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シロアリの女王の生態を解説!繁殖の仕方や駆除方法を知って根絶を

最終更新日: 2023年03月31日

床下や家の基礎を侵食するシロアリ。巣を作られるとどんどん繁殖して増えます。繁殖の源である女王アリの生態とともに、根絶に効果的な方法を解説します。

シロアリの女王の寿命は?

シロアリの女王アリは働きアリや兵アリよりも長く、10~20年ほど生きます。寿命を迎えると最期は働きアリのエサとなり、生きたまま食べられてしまいます。

シロアリの女王はどこにいる?

普段シロアリの女王はオスの王アリと巣の中で暮らし、働きアリの運んできたエサを食べて生きています。女王アリを見るには、巣を掘り起こすしかありません。

シロアリ(白アリ)の生態とコロニー

女王アリの見た目・特徴

シロアリ 女王

シロアリの女王が成長すると、腹部のみ極端に成長します。上画像の白くて大きいのが女王アリです。一見しただけで見分けられますね。

腹部の大きさだけで1cm以上にもなり、体の3分の1以上の割合です。また女王アリと羽アリとを比べると、およそ3倍以上も体格差があります。

以下は、「ヤマトシロアリ」と「イエシロアリ」の女王アリ・羽アリの大きさを比較した表です。

ヤマトシロアリ イエシロアリ
女王アリの大きさ 15mm~ 30mm~40mm
羽アリの大きさ 5~7mm 7~8mm

常に腹部に数多くの卵を入れておく必要があるため、体が他の階級のシロアリよりも長さも太さも大きいです。またカブトムシの幼虫に似ています。

またイエシロアリは、ヤマトシロアリよりも大きく、その分産卵する数も多いです。しかしヤマトシロアリが巣を移動することに対して、イエシロアリは移動しません。

イエシロアリとヤマトシロアリを見分けたいときは、羽アリをみることがポイント。体が黒色をしているとヤマトシロアリで、イエシロアリは茶褐色をしています。

シロアリはゴキブリと同系統

シロアリ

その名称からシロアリをアリの1種と思っている人も多いですが、そうではありません。実は2種ともまったく無縁で、クロアリはシロアリにとって天敵となるほどです。

シロアリとクロアリとの分類・見た目の違いは以下です。

シロアリ クロアリ
分類 ゴキブリ目シロアリ科 ハチ目アリ科
形状(胴体) くびれがなく、寸胴型 腹柄節があり、くびれがある
羽の形 4枚とも同じ大きさ 前が大きく、後ろが小さい
触角の形状 直線に伸びている 「くの字」に曲がっている

シロアリは「ゴキブリの仲間」で、アリは「ハチの仲間」です。このことから、まったく異なる種であることが分かるでしょう。また分類が異なるだけではく、駆除に使うときの殺虫剤の成分も異なります。

実はよく見ると、見た目も大きく違います。シロアリにはくびれがありませんが、クロアリには腹柄節というくびれがあります。胸部と腹部とで2節に分かれている体形です。

ヤマトシロアリという「黒い」シロアリもいるので注意が必要です。個体の形状や羽の形、触角の形状も異なるので、細かく観察すればその差異がよく分かります。

ゴキブリは生命力が強いことでも有名ですが、シロアリもやはり生命力・繁殖力ともにかなりしぶとい虫です。

ちなみにシロアリがゴキブリから派生したのは約3億年前とされています。クロアリが誕生するはるか以前です。

シロアリ社会は女王アリが中心の階級社会

シロアリ 階級社会

女王を中心とする階級社会を構築している点は、クロアリと共通しています。しかしシロアリの場合は、女王アリと王アリだけでなく、副女王・副王までいるのです。

シロアリの階級社会は以下のように構築されています。

  • 「生殖階級」(女王アリ・王アリ)
  • 「副生殖階級」(副女王アリ・副王アリ)
  • 「職アリ階級」
  • 「兵アリ階級」

女王と王の役割は生殖で、幼虫を生み出すことが使命です。シロアリはクロアリと違い、1回の交尾で十分な数の産卵ができません。そのため女王と王は常に一緒に暮らし、交尾をしています。

また副生殖階級には、女王・王の候補となるニンフ(幼虫)がいます。ニンフは副女王と副王とも呼ばれ、女王と王が死んだときのための交代要員です。ただしそのうちの多くは、羽アリに成長します。

職アリ階級は別名「働きアリ」とも呼ばれ、ひとつのコロニーにおいて95%ほどを占めています。エサの確保をはじめ、巣作りや巣の掃除を行いながら、女王アリや王アリ、兵アリ、幼虫にエサを届けるのです。

兵アリ階級は巣を外敵から守ることが任務です。戦闘に役立つように、頭部の先端がツノのようにとがっており、それで敵を攻撃しています。戦うことが使命なので、自分ではエサを採取できません。

シロアリの女王の役目と寿命

シロアリの女王は交尾と繁殖が役割

シロアリ 女王 卵

女王の最も重要な役割は交尾であり、繁殖にほかなりません。常に王アリと共に生活し、繁殖に励んでいるのです。

シロアリは毎日休むことなく産卵します。一般的な昆虫であれば、1回の産卵ごとに一定の期間は休息するものです。しかしシロアリの女王にはそのような休息はありません。

ヤマトシロアリは1日25個以上の卵を毎日産み続けます。年間で換算すると9,000個ほどです。またイエシロアリの場合は、1日300個と言われ、年間100,000個ほどの卵を産みます。

このようにイエシロアリのほうが産卵する数は多いです。しかし厄介さで言えば、どちらも引けを取りません。

ヤマトシロアリは巣を作らないので、自由に移動することができます。移動を繰り返して副女王を産み、巣を拡大させていくのです。

数匹しか見かけなかったシロアリが、瞬く間に大群となり、1軒の家を食いつくしたという例があるのは、その繁殖力によるものです。

寿命はいつ?仲間のエサとなる哀れな女王の最期

女王アリの寿命は約10~20年。他の階級のシロアリが約2年ほどなので、シロアリのなかでも長寿です。ちなみに王アリは最も寿命が長く、数十年にわたって生き続けます。

10年もの長きにわたり働きアリに食べ物を運ばせ、いつもオスと暮らしていると聞くと、一見優雅な暮らしに思えるかもしれません。しかしその間には休むことなく交尾をし、卵を産み続けなければならないのです。

コロニーの繁栄は女王の繁殖力にかかっているといえ、重大な任務を背負い、日々生殖活動に励む女王は、激務の中で生きているといえるでしょう。

寿命を迎えた女王は、仲間である働きアリのエサとなり、生きたまま食べられます。悲惨な最期のように思えますが、シロアリの社会では当然の行動なのです。

量産される女王の実態

女王が死んだときの代わり、遺伝子を引き継ぐ「副女王アリ」

白蟻 女王

女王アリが死んでも、巣は崩壊しません。死んだ後、代わりとして副女王アリが新たな女王となり、コロニーのトップに座ります。そして前女王と同じく常に王と生活し、産卵をし続けるのです。

また副女王アリは、「単為生殖」によって生まれたニンフが成長して誕生します。他のシロアリは、オスの精子を受精した「有性生殖」です。

ニンフは、オスの精子と受精することなく生まれたため、遺伝的にみると「女王のクローン」のような個体。分身として生まれた副女王アリのみ、女王を継承する資格が与えられます。

このように女王だけでもクローンを作って増殖することができますが、王の存在がまったく不要というわけではありません。女王アリが死んだとき、王アリがニンフに働きかけることでホルモンが分泌され、女王アリに育つのです。

新たなコロニーを形成する「羽アリ」

ヤマトシロアリ 羽アリ

巣の中の個体数が定員を達したとき、巣の中では「ニンフ(女王のクローン)」が羽アリに成長し、空中へと一斉に羽ばたきます。これはシロアリの「群飛(ぐんぴ)」という現象です。

群飛によって巣を飛び立つ羽アリは、将来、女王や王になる可能性を持った存在です。自らの集団を作ることを目指して、コロニーから巣立っていきます。

群飛するとき羽アリはペアを探し求めます。無事パートナーを見つけ、羽がなくなると、女王と王は巣を作る場所を探すのです。ちなみにこのとき王は、女王の後ろにくっつき、1列に並んで行動します。これは王が女王のお尻を追う追尾行動です。

また羽があるから羽アリといいますが、飛んでいるわけではなく、実際は風に流されている程度です。そのため着地した場所も決められず、鳥や虫に狙われたら逃げきれません。営巣できる羽アリはほんのわずかなのです。

関連記事:家に羽アリが大量発生する原因と対処法!巣が作られやすい条件を知って予防・駆除しよう|ミツモア

シロアリを根絶する方法

女王アリを捕まえても巣は滅ばない

シロアリの集団

女王を殺しても副女王が後を継ぎ、産卵します。そのため女王を殺すだけでは巣は滅びません。

シロアリの女王アリを趣味で飼いたい場合や、自由研究などに使いたい場合、捕獲するにはシャベルで巣を丸ごと掘り出すやり方法がもっとも手っ取り早いです。シロアリの大群のなかでも異質なサイズ・見た目なのですぐに判別できます。

あるいは群飛によって飛び立った羽アリの中から、翅(はね)が取れた固体を捕獲する方法もあります。

庭の地中から巣を探し出すには、日のよく当たる温かい建物の南側よりも、日照時間が短く湿りがちな北側を探す方が見つかる可能性が高いといえます。

コロニー根絶の鍵は王アリの捕獲

シロアリ 駆除

根絶を狙ううえでは繁殖を担う「女王」と「王」を意識することが重要です。より厳密にいえば、女王よりも王の駆除が効果的といえます。

「卵を産むのは女王なのに?」と意外に思う人もいるでしょう。しかし女王がいなくなれば、副女王が新たに女王を生み、コロニーを引き継ぎます。そしていずれまた繁殖をもたらすのです。

王アリは数十年生きるほど長寿ですが、単為生殖で自ら副王を産むことができません。なので王を仕留めてしまえば、そのコロニーでは女王と生殖活動ができるオスがいなくなります。それゆえ巣の根絶には王の駆除が有効なのです。

巣ごと駆除するのがベスト

シロアリ被害の壁

シロアリを徹底的に撃退したいなら、やはり巣ごと駆除してしまうことが望まれます。巣が残ったままだと、新たな女王アリや王アリが再び多くのシロアリを繁殖させてしまう可能性があるからです。

女王アリや王アリをすぐに駆除できればよいのですが、それほど簡単ではありません。そこで有効な手段がベイト工法です。

薬剤を含んだエサ(ベイト)を仕込むことで、それを食べた固体を駆除します。またその死骸を食べた仲間も徐々に連鎖して駆除していけるため、巣全体の駆除が期待できるのです。

自力ではなかなか根絶することが難しいので、シロアリ駆除はプロに依頼するのが確実です。以下の記事ではシロアリ駆除の費用相場や、業者の選び方を解説しています。

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この記事ではシロアリの女王について、見た目の特徴や生態、兵アリとの違いなどを紹介してきました。

シロアリの女王だけを駆除しても、たくさんのニンフ(副女王)がいるので、根本的な解決にはなりません。巣やコロニーをまとめて退治するのが最も有効です。

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