瓦棒葺きとは屋根を作る際の工程を指し、古い家の屋根によく使用されています。


この記事では瓦棒葺きの特徴やメリット、デメリットを紹介します。瓦棒葺きの特徴を理解し、スムーズにリフォームを進めていきましょう。
「瓦棒葺き」とはどんな工法?

瓦棒葺き(かわらぼうぶき)とは、どのような工法を指すのでしょうか?自宅に適した屋根を採用するためにも、まずは瓦棒葺きの基礎知識を確認しましょう。混同されやすい「立平葺き(たてひらふき)」との違いも解説します。
金属の屋根材を施工する際に使う
瓦棒葺きとはトタンやガルバリウム鋼板といった金属素材を使って、屋根を作るときに採用される工程の一つです。頂点からの傾斜に沿って「瓦棒」と呼ばれる木材を打ち付け、上から金属性の屋根材で覆います。
瓦棒葺きの屋根にはつなぎ目が少なく、雨漏りに強いのが特徴です。戦後の時期に作られた住宅では、多く採用されています。金属製で波のような凹凸があるため、瓦棒が使われた家は見分けやすいでしょう。
名前に「瓦」とは入っているものの、瓦棒葺きで作られた屋根に瓦は使われません。あくまでも屋根材は金属のため、瓦屋根と混同しないように注意しましょう。
立平葺きとの違い
「立平葺き」も瓦棒葺きと同様、屋根材には金属を使います。しかし瓦棒葺きと違って下に木材の瓦棒は設置しません。立平葺きはよりシンプルな構造で、施工に手間がかからないのが特徴です。
見た目にも波状の凹凸はありません。一般的な屋根作りは工事現場で家の形に合わせて屋根材を整えますが、立平葺きは工場内で整形した屋根材を使います。現場では貼り付けるだけで施工が終わるため、工事の期間が短く抑えられるのも強みです。
定期的なメンテナンスが必要
瓦棒葺き屋根のメンテナンス方法は、劣化や損傷の状態によって変わります。修繕方法として挙げられるのは、「塗装」「部分補修」「重ね葺き」「葺き替え」の4種類です。
塗装は色あせを補修する作業で10年に1回を目安に行います。破損した部分が小さい場合は部分補修を施し、表面の劣化が進まないように食い止めます。破損を放置せずに対処しておけば、少額で補修できるでしょう。
ひどく劣化した瓦棒葺きの屋根には、重ね葺きで対応します。元からある屋根材の上に新しいものをかぶせるため「カバー工法」とも呼ばれており、比較的費用を抑えて補修できる工法です。
あまりにも深刻な状況であれば、古い屋根材を取り除く葺き替えを行います。費用はかかりますが、重ね葺きと違って重量が増えないため住宅にかかる負担を減らせる方法です。
瓦棒葺き屋根のメリットとデメリット

瓦棒葺きで作られた屋根には、構造や特徴から他の種類とは違うメリットやデメリットがあります。仕上がりに後悔しないよう、強みと弱みどちらも押さえた上で工法を選びましょう。
家への負担が少なく安価
瓦棒葺き屋根に使用するトタンやガルバリウム鋼板といった金属製の屋根材は、重量が軽いため家への負担を減らせます。
地震が起きたとき揺れにくくなる、雪の重みで屋根が崩壊するリスクが下がるというメリットが代表的です。つなぎ目の少ない瓦棒葺き屋根は雨漏りにも強く、浸水により負担も軽減できます。
工事費用が比較的安く済むのも瓦棒葺きを採用するメリットです。瓦と違って1枚ずつ手作業で行う必要がなく、金属製の屋根材を貼り付ければ施工が終わります。工期が少ない分だけ人件費も抑えられ、工事全体にかかる費用が低くなるのです。
木材の「瓦棒」が腐食しやすい
瓦棒葺き屋根の内部に使用する瓦棒は木材でできており、雨水にぬれると腐食する恐れがあります。金属製の屋根はつなぎ目なく覆われていて、基本的には雨漏りに強いものです。しかし軒から雨水を吸って瓦棒が浸水してしまう可能性はあります。
雨水を吸った瓦棒には湿気がたまり、腐りやすいだけでなく強度も落ちてしまうのです。瓦棒は屋根を支えるパーツのため、雨水からダメージを受けると屋根が強風で吹き飛ばされる危険もあります。
瓦棒は内部にあり外からでは状態を確認できません。定期的に屋根の点検を頼み、腐食や劣化が進んでいないか確かめておくと安心です。
瓦棒葺きが採用される屋根材の種類

瓦棒葺き工法に使用される屋根材は、「トタン」と「ガルバリウム鋼板」が一般的です。それぞれの特徴を確認した上で、よりメリットが大きい素材を選びましょう。
薄い鉄板を重ねた「トタン」
トタンとは鉄板を亜鉛メッキで加工したもので、工事費用を抑えやすい点が特徴です。安く手に入るため材料費が低く、工事自体もシンプルで大きなコストをかけずに施工できます。
軽量なトタンで作った屋根は耐震性があり、家への負担が少ないのも強みです。ただし鉄板の性質から断熱性が低く、家の中に熱がこもりやすい点はデメリットです。
特に夏場は室内の温度が上昇しやすくなるため、断熱材を使用して室内に熱がこもらないような工夫が必要になります。
耐久性の高い「ガルバリウム鋼板」
亜鉛やアルミ・シリコンを混ぜた合金で、鉄板にメッキを施したのがガルバリウム鋼板です。トタンと比べて耐久性に優れていますが価格に大きな差はないため、ガルバリウム鋼板を選ぶ人が増えています。
ガルバリウム鋼板はサビに強いのが特徴ではあるものの、傷が付くとサビやすくなってしまう点に注意が必要です。定期的なメンテナンスを施していれば、サビの発生を抑えられます。
トタンと同じくベースは鉄板であり、遮熱性は低めです。気温の上がる季節に健康を害さないよう、断熱材や室内設備の工夫で適温を保ちましょう。
瓦棒葺きの特徴を知って施工しよう

瓦棒葺きとは木材である瓦棒と、トタンやガルバリウム鋼板といった金属性の屋根材を使用して屋根を作る工法です。戦後の家でよく使用されたため、特に古い家で多く見られます。
安く施工できて住宅への負担が軽い瓦棒葺き屋根は、地震や雨漏りに強い屋根を低コストで設置したい人におすすめです。金属の性質から熱がこもりすぎないようにするには、断熱材を併用します。
木でできた瓦棒は軒から水を吸ってしまうと腐ったり、もろくなったりします。定期的に屋根材の下の状態を確認した上で、状態に応じたメンテナンスを施しましょう。
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