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新型コロナウイルス関連で個人事業主が利用できる給付金、融資・貸付、助成金まとめ

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最終更新日: 2024年02月06日

世界的に非常に深刻な問題になっている、新型コロナウイルスの感染拡大。その影響を受け、休業したり収入が減少したりした個人事業主が利用できる給付金、融資・貸付、助成金の概要を以下に紹介します。

この緊急事態に対応するため、政府や地方自治体は新たな支援策の実施するとともに、既存の制度の申請要件の緩和や助成金額の引き上げ、対象になる事業者の拡大を進めています。

ここで取り上げたそれぞれの制度の対象や申請要件などを確認し、ご自身の状況に即した公的支援制度選びに役立ててください。

個人事業主が利用できる給付金や貸付制度

新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、休業や収入減少といった問題に直面している個人事業主の支援を目的とした給付金や貸付制度の概要を見ていきましょう。

持続化給付金

持続化給付金
持続化給付金 出典:経済産業省

持続化給付金は、売上が減少した中小企業や個人事業主が利用できる返済不要の給付金です。

給付額

昨年1年間の売上から減少した額を上限に100 万円(法人は200万円以内)が給付されます。
売上減少分は、

前年の総売上(事業収入)-(前年の同月比で50%以上売上が減少した月の売上げ×12ヶ月)

で算出しますが、創業が昨年の事業者などへの対応も検討されています。

支給対象

事業収入が前年の同月比で50%以上減少した事業者が支給対象です。2020年1月から2020年12月までの期間で、2019年の同月比で売上が50%以上減少した月を事業者が選択できます。

申請に必要な書類

持続化給付金の申請に必要な書類
持続化給付金の申請に必要な書類 出典:経済産業省
  1. 2019年(法人の場合は前事業年度)の確定申告書類
  2. 売上減少となった月の売上台帳の写し
  3. 通帳写し
  4. 個人事業主の場合は身分証明書写し

※申請に必要な書類は今後、変更や追加される可能性があります。

申請方法

持続化給付金の申請方法
持続化給付金の申請方法 出典:経済産業省

申請は令和2年度補正予算成立の翌日に開設予定の持続化給付金のホームページから行います。

手順としてはまずホームページの申請ボタンを押して、メールアドレスを入力し仮登録を行います。その後仮登録したメールアドレスに届いたメールから本登録を行います。本登録ではIDとパスワードを入力するとマイページが作成されるので、法人や個人の連絡先などの基本情報や売上額、口座情報を入力。そして必要書類を添付し、申請は完了です。申請内容は持続化給付金事務局で確認され、不備がなければ通常2週間程度で給付通知書が発送され登録した口座に給付金が振り込まれる予定です。

生活福祉資金貸付制度

休業・失業などによって生活費に困った人を対象とした、無利子・保証人不要の生活資金貸付制度です。償還時に所得の減少が続いている住民税非課税世帯の場合、償還が免除されます。新型コロナウイルスの影響による休業などで収入が減少し、生計維持のための緊急かつ一時的な貸付が必要な世帯が対象で、収入の減少があれば休業状態ではなくても対象になります。

この制度の実施主体は市区町村の社会福祉協議会で、2020年3月25日から受付が開始されています。

生活福祉資金貸付制度には下記の2種類があります。

緊急小口資金

主に休業者が対象で、学校などの休業や個人事業主の特例に該当する場合は最大20万円、その他の場合は最大10万円の貸付資金を利用できます。

総合支援資金

失業者が対象で、2人以上の世帯は最大で月20万円、単身の場合は最大月15万円の貸付となります。貸付期間は原則3カ月で、最長12カ月までの延長が可能です。

特別定額給付金(仮称)

2020年4月20日の「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」の閣議決定によって実施が決まった給付金制度。簡素な仕組みで、迅速かつ的確に家計を支援することが制度の目的です。受付・給付開始日は市区町村で決定されます。申請期限は、郵送申請方式の受付開始日から3か月以内です。

給付対象

基準日(2020年4月27日)に住民基本台帳に記録されている人が対象で、受給権者は原則として対象者の属する世帯の世帯主です。

※配偶者からの暴力を理由に避難している人への支給は、基本的に基準日に住民票のある市区町村が実施します。

給付額

給付対象者1人につき10万円。

申請と給付の方法

給付金の申請は感染拡大防止のため、郵送申請方式とマイナンバーカード所持者が利用できるオンライン申請方式の2つ。給付は原則として申請者の本人名義の銀行口座への振込みになります。

※やむを得ない事情がある場合に限り、窓口での申請・給付が可能です。

住居確保給付金

住居確保給付金は、世帯の生計を支えていた人が2年以内に離職・廃業したことで住居を失う、または失う恐れがある場合に利用できる給付金制度です。新型コロナウイルスの感染拡大などの状況を受け、この住居確保給付金の支援対象範囲が拡大されました。

離職・廃業をしていなくても、やむを得ない休業などによって収入が減少して離職などと同程度の状況にある場合も、住居確保給付金の対象となります。

給付金額は、実施主体となる自治体によって異なります。東京23区の場合は、単身世帯・上限毎月5万3,700円、2人世帯・上限毎月6万4,000円、3人世帯・上限毎月6万9,800円と規定されています。支給期間は原則3か月間、最長で9か月間です。申請に必要な書類や資料も自治体ごとに異なります。2020年4月20日から受付を開始しています。

個人事業主も利用できる融資・貸付

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で業績が悪化している個人事業主が利用できる公的な融資・貸付制度の申請要件や金額、申請方法について紹介します。

新型コロナウイルス感染症特別貸付と特別利子補給制度

新型コロナウイルス感染症特別貸付は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて一時的に業況が悪化している中小企業や個人事業主などの小規模事業者を対象とした貸付制度です。下記の特別利子補給制度を利用することで、3,000万円以下の融資分の利子を実質的に無利子にすることができます。

新型コロナウイルス感染症特別貸付要件は次のいずれかになります。

  1. 最近1ヵ月の売上高が前年あるいは前々年の同期と比較して5%以上減少している。
  2. 事業開始から3ヵ月以上1年1ヵ月未満の場合は、最近1ヵ月の売上高が次のいずれかと比較して5%以上減少している。
    〇 過去3ヵ月の平均売上高
    〇 2019年12月の売上高
    〇 2019年10月から12月の平均売上高

上限金額は6,000万円(金利引き下げの適用は3,000万円以内)で、日本政策金融公庫などが実施主体です。

申請には借入申込書、新型コロナウイルス感染症の影響による売上減少の申告書、最近2期分の確定申告書のコピーが必要です。初めて利用する場合は、事業の概要、創業計画書を最寄りの支店に郵送した上で、原則的に面談を行います。

特別利子補給制度との併用

新型コロナウイルス感染症特別貸付を受ける個人事業主は、要件無しで特別利子補給制度を併用できます。新型コロナウイルス感染症特別貸付のうち3,000万円以下の部分にかかる支払利息を当初3年間、政府の指定する実施機関(現時点では未定)が補給し、実質無利子で利用できます。

マル経融資(小規模事業者経営改善資金)

通常の融資枠の2,000万円に別枠の1,000万円を加えた、小規模事業者向けの融資制度です。新型コロナウイルス感染症の影響によって、最近1ヵ月の売上高が前年または前々年の同期と比較して5%以上減少している事業者が貸付対象となります。

対象者の中で規定の条件を満たした場合は、利子を補給することで当初3年間、実質無利子で融資を受けることができます。実施主体は日本政策金融公庫などで、利用申請には商工会議所の推薦が必要です。

商工中金による危機対応融資

商工組合中央金庫(商工中金)による危機対応融資は、新型コロナウイルスの影響によって資金繰りに支障を来している中小企業や個人事業主などの小規模事業者を対象とする融資制度です。

当初3年は基準利率から0.9%低減した利率が適用されます。一定の要件に該当する場合は特別利子補給制度を利用でき、要件を満たした事業者は実質的に無利子で融資を受けることが可能です。2020年3月19日から受付が開始されています。

商工中金は、株主である中小企業の組合とその組合員を融資の対象としています。未加入の場合は、融資申込の際に最寄りの商工中金への相談が必要となります。

子どもがいる個人事業主向けの支援金など

新型コロナウイルスの感染拡大防止のために小学校などが臨時休業となり、子育て世代の個人事業主の中には予定していた仕事ができなくなるケースが数多く生じています。そうした子どもを持つ事業者を支援する制度の概要を紹介します。

新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応支援金

新型コロナウイルスの感染拡大防止策として小学校などが臨時休業し、子どもの世話を行うために契約した仕事ができなくなった子育て世代の個人事業主を支援する制度です。

対象者

支援金の対象となるのは下記の項目に該当する事業者です。

  1. 新型コロナウイルス感染症に関する対応として臨時休業等をした小学校などに通う子ども、新型コロナウイルスに感染または感染したおそれのある小学校などに通う子どもの世話を行う保護者であること。
  2. 小学校などの臨時休業の前に、業務委託契約などを締結していること。
  3. 小学校などの臨時休業期間に、子どもの世話を行うために業務委託契約などで予定されていた日時に業務を行うことができなくなったこと。

受給額

対象期間中、就業できなかった日につき1日当たり4,100円(定額)が支給されます。

※春休みなどで開校する予定のなかった日を除きます。

対象期間

2020年2月27日~2020年6月30日

申請期間

2020年9月30日まで

ファミリー・サポート・センターの利用料減免

新型コロナウイルスの感染拡大防止のための小学校などの臨時休校に伴い、保護者の負担を軽減するため地方自治体が実施している子育て援助活動支援事業(ファミリー・サポート・センター事業)の一部利用料の減免が実施されています。

従業員を雇用している個人事業主向けの助成金

従業員を雇用して事業を行っている個人事業主の場合は、雇用調整助成金などの下記の助成金の利用が可能です。

雇用調整助成金

雇用調整助成金の特例措置
雇用調整助成金の特例措置 出典:厚生労働省

雇用調整助成金は、経済上の理由によって事業活動を縮小することになった事業主が、雇用維持のための休業手当に使う費用を助成する制度です。

新型コロナウィルス感染症の影響を受ける事業主を支援するため、2020年4月1日~6月30日の緊急対応期間中は日本全国、全ての業種の事業主を対象として、雇用調整助成金の特例措置が実施されます。

雇用調整助成金に関しては以下の記事でも解説しています。

【新型コロナ関連】雇用調整助成金の対象者や助成率、申請方法について解説|ミツモア

対象事業主

地域、業種を問わず、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける全ての事業主を対象とします。

生産指標要件

通常の生産指標の確認は提出があった月の前月と対前年同月比で10%減少が必要ですが、対象期間の初日が緊急対応期間である2020年4月1日~6月30日は5%減少に緩和されます。
生産指標の確認期間も3ヵ月から1ヵ月に短縮されます。

対象労働者

雇用保険被保険者ではない労働者も休業の対象とし、事業主と雇用関係にある週20時間未満の労働者(パート、アルバイト(学生含む)など)も対象になります。

助成率

中小企業や小規模事業者が休業・教育訓練を実施した場合の助成率を2/3から4/5に引き上げられます。所定の要件を満たした中小企業・小規模事業者が、解雇などをしなかった場合の助成率は4/5から9/10に引き上げられます。

支給額は、休業を実施した場合の休業手当、あるいは教育訓練を実施した場合の賃金相当額に応じ、上記の助成率で算出した額となります。具体的な助成額は、休業を実施した場合に支払った休業手当相当額×4/5、解雇などを行わない場合は休業手当相当額×9/10で算出します。支給上限額は、1人1日当たりの雇用保険基本手当日額の最高額(2020年3月1日時点で8,330円)に基づいて規定されます。

働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)

働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)は、時間外労働の制限や労働時間などの設定の改善、仕事と生活の調和推進のために、在宅やサテライトオフィスで働くテレワークに取り組む中小企業事業主に対して必要な費用の一部を助成する制度です。

この助成金に、新型コロナウイルス感染症対策を目的とした取り組みを行う事業主を支援する特例コースが時限的に設けられています。

対象事業主

労働者災害補償保険の適用中小企業事業主が対象となります。

<中小企業事業主の範囲>

中小企業事業主の範囲
中小企業事業主の範囲 出典:厚生労働省

助成対象の取り組み

テレワーク用通信機器の導入・運用、就業規則・労使協定などの作成・変更、労務管理担当者に対する研修、労働者に対する研修・周知・啓発、外部専門家(社会保険労務士など)によるコンサルティングなどの取り組みが助成対象です。

主な要件

事業実施期間中に助成対象の取り組みを行うこと、テレワークを実施した労働者が1人以上いることが主な要件になります。

助成の対象となる事業の実施期間

2020年2月17日~5月31日

受給額

補助率は1/2で、1事業者当たりの上限額は100万円です。

新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金

新型コロナの感染拡大防止策として小学校などが臨時休業した場合、休業した学校に通う子どもの保護者である労働者の所得減少に対応するために設けられた助成金です。正規雇用・非正規雇用を問わず、有給休暇(※年次有給休暇を除く)を取得させた事業者に支給されます。

対象者

2020年2月27日から6月30日までの期間中、臨時休業した小学校などに通う子どもの保護者である労働者に、年次有給休暇とは別に有給の休暇を取得させた事業者が助成対象です。

助成内容

助成額は対象労働者1人について

日額換算賃金額×有給休暇日数

で算出します。

※8,330円が上限額です。

申請期間

2020年9月30日までが申請受付期間となります。

【まとめ】コロナ関連の給付金や助成金の情報は最新のものを確認

世界各国で人々の生活や医療、経済に甚大な影響を与えている新型コロナウイルスは、未だ収束に向かう道筋が見えない状況です。今回の記事を参考にしていただき、厳しい状況を乗り切る適切な助成金選びに役立てば幸いです。

各給付金や融資制度、助成金は支給要件や支給額、申請方法が変更される場合がありますので、常に最新情報を確認するようにしましょう。