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スズメバチの天敵とは。天敵となる生物を退治に活用することは可能?

最終更新日: 2024年06月28日

攻撃性の高いことで知られているスズメバチにも天敵はいます。弱肉強食な生態系の中で、スズメバチの上に君臨する生物には何が存在するのでしょうか。これらの生物を使ってスズメバチを駆除することは可能なのかどうかも紹介します。

同じ昆虫のスズメバチの天敵

カマキリ

鋭い毒針を持つスズメバチでも太刀打ちできない昆虫がいます。生態系の中でスズメバチの天敵になりうる昆虫とはどのようなものなのか、まずは見ていきましょう。

肉食の昆虫「カマキリ」

肉食の昆虫として知られるカマキリは、ときにはスズメバチにとって天敵になる場合があります。天敵といえども実はスズメバチもカマキリを捕食するため、どちらにとっても気を付けるべき存在といえるでしょう。

カマキリは生息地によって、サソリと戦ったり小さなネズミを捕食したりもします。特に体長が10cm近くにもなるオオカマキリであれば、その体格と自慢のカマを使うことでスズメバチを圧倒できるかもしれません。

しかしスズメバチの俊敏さに、カマキリが負けてしまう場合もあるでしょう。互角の戦いになるか、スズメバチの方が優勢に立つことも多いです。

巣に卵を産み付ける「アブ」

アブはスズメバチに比べて攻撃的ではないイメージを持つ人も多いかもしれません。しかし、スズメバチにとってはアブも強敵になります。

アブはスズメバチを捕らえて捕食するだけでなく、巣の中にある卵も食べてしまうのです。

アブの中でもムシヒキアブ科に属するアブは、優れた動体視力と飛行能力を武器とします。これらのアブは高い能力を駆使し、スズメバチを背後から奇襲するのです。正面からぶつかれば負けてしまう場合もありますが、音をたてずに背中を追うことで捕獲に成功します。

またベッコウハナアブはハチの巣に卵を産みつけ、幼虫にスズメバチの幼虫やさなぎを食べさせます。最初は死んだ幼虫を食べますが餌が枯渇していく秋頃になると、生きたままでも幼虫やさなぎを食べるようです。

ハチも天敵になり得る

同じハチの種類であるミツバチも、スズメバチの天敵になり得る場合があります。

スズメバチよりも小さな昆虫ですが、場合によってはスズメバチを殺す手段を持っています。それが「熱殺蜂球」というミツバチの防衛方法です。

これは大勢のミツバチが1匹のスズメバチを囲い、高温にさせて蒸し殺す戦法です。ミツバチが胸を震わせることで温度は約48℃まで上昇します。

ミツバチは約50℃の環境まで生存できますが、スズメバチはミツバチよりも高温に耐えらないため死んでしまうのです。

しかしこれはあくまで防衛手段であり、ミツバチからスズメバチを襲うことはほとんどありません。

関連記事:ニホンミツバチの生態とは?セイヨウミツバチとの違いや養蜂方法を解説|ミツモア

天敵となる動物

クマ

天敵となる生物は昆虫だけでなく動物にもいます。体がスズメバチより大きいため優勢になりやすいとも考えられますが、鋭い毒針に刺されてしまえば負けかねません。

どのような動物がスズメバチの脅威になり得るのでしょうか?

巣をまるごと食べる「クマ」

クマはスズメバチの巣をまるごと食べる天敵です。成虫だけでなく幼虫やさなぎに加え巣そのものも食します。クマにとってスズメバチは栄養素の高い食材であり、冬眠前の食事にはうってつけなのです。

スズメバチがクマを攻撃しても分厚い皮膚と体毛には針を通せません。クマは気にせずそのまま巣を持ち去ってしまいます。まさにクマはスズメバチにとって最強の天敵といえるでしょう。

またハチは黒いものを攻撃するとよくいわれますが、それは黒が天敵のクマを連想させるからだとされています。それほどまでに恐れられている天敵なのです。

エサとして捕食する「ニワトリ」

スズメバチにとってニワトリも天敵です。ただし家畜のニワトリではなく、野生のニワトリがスズメバチを襲います。家畜のニワトリは栄養価の高い餌を与えられているので、餌に困っていないのです。

しかし、野生のニワトリはスズメバチを捕食する天敵ですが、スズメバチの駆除には向いていないでしょう。野生のニワトリを飼育すれば、結局家畜のニワトリになってしまうからです。

また、くちばしが届く範囲で飛び回るスズメバチは捕まえられますが、高いところで飛行されるとニワトリは捕食できません。

人間もスズメバチにとっては天敵

スズメバチの目には人間も天敵に映るようです。日本だけではなく、海外でもハチの子を食べる文化の地域があります。

日本を含む中国や東南アジアなど黒髪の人種がよくハチの巣を襲うため、ハチは黒に攻撃的になるという説もあるほどです。

クマやニワトリばかりではなく、巣を襲うことのある人間もスズメバチの天敵といえるでしょう。

天敵となる寄生虫も

スズメバチ

スズメバチの天敵は捕食する動物や昆虫ばかりではありません。体内に寄生する寄生虫もハチ本来の活動を阻害する天敵です。スズメバチに害を与える寄生虫を紹介します。

「スズメバチネジレバネ」

スズメバチネジレバネの雌はその一生をスズメバチ体内で過ごします。雄は成虫になると寄主から離れますが長くとも4時間しか生きられません。

寄生するのは働きバチばかりです。ネジレバネが寄生すると働きバチは本来の活動を停止して巣の中で過ごすようになります。

ネジレバネは寄主をできるだけ延命させるため、越冬させたり繁殖機能をなくしたりします。

働きバチが機能しなくなるとスズメバチの巣は崩壊していくので、スズメバチの天敵といえるでしょう。

「スズメバチタマセンチュウ」

スズメバチがスズメバチタマセンチュウに寄生されると、卵巣を発達できず不妊状態になってしまいます。繁殖ができず、巣が滅びてしまうのです。

タマセンチュウは女王バチが越冬のため朽木内部にいるところを狙い、寄生します。春になっても卵を産めないので巣を構えられません。

近年ではスズメバチの生物的防除素材として、タマセンチュウを使う研究が進められています。スズメバチの巣を減らし被害を抑える活用に期待が持てますが、まだ研究段階ということもあり今すぐの活用は難しいでしょう。

天敵を駆除に使うのは難しい

キイロスズメバチ

上記で紹介したような生物を利用してスズメバチを駆除することはできないものか、と考える人もいることでしょう。

しかし現実的には、生物を利用するのは難しいといわれています。その理由について見ていきましょう。

スズメバチ対策のための飼育が困難

スズメバチの天敵になる昆虫や動物を人工的にコントロールし、ハチを駆除するのは難しいといえます。例えばクマを飼育するのは危険ですし、現実的ではありません。

言葉も通じないので、命令したり仕向けたりするのも困難です。そのためカマキリやニワトリを育てていても、スズメバチを捕食するよう誘導はできないでしょう。

これらの生物は、自然界の中であくまでも必要な場合のみ、スズメバチを攻撃し捕食するのです。

駆除はプロに依頼するのがおすすめ

すでに説明したとおり、スズメバチの駆除に天敵となる生物を使うのは難しいのが現実です。ではどのように駆除すればいいのでしょうか?

基本的には、スズメバチの駆除ができる専門の業者に依頼するのが最も安全な方法です。

巣を見つけた場合、自力で駆除を試みる人は少なくありません。しかし、この方法は決しておすすめできない方法です。

スズメバチには強い毒性があるため、刺されれば死に至るケースもあります。防護服などを着用していたとしても、慣れていない人が行えばミスするリスクが高いほか、手間や時間もかかることでしょう。

プロに依頼すれば専用の殺虫剤を使用するなど道具の質が高く、知識も豊富なため安全に処理できます。

関連記事:蜂の巣駆除にかかる料金はどのくらい?費用相場や、安く済ませるポイントをチェック|ミツモア

ミツモアで蜂の巣駆除を依頼

スズメバチと遭遇したら

スズメバチの巣

スズメバチに出会ったら、応戦せず迷わず静かに逃げましょう。刺激すると刺される危険があるからです。

ここからは、スズメバチに遭遇した時の対処法を紹介します。

静かに離れるのが第一

スズメバチに出くわしたら、身をかがめて静かにその場を離れましょう。頭を低くする理由は、ハチの真下は視界に入らないといわれているからです。

急に動くとハチを刺激してしまう危険性があります。またスズメバチは上下するものに反応する習性があるため頭の位置は動かさずに移動しましょう。

攻撃性の高いオオスズメバチやキイロスズメバチは30mほど追跡してくる可能性があるので、逃げる際はしっかり距離を取ることも重要です。

もしスズメバチが執拗に飛び回ったりアゴをカチカチと鳴らしたりしたら、近くに巣がある証拠です。これらの行動は「それ以上巣に近づくと攻撃する」という警告だと認識してください。

手で追い払わない

スズメバチが近くに来た際にやってしまいかちなのが、手で追い払う動作です。これはかえってハチを刺激して刺される危険性が高くなります。

モノを振り回しても同様に刺激してしまうため、追い払う動作はしないようにしましょう。

スズメバチに刺された被害の多くが頭部への攻撃になりますが、次に多い箇所は右手といわれています。

万が一振り払って撃退できたとしても、スズメバチは仲間に危険を伝えるフェロモンや集合フェロモンを分泌し、集団で襲ってくる可能性があります。

スズメバチに出会ったら、命にかかわる危険な状況になる前に、静かに逃げ去りましょう。

刺されたらすぐに病院へ

もし刺されてしまった場合は、すぐに病院に行きましょう。患部だけが腫れた局所症状であれば数日で回復するといわれています。しかし全身に何かしらの異常が出た場合は危険です。

特にアナフィラキシーショックと呼ばれるアレルギー症状は、死に至る可能性もある重傷といえます。刺されてから30分以内に呼吸困難やめまいなどに襲われたら、緊急の処置が必要です。急いで病院へ向かいましょう。

刺された直後の応急処置も重要です。冷たい水で傷口を洗いましょう。毒を薄めて患部の炎症を和らげます。

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スズメバチにはカマキリやクマなどいくつか天敵がいます。しかしこれらの天敵を利用してスズメバチを駆除するのは至難の業です。

仮に生物を飼育できたとしても、スズメバチを襲わせるようにコントロールすることは現実的ではありません。ただし寄生虫を利用してスズメバチの駆除を試みる研究は進められているため、今後の研究成果に期待しましょう。

巣が小さいうちに自力で退治する方法もありますが、大きな危険が伴います。スズメバチ駆除専門の業者に依頼すれば、専用の装備で手際良く巣を取り除いてくれるでしょう。

天敵を利用するのはおすすめできないため、早めにプロに任せてみてはいかがでしょうか。

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