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入母屋屋根とは?日本の伝統的な屋根のメリットとデメリット

最終更新日: 2021年07月01日

住居を建てる際に、決めるべき重要なポイントの1つが屋根の形です。さまざまな種類の形状がある中で、どのような屋根を選べばよいのでしょうか。

そこで日本建築に採用されることが多い入母屋屋根について、特徴やメリット・デメリットを解説します。

入母屋屋根とは?

長い屋根

そもそも「入母屋屋根(いりもややね)」とはどのような屋根を指すのでしょうか。まずは入母屋屋根の具体的な特徴について解説をしていきます。

切妻屋根と寄棟屋根が複合したもの

入母屋屋根は「切妻屋根」の上部の形状と「寄棟屋根」の下部の形状が重なり合うように複合されており、重厚な見た目が特徴です。

一般住宅だけでなく社寺建築にも多く見られ、東アジア全域で用いられています。日本でも伝統的な屋根様式といえるでしょう。

もともとは日本瓦で造られる場合が多かったものの、近年は低コストな屋根材を使うケースも増えており、再び需要が高まりつつあります。

そもそも切妻屋根と寄棟屋根とは?

入母屋屋根の上部にあたる切妻屋根は、三角屋根とも呼ばれ、本を伏せたような形状をしたシンプルな屋根です。2つの屋根面の交わる最上部には大棟が通っています。通気性に優れている点、屋根裏を広く使える点がメリットです。

対して、寄棟屋根は最上部に切妻屋根と同じく1本の大棟があり、そこから四隅に1本ずつの下り棟が伸びています。4方向に屋根面がある構造のため、耐久性・耐風性に優れた屋根です。

入母屋屋根では、4方向の屋根面の上に切妻屋根の2方向の屋根面が重なっています。両者の特徴を兼ね備えた贅沢な屋根といえるでしょう。

入母屋屋根のメリット

日本の屋根

入母屋屋根には他の屋根と比べてどのようなメリットがあるのでしょうか。代表的な3つのメリットについて深掘りしていきます。

和風で高級感のある外観

古くから格式高い屋根様式とされてきた入母屋屋根は、日本古来からの屋敷を彷彿とさせる高級感のある外観が魅力といえます。ダイナミックな構造や複雑な瓦の並びには、時間を忘れて見とれてしまうという人も少なくありません。

また田園地帯や情緒のある町並みなど、日本ならではの風景にもよくなじみ、和風建築との相性も抜群です。

デザイン性にこだわりたい人、日本らしさを重視したい人には、特におすすめの屋根といえるでしょう。

高い耐久性

入母屋屋根は寄棟屋根の耐久性・耐風性を引き継いでおり、4方向をカバーする屋根面によって、風の影響を受けにくいのが特徴です。強い風や台風が多い地域の住居にも、安心して採用できるでしょう。

また全方向からの雨を防ぐことで、外壁の腐食や塗装の剥がれの予防にも効果的です。劣化によるメンテナンスの手間や費用を抑え、きれいな外観を長期間にわたって保ちます。

通気性が優れている

切妻屋根の特徴を持つ入母屋屋根は、高低差のある構造によって屋根裏が広く設けられており、通気性が優秀なのもメリットです。効率的な空気の循環が作り出されるため、換気性能に優れ、ダニやカビの発生・建物の腐食・生活臭などを防ぎます。

また風通しがよく、夏の暑い日でも清涼感のある暮らしを実現できるでしょう。一方で広い屋根裏が室温を屋外に逃さないため、冬は暖かいのもうれしいポイントです。季節を問わず、光熱費を削減して快適に過ごせます。

入母屋屋根のデメリット

古い建築物

切妻屋根と寄棟屋根のメリットを兼ね備える入母屋屋根ですが、構造上いくつかデメリットもあります。実際に住居に採用してから後悔することのないように、あらかじめ把握しておきましょう。

複雑なためコストが高い

入母屋屋根は構造が複雑なため、工期が長くなり人件費がかかる上に、そもそも扱える職人があまり多くはありません。屋根面積が大きくなる分の材料費も相まって、他の屋根と比べるとどうしてもコストが高くついてしまいます。

また最初の導入費用だけでなく、メンテナンスやリフォームの際にも、やはり高い費用が必要です。

長期的な視点で考えたときトータルでかかるであろう費用の想定と、デザインや性能などのメリットを秤にかけた上で、導入すべきかどうか検討しましょう。

雨漏りが発生するリスク

入母屋屋根は複雑な構造により、「合わせ」と呼ばれる各部品の接合部分が多いのも特徴です。この合わせには小さな隙間が生じやすいため、そこから雨漏りが発生するリスクがあります。

雨漏りが発生した場合、ピンポイントで原因を特定するのは簡単ではありません。補修を行うための調査費用も割高になりがちです。

雨漏りのリスクは、職人の設計の緻密さや施工技術によっても変わります。確かな実績があり口コミによる評価が高い企業を選ぶなど、職人選びはできるだけ慎重に行いましょう。

屋根が重いため耐震性に不安がある

2種類の屋根を複合する入母屋屋根はその構造上、他の屋根と比べてどうしても重くなります。さらに主に使われる日本瓦を合わせると、その重量は相当のものです。

大きな地震に際して建物が屋根を支えきれずに崩壊したり、屋根材が崩れ落ちてしまったりする可能性もゼロではありません。

ただし最近は、日本瓦よりも軽量な屋根材を用いて地震対策をするケースも増えています。ストレートやガルバリウム鋼板などの金属屋根を採用すれば、耐震性の向上を図れるでしょう。

伝統的な日本建築に合う入母屋屋根

大きな瓦屋根の建物

入母屋屋根は切妻屋根と寄棟屋根を重ね合わせることで、両者の特徴を兼ね備えた屋根形式です。高級感があり格式高いデザインは、古くから伝統的な日本建築に用いられてきました。

複雑な構造によりややコストが高いものの、耐久性と通気性に優れ、安全で快適な住環境を実現します。

ただし雨漏りのリスクがあるため、職人を吟味した上で依頼するのが重要です。また耐震性を向上させるなら、日本瓦ではなく軽量の屋根材をおすすめします。

屋根の形状は住居の外観だけでなく、住心地をも左右する重要なポイントです。コストや性能を把握した上で、最適な屋根を選びましょう。

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