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ロゴの商標登録の方法は?文字商標との違いを解説

最終更新日: 2023年01月06日

ロゴは、あなたの会社を他社と差別化するための、大切な目印です。もしも、会社と一心同体の存在ともいえるロゴが無断で使用されてしまったら、築いてきた会社への信頼を失うことにもなりかねません。

そして、そんな無断使用や模倣に対抗するには、商標登録が有効です。ロゴを商標登録するメリットや具体的な方法、商標登録を弁理士に依頼するメリットなどを、詳しくお伝えします。

ロゴの商標登録はいいことづくめ?メリットを解説

社名を商標登録するメリットは

企業の社名やロゴは、ブランド価値を高めることができる重要な財産です。しかしロゴなどの権利を守るためには、ただ作成して公開するだけでは不十分。ロゴの権利保護に必要なのが、商標登録です。ロゴや社名を商標登録することで、他の企業がそれらを無断使用したり模倣したりするのを防ぐことができます。本項では、ロゴを商標登録することに、どのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。

ロゴが生み出す利益は製作者のもの

企業のロゴが消費者に認知されるようになると、そのロゴにファンがつくようになります。商品の価格や機能だけではなく、ロゴを見て「このロゴの商品だから買おう」と考えるお客さんが出てくるのです。すると会社の売上向上が期待できますし、企業としての信用力も高まります。

ところがロゴが他社に無断で使われたり模倣されたりすると、そのロゴによって本来自社が得られるはずだった価値の一部が奪われることに。結果として自社の利益も減ってしまいます。

似たロゴの使用差し止めができるようになる

ロゴが生み出す利益を守るには、商標登録が効果的です。ロゴを商標登録すると、他社に似たロゴを使用されたとき、使用差し止めの請求ができるようになります。差し止め請求をしたのにも関わらず、無断使用が止まらなければ、裁判で訴えることも可能です。また、模倣によって生じた不利益に関して損害賠償請求をすることもできるようになってきます。

商標登録はロゴを使用を独占的に認めて、他社の使用を禁止する非常に強い権利です。企業のブランドを法的に守る上ではとても効果的なオプションだと言えます。

社名の商標登録はロゴと文字をまとめられる

社名の商標登録は3パターン

社名を商標登録する場合、以下の3つの選択肢があります。

  • ロゴのみを商標登録する(文字商標)
  • 文字のみを商標登録する(図形商標)
  • ロゴ+文字を組み合わせて商標登録する(結合商標)

社名だけ、ロゴだけではなく、ロゴと図形を組み合わせての商標登録という手段もあるのです。

そして、それぞれにメリット・デメリットがあるので、一概にどれが良いとは言えません。本項では、上記3つの選択肢の概要について、例を用いてご説明します。

ロゴ(図形商標)の商標登録とは

バンダイナムコ ロゴ
バンダイナムコ ロゴ(公式サイト:https://www.bandainamco.co.jp/)

ここでは例として、バンダイナムコホールディングスの商標登録を取り上げてみたいと思います。ロゴのみ(図形商標)の商標登録とは、上の画像のように、図形を用いた独自デザインのロゴだけを商標登録として申請することです。ロゴ以外の部分は登録商標に含まれません。

ロゴは視覚的にわかりやすいため、一度消費者に覚えてもらえると、大きな効果が見込めます。その一方、マーケットで浸透するまでに時間がかかるのが難点です。

文字の商標登録とは

バンダイナムコ 社名商標
バンダイナムコ 社名商標

上記画像のように文字だけ、つまり社名だけを商標登録することもできます。この場合、ロゴには商標登録による権利保護の範囲が及びません。文字だけの商標登録は視覚的なインパクトはないものの、お客さんに覚えてもらいやすく、比較的浸透が早いのが特徴です。

ロゴ+文字の商標(結合商標)登録とは

バンダイナムコ 社名+ロゴ商標
バンダイナムコ 社名+ロゴ商標(公式サイト:https://bandainamcotec.co.jp/)

「文字だけ」「ロゴだけ」ではなく、文字とロゴを上記画像のように組み合わせた商標(結合商標)についても、商標登録が可能です。この場合、ロゴと文字がセットになったものがひとつの登録商標として扱われます。商標登録では1度の申請につき1つの商標しか登録できないので、セットで登録した場合は、ロゴと文字が個別の商標として認められることはありません。

つまり、社名のみの模倣やロゴのみの模倣については、対抗できないことになります。

ロゴの商標登録は社名と一緒か別々どちらが良い?

社名とロゴの商標登録は組み合わせと別々どちらがよい?

前項でご説明したとおり、企業が自社のロゴを商標登録するには「ロゴと社名(文字)をセットで登録する」方法と「ロゴと社名を個別に登録する」方法があります。この2つにはそれぞれメリットとデメリットがあり、どちらが良いかはケースバイケースです。本項では、両者のメリット・デメリットを複数の観点から比較していきます。

ロゴ・社名別々に商標登録した方が強く保護できる

商標権の強さという観点から見てみると、ロゴと文字をそれぞれ単体で商標登録したほうが、模倣されるリスクは低減できます。

たとえば、自社のオリジナルロゴを模倣したものを、競合他社であるA社に使用されたとしましょう。この場合、ロゴだけを単体で商標登録していれば、「A社が使っているロゴはうちのロゴの模倣である」ということを比較的容易に主張できます。

ところがロゴと文字をセットで登録していると、A社に「文字の部分は使っていないのだから、全体としては類似していない」と主張する隙を与えることになってしまうのです。

そのためロゴと文字を個別に商標登録しておいたほうが、ロゴを真似された場合も社名を真似された場合も、裁判でより有利になります。

商標登録費用は申請した分だけ必要に

商標登録の手続きや登録には申請費用や弁理士への依頼費用など、それなりの費用がかかります。ロゴと社名を一緒にセットで商標登録すれば1つ分の料金しかかかりませんが、それぞれ個別に登録する場合は、商標登録2つ分の費用が発生します。

つまりロゴと社名を個別に商標登録するとお金が2倍かかるということなので、予算面がネックになるケースもあるでしょう。

商標審査を通過する難易度

ロゴの商標登録やロゴ+文字の商標登録は、比較的商標審査を通過しやすいと言われています。これはオリジナリティが見た目的にわかりやすく、独自性が容易に識別できるためです。

ところが文字のみの商標登録は、ロゴに比べると審査通過の難易度が上がります。なのでロゴと文字をそれぞれ別々に商標登録出願した場合、文字のほうだけ審査落ちしてしまうというリスクを考えないといけません。

将来変更の可能性も考慮する

ロゴを将来的に変更する可能性があるなら、ロゴ変更時のコストについても考えておく必要があります。商標登録したロゴを変更する場合、改めて商標登録の申請をしなければいけません。

もちろんその分、手間や諸々の費用がかかってきます。将来的なロゴ変更の可能性が高いのであれば、社名(文字)だけを商標登録するというのもひとつの手です。

ここまで社名とロゴをセットで登録するメリットと、個別にそれぞれ登録するメリットを見てきましたが、大事なのは「実際に普段使う形態で商標登録する」ということです。

日本の商標法では、「継続的に3年以上国内で使われていない登録商標は、取り消される可能性がある」ということが定められています。

なのでせっかく商標登録しても、それが普段使用しない形態で登録されているのであれば、取り消しの対象になってしまうリスクがあるのです。

つまり普段ロゴだけで使用するのであればロゴ単体の商標登録をすべきですし、通常ロゴと社名を一体で使用するのであればロゴ+文字のセット(結合商標)で商標登録するのがベストということになります。

社名・ロゴ3種類の商標登録 要点を整理

ここまで、社名の商標登録に関する権利の強さや、登録の難易度に着いて説明してきました。

それぞれの要点をまとめましたので、以下の表をご覧ください。

 権利の強さ登録の難易度浸透性
ロゴのみ(図形商標)
社名のみ(文字商標)
社名+ロゴ(結合商標)

社名(文字)商標は登録の難易度が高いものの、模倣にも強く将来的なロゴ変更にも容易に対応できます。また、世間に浸透しやすいというメリットも。

ロゴ(図形)はユーザーへ知れ渡るまでに時間がかかるものの、1度認知されれば長く覚えてもらえるようになるというメリットがあります。ただし、似たようなイラストで模倣されてしまうというデメリットもあります。

社名+ロゴ(結合商標)はもっとも商標登録の難易度が低く、社名とロゴを1度に登録できるので登録費用も抑えられます。ただし、社名のみ、またはロゴのみの模倣いずれにも対応できないという弱点も。

費用かかりますが、確実に商標を保護するのであれば、社名とロゴをそれぞれ別個に商標登録するべきでしょう。

ロゴの商標登録方法

ロゴの商標登録の方法は?

商標登録をするには、それなりの準備と手続きが必要です。商標登録の流れを簡単にまとめると、以下のようになります。

  • 商標登録しようとするロゴがすでに登録されていないか、事前に「商標調査」をする
  • 出願書類を準備し、商標登録を申請する
  • 特許庁の審査が完了するのを待つ
  • 審査の結果、一発登録が拒否された場合は、申請書類の修正や意見書の提出などによって対応する
  • 審査で商標登録が認められたら、登録料を支払う

商標登録の詳しい手順や出願方法については、以下の記事で詳しく解説しています。

また、商標登録の方法については、関連記事:商標登録の方法とは?自分で出願or弁理士に依頼のどちらが良い?ご参照ください。

ロゴの商標登録は弁理士に相談を!

ロゴの商標登録は弁理士に相談を

企業のロゴの権利や商標登録は、法的な知識が必要とされる専門的な領域です。そのためロゴの商標登録を検討するのであれば、この分野のプロフェッショナルである弁理士に相談するのがおすすめ。弁理士に相談することで、様々な法的トラブルを回避できるのです。本項では、ロゴの商標登録について弁理士に相談するメリットをご紹介します。

弁理士に相談すれば手続きを一任できる!

商標登録には、多くの書類作成と煩雑な手続きが必要です。法的知識も要求されるため、素人が自分だけで無事商標登録の完了までこぎつけるのは簡単ではありません。弁理士に商標登録の相談をすれば、こうした複雑な手続きをすべて一任できます。

また、事前に会社のロゴが模倣されやすいかどうか、審査に通る可能性がどれくらいあるかどうかなど、専門家の視点から具体的なアドバイスもしてくれます。会社の大切な権利を守るためにも、ロゴの商標登録に際しては弁理士に一度相談してみるのがいいでしょう。

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