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【2024年】新規事業に使える助成金や補助金一覧!メリットや注意点も解説

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最終更新日: 2024年03月11日

資金調達にはさまざまな方法があります。その1つが助成金や補助金の利用です。新規事業の立ち上げ時に活用できる、助成金や補助金を紹介します。展開予定の事業に利用できる助成金・補助金を見つけて、新規事業を強力にバックアップしましょう。

新規事業の立ち上げに利用できる補助金・助成金10選

助成金や補助金は返済の必要がないお金です。上手に活用すれば資金計画に余裕が生まれ、新たなチャレンジにも前向きになれるでしょう。新規事業の立ち上げ時に活用できる、助成金と補助金を紹介します。

IT導入補助金

IT導入補助金は業務効率化やDXを目的とした、ITツールの導入をサポートする補助金です。2024年度版では全5枠の補助金が用意されています。

通常枠 展開する事業の生産性向上を目的としたITツールの導入を支援する枠
インボイス枠 インボイス対応類型 インボイス制度への対応に絞ったサポートを行う
電子取引類型 発注者が費用負担して導入したインボイス対応の受発注ソフトについて、受注者が無償で利用できるケースで補助金を交付する
複数社連携IT導入枠 インボイス制度への対策やキャッシュレス決済の導入に関して、10社以上が連携した場合に支援が受けられる枠
セキュリティ対策推進枠 セキュリティサービスの利用料が補助される

ものづくり補助金

ものづくり補助金は中小企業や小規模事業者などが行う、設備投資を支援する補助金です。正式名称を『ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金』といい、4つの支援枠が設定されています。

省力化(オーダーメイド)枠 人手不足の解消を目的に導入される、設備やシステムの設置を支援する枠
製品・サービス高付加価値化枠 通常類型 先進的な商品の開発に必要な設備やシステムを支援する枠
成長分野進出類型(DX・GX) DXやGXを強化する画期的な商品の開発に欠かせない設備やシステムを支援する枠
グローバル枠 海外事業を通して行われる、生産性向上の取り組みに必要な設備やシステムを支援する枠

なお2024年3月1日まで申請を受け付けている17次締切では、省力化(オーダーメイド)枠のみが募集されます。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は小規模事業者による事業継続に向けた取り組みを、支援する補助金です。小規模事業者と一定要件を満たした特定非営利活動法人を、補助対象としています。

小規模事業者持続化補助金が目指すところは、小規模事業者や特定非営利活動法人が展開する事業における、生産性の向上と持続的な発展です。具体的には経営計画に基づいて行われる販路拡大や業務効率化を支援するため、これらの取り組みに費やす経費の一部を補助します。

補助上限額は最大200万円です。インボイス特例を満たせば、補助金上限額に50万円が上乗せされます。

事業再構築補助金

事業再構築補助金とはポストコロナ時代におけるさまざまな変化に対応するために求められる、中小企業の事業再構築を支援する補助金です。新分野展開・事業転換・業種転換などを通して、日本経済全体の構造転換を促すのが目的です。

事業再構築補助金には6つの枠が用意されています。たとえば『最低賃金枠』は、最低賃金の引き上げにより給料の原資確保が難しくなった事業者を支援する枠です。補助上限は最大1,500万円で、従業員の規模によって変動します。補助率は中小企業が3/4、中堅企業が2/3です。

そのほかにも『産業構造転換枠』『成長枠』『グリーン成長枠(エントリー・スタンダード)』などが設定されています。

事業承継・引継ぎ補助金

事業承継・引継ぎ補助金は事業承継に伴う経営革新にかかる経費の一部と、経営資源の引き継ぎにかかる経費の一部をサポートする補助金です。国内経済の活性化を目的として掲げています。

事業承継・引継ぎ補助金は3つの事業から成り立っています。

経営革新枠 経営や事業を引き継いだ中小企業が経営革新に取り組む際の費用を、一部支援する事業
専門家活用枠 経営資源の引き継ぎの際に専門家の力を借りた場合、かかった費用の一部を支援する枠
廃業・再チャレンジ枠 新たな挑戦を企図する中小企業者の株主や個人事業主が、既存の事業を廃業する際にかかる費用の一部を補助

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は非正規雇用職員の社内における、キャリアアップを促進する取り組みを行った企業に交付される助成金です。全部で7つのコースが用意されています。

たとえば『正社員化コース』は、有期雇用の社員を正社員に転換した場合に助成金が交付されるコースです。正社員化後6カ月間の賃金が、正社員化前6カ月の賃金に比べて3%以上上がっていることが要件とされます。交付される助成金の額は、中小企業の場合1人当たり80万円です。

そのほかにも『障害者正社員化コース』『賃金規定等改定コース』『社会保険適用時処遇改善コース』などが用意されています。

トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)

トライアル雇用助成金はさまざまな理由により就職に困難を抱える求職者を、一定期間(原則3カ月間)トライアル雇用した企業に交付される助成金です

就職に困難を抱える求職者とは、下記のような人です。

  • 2年以内に2回以上離職や転職を繰り返している人
  • 1年以上離職状態にある人
  • 55歳未満のニートやフリーター
  • 母子家庭の母

就職に関する求職者と求人者の相互理解を促し、新たな雇用を生み出すことを目指す助成金で、対象者1人につき月額最大4万円が支給されます。なお対象者が母子家庭の母、または父子家庭の父の場合の支給額は、1人につき月額最大5万円です。

雇用調整助成金

雇用調整助成金はやむを得ず事業活動の縮小を決断した事業主が行う、雇用の維持を目的とした活動に対して拠出した費用をサポートする助成金です

助成金を受けるには、売上高や生産量などの事業活動を示す指標について、一定以上の減少が認められることや、雇用量が一定程度以上に増加していないことなどの要件を、クリアする必要があります。

支給額は休業を実施した場合は休業手当、教育訓練を実施した場合は賃金相当額、出向を行った場合は出向元事業主の負担額に2/3(中小企業以外は1/2)をかけた金額です。教育訓練の場合は1人1日1,200円が上乗せされます。なお支給額の上限は、1人1日8,490円です。

人材開発支援助成金

人材開発支援助成金は職務に関連した知識や技能を従業員に身に付けさせるため、計画的に職業訓練を行った際に交付される助成金です。訓練に費やした経費や訓練期間中の賃金の一部が助成されます。この助成金には7つのコースが設けられています。

たとえば『人材育成支援コース』は、職務に関わりの深い知識や技能を獲得させるためにOFF-JTを10時間以上行ったり、事業を支える有能な人材を育成する目的や有期雇用の社員を正社員に登用する目的で、OJTとOFF-JTを組み合わせた訓練を実施したりした場合に助成金が交付されるコースです。

そのほかにも『教育訓練休暇等付与コース』『人への投資促進コース』『事業展開等リスキリング支援コース』などが用意されています。

地域中小企業応援ファンド

地域中小企業応援ファンドとは中小機構・都道府県・地域金融機関などが資金を出し合ってファンドを立ち上げ、企業をサポートする取り組みです

ファンドの運用益を資金として、中小企業を支援します。地域に根ざした農林水産物や、伝統技術を活用した商品の開発・販路開拓を支援します。

地域中小企業応援ファンドの一例が、『あいち中小企業応援ファンド新事業展開応援助成金(地場産業枠・農商工連携枠)』です。あいち産業振興機構が実施する助成金で、中小企業や小規模事業者などを対象としています。

2024年度のあいち中小企業応援ファンド新事業展開応援助成金では、新型コロナウイルスの感染防止に役立つ新製品の開発を行う企業や、感染拡大や原油・原料の高騰などにより業績に影響を受けている企業に対し、助成率の引き上げを実施します。

助成金と補助金の違いとは?それぞれのメリット

助成金と補助金は同じようなものとして捉えられがちです。しかし両者には受給のしやすさや受給額に、大きな違いがあります。助成金と補助金の違いと、それぞれのメリットを解説します。

助成金の方が受給できる可能性が高い

助成金は主として厚生労働省が管轄し、労働者の仕事を守ることを目的としているお金です。利用できるのは雇用保険の適用事業主に限られ、支給される額は数十万円から100万円程度です

助成金のメリットは受給のしやすさにあります。対象者や対象事業などの募集基準をクリアしていれば高確率で受給できるので、確実にお金を受け取りたいなら、助成金を選択するのが賢明といえるでしょう。

また助成金は申請期間が長く、通年で募集されているものも多いため、申請時期を逃す心配がほとんどありません。こういった面からも、助成金受給のハードルは低いといえます。

補助金は審査によって通らない可能性がある

補助金は主として経済産業省や地方自治体が管轄し、国や自治体が推し進める事業を促進するためや、特定の産業を発展させるためなど、さまざまな目的で交付されるお金です

補助金のメリットは支給額の高さにあります。多くても100万円程度までしか支給されない助成金に対し、補助金の支給額は数百万円以上から数億円までと幅広く設定されています。高額な支援を受けたいなら、補助金が第一選択肢となるでしょう。

ただし補助金は審査を通過しないと、受給できないお金です。要件を満たしていても支給されない可能性がある点に留意しておきましょう。

押さえたいポイント:

  • 助成金は申請期間が長く、受給しやすいが支給額が少ない
  • 補助金は審査を通過しないと受給できない場合もあるが支給額が高い

助成金や補助金を申請するときの注意点

助成金や補助金は新規事業を立ち上げようとしている、中小企業や小規模事業者の強い味方です。注意点を頭に入れた上で活用すれば、そのポテンシャルを最大限に引き出せるでしょう。助成金や補助金を申請する上での注意点を解説します。

資金が払われるまでに時間がかかる

助成金や補助金を申請する際は、申請してから実際にお金が支払われるまでにタイムラグがある点に注意しましょう。助成金の場合は申請から6~8カ月程度、補助金の場合は事業終了から2~3カ月程度の時間が、支給までにかかります。

また助成金と補助金は原則的に後払いです。金融機関からの融資のように、事業を行う前に資金を調達できるわけではありません。支払った費用が助成金や補助金の交付により後から補填される仕組みのため、助成金や補助金ありきの資金計画は好ましくないでしょう。

期限内に申請しないと受給できない

補助金を申請したいと考えている場合は、申請期限を意識して行動することが大切です。ほぼ通年で募集している助成金とは異なり、補助金は1週間から1カ月という短期間で募集が打ち切られるため、情報をしっかりチェックしていないと、募集期間内に応募できない危険性があります。

補助金の受給を目指しているなら、補助金の情報に敏感になっておく必要があります。助成金と補助金のポータルサイトを賢く活用して、情報を集めておきましょう。ポータルサイトで情報をキャッチし、公式サイトで公式情報を収集すれば、情報を見逃す心配がありません。

助成金を上手に活用して新規事業を推進しよう

新規事業の立ち上げは、何かとお金がかかる取り組みです。新たなスタッフの雇用や設備投資などに、どうしても資金が必要になります。

そんなときに頼りになるのが助成金や補助金です。金融機関からの融資とは違い、事業を展開する前にお金を受け取ることはできませんが、助成金や補助金を申請してまとまったお金が入るめどが立っていれば、より柔軟性の高い資金計画を組めるはずです。助成金や補助金を活用して新規事業を前進させましょう。

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