地蜂は全国に生息している、日本でごく一般的な蜂です。とはいえ、どんな蜂なのかパッと思い浮かばない人もいることでしょう。この記事では、地蜂の生態についてや危険性がどの程度なのか、遭遇した場合の対処法などについて解説します。
地蜂に刺されたらどうなる?
地蜂の毒性は低いですが、刺された箇所は腫れて痛むかもしれません。またアナフィラキシーショックによって嘔吐や呼吸困難が引き起こされることもあります。
地蜂の巣はどこにある?
地蜂は地面や土の中に巣を作ります。外壁と外壁のすき間や、雨戸やサッシの戸袋も狙われやすいです。
地蜂はどんなハチ?
地蜂は日本でポピュラーな蜂の一種ですので、見たことがある人も多いかもしれません。
危険性や対処法などを解説する前に、まずは地蜂がどんな蜂なのか、基本的な情報を解説します。
クロスズメバチの別称
地蜂という名前は通称であり、正式には「クロスズメバチ」といいます。読んで字のごとく、体全体が黒い色をしている点が特徴です。
地蜂の他にも「スガレ」「ヘボ」などの別称を持ち、地域によっても違いがあります。
地蜂の働きバチは6月を迎えた頃に成虫になり、活動を活発化させます。その後、オスと新たな女王蜂が羽化するのは10~12月頃です。
巣の規模は大きく、8~12層の巣盤数を持ち、育房数は8,000~12,000房にも及びます。
また、地蜂は日本のほとんどの地域に生息しているため、郊外でのハイキングや屋外でのキャンプなど、アウトドアレジャーの際にも遭遇する可能性が高い、とても一般的な蜂です。
比較的穏やかで小型
蜂と聞くと「人を襲い針で刺す、攻撃的な虫」というイメージを持つ人は多いでしょう。ところが、クロスズメバチは比較的穏やかな性格をした蜂です。必要以上に刺激を与えなければ、無闇に襲ってくるような種類の蜂ではないといえます。
とはいえ、無意識に巣に近づいてしまったり、知らずに地蜂に触れてしまったりなど、何かのきっかけで刺激してしまう場合もあります。そのような場合は攻撃をしてくるケースもあるので、注意が必要です。
地面に巣を作る
蜂の巣といえば、樹木の枝や軒先などで吊るされるように育った、球状のものを想像するのではないでしょうか。
地蜂の巣はそのようなイメージとは大きく異なります。巣が作られるのは、なんと地面の上や、時には土の中なのです。
外の寒気を逃れ、一定の温度が保たれている地面や地中は、冬場に巣を作りにはとても適した環境といえます。くわえて外敵の目に触れにくく、身を守る効果も得られるのです。
風や雨をしのげる点でも、大きなメリットがあります。さまざまなリスクを回避しながら、地表や地中で成長していくのです。
幼虫は食用にもされる
日本には地蜂の成虫や幼虫を食用にする文化があります。全国で一般的に食されているものではありませんが、地域によっては根強い人気がある食材です。
ここからは、地蜂がどのように食べられているのか解説します。
郷土料理 蜂の子
長野県を中心に、岐阜県、愛知県、静岡県などの各地で食されているものが「蜂の子」です。郷土料理として、長きにわたって引き継がれてきました。
クロスズメバチの幼虫を主原料としていますが、さなぎや成虫を混ぜる場合もあります。
調理に使用するのは、醤油と砂糖、そしてみりんです。甘辛い味つけになるように煮つけ、つくだ煮のように、箸休めにしたりご飯に乗せたりして食べます。ご飯に混ぜた「ヘボ飯」は、根強い人気がある食べ方です。
フライパンを使って幼虫を煎る・炒めるなどしてから、塩をふって口にする調理法もあります。香ばしさが感じられる食べ方です。
栄養価が高い
蜂は昔から栄養価が高いことで知られています。地域によっては、食糧難の時代に貴重な栄養源として活用されていました。
現代の科学的アプローチからも、栄養素として蜂が優れていることが明らかになっています。蜂の幼虫には数々の栄養成分が含まれており、たんぱく質や脂肪をはじめ、炭水化物、ミネラル、ビタミンなどが豊富です。
くわえて必須アミノ酸が含まれていることも分かってきました。人の体の中で作れない必須アミノ酸を摂取できることは、栄養補給の観点からすると、とても貴重な食品といえるでしょう。
地蜂に刺されたら危険?
蜂に刺されたら危険な症状が現れると考えている人は多いものです。たしかに刺されたことでショック症状を起こし、命の危険にさらされる場合もあります。
しかし、全ての場合において、刺されるととても危険な状態になるわけではありません。
刺されてしまったときに、慌てず、正しく対処するためにも、地蜂のリスクを把握しておきましょう。
毒性は低い
「スズメバチ」はとても強い毒を持っており、刺されると早急かつ正確な対処が求められます。危険性が高いため、駆除を支援する自治体もあるほどです。
一方、地蜂の毒性はあまり高くはありません。また、攻撃的ではなく、比較的穏やかな気性の蜂です。遭遇したとしても、大きな恐怖心を抱く必要はありません。
とはいえ、威嚇したり、むやみに触ったりするのは危険です。毒針は持っているため、刺されることはありえます。
アナフィラキシーショックのリスク
スズメバチと比べると毒性が弱く、性格も比較的穏やかだとはいえ、あらゆるリスクがないわけではありません。地蜂にも、最低限の警戒は必要です。
気を付けたいことのひとつが「アナフィラキシーショック」です。アレルギーの原因となる物質が生体に接触することで、全身に強いアレルギー反応を引き起こし、血圧の低下や意識障害を起こす場合があります。
蜂に刺された後で、嘔吐や呼吸困難、意識の低下が起きた場合には、早急に病院へ向かう必要があり、緊急性が高めです。最悪の場合、命を落とす方がいることも頭に入れておきましょう。
刺されないためには
「全ての蜂が危険というわけではないから」と、何の知識も持たず、予防策もなしでいるのは危険です。刺されないようにするために、最低限の予防策や対処法は覚えておきましょう。
まず巣を見つけたときには、人に知らせようと大きな声を出さないようにしましょう。静かに、その場所から距離を取ります。
また蜂は黒い物を攻撃する習性があります。樹木の多い屋外で過ごす際には、薄い色の衣類を身に着けると予防に効果的です。
気がつかないうちに巣や地蜂に近寄ってしまう場合も想定し、長袖・長ズボンを着用して、ツバの長い帽子をかぶることも忘れないようにしましょう。
強烈な臭いも、地蜂を興奮させてしまいます。香りの強い香水や化粧品、整髪料は避けたいものです。
危険度が高めな場所に行くときには、蜂用のスプレー式の駆除剤を用意しておくと安心です。ホームセンターなどで手に入るので、携行することをおすすめします。
遭遇した場合の対処法
屋外で活動していると、緑に囲まれた郊外のエリアだけでなく、都心の住宅地でも蜂と出くわすことがあります。
そのようなとき、どう対処すべきでしょうか。安全に振る舞うための方法について解説します。
刺激しないことが重要
すでに説明したとおり、地蜂の性格は比較的温厚で、相手から攻撃されたり必要以上に刺激されたりしなければ、進んで攻撃することはあまりありません。
地蜂が飛んでいる場合、たいていはエサを探している状態で、攻撃心を抱いていないケースがほとんどです。
そこに、大きな声をあげてしまう、過剰に振り払うといった行動をとってしまうと、刺激を与えてしまいます。そして、敵だと認識し、威嚇・攻撃に転じる可能性があるのです。
地蜂を見つけても決して慌てず、騒がず、平静でいることが大切になります。そして、速やかにその場を離れましょう。
攻撃されたら慌てずじっとする
もしも蜂が威嚇を経て攻撃してきたら、多くの人は慌ててしまうでしょう。そして、両腕を大きく振って追い払おうとしたり、体を揺すってかわそうとしたりしがちです。
しかし、そのような行動は地蜂をより興奮させ、攻撃を続けさせてしまう要因になります。攻撃を受け始めたと思ったら、顔を下に向けて目を閉じておきましょう。そして、身を小さくかがめ、低い体勢をとります。
かがみ腰の姿勢を維持しつつ、慌てずゆっくりと他の広い場所に移動しましょう。その際も走らずに、静かに動くことが大切です。
自宅に地蜂が巣を作ったら
蜂は、いろいろな場所に巣を作ります。そして、住宅街の一軒家やマンション・アパートのバルコニーといった場所でも起こり得るのです。
生活する場所に地蜂が巣を作ってしまったら、どうすべきでしょうか。蜂の行動形態を理解しながら、適切な対処法について知っておきましょう。
活動を始めるのは春頃から
地蜂が活動する期間は3~11月が主です。春先から女王蜂が巣作りを開始することに合わせて、働き蜂の動きが活発化します。
徐々に大きくなる巣の中で、女王蜂は春から夏にかけて、働き蜂を次々に生み、巣は次第に立派になっていくのです。
春先に見かける蜂は、冬眠から覚めてから間もなく巣作りを始めた女王蜂か、生まれてまだ時間が経っていない働き蜂です。どちらも攻撃力は弱く、人を襲うことはあまり考えられません。
蜂の被害が発生しやすい時期は、働き蜂の活動が活発な時期になります。それは夏に入った頃にあたり、7~9月の最も精力的に巣作りがなされる期間が、蜂刺されの被害が発生しやすい時期なのです。
巣を作りやすい場所
地蜂が、地面や地中に巣を作る性質があることは前述の通りです。この特性を踏まえると、緑地以外の住宅地で、どのような場所に巣を作るかイメージしやすくなります。
狭く暗い軒下は、地蜂が安全に巣作りをするには恰好の場所といえるでしょう。近所との距離が近い場合、外壁と外壁の隙間なども、巣が作られてしまいやすい場所です。
頻繁に雨戸やサッシの開け閉めをしない箇所の戸袋も、巣作りに狙われやすいポイントです。外敵に襲われにくい状況は、蜂にとって魅力的なロケーションといえます。
早い時期の対策が重要
地蜂は春を迎えると同時に活動を始めます。巣作りを防ぐには、できるだけ早い段階の方が、より簡単に対処できるでしょう。
女王蜂は、冬眠から覚めてから、まずは一匹で巣作りをスタートさせます。この時期は冬眠によって体内の養分は枯れていて、体力がありません。春のうちに見つけた女王蜂を早めに駆除することが大切です。
巣を大きくするために、女王蜂はどんどん働き蜂を生みます。春の間は働き蜂の体は小さく、体力も弱く、行動範囲も広くありません。女王蜂同様、春のうちに対策を講じておくと効果的です。
巣の駆除は専門家に相談しよう
ある程度大きくなってしまってから、巣を発見するケースもあります。そのような状態だと、蜂の活動は活発化している可能性が高く、放置することはとても危険だといえるでしょう。
見つけた巣は、どうやって駆除すべきでしょうか。対処の仕方について紹介します。
自力での対策は危険
春の終わりから夏にかけて、働き蜂の活動はとても活発です。気づいたときに5cm程だった巣が、ひと月も経つと30cmを超えるサイズにまでなっていることもあります。
巣が大きくなるにつれ、巣を守ろうとする蜂の意識が高まってきます。それに合わせて、攻撃性も攻撃力も高くなってくるのです。
巣を作られていると気づいたということは、巣がある程度大きくなっていると考えられ、そこで活動する蜂の数もそれ以前よりも増しているでしょう。
数も多く、攻撃性も備えた地蜂の巣を、素人が駆除することは危険を伴います。リスクの高い行為であることを忘れてはなりません。
駆除業者へ依頼
最も安全で安心な方法は、やはり専門の駆除業者に依頼することでしょう。経験を重ねた作業員によって、確実な駆除が期待できます。
業者を選ぶ場合、いくつかの点に注意しましょう。まず第一に、アフターフォローが充実しているかどうかです。
駆除が甘いと、作業後しばらくしてまた巣が作られてしまうこともあります。アフターフォローがなければ、もう一度同じ手間と金額が必要になってしまうのです。
金額が適正であるかどうかも事前に確認しましょう。妥当な金額で依頼するために有効な手法が、相見積(あいみつもり)を取ることです。3社程度の業者に見てもらい、それぞれの見積書を照らし合わせてから選びましょう。
蜂の巣駆除の料金相場については、以下の記事でも詳しく解説しています。
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地蜂は、それほど強い毒性は高くなく、穏やかな性格をしています。それゆえ、遭遇してもそれほど大きな心配はしなくてもよいでしょう。
重要なことは、出くわしたときに、必要以上に騒がず、刺激しないように心がけることです。静かに落ち着いて振る舞い、安全な対処でリスクを回避しましょう。
また、もしも自宅に巣を見つけた際には、自分で巣を駆除するのではなく、業者に依頼するのが無難です。危険を伴う行為なので、基本的には業者に依頼するようにしましょう。
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