ミツモアメディア

お墓掃除の正しい手順!汚れの原因や掃除のタイミングも解説

最終更新日: 2023年09月21日

お墓の汚れは放置すると落ちにくくなります。汚れの種類と原因を知り、手遅れになる前に手を打ちましょう。お墓掃除の正しい手順や適切なタイミング、必要な掃除グッズについて解説します。自力での手入れが難しいときはプロの力を借りましょう。

お墓につきやすい汚れの種類

お墓は常に雨風に晒されています。長く放置しておくと汚れがどんどん蓄積し、軽くこすっただけでは落とせない状態になります。お墓に付く汚れには、どのような種類があるのでしょうか?

雨や水鉢による「水垢」

研磨された墓石の表面はツルツルしていますが、水鉢や花立の周辺には水がたまりやすく、掃除を怠ると水垢が目立つようになります

水垢とは水道水のミネラル分や、雨水の成分が乾いて残ったものです。白い輪状や黒ずみとなって現れることが多く、放置する期間が長ければ長いほど落ちにくくなります。大気中の汚染物質や花粉などが付着すれば、赤茶色に変色し、見た目に大きな影響を与えるでしょう。

水垢の主成分はアルカリ性の炭酸カルシウムなので、クエン酸水を染み込ませたスポンジでこするのが効果的です。汚れが溶解された後は、速やかに水で洗い流しましょう。

さまざまな原因で起こる「シミ」

お墓には大小さまざまなシミが現れます。水垢や腐食した枯葉がシミになることもあれば、人の行為がシミを誘発することもあり、原因は1つだけではありません

中でも注意したいのが、お酒やジュースといったお供え物によるシミです。映画やドラマでは、故人が好きだったお酒を墓石にかけるシーンがありますが、水以外のものを墓石にかけるのは好ましくありません。

お酒には糖分やアルコールが含まれており、墓石にシミやカビを作る原因になります。アルコール分が墓石の細かい穴に染み込めば、変色を招く可能性があるでしょう。お酒をお供えした後はそのまま持ち帰るか、砂利や土の上に撒くのが一般的です。

湿った環境で起こる「コケ」「カビ」

風通しや日当たりが悪い場所にあるお墓は、コケやカビに注意が必要です。胞子は空中を浮遊しており、墓石の表面に付着して根を下ろします。

コケというと、緑茶色や緑色の柔らかい形状のものを思い浮かべるかもしれません。しかし墓石の表面に生えるコケの多くは、白い斑点状です。一夜で大量発生することはなく、長い年月をかけて全体に広がっていきます。

ツルツルに研磨加工されている墓石は比較的容易に落とせますが、表面に凹凸が多いものは除去に時間がかかるでしょう。スポンジやタワシでこすると汚れが全体に広がるため、カッターナイフやスクレーパーで、優しく削り取るように除去するのが一般的です。

予防が重要「さび」

墓石に付着した赤茶色の汚れはさびが原因です。「墓石には金属が使われていないのに、なぜ?」と疑問を持つ人も多いでしょう。

墓石にはさまざまな種類がありますが、耐久性に優れた「花崗岩(御影石)」が使われるケースがほとんどです。花崗岩には鉄や硫黄などの金属成分が含まれており、金属の酸化や経年劣化によって墓石の表面にさびが表れることがあります。

缶ジュースをお供えしたまま放置すると、缶が酸化して墓石にさびが移ります。ろうそく立てや線香皿などの金属製品から、さびが発生するパターンも少なくありません。

さびの発生源をなくすのが1番ですが、花崗岩の成分酸化は防ぎようがないため、定期的な掃除を心掛けましょう。

お墓掃除に必要な道具

墓石にこびりついた汚れを除去するには、掃除用具が必要です。スポンジで軽くこすっただけでは落ちない汚れが多いため、必要なグッズをひとまとめにした「お墓掃除セット」を事前に用意しておきましょう。「必要な掃除道具」と「あると便利な掃除道具」を紹介します。

必要な掃除道具

お墓掃除の道具は、家庭にあるもので代用できます。必ず準備しておきたい「基本の掃除道具」は以下の通りです

  • 雑巾・タオルなど
  • 軍手
  • 歯ブラシ
  • ごみ袋
  • スポンジ
  • バケツまたは桶
  • ほうき・ちり取り

墓石の掃除は、布やスポンジを使うのが基本です。タワシを用いる人もいますが、強くこすりすぎると表面に傷が付きます。コケやカビが落ちないからといって、金属製のタワシでゴシゴシとこするのはNGです。

歯ブラシは細かい部分や溝の汚れをかき出すのに使います。ただし歯ブラシは毛が短いため、正面の彫刻の溝にたまった汚れは落としきれません。毛の長い台所用ブラシや綿棒、絵筆があると便利でしょう。

あると便利な掃除道具

上記で紹介した掃除道具でも十分ですが、お墓掃除をスピーディーに済ませたい人や、長らく掃除をしていない人は、以下のような掃除道具があると便利です

  • 草取り道具
  • 剪定用のはさみ
  • スクレーパー
  • 墓石用の洗剤

お墓に生える雑草は根張りが強く、簡単には引き抜けません。鎌やスコップなどの草取り道具があると、作業がはかどります。

スクレーパーとはヘラ状の刃に柄が付いた道具です。墓石の表面にこびりついたコケやカビはスポンジでは落ちないため、スクレーパーで削り落とします。

墓石の掃除は水洗いで十分ですが、汚れがひどいときは「墓石用の洗剤」が便利です。台所用やお風呂用の洗剤は、墓石を変色・劣化させる恐れがあるため、できるだけ使用を控えましょう。

お墓掃除を行う手順

お盆は炎天下の中で掃除をしなければならず、気力・体力ともに消耗します。短時間で効率よく掃除が終えられるように、お墓掃除の手順を決めておきましょう。落ち葉や雑草の掃除からスタートし、最後は墓石の乾拭きで仕上げます。

①落ち葉・雑草など区画の整理

まずは敷地内の掃除からスタートします。ほうきや草取りを使って、墓石周りの落ち葉拾いや草むしりを行いましょう。枯れた花や線香の燃えかす、時間が経過したお供え物などもすべて取り除きます。

区画内に植木がある場合、剪定ばさみやのこぎりを使って形を整えます。増えすぎた葉、伸びすぎた枝などを切りそろえ、風通しや日当たりをよくしましょう。

玉砂利が土に埋もれていたり、ひどく汚れていたりした際は、一旦外に出して汚れを取り除くのがベターです。バケツやザルを使って水洗いをした後、しっかりと水切りをしてから敷き直します。

ごみは持参したごみ袋に入れて持ち帰りましょう。霊園内に専用のごみ捨て場があれば利用して構いませんが、他人の迷惑にならないようにルールを守る必要があります。

②墓石の掃除・お手入れ

敷地内の掃除が終わったら、墓石の掃除・お手入れを行います。柄杓などを使って水を上から下に流しながら、スポンジで汚れを落としていきましょう。どうしても手が届かないケースを除き、墓石にはよじ登らないのがマナーです。

歯ブラシや専用ブラシ、スクレーパーなどを使い分けながら、墓石の隅々をきれいにします。墓石用の洗剤やクエン酸水を使った場合は、成分が残らないように念入りに洗い流さなければなりません。

墓石全体の掃除が済んだら、線香立てや花立などの小物を水洗いしましょう。金属製の小物類から出るさびが気になるときは、さびに強いステンレス製のものに変えるのも1つの手です。

③掃除の最後は丁寧に乾拭き

最後はタオルや雑巾で乾拭きを行います。お墓は年中雨風に晒されているので、乾拭きは意味がないと思う人もいるかもしれません。

しかし小物類や墓石が濡れたままの状態だと、汚れや花粉が付着しやすくなります。水垢やコケ、カビが発生する原因にもなるため、しっかりと水気を拭き取りましょう。特に正面の彫刻部分や石材の接続箇所は、コケやカビが生えやすい部分です。

掃除に使う雑巾やタオルは家庭で使い古したものではなく、新品を使うのがベターです。使い古しの雑巾や歯ブラシでご先祖様のお墓を磨くのは、あまり好ましいとはいえません。掃除が一通り終わったら、花や線香をお供えしてお墓に手を合わせます。

お墓掃除を行うタイミング

お墓の掃除にはご先祖様を敬う意味が込められています。年に1回しか掃除をしないという人もいれば、定期的にお墓に足を運んでいる人もいるようです。お墓掃除をするタイミングや回数はどのくらいが理想なのでしょうか?

タイミングは決められていない

お墓掃除のタイミングや回数に決まりはありません。遠方に住んでいてなかなか足を運べない人も多いため、行けるタイミングで行くのが基本です。一般的には、お彼岸やお盆の時期にお墓掃除をする人が多く見受けられます。

お彼岸は「春分の日」「秋分の日」を中心とした前後の3日間です。お盆の時期は地域によって異なりますが、ほとんどが8月の半ばとされています。

お墓掃除やお墓参りの時間帯にも、厳密な決まりはありません。人の少ないときを狙うなら、午前中の早い時間がよいでしょう。特にお盆の時期は気温が上がりやすく、炎天下でのお墓掃除は体力を消耗します。

理想的な頻度は月に1回

タイミングや頻度に決まりはないものの、お墓掃除は月に1回やるのが理想です。お墓掃除とお墓参りを毎月の習慣にすれば、墓石が長持ちする上にご先祖様も喜ぶでしょう。

とはいえ場所や仕事の都合を考えると、月に1回のお墓掃除は容易ではありません。年に2~3回が限界という人も多いでしょう。こまめに足を運べない人は、お墓掃除の代行をプロに依頼する手があります。

代行のメリットは、お墓掃除にかかる時間と労力をセーブできる点です。定期的に代行サービスを利用すれば、お墓が荒れ放題になる心配もありません。

代行業者によってサービス内容や料金が異なるため、必ず相見積もりを行いましょう。ミツモアを利用すれば、最大5社から見積もりを一括請求できます。

プロによるお墓掃除の作業内容

他人にお墓掃除を頼むのに抵抗を感じる人もいますが、近年は高齢化を背景に代行サービスの需要が増えているのが実情です。お墓掃除をプロに依頼した場合、どのような作業を行ってくれるのでしょうか?

墓石クリーニングと区画清掃

サービス内容は業者によって異なりますが、基本の作業は墓石のクリーニングと区画清掃です。区画清掃には、落ち葉拾いや草むしり、木の剪定などが含まれます。

自分でお墓掃除をする場合、不適切な道具を使ってしまったり、力を入れすぎたりして墓石に傷が付くケースがあります。頑固なコケやカビに悪戦苦闘し、作業を途中で放り出してしまうことも珍しくありません。

墓石の汚れを知り尽くしているプロは墓石に傷を付けずに、頑固な汚れをスピーディーに除去します。コケやカビが生えにくくなり、石材の寿命も伸びるでしょう。

玉砂利の入れ替えやコーティングなども行う

必要に応じて、玉砂利の入れ替えやコーティングも行います。玉砂利とはお墓の周囲に敷き詰められている、小さな丸い石のことです。雑草を生えにくくするほか、雨の日のぬかるみを防ぐ目的があります。

玉砂利が汚れていたり、土に埋もれたりしている場合は、業者に入れ替え作業を依頼しましょう。きれいな玉砂利を敷けば、見栄えがよくなります。

コーティングとは専用の薬剤で、墓石の表面を保護する作業です。墓石の表面には無数の細孔があり、水が入り込んで蒸発すると不純物が白い粉状の物質となって表面化する「エフロ現象」が起こります。

コーティングするとエフロ現象や汚れの蓄積が減少し、きれいな状態が長続きするのがメリットです。

お墓掃除でご先祖様への感謝を表そう

お墓掃除はご先祖様に感謝と敬意を示す行為です。墓石の汚れは時間が経てば経つほど落ちにくくなるため、定期的に掃除をするのが望ましいでしょう。

しかしお墓が遠方にある場合は、移動や掃除だけで丸1日かかってしまいます。「時間や労力はセーブしたいけれど、お墓をきれいに保ちたい」という人は、代行サービスを活用するのが賢明です

玉砂利の入れ替えやコーティング、欠けた石の修復などを行ってくれる業者も多く、お墓が見違えるほどきれいになります。

お墓参り代行の見積もりを依頼する