キイロスズメバチは毒性も攻撃性も高い危険な蜂です。遭遇したり巣を見かけたりした場合はどうすれば良いのでしょうか?
キイロスズメバチの生態を紹介し、被害を回避するポイントを解説します。
キイロスズメバチの特徴は?
キイロスズメバチは小型ながらも攻撃性と毒性が高い蜂です。1匹が何度も人を刺すことができるうえに、環境適応能力が高いので、都会での被害が多いです。
キイロスズメバチに刺されるとどうなる?
キイロスズメバチに刺された箇所は赤く腫れ、激痛が走ります。またアナフィラキシーショックを起こすと死に至ることもあります。キイロスズメバチに刺されたら、すぐに病院へ行きましょう。
キイロスズメバチの生態
和名 | キイロスズメバチ |
学名 | Vespa simillima xanthoptera Cameron, 1903 |
科名 / 属名 | スズメバチ科スズメバチ属 |
危険性 | 毒性も攻撃性も高い |
大きさ | 働き蜂:18~24mm 女王蜂:25~28mm スズメバチの中では小型 |
色 | 頭部:黄色 胸部:黒と黄色 腹部:こげ茶色と黄色のしま模様 |
活動時期 | 3月末~11月 |
生息地域・場所 | 本州・四国・九州 雨風の影響が少ない場所 |
食べ物 | 昆虫やクモの肉団子、樹液、ミツバチ |
亜種 | ケブカスズメバチ |
キイロスズメバチの特徴
キイロスズメバチはスズメバチの中では小型の蜂で、体の表面が黄色い細かい毛で覆われているのが特徴です。
飛んでいる姿は赤みがかった黄色に見えるので、地域によってはアカバチやオウダイバチとも呼ばれます。
亜種のケブカスズメバチは北海道に生息する蜂です。キイロスズメバチと見た目や生態がほとんど変わらないのですが、生物学上は別の種類です。
ケブカバチの方が体の黄色いシマ模様が減り、巣の大きさも比較的小さくなります。
キイロスズメバチの活動期間は長い
キイロスズメバチは他のスズメバチに比べて活動期間が長く、3月末~11月頃まで活動します。具体的なサイクルは下記の通りです。
キイロスズメバチの活動サイクル | |
3月末~5月 | 女王が単独で巣作りをする |
6月 | 働き蜂が羽化し、危険度が増す |
7~9月 | 活動の最盛期を迎え、より凶暴に。巣の引っ越しをする。 |
9~11月 | 新女王・雄蜂が羽化する |
11~12月 | 越冬の準備を始める |
キイロスズメバチの働き蜂は12月までに死亡し、新女王蜂のみが越冬します。倒木や土の中で冬眠するために、新女王は秋ごろから栄養を貯蓄するのです。
オオスズメバチとの違い
オオスズメバチとキイロスズメバチの相違は表の通りです。
オオスズメバチ | キイロスズメバチ | |
見た目 | ||
大きさ | 働き蜂:27~40mm 女王蜂:45mm |
働き蜂:18~24mm 女王蜂:25~28mm |
営巣場所 | 土の中 | 屋根裏、床下、軒下 |
毒性・攻撃性 | とても高い | 高い |
追跡距離 | 30m | 30m |
毒性・攻撃性はどちらも高いですが、オオスズメバチの方が大きいのでその分毒の量が多くなり、危険度が増します。
1度刺された時のダメージはオオスズメバチの方が大きいですが、キイロスズメバチにも油断できません。
キイロスズメバチはオオスズメバチ同様、毒性・攻撃性が高いうえに、人が多い都会で繁殖していて被害件数が最も多いスズメバチだからです。
以下の記事では、スズメバチの種類の見分け方やそれぞれの危険度について詳しく解説しています。
キイロスズメバチの危険度は高い
スズメバチの中でもキイロスズメバチは凶暴です。むやみに巣へ近付いたり、挑発的な行為をしたりするのは絶対にやめましょう。キイロスズメバチの危険性を解説します。
毒性も攻撃性も高い
キイロスズメバチは、スズメバチの中でも凶暴で警戒心が強いです。最も危険なオオスズメバチの次に攻撃性が強くとても神経質なうえに、毒性も高いので注意しましょう。
特にオオスズメバチがキイロスズメバチを襲う季節である8月頃はより神経質なので、巣に近付くだけで攻撃をしかけてきます。
追跡してくる距離はおよそ30mほどといわれており、しつこく追いかけてくるでしょう。もし遭遇したら、すぐに遠い場所へ逃げましょう。
またキイロスズメバチは毒液を飛ばして仲間を呼ぶことができます。複数の蜂に刺されないよう、気を付けてください。
1匹が何度も刺す
キイロスズメバチは1匹が何度も刺してくるので注意が必要です。針が内臓と繋がっていて1度刺すと死んでしまうミツバチとは違います。
キイロスズメバチは自分の体を傷付けることなく針を抜くことができるので、何度でも刺すことができるのです。
都会では特に被害が多い
キイロスズメバチは都会での被害が特に多いです。都会には天敵であるオオスズメバチが少ないので、繁殖しやすいのです。
またキイロスズメバチのエサや営巣場所は多岐に渡るため、都会でも適応できます。
キイロスズメバチに刺されたらどうなる?
キイロスズメバチの毒はオオスズメバチの次に毒性が高いといわれています。実際に刺された場合、どのような症状を起こすのか解説します。
刺されたら腫れて痛くなる
キイロスズメバチに刺されて最も気を付けなければならないのは、アナフィラキシー症状です。動悸、めまいなどの全身症状はアナフィラキシー症状の可能性があるので、すぐに病院に行きましょう。
アレルギー反応が出なかったとしても、キイロスズメバチに刺された箇所は赤く腫れて激痛が走ります。痛みが取れても腫れやかゆみが残る場合もありますが、局所症状だと数日で治ります。感染症リスクはあまり高くありません。
アナフィラキシーショックで死亡する可能性も
ハチに刺されて一番恐ろしい症状がアナフィラキシーショックです。体質や注入された毒の量によって左右されますが、この症状にかかると全身に重篤なアレルギーを引き起こし、最悪の場合死亡します。
具体的には呼吸困難になったり意識がもうろうとしたりするなど、呼吸器系や神経系の症状が見られたり、また全身性のじんましんやけいれんが起きることもあります。
特徴は発症するまでの時間の短さです。刺されてから1時間以内にこれらの症状が起きた場合は、アナフィラキシーショックの可能性が高いといえるでしょう。すぐに病院へ行ってください。
万が一刺されてしまった場合の応急処置
万が一キイロスズメバチに刺されたらどうすればよいのでしょうか。まずやらなければならないことや、ショック症状が現れた場合の行動を解説します。
刺された場所からすぐに離れて応急処置を
蜂に刺された場合はすぐに病院に行きましょう。病院に行く前にできる応急処置としては以下のようなものがあります。
蜂に刺された時の応急処置 |
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刺されたらすぐにその場から離れてください。留まっていると他の蜂が集まってきて、さらに刺されてしまいます。逃げる際は手でハチを追い払う行動は厳禁です。かえって刺激を与えてしまうので控えるようにしてください。
患部を水で流すことで、体内に入る毒液の効果を減らすことができます。手で押しながら毒を絞り出すと効果的ですが、口で毒液を吸い出してはいけません。口内に傷があるとそこから毒を吸収してしまうからです。
毒を絞り取るスポイトのような器具も市販されているため、野外で仕事を多くする職業の場合はそのような道具を身近に持つか、すぐに取り出せる場所に保管しておくとよいでしょう。主にスポーツ用品店などで購入できます。
患部を冷やせば血管が収縮し、毒液の循環を防げます。アンモニアは塗っても効果がないので注意してください。
ショック症状が現れたら病院へ
キイロスズメバチに刺された後はショック症状が出る可能性があります。刺されて1時間程度は1人で行動しないようにしてください。
刺されたところ以外にじんましんや腫れなどの症状が見られた場合は、すぐに病院に行くことをおすすめします。
冷や汗をかきだしたりめまいや口が渇いたりした場合は、軽視せずすぐに医者に診てもらいましょう。
キイロスズメバチの巣に注意!特徴や営巣場所
刺されるリスクが特に高いのが、巣に近づいてしまったとき。ここではキイロスズメバチの巣の外見的特徴や、巣が作られやすい場所を説明します。
巣の特徴
キイロスズメバチの巣の特徴 |
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大きさ | 30~80cm |
見た目 | 白と薄茶色を混ぜたマーブル模様の球体 |
房数 | 6,000~8,000 |
蜂の数 | 数百~数千匹 |
キイロスズメバチの巣には小さな穴が1つ空いていて、それを唯一の出入り口としています。外皮の表面には常に複数の成虫がうろつき、外敵へ常に神経をとがらせています。
12月上旬頃になると新しい女王蜂以外の蜂は全て死にます。巣は空になりますが翌年以降にその巣を再び使うことはありません。
キイロスズメバチは人の生活圏に巣を作る
キイロスズメバチは山間部だけでなく都市部や街中にも巣を作ります。よく作られる場所は民家の屋根裏や床下、木の穴などの閉鎖的な空間です。
都市部に巣を作る理由としては、人が山林を切り拓き住宅地を開発したためとされています。またゴミの空き缶に残ったジュース類等の、餌が豊富であることなどが挙げられます。
また7月ごろに巣の引っ越しをした後は、軒下や木の枝など、比較的開放的な空間に巣を作るようになります。
7月ごろには巣を引っ越しする
キイロスズメバチは、大量の働き蜂が羽化し終わった7月ごろに巣の引っ越しをします。最初から働き蜂がいる状態なので作るスピードは非常に速く、いつの間にか大きな巣を作り上げられていたというケースも珍しくありません。
前述の通り、営巣場所は軒下や木の枝など、開放的な空間に変わります。引っ越しの距離はさまざまで、数mのこともあれば100mを超えることもあります。
刺されないためにはどうすればいい?
キイロスズメバチに刺されないためには、ハチを刺激しないことが大切です。できる限りハチに襲われない心掛けや、知らないうちに巣へ近付いてしまった場合の適切な行動を紹介します。
黒いものを身に着けない
黒い服装はハチに刺されやすいため、庭で作業する際などはなるべく白い服装を着用します。特に黒髪の頭部は襲われやすいので白い帽子を被るとよいでしょう。
黒は天敵である熊を連想させるという説や、ハチを食用として捕らえる人間を天敵とみなすことから黒髪に反応するといった説があります。いずれにせよ、ハチは黒に刺激される習性があるようです。
逆に白にはあまり反応がよくないといわれています。白の服装にしたり白いフードを被ったりすることで、ハチに襲われない効果が期待できます。
においに注意する
スズメバチはにおいに敏感です。そのため整髪料や香水などを付けているとハチを刺激してしまいます。
山間部に出かけたり庭先で仕事をしたりする可能性がある場合は、においが出るものは身にまとわないようにした方が無難です。
また汗のにおいにも反応する場合があります。特に夏場など汗をかきやすい季節は、タオルでこまめに汗を拭きましょう。
汗を抑えるパウダーシートやスプレーを使う際は、なるべく無香料を選択してください。香料付きの商品を使用すると、汗を拭き取っても商品の香りに反応するかもしれません。
急に逃げたり走ったりしない
ハチは急に動くものを襲う習性があります。もしも遭遇してしまった場合は落ち着いて静かにその場を離れましょう。
気付かずに巣へ近付いてしまいハチから威嚇行動を取られた際も、慌てずに行動します。威嚇行動とは大きな羽音で周囲をしつこく飛び回ったり、ハチが顎をカチカチ鳴らしたりする行動です。
まずは身をかがめてゆっくりと後退しましょう。ハチの威嚇範囲は10mほどといわれているため、そのままの姿勢で10mくらい離れてください。
後退する際に頭はなるべく上下に振らないようにします。ハチは上下に動くものにも敏感に反応するからです。
キイロスズメバチが家の中に入ってきたら?
キイロスズメバチが家の中に入ってきた場合は、部屋の中を暗くして窓を開けてください。蜂は明るい場所に移動する習性があるからです。
殺虫スプレーを使用する方法もありますが、なるべく避けましょう。キイロスズメバチは攻撃的で、殺虫スプレーを噴射することでより凶暴になる危険性があるからです。
家のそばにハチの巣を見つけたら?
家の近くにキイロスズメバチの巣を見かけたら、業者に依頼するのがベストです。しかしまだ巣が小さければ自力で対処できる場合があります。
初期段階なら自分で駆除できる可能性も
巣を作り始めた初期段階でサイズも小さければ、自力で駆除できる可能性もあります。夜間から早朝の間に駆除しましょう。
日が落ちたら、離れた場所から殺虫剤を巣にかけます。襲ってくるハチがいないことを確認し、ハチの巣を取り除きましょう。ごみ袋に入れてきつく縛ったら完了です。
ただし初期段階を超えた巣のサイズや働き蜂が多く見られる場合は、自力での作業は危険ですのでやめましょう。
業者に依頼がベスト
自力で駆除すると巣やハチの駆除漏れがあったり、作業時間が多くかかってしまったりする場合があります。少しでも不安を感じるのであれば、プロに依頼した方が無難です。
プロにキイロスズメバチの巣の駆除を依頼した時の費用相場は、9,000~50,000円です。
業者であれば、ハチの生態を熟知しているので適切に対処できます。防護服や専用の殺虫剤など準備物も、素人に比べて質が違います。業者に依頼する場合は、複数の業者から見積りを取るなどすると安心です。
スズメバチ駆除のプロ探しはミツモアがおすすめ
キイロスズメバチは毒性の攻撃性も高い危険な蜂です。自力で駆除しようとせず、専門業者に駆除を依頼しましょう。
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