂についても紹介します。
巣の形と材料
ミツバチの巣は板が垂れさがったような形をしています。中には六角形の巣穴がすき間なく詰められていて、室温は30〜35度に保たれています。
室温が上がったときは水を運び入れたり、羽根の力で熱気を外に出したりします。逆に室温が下がったときは体を寄せ合って蜂球を作り、暖を取ります。
ミツバチの巣の材料は働き蜂が分泌する蜜ろうです。蜜ろうを分泌するためには蜜を沢山摂取する必要があるので、大変なのです。
ミツバチの蜂の巣は屋根裏や床下など、閉鎖空間にあることが多いです。ミツバチの巣や他の蜂の巣について詳しく知りたい方は、関連記事をご覧ください。
分蜂で巣別れする
ミツバチは分蜂を行います。新しい女王蜂が生まれると、元の女王蜂が働き蜂の半数を連れて巣を引っ越しするのが分蜂です。
分蜂の開始時期は桜の開花時期と一致し、その後1ヵ月程度は分蜂が盛んに行われます。分蜂は暖かい日の昼ごろによく見られます。
この次期の蜂は性格が穏やかなうえ、分蜂が終了すればすぐに別の場所に行ってくれるので、分蜂中の蜂を見かけたら放っておきましょう。
セイヨウミツバチとニホンミツバチ
ミツバチはセイヨウミツバチとニホンミツバチの2種類に分けることができます。
セイヨウミツバチはニホンミツバチに比べて大きいです。またセイヨウミツバチは外来種で単花蜜を作るのに対し、ニホンミツバチは在来種で百花蜜を作ります。単花蜜とは1種類の花を蜜源にする蜂蜜のことで、百花蜜はさまざまな花を蜜源にする蜂蜜のことです。
色に大きな違いはなく、素人が見分けるのが難しいです。確実に見分けたい場合は羽根の模様で判断することができます。後翅の翅脈がY状ならセイヨウミツバチ、H状ならニホンミツバチです。
それぞれの違いやニホンミツバチの飼育方法について詳しく知りたい方は、関連記事をご覧ください。
関連記事:ニホンミツバチの生態とは?セイヨウミツバチとの違いや養蜂方法を解説|ミツモア |
ミツバチの恩恵と被害
ミツバチは人間に恩恵も被害ももたらします。もしミツバチの巣を駆除したい場合はプロに依頼すると安心ですよ。
ミツバチの恩恵|生態系におけるミツバチの役割
ミツバチは自然界に大きな恩恵を与え、生態系にとって必要不可欠な存在です。
その恩恵の1つが受粉の媒介です。ミツバチは花の蜜を求めて飛び回るので野菜や植物の受粉を媒介しているのです。世界のほとんどの農作物がミツバチの媒介によって受粉しているといわれています。
また蜂蜜や蜜ろうもミツバチのお陰で手に入れることができています。蜜ろうはリップクリームや石けんに使われているもので、人間にとって必要不可欠な道具です。
ミツバチの被害
さまざまな恩恵をもたらすミツバチですが、ミツバチの巣を放置するのは危険です。ミツバチのフンや蜜、死骸による汚染被害が起きやすくなるからです。
またミツバチの天敵であるオオスズメバチなどの害虫が集まってくる可能性も高まります。オオスズメバチは蜂の中でも特に攻撃性と毒性が強い種類。ミツバチを襲いにやって来たスズメバチに刺されないよう、ミツバチの巣を見つけたら駆除しましょう。
ミツバチの駆除はプロに依頼しよう
ミツバチの巣を駆除する時はプロに依頼するのが安心です。作り始めの小さな巣なら自分で駆除できるかもしれませんが、適切に駆除できていないと再発する可能性があります。また油断して刺されてしまった場合、アナフィラキシーショックを起こして呼吸困難に陥る危険性もあります。
ミツバチの巣の駆除を業者に依頼した時の費用相場は1万~3万5千円程度。ミツバチの巣は蜂の数が多かったり蜜を含んだ巣が重かったりするのでお高めですが、自力でやるより楽で安心ですよ。
どうしても自力で駆除したい場合は、関連記事で解説しているので参考にしてみてください。
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