招き屋根と聞いて、すぐに特徴を挙げられる人は珍しいかもしれません。
詳細を知ることで、リフォームや新居の建築の際などに役立つでしょう。この記事では、招き屋根とは何かといった部分や特徴、メリット・デメリットも併せて紹介します。
招き屋根とは?
屋根の形状には、一般的な切妻屋根や寄棟屋根、片流れ屋根、陸屋根など、さまざまな種類があります。中でも「招き屋根」は、切妻屋根の特徴を持ちながら片流れ屋根の弱点を補う形状の屋根です。
見分け方が難しいため、招き屋根の基本的な知識を見ていきましょう。
切妻屋根の片面を短くした形状
普及率の高い切妻屋根や寄棟屋根と比べて、招き屋根は特徴的な形状をしています。片面が短い形状をしている屋根で、切妻屋根と形状自体は似ており、2つの屋根面を棟でつなぐ部分は一緒ですが、大きく異なる点は屋根の面積です。
2つの屋根面がそれぞれ大・小となっているため、アシンメトリーな形状をしています。長さの違う屋根面は高さが段違いとなっており、招き猫のように人を招く際の「おいで」の手の形をしているため、招き屋根と呼ばれるようになりました。
よく混同される差し掛け屋根との違い
招き屋根と差し掛け屋根は、よく同じものだと混同されますが、厳密には違います。差し掛け屋根とは母屋を支えるように、差し掛けられた屋根です。
段差により2つに分かれた屋根がお互いを支えるため、耐風性に優れています。複合タイプとして一緒に設置するケースが多いため見分けづらいですが、屋根の棟に段差がない形状を招き屋根だと判断しましょう。
招き屋根の特徴とメリット
招き屋根は他の屋根形状と比べて、通気性・断熱性・耐風性など、さまざまな部分で優れています。家を建てる際の参考にできるように、メリットの詳細を説明します。
屋根裏の空間が広い
招き屋根は互い違いとなった屋根面や差し掛け屋根の混合の形状により、屋根裏部屋を広く作れるメリットがあります。屋根裏に広いスペースを確保できるので、ロフトや収納など、幅広い活用法を試せるでしょう。
後述しますが、窓を設置すれば自然光の採光もできるなど、屋根裏を広く取りつつ遊びごころのある空間設計が可能です。
採光性と風通しの良さ
採光性に優れている点も、招き屋根のメリットです。2つある屋根の中間に外壁を挟む形状となっているので、採光用の窓を設置すれば、自然光により部屋を明るく照らせます。
また設置した窓は採光だけでなく、通風口としても役立ちます。通気性の良さから空気の流れを作りやすく、こもりやすい屋根裏の換気が可能です。
太陽光発電がしやすい
太陽光パネルと相性が良い点も、招き屋根のメリットです。招き屋根は一般的な寄棟屋根と比べて、太陽光発電の発電効率が高い屋根となります。
寄棟屋根の場合、屋根の面積的に太陽光パネルを設置するスペースが確保しづらいのです。一方招き屋根なら、片方の屋根面積を広くできるため、南面の屋根を長くすれば一面のパネル設置数を増やせます。
屋根の形状と面積を生かして太陽光パネルを多く設置することで、電気代を抑えたり、停電時・災害時に備えて電気を蓄えたりとさまざまなメリットを得られるでしょう。
招き屋根のデメリット
数々のメリットを持っている招き屋根ですが、反面デメリットも存在します。デメリットも知っておくと、屋根選びの判断材料が増えるので詳細を説明しましょう。
雨漏りのリスク
招き屋根は雨漏りの対策が必須となります。2つの屋根が段違いとなっているので、屋根面と外壁をつなぐ部分から雨が侵入する恐れがあるのです。
そのため屋根と外壁が接触する部分は、雨仕舞い(雨漏りを防ぐ接着)を入念に行う必要があります。未熟な施工業者が設計を行った場合、雨漏りが発生するリスクが高まるので、施工の際は雨仕舞いを強化するよう依頼して、屋根形状によるトラブルをさけましょう。
丁寧かつ精密な施工を行うためには、熟練の屋根業者へ依頼がおすすめです。
アシンメトリーなデザイン
屋根の形状により、左右対称の建築にはできない点が、招き屋根のデメリットです。性質上2つの屋根の形や高さが異なるため、個性的なデザインになる傾向があります。
均一なバランスでないと落ち着かない人には、向いていないといえるかもしれません。ただし均整の取れたデザインを求める場合には、壁面のデザインや窓の位置を調整することで解消できる可能性もあります。
デメリットの少ない招き屋根を検討しよう
招き屋根は、普及率の高い切妻屋根の特徴を持ちつつ、2つの屋根面積が異なる形状を持つ屋根です。差し掛け屋根と一緒に設置されるケースが多いため混同されがちですが、厳密には違います。
メリットとして代表的なのは、屋根裏に広いスペースを確保できる点です。また屋根面積の広さにより太陽光パネルを多く設置できるため、太陽光発電設置の相性も良いといえます。
反面、屋根と外壁が接触する部分から雨漏りするリスクがある点はデメリットです。
雨漏り対策をしっかりすることで、デメリットを解消しやすい形状なので、機能性を重視したマイホームを考えている方にはおすすめです。記事で紹介した内容を参考に、機能性に優れた招き屋根を検討してみてはいかがでしょうか。
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