「走行中は音声のみでお楽しみください」
ナビでテレビを見ているときにこのような表示が出て、映像が見られなくなった経験はないでしょうか。
こういったナビのテレビ制限機能を解除するための道具が「TVキャンセラー」です。この記事ではTVキャンセラーの仕組みや、取り付け方法について詳しく解説。
「こんな使い方をすると違法になる」という内容もお教えするので、TVキャンセラーを採用するかどうかの参考にしてみてください。
TVキャンセラーとは?用途やメリット
TVキャンセラーとは車の走行中でもテレビやDVDの映像を見ることができるようにするための道具です。車のナビに取り付けるもので、TVキットと呼ばれることもあります。
TVキャンセラーを取り付けると運転席のハンドル付近に、付属のON/OFF切り替えスイッチが付きます。このスイッチを押すことで走行中でもテレビの制限を解除するかどうか、運転者の任意で選択することができるのです。
TVキャンセラーの仕組み
TVキャンセラーを使うとなぜテレビを見られるようになるのか、その仕組みを解説していきます。
まず通常時(TVキャンセラーが付いていない状態)のナビは以下の2つの情報を元に、画面に映像を映すかどうかを判断しています。
- パーキングブレーキ:パーキングブレーキを引かないとテレビを見られない
- 車速:速度を測っており、走行中と判断した場合はテレビを見られない
そのため例えば走行中に軽くパーキングブレーキを引くと、ナビによってはテレビが見られるようになります(危険なので実践しないでください)。これは走行中であっても「パーキングブレーキが引かれている」という信号をナビがキャッチし、車が停車していると誤認するためです。
上記の仕組みを利用して、ナビに情報を誤認させるのがTVキャンセラーなのです。
TVキャンセラーは車両の情報を変換し、ナビに対して「パーキングブレーキが引かれている」「速度が出ていない」という嘘の情報を伝えます。その結果、走行中でもテレビを見られるようになるという仕組みです。
TVキャンセラーはこんな人におすすめ!
TVキャンセラーは、以下のような方におすすめです。
- 家族や友人と同乗することが多い方
- 誰かを乗せて長時間ドライブすることが多い方
TVキャンセラーの付いていない車では、高速道路やバイパスの走行中にほとんどテレビが見られなくなってしまいます。特に小さなお子様がいる場合はTVキャンセラーは有効な機能となるでしょう。
逆に通勤にしか使わない車など1人で乗ることが多い場合には、TVキャンセラーは必要ないかもしれませんね。またテレビを無視して運転に集中する自信のない方は、危険なのでやめておきましょう。
TVキャンセラーは違法じゃない?取り付けても大丈夫?
TVキャンセラーを取り付けること自体は違法ではありません。また走行中に使用したとしても、運転者がテレビを注視しなければ大丈夫です。
しかし運転者が走行中にナビを操作したり、画面を注視したりすることは違法です(改正道路交通法第七十一条)。運転中によそ見をすることはとても危険な行為であり、重大な事故を起こしてしまう危険性があるからです。
他のことをしながら運転することを「ながら運転」と言います。ながら運転が原因で多くの死亡事故が発生していることから、2019年12月にながら運転に関する法律が厳罰化されました。
ナビを注視した場合 | 6か月以下の懲役又は10万円以下の罰金 |
交通の危険を生じさせた場合(事故など) | 1年以下の懲役又は30万円以下の罰金 |
あくまでTVキャンセラーは同乗者のためのもの。使用方法をしっかり守って運転に集中していれば、法的にも問題ありません。
TVキャンセラーの設置費用や本体代
TVキャンセラーの取り付けは自分でもできますが、複雑な作業が必要になるため基本的にはカー用品店や自動車整備工場に依頼するのがおすすめです。
TVキャンセラーの取り付けにかかる費用と内訳は次のとおりです。
内訳 | 相場 |
本体代 | 10,000円~20,000円程度 |
取り付け工賃 | 15,000円程度の業者が多い
業者によって大きく変わるので見積もりが必要 |
本体代と取り付け工賃を合わせると、25,000円~35,000円程度が相場と言えるでしょう。
TVキャンセラーの取り付けはどの業者に依頼するのがおすすめ?
TVキャンセラーの取り付けは、以下のような業者に依頼することができます。
- ディーラー
- カー用品店
- 自動車整備工場
しかし製品の性質上、TVキャンセラーの取り付けはながら運転を助長していると捉えられる可能性も。そのため業者によっては取り付けを断られてしまう可能性もあります。
ではどこに依頼するのが良いかを順を追って見ていきましょう。
ディーラーの特徴
ディーラーにTVキャンセラーの取り付けを依頼するのは、おすすめできません。
ディーラーは車の安全性や法令を優先とした整備を行っており、TVキャンセラーの取り付けを断る場合があるからてす。
しかし最近では時代の変化に合わせて、TVキャンセラーの取り付けができる店も増えてきているようです。どうしてもディーラーに依頼したい場合は一度相談してみるのも良いかもしれません。
カー用品店の特徴
TVキャンセラーを販売しているカー用品店では、本体の購入と取り付けを一緒に行ってもらえます。
しかし「ネットで安く購入したTVキャンセラーを持ち込みで取り付けて欲しい」という場合は、工賃が高くなることが多いので注意が必要です。
自動車整備工場の特徴
自動車整備工場は細かい要望にも柔軟に対応してもらえる点がメリット。TVキャンセラーを取り付けが可能な工場も多く、持ち込み品に対応してもらえるケースも多いです。
デメリットは工場や整備士によって整備技術にばらつきがあること。しかしTVキャンセラーなど電装品の取り付けが得意な業者を見つけられれば、安く正確に取り付けてもらえるでしょう。
「ネットで安く購入したTVキャンセラーを安く取り付けてもらいたい!」という場合は、ぜひミツモアを利用して最適な整備工場を見つけてみてください。ミツモアはあなたの地域や求めるサービス内容を入力するだけで、複数の自動車整備工場からおおまかな見積もりがもらえるサービスです。
- 無料で利用できる
- 複数の業者の見積もりを比較できるため、より安く信頼できるところに依頼できる
- チャットで質問もできるため、TVキャンセラーに関する不安な点などを気軽に相談できる
以上のようなメリットがあります。ぜひ一度利用してみてください。
おすすめのTVキャンセラー・選び方
TVキャンセラーは自動車やナビのメーカーからは販売されていません。
簡単に配線を加工できる配線キットも売られていますが、ナビの種類によっては使えない可能性があるため注意してください。
TVキャンセラーの取り付け方法!手順をザックリ解説
自分でTVキャンセラーを取り付ける場合の手順を紹介します。車種やナビの種類によって内装部品やコネクタの形状が違うので、自分の車を確認してから作業を行ってください。
また作業中に車内やナビを傷つけてしまわないよう注意しましょう。自信がない方は、ぜひミツモアで安く依頼できる取り付け業者を探してみてください。
1:TVキャンセラーの配線の取り付け
ナビの裏側にTVキャンセラーの配線を接続するため、まずはナビ本体の取り外しが必要です。
ナビ周辺のパネルを手で引っ張って外しましょう。パネルの左下などに取り外すための隙間のようなものがある場合は、そこを内張り剥がし(車の内装の一部である内張りやパネルなどを剥がす際に使用する工具)やマイナスドライバーで引っかけると外しやすいです。
パネルが外れたらナビ本体がネジ4本で固定されているので、プラスドライバーを使って外します。
ナビが外れたら裏側を見てみてください。多くのコネクタが接続されているので、TVキャンセラーと同じ形状のコネクタを探します。コネクタが見つかったら、TVキャンセラーのコネクタを間に挟むように接続すれば完了です。
2:TVキャンセラー本体の取り付け
TVキャンセラーはナビの裏の空いているスペースに取り付けます。両面テープでパネルに貼り付けるか、結束バンドで配線などに固定しましょう。
3:ON/OFF切り替えスイッチの取り付け
切り替えスイッチは運転席のハンドル周辺に両面テープで貼り付けます。スイッチの配線は、ダッシュボードに沿わせてナビの裏まで通していき、TVキャンセラー本体に接続しましょう。
これで取り付けは完了です。
TVキャンセラーを取り付けた際の注意点
TVキャンセラーを取り付けたときの注意点を2つ紹介します。
パーキングブレーキアラームが鳴る
ナビによってはパーキングブレーキの解除し忘れを防ぐため、アラーム機能が付いていることがあります。その場合TVキャンセラーをONにすると、ナビが走行中でもパーキングブレーキがずっと引かれた状態と判断してアラームが鳴り続けます。
ナビの設定画面からアラームのON/OFFを切り替えることができるので、アラームが誤作動する場合は設定を確認しましょう。
地図上の現在地がずれることがある
TVキャンセラーをONにしながら走行していると、ナビの現在地がずれていくことがあります。しかしこれは異常ではありません。
ナビはGPSで位置情報を認識していますが、細かい補正を車速で行っています。TVキャンセラーをONにすることで正確な車速信号がナビに入力されなくなるので、ナビの現在地がずれてしまうのです。
大きくずれてしまう場合にはGPSで補正されるので問題ありません。TVを見られる代償として、細かい現在地のずれは気にしないようにしましょう。