どこからともなく症状が現れ、いまや年間を通じて多くの方が悩んでいる花粉症。つらい鼻水や鼻詰まりなどのアレルギー反応を引き起こしますが、風邪などの症状と見分けがつかないケースも多いですよね。
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「今日って花粉が飛んでいるのかな?」と疑問に思った方のために、この記事では時期別の花粉の種類や、対策方法を解説します。
今飛んでいる花粉がどの種類なのかを把握して、花粉症の悪化を防ぎましょう。
冬から初夏に飛散している花粉の種類
冬から初夏にかけて飛散している花粉は大きく分けて次の3種類があります。
- スギ花粉
- ヒノキ花粉
- シラカンバ花粉
暖かくなるにつれて花粉症の飛散量が多くなってくる季節のため、まずは自分がどの種類の花粉にアレルギー反応を起こしているのかを確認しておきましょう。
【2月~4月】花粉症の原因として最も多い「スギ花粉」
花粉症の原因として日本でポピュラーな「スギ花粉」の飛散時期は2月~4月で、ピークは3月ごろです。
「スギ」は本州・四国・九州に生息する常緑針葉高木で、雄花・雌花とも同株に咲き、雄花が花粉をつくります。雄花ひとつで約40万個もの花粉をつくるといわれています。
どれくらいの量が飛散するかは、夏の日照時間・降水量で決まり、特に夏が暑かった年の翌年は多くの花粉が飛散するのが特徴です。なお気温が高い年は飛散開始期が早くなります。
スギ花粉の症状として代表的なのは、くしゃみ・鼻水・鼻づまりです。症状が風邪に似ていますが、連続してくしゃみが出る、鼻水が透明でさらっとしているといった特徴があります。
また目・喉・皮膚のかゆみ、頭がボーっとする・または痛む、寝付けないといった症状が出ることも少なくありません。
【3月~5月】スギ花粉の症状と似ている「ヒノキ花粉」
スギ花粉の症状と似たアレルギー反応を起こす「ヒノキ花粉」は、3月~5月ごろにかけて飛散します。
ヒノキ花粉の飛散時期は基本的にスギよりも遅めで、地域・時期によってはスギの飛散量を上回ります。スギ花粉症と併発することも多く、その場合にはより症状が重くなるため注意が必要です。
「ヒノキ」は福島県以南の本州に分布しており、数としてはスギの約半分ほど。スギと同様に、雌雄同株かつ雄花が花粉をつくります。
風媒花のため、周りにヒノキの木がなくても花粉が飛散していることが少なくありません。
症状もスギ花粉とよく似ていて、くしゃみ・鼻水・鼻づまりといったアレルギー性鼻炎が主症状です。また目・喉・皮膚のかゆみや頭痛、不眠などが出ることもあります。
ヒノキ花粉の飛散時期は基本的にスギよりも遅めで、地域・時期によってはスギの飛散量を上回ります。スギ花粉症と併発することも多く、その場合にはより症状が重くなるため注意が必要です。
【4月上旬~6月中旬】北海道で多い「シラカンバ花粉」
スギやヒノキの生息しない北海道や東北に多く分布している花粉の木は「シラカンバ」です。シラカバとも呼ばれ、花粉に反応する人の数は増加傾向にあります。
シラカンバ花粉の飛散は4月上旬から6月中旬までと短期間に集中しています。
スギ花粉・ヒノキ花粉に類似した症状に加え、口腔アレルギーを引き起こすことで口の中が腫れる、あるいはかゆくなるのも特徴のひとつです。
夏から秋に飛散している花粉の種類
夏から秋にかけて飛散する主な花粉は次の3種類です。
- イネ花粉
- ブタクサ花粉
- ヨモギ花粉
- カナムグラ花粉
本来、春にかかるイメージのある花粉症ですが、これらの花粉症も鼻水や鼻づまりなどの症状が現れます。
【3月~10月】意外と近くにある「イネ花粉」
関東地方では3月ごろから飛散を始め、10月ごろまで長期にわたって花粉を飛ばし続ける「イネ花粉」。飛散時期のピークは5月~6月です。
イネ科には、以下のように花粉症の原因となる植物が数多く存在します。
- カモガヤ
- オオアワガエリ
- ネズミホソムギ
- オニウシノケグサ
- ハルガヤ
これらの植物はもともとは牧草用でしたが、現在は雑草として北海道・沖縄も含む全国の道端・空き地・草地・河川敷などに生息中です。カモガヤやオオアワガエリは、花粉症の原因になりやすいため注意しましょう。
主な症状としては、くしゃみ・鼻水・鼻づまりや、目のかゆみ・充血・肌荒れなどがあります。
なおイネ花粉の飛散距離はそこまで遠くなく、近づかなければ症状は出ません。
【8月~10月】夏から秋の主な花粉である「ブタクサ花粉」
夏から秋の花粉の種類の中でも特に多いのが「ブタクサ花粉」です。
開花は7月ごろからで、特に8月〜10月になると大量の花粉が飛散するため注意が必要です。
ブタクサは北海道と沖縄をのぞく日本全土に分布しているキク科の植物で、河川敷・公園・道端に生息します。わずかな土でも成長するため、非常に繁殖力が強い植物といえるでしょう。
またブタクサ花粉の大きさはスギの半分ほど程度しかなく小さいため、鼻毛などでキャッチができません。花粉が体の奥深くに侵入してしまう確率が高い植物です。
花粉が飛散する範囲は樹木花粉と比べてせまく数10mほどなので、近づかないのが最善の対策です。
スギ花粉・ヒノキ花粉と同様の症状に加え、咳を引き起こすこともあり、喘息を悪化させる原因になりえます。また人によっては肌荒れにつながることもあるのです。
【8月~10月】草本花粉の「ヨモギ花粉」
ブタクサと同じく8〜10月ごろに飛散する草本花粉に「ヨモギ」があります。ヨモギはキク科の植物で、繁殖力が高く市街地にも生息しています。花粉の飛散量ではブタクサを上回るほどです。
近づかないのが無難ですが、花が緑色で目立たないため、ほかの雑草と見分けるのは困難でしょう。
ヨモギ花粉のサイズ・症状はブタクサ花粉症とほぼ同じで、気管支まで深く侵入します。そのためアレルギー性鼻炎に加えて咳を引き起こすこともあるでしょう。
またヨモギ花粉症とブタクサ花粉症を併発することも少なくありません。
【8月~11月】関東で多い「カナムグラ花粉」
「カナムグラ」は日本全国に分布する繁殖力の強い植物です。アサ科のつる草で、道端や空き地だけでなく電柱・ガードレールに巻き付いていることも少なくありません。
草本花粉のため、花粉の飛散距離は数十メートルほどと短めです。飛散時期は地域によって異なるものの8月〜11月と長く、特に関東周辺では飛散量が多いので注意が必要です。
期間も長い傾向にあります。花粉のサイズは草本花粉にしては大きめで、スギ花粉と同程度です。
症状はアレルギー性鼻炎・アレルギー性結膜炎が中心で、スギ花粉・ヒノキ花粉とほとんど同じになります。
花粉によるアレルギー 3つの対策法
ここからは花粉によるアレルギーの対策法を3つ紹介します。
- マスクを正しく付けて花粉を入れない
- アレルギー症状を抑える薬を使う
- 病院で治療を受ける
毎年の花粉症に悩まされている方は、ぜひ実践してみましょう。
マスクを正しく付けて花粉を入れない
花粉アレルギーの最も基本的な対策は、体内に花粉を入れないことです。そして花粉を体内に入れないためには、花粉症対策用のマスクを付けることが重要になります。
花粉症対策用のマスクを正しく使用すれば、花粉の侵入を70〜80%以上もカットすることが可能です。その際の注意点として、マスクは顔のサイズに合ったものを選ぶようにしましょう。
サイズが合っていないとマスクと顔の間に隙間が生じてしまい、花粉を完全に防ぐことができません。またノーズクリップを折り曲げた上で、鼻から顎までをすべて覆うように心がけます。
もしもマスクの内側がくしゃみ・鼻水などで汚れてしまったときは、すぐに交換しましょう。
アレルギー症状を抑える薬を使う
花粉症の辛いアレルギー症状を和らげるために、治療薬を使うのもひとつの方法です。
抗ヒスタミン薬であれば、アレルギー性鼻炎を引き起こすヒスタミンを抑えることで、くしゃみ・鼻水などを抑えることができるでしょう。皮膚・目・喉のかゆみなどにも効果があります。
一方、鼻づまりで呼吸が苦しいときには、血管を収縮させる作用のある薬を使うのも有効です。
ただしこれらの治療薬は花粉症を完全に抑えるものではなく、あくまでも症状を緩和させるためのものです。また副作用として眠くなるものもあるため、状況に応じて最適な治療薬を選ぶようにしましょう。
病院で治療を受ける
花粉のアレルギー症状は、病院で症状を緩和させたり、根本的な治療をしたりすることができます。
現在の主流となっている治療方法は大きく分けて次の2つです。
治療方法 | 特徴 |
アレルゲン免疫療法 |
|
レーザー治療 |
|
アレルゲン免疫療法は、アレルゲンの花粉を含む治療薬を摂取して、体を慣らしていくもので、さらに「皮下免疫療法」と「舌下免疫療法」という2通りの摂取方法に分かれます。
このうち皮下免疫療法は、注射でアレルゲンを投与していく方法です。一方、舌下免疫療法は舌の下から投与していく方法で、スギ花粉に効果があります。
どちらも少しずつ摂取量を増やしていくことで、根本的な体質改善につながります。
レーザー治療は鼻の粘膜をレーザーで焼くことで、花粉が付着しにくくなり、アレルギー反応を緩和させる治療法です。
ただし1〜2年ほどで粘膜が回復すると、アレルギー症状も再発します。その場合には再治療を受けることも可能です。
花粉によるアレルギーの悪化を防ぐには
花粉によるアレルギーの悪化を防ぐには、免疫を高めることも重要です。生活習慣を改善して、花粉症に負けない体づくりを目指しましょう。
栄養バランスのよい食生活を心がける
免疫力を高めるには、栄養バランスのよい食生活を心がけることが大切です。
ごはん・パン・麺などの主食や肉・魚・卵などの主菜だけでなく、野菜・きのこ類などの副菜も毎日しっかりと摂取しましょう。
またビタミンA・C・Eを摂取することも腸内環境の改善につながります。腸内環境を整える方法については、後ほどさらにくわしく紹介します。
くわえて体に負担をかけないように、お酒・お菓子などはできるだけ控えめにした上で、暴飲暴食は避けるとよいでしょう。
タバコやアルコールを控える
タバコとアルコールは免疫力を弱め、花粉症のアレルギーを悪化させる原因になりえます。タバコは喫煙者本人はもちろん、受動喫煙であっても、煙が鼻の粘膜を刺激することでアレルギー症状を悪化させます。
同様の理由から、排気ガスなどもアレルギー症状の悪化につながりかねません。
アルコールはアセトアルデヒドという成分が発生することで、ヒスタミンの発生を促進させ、アレルギー症状を引き起こします。また血管を拡張させることで、鼻づまり・目の充血などにつながる可能性もあるのです。
少なくとも花粉のシーズン中は、タバコやアルコールを控えるのが無難でしょう。
腸内環境を整えることが対策になる場合も
腸内環境を整えると免疫力が高まり、アレルギー症状が緩和される場合があります。ここからは腸内環境を整えるために有効な、乳酸菌と食物繊維について解説します。
免疫の過剰反応を抑える「乳酸菌」を摂る
善玉菌として知られる「乳酸菌」を摂ることで、アレルゲンなどに対抗する腸管免疫をより正常にできる可能性があります。
免疫の過剰反応を抑える効果も期待できるため、花粉によるアレルギー症状の防止や、症状緩和につながるのです。
乳酸菌が含まれている食品として最もポピュラーなのがヨーグルトです。花粉でお悩みの方は日常的な摂取を心がけてみてはいかがでしょうか。
善玉菌のエサになる「食物繊維」を摂る
「食物繊維」は腸内環境を整える働きをすることで知られています。
特に海藻類・イモ類に多く含まれる水溶性食物繊維は、花粉の吸収を抑える善玉菌のエサになります。積極的に摂取することで免疫力が高めていきましょう。
またゴボウ・大豆などに含まれる不溶性食物繊維も、腸のぜん動運動を活発にする効果が期待できます。
花粉の種類を把握して適切な対策を
アレルギー反応を引き起こす花粉の種類は様々です。
もしも「自分は花粉症かもしれない」と思ったら、時期と照らし合わせて該当する花粉の種類を特定しましょう。花粉によるアレルギー症状は、原因となる花粉の種類によっても異なります。
可能であれば病院で検査をして、アレルギー反応が出ている植物を調べてもらうとより確実です。その際に薬を処方してもらえば、アレルギー症状に悩まされる時間も短くできます。
普段の生活では、できるだけマスクを着用して花粉を吸い込まないようにするのが基本です。それに加えて治療薬を使用したり、生活習慣を整えて免疫力を高めたりします。
花粉症は一度なってしまうと簡単には治せません。しかし日頃から対策をしっかり行えば、症状を緩和できる可能性は高まります。適切に処置をして、つらい症状を抑えましょう。