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家族葬の費用相場はいくら?内訳と安く抑える方法を解説

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最終更新日: 2023年04月11日

「少人数でゆっくり故人を見送りたい」「形式にこだわらず、故人への思いを形にしたい」という思いから、家族葬を選ぶケースが増えています。

家族葬にかかる費用は100万円前後が目安です。家族葬を行う場合の費用内訳や、費用を抑える方法を確認しましょう

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この記事を監修した専門家

日本葬祭アカデミー教務研究室 代表
二村 祐輔

家族葬の費用は100万円前後が相場

お葬式 遺影

家族葬を選んだ人は実際のところ、どれくらいの費用を支払っているのでしょうか。費用の相場を確認しておきましょう。また一般葬の費用とも比較します。

葬儀社に支払う費用は88.5万円が平均

ミツモアが2022年9月に実施した「葬儀・斎場に関するアンケート(n=508名)」では、家族葬を選んだ方が葬儀社に支払った費用の平均額は「88.5万円」でした。参列者は平均16名です。

なお中央値は80万円、会葬者は15名でした。これ以外にも宗教者への対応費用を用意する必要があるため、全体にかかる金額は100万円前後になります

家族葬は小規模に行う葬式のため、費用が安くなると思うかもしれません。しかし会葬者を限定する分、香典も少なく、必ずしも支出を抑えられるとは限りません。

一般葬と比べると家族葬は安い

ミツモアが行った同じアンケート調査では、お布施を除いた一般葬の平均費用は「147.9万円」、参列者が80名でした。中央値は128万円、参列者は60名です。

一般葬と家族葬を比較すると、葬儀社に支払う費用は家族葬のほうが50~60万円ほど安く済みます。会葬者を限定できるため、一般葬と比べて料理や返礼品が少ないためです。

ただし家族葬は会葬者をあえて少なくしているので、集まる香典の金額も減ります。トータルの金額で考えると家族葬の方が支出が多くなる可能性もあるので、費用を抑えたいと考える場合には注意が必要です。

家族葬にかかる費用内訳

お布施

家族葬を執り行う際にかかる費用の内訳は「葬儀本体の費用・飲食接待費用・宗教者対応費用」です。10~20名の家族葬を前提に、費用について具体的に確認しましょう。

【10~20名規模の家族葬の費用内訳】

葬儀本体の費用 20万~40万円
飲食接待費用 20万~30万円
宗教者対応費用(お布施など) 30万円~
合計 70~100万円

葬儀本体の費用

葬儀本体の費用は、お葬式を執り行うために必要な物や人、場所などにかかる費用です。一般的に「式場利用料・葬儀用具一式・移動・車両費・立替金」などが含まれます。

10~20名規模の家族葬の場合、葬儀本体の費用は20万~40万円が相場です。しかし内容には決まりがなく、たとえば葬儀社によっては、立替金の中に火葬料など実費が計上してあることも多くあります。

その場合、公営火葬場を利用した場合は無料~4万円ほど、民営火葬場であれば7万円以上が追加でかかります。

家族葬を充実した内容で行うためにも、葬儀費用に何が含まれるのか、葬儀社の見積もりを十分に確認しましょう

飲食接待費用

飲食接待費用は葬式の飲食や返礼品などにかかる費用です。お葬式の中では通夜振る舞い、精進落としなど、参列した人に食事を振る舞います。

また香典を授受した場合には香典返しを当日その場で返礼または忌明け後に宅配するのが一般的です。それ以外に、通夜や式に会葬した人にはお礼状とお印の粗品などを各々に渡します。

家族葬の会葬者が10~20名である場合の飲食接待費用の目安は、20万~30万円です

飲食接待費用の項目 費用相場
通夜振る舞い 2,000~3,000円/名
精進落とし 5,000~10,000円/名
返礼品(会葬御礼や香典返し) 会葬御礼:500~1000円/名
香典返し:香典の1/2~1/3、もしくは一律で3000円相当

飲食接待費用は参列者の人数によって変動します。

宗教者対応費用

家族葬を宗教によって行う場合は、司祭者に際して僧侶ならお布施、他宗教でも謝礼や献金などがかかります神道は神職に、キリスト教は神父、または牧師にお包みします。

日本の葬儀は多く仏式で営まれていますが、その時の「お布施」には読経に対するお礼と戒名などの授与に対する供養料が含まれています。

お布施には、決まった金額はありませんお布施の全国平均は約30万円ですが、戒名のランクや寺院の格式などによって大きく異なります

臨時でワンポイントの読経のみを頼むような場合は5万円前後で済む場合もあるようですが、自坊があり、住職が来られた場合など、一般に30万円~は見ておくと良いでしょう。お付き合いのある寺院に、「謝礼の目安があれば」と直接聞くのがおすすめです。

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家族葬の費用を抑える6つのコツ

費用を電卓で計算する人

突然の身内の不幸の場合、すぐにまとまった金額を用意するのは難しいかもしれません、また用意していたとしても、かけられる費用にも限りがあるでしょう。

費用を抑えて家族葬を行いたい場合に、考えられるコツを6つ紹介します。

①公営の斎場・火葬場を利用する

家族葬の費用を抑えるなら、公営の斎場や火葬場を利用しましょう火葬場には、公営と民営の2種類があります。また火葬場には通夜や式ができる「斎場」を有しているところも多く、それを地域住民はそれを利用することも可能です。公営は各自治体が運営している斎場で、地域住民限定といった利用制限がありますが、民営の場合は誰もが利用できます。

火葬料金などを含めて斎場使用料は公営の方が民営に比べて安く、また式場併設ならば、火葬場への移動費用もかからずに済むのが一般的です。ただし公営の場合は施設利用が重なることも多く、思うような日時で申し込みができないことも多々あります。

また民営の場合は、設備やサービスの点で公営よりも勝っていることもありますが、やはり料金的には割高な設定がなされているのが普通です。

②会葬者を制限する

家族葬に呼ぶ人の範囲に一定の決まりはありません。葬式に参列する人が少なければ、飲食接待費用も抑えられるため、経費は抑えられます

ただし故人が生前に付き合いのあった人の中には、葬儀に参列したかったと感じる人もいるかもしれません。

原則、訃報連絡は社会的マナーです。そのため連絡を制限する場合は、よほど慎重になさねばなりません。あとから関係性が気まずくなることもあります。

③お通夜を省略する

家族葬は基本的に親族や親しい間柄の人に参列者が限定されるため、比較的自由に葬儀形式を決められます。そこで、お通夜を省略して行うのも1つの手です。

お通夜を省略することで、通夜振る舞いの費用を抑えられます。また式場の利用料金や人件費も、抑えられる可能性があるでしょう

またお通夜だけでなく葬儀・告別式も行わない「火葬式」や「直葬」という形式もあります。火葬式・直葬はご遺体を自宅や斎場の安置場所から火葬場に直接運び、火葬する葬儀です。

家族葬に参列する親族の中には、一般的な儀式を省略することに納得しない人もいるかもしれません。トラブルを避けるためにも、事前に親族間の話し合いと合意が重要だと考えましょう

④祭壇を小さくする

相団は段飾りのような白木祭壇が一般的でしたが、家族葬の場合には、棺の両サイドに生花1対と遺影写真、経机のみで済ますこともできます。

そうなると祭壇は小さく安価なタイプでも10万円ほどの費用で済むでしょう。祭壇規模の大小は、葬儀費用の中でも大きな割合を占めます。

家族葬では故人や遺族の希望に添ってプランを選べるため、安価な祭壇を用いるという選択が可能です。

⑤葬祭費・埋葬料・葬祭扶助を利用する

家族葬の費用を補填したいと考える場合は、葬祭費・埋葬料・葬祭扶助の利用を検討しましょう。

制度名 対象者 受給金額
葬祭費 国民保険の被保険者(故人) 1万~7万円(自治体による)
埋葬料 社会保険の被保険者(故人) 5万円
葬祭扶助 生活保護の対象者 20万円ほど(自治体による)

葬祭費は国民健康保険や国民健康保険組合、後期高齢者医療制度に加入していた故人に受給資格がある制度です。自治体または当該の健康保険組合に申請すれば、1万~7万円が受け取れます。給付額は自治体や健康保険組合によって異なり、東京23区で一律7万円です。

埋葬料は社会保険組合や組合管掌健康保険、共済組合の被保険者が、業務外の事由により他界したケースに受給できる費用です。故人の収入によって生計を維持していた場合、被扶養者に5万円が支給されます。受け取るためには、故人が生前に加入していた健康保険組合や、共済組合への申請が必要です。生計同一者ではない方が火葬を行った場合、5万円以下の実費を「埋葬費」として受け取れます。

葬祭扶助は自治体が生活困窮者に対して、最低限の葬儀費用を扶助する生活保護制度の1つです。金額は自治体によって異なりますが、20万円ほどの上限金額の範囲内で、実際に葬祭に要した費用が支給されます。葬祭扶助は主に火葬にかかった費用に対する扶助のため、お布施や納骨費用などには適用されません。

葬祭費と埋葬料は申請してから振り込まれるまでに1カ月程度の時間がかかるため、葬儀費用の支払いには充てられないと考えましょう。葬祭扶助の申請は葬儀の前に行う必要があります。葬儀費用は福祉事務所から葬儀会社に直接支給されます。

⑥複数の業者から見積もりを取る

家族葬にかかる費用は葬儀社のサービス内容によって異なります。費用、内容ともに納得のいく家族葬にするためには、複数社の提案を比較しましょう

ただし時間が限られている中で複数の葬儀会社に問い合わせを行うのは、簡単なことではありません。

ミツモアなら質問形式で必要な情報を入力するだけで、複数の葬儀会社に一括で問い合わせができます。口コミやチャットでのやり取りを確認すれば、信頼できる葬儀社を見つけられるでしょう。

⑦葬儀を生前に予約する

生前に葬儀を予約するのも、費用を抑えるために有効です。葬儀社によっては、生前に葬儀を依頼することで、割引や様々な特典を用意しています。

葬儀の生前予約は「故人の希望に沿った葬儀ができる」というメリットもあります。葬儀形式に本人の意向を反映できるため「もっと本人が望む形の葬儀ができたのでは・・・」という後悔が発生しづらくなるでしょう。

⑧宗教・宗派にこだわらない

仏教で葬儀を行う場合、宗教や宗派によって費用が異なるケースがあります。そのため宗教や宗派にこだわらなければ、葬儀費用が安いお寺に依頼することも可能です。

葬儀社がお寺を選んでくれることが多いので、宗教・宗派は葬儀社に相談すると良いでしょう。場合によっては、地元で費用が抑えられるお寺を紹介してくれる可能性もあります。

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家族葬の費用は誰が払う?

挨拶をする喪主

家族葬の費用は喪主が払うのが一般的です。遺族の代表である喪主は、葬式をとりしきる立場であるため、費用についても把握しているケースが多いためです。

ただし家族葬にかかる費用を支払う人に、明確な決まりはありません。家庭の事情はさまざまで、喪主以外が支払う場合もあります。その場合は喪主以外の、故人の配偶者や子どもなど、親族が支払うケースが多く見られます。

家族葬の費用を払う方法

クレジットカードと財布と電卓
★このカードは本物ではありません。

家族葬を執り行う際、費用の支払いはいつどのような方法で行うのでしょうか。

現金支払いが一般的

葬儀費用は手渡しや銀行振込で支払うのが一般的です。お葬式が終わった後、葬儀会社に指定された期日までに支払います。

葬儀費用の支払いは葬儀が終わってから1週間~10日以内が期日の場合が多いため、直ちに用意する必要はありません。なお支払い期日は葬儀会社によって異なります。

ただし立替金や関係者への不祝儀・心づけ宗教者対応費用は、当日に現金で支払うケースが多いため、事前にある程度現金を準備しておきましょう。

クレジットカードやローンが利用できる

家族葬の費用を、クレジットカードで支払える葬儀社も増えています。クレジットカードで決済すれば、現金を用意しなくても支払いが可能です。また分割払いを選択すれば返済の負担も減らせるでしょう。

カードローンや葬儀ローンを使う手もあります。葬儀ローンとは借入金の用途が葬儀費用に限定されたローン商品です。

審査のスピードが一般的なカードローンよりも早い傾向があるので、当日に現金で渡すお布施や火葬費用にも対応できる可能性があります。

葬儀ローンは、金融機関と葬儀会社が提携して提供するケースが多いため、利用の可否などについては、葬儀会社に確認しましょう。

家族葬を急遽行うことになった場合、費用を用意できない可能性もあります。葬儀費用を期日までに用意できない場合は、クレジットカードやローンを利用した支払いも検討できるでしょう

家族葬の費用に関する2つの注意点

家族葬は一般葬と比べて費用が抑えられるなど、様々なメリットがあります。一方家族葬を行う場合は、注意点も存在します。ここでは家族葬に関する〇つの注意点について紹介します。

①葬儀費用を香典でまかなうのは難しい

葬儀費用を参列者からのお香典で賄おう・・・と考えている方は少なくないと思います。ただ家族葬は、一般葬に比べて参列者が少ないため、お香典の金額が低くなる傾向にあります。

また頂いたお香典の1/3から半額は香典返しで必要になるため、残ったお香典で葬儀費用を賄うのは難しいでしょう。

お香典をあてにし過ぎず、家族葬にはある程度の費用が掛かると考えておきましょう。

②定額プランの場合は内容を細かくチェックする

多くの葬儀社が提供している定額プラン。家族葬においても定額プランでお願いしよう、と考えている方は少なくないでしょう。定額プランは葬儀に必要な内容がセットになっているため、葬儀の経験が無く手順や必要なものが分からない場合でも利用しやすい、というメリットがあります。

一方で、定額プランには葬儀の内容に制約があるというデメリットもあります。プランによっては参列できる人数が限られていたり、オプション費用が別途掛かったりします。

「想定していた葬儀の内容とプランが異なり、思うような家族葬が実施できなかった」といった事態にならないようにするためにも、定額プランで依頼する場合は「見積もり」と「プランの内容」を細かくチェックするようにしましょう。

気になることがあれば、すぐに葬儀社に連絡するのがおすすめです。

家族葬を行うために確認しておくべきこと

ここでは、家族葬を行う前に確認しておくべきことを紹介します。

家族葬に掛けられる費用

まず確認しておくべきことは、どのくらいの金額を葬儀で使えるのかです。家族葬は一般葬に比べて費用が安いとはいえ、ある程度のまとまったお金が必要です。

予算によって葬儀プランが変わってくるので、葬儀社との打ち合わせのタイミングで、予算内で依頼できるプラン内容を確認しておきましょう。

家族葬は参列者が一般葬に比べて少なく、お香典をあてにできないため、前もって準備できる予算額が重要になってきます。早めに葬儀にどのくらい掛けられるのか確認しておくと、余裕を持って葬儀に臨めるでしょう。

家族葬への参列者数

家族葬へ参列する人数も、事前に把握しておくのがよいでしょう。葬儀の費用は、参列者数によって変動します。人数をある程度確定しておかなければ、葬儀費用が確定せず、場合によっては予算を大幅に上回ってしまう、といった事態も発生しかねません。

予算内で葬儀を行うためにも、家族葬への参列者数は、事前に確定させておくとよいでしょう。

また場合によっては、故人の友人が家族葬と知らずに訪問してくることもあります。参列予定者数に余裕を持っておくと、そのようなケースでも対応できるでしょう。

遺族と参列者のスケジュール

家族葬を行う際は、遺族・参列者のスケジュールを前もって確認しておきましょう。早めに確認しておくことで、家族葬を円滑に実施することができます。

参列者が都合の良い日時に家族葬を行うことで、本当に参列してほしい故人の友人・遺族に参列してもらいやすくなるでしょう。

家族葬の費用相場を知って納得のいく葬儀を

葬儀の祭壇

家族葬にかかる費用は一般葬よりも安い傾向ですが、トータルの支出を考えると費用を抑えられるとは言い切れません。

家族葬に限らず、お葬式を執り行う際は事前に見積もりをしておくと、実際に支払う金額とギャップが少ないでしょう。

ミツモアなら無料で、複数の葬儀社から一括見積もりができます。納得のいく家族葬を執り行うためにも、ぜひ活用してみてください。

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監修者:二村 祐輔

日本葬祭アカデミー教務研究室 代表
『葬祭カウンセラー』認定・認証団体 主宰
東洋大学 国際観光学科 非常勤講師(葬祭ビジネス論)

著書・監修

  • 『60歳からのエンディングノート入門 私の葬儀・法要・相続』(東京堂出版) 2012/10/25発行
  • 『気持ちが伝わるマイ・エンディングノート』 (池田書店) 2017/9/16発行
  • 『最新版 親の葬儀・法要・相続の安心ガイドブック』(ナツメ社) 2018/8/9発行
  • 『葬祭のはなし』(東京新聞) 2022年現在連載

など多数

コメント
お葬式費用に関するポイントは、総体金額の把握です。規模の大小はともかく、いったい全体でどのくらいの経費が掛かるのかをつかんでおかなければなりません。お葬式費用には大きく3つの要素があります。式施行にかかわる経費、飲食接待の経費、そうして宗教者への経費です。実にこのバランスが重要で、私独自の経験から、それぞれを3分の1見当で考えておくと良いと思っています。加えて葬儀後の納骨やその時の法要も考慮しておくべきです。