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野地板の役割とは?種類別の特徴やメンテナンスの方法も解説

最終更新日: 2024年06月28日

野地板は屋根の下地となる部分で、雨漏りを防ぐ重要な役割を持ちます。大切な家を守るためにも、定期的にメンテナンスを施しましょう。

野地板の種類やそれぞれの特徴、劣化や損傷の状態に応じた修繕の方法を解説します。

屋根に使われる「野地板」とは?

家の骨組み

屋根の設置や修理のときに必要となる「野地板」には、どのような役割があるのでしょうか?屋根のうちどの部分使われ、劣化するとどのような影響が出るのかを紹介します。

屋根材を支える下地

「野地板(のじいた)」は1番上に貼られる屋根材の下に、下地として設置される木材です。垂木(たるき)と呼ばれる骨組みの部分と、雨漏り防止に敷く防水シートの間に設置されます。

野地板が薄すぎると上に瓦や太陽光パネルを固定したとき、穴が空いてしまいます。しかし厚みがありすぎても重みで住宅に負担がかかるため、野地板の厚さは慎重に決めなければなりません。

また野地板は完成した後に外から見えず、粗悪な板を使われても気づけない場合があります。新築で屋根を設置するときには、野地板の材質や厚さを十分に確認しておきましょう。

劣化すると雨漏りの原因に

一般的な野地板の寿命は約30年です。屋根の下地となる野地板が傷んでしまうと、雨漏りが起こる恐れがあります。築年数や状態をチェックして、定期的なメンテナンスや交換が必要です。

上には屋根材だけでなく防水シートも設置されるため、施工に問題がなければ野地板が雨水にさらされる心配はありません。しかし屋根材や防水シートが何らかの理由で破損すると、野地板まで浸水して劣化や腐食を引き起こします。

雨漏りしているのが一部分の狭い範囲であっても、野地板の腐食は周囲へ拡大して木材建築の骨組みに悪影響を及ぼす危険もゼロではありません。屋根のどこかに問題を発見したら、野地板にもメンテナンスが必要と考えましょう。

主な野地板の種類

建築中の家

野地板に使われる材質には主に三つの種類があります。それぞれどのような特徴を持つのでしょうか?強みや弱みが種類ごとに異なるため、違いを把握して野地板の設置やメンテナンスに役立てましょう。

すき間を空けて設置する「杉板」

杉の木から作られる「杉板」は、築40年以上たった住宅に多く使用されている野地板です。杉材を幅90~120mmの板状に加工して仕上げており、サイズが統一されていないことから「バラ板」とも呼ばれます。

杉板は屋根全体にすき間なく敷き詰めるのではなく、間隔を空けて設置するのが特徴です。空気の通りがよく小屋裏に湿気がたまりにくいだけでなく、杉板自体も水はけがよく長持ちするというメリットがあります。

しかし防水シートが劣化するとすき間から浸水し、雨漏りを引き起こすのがデメリットです。また他の野地板材と比べると強度が低いため、太陽光パネルを設置する家には向きません。

強度が高い「構造用合板」

現在多くの住宅の屋根で使用されているのが、複数のベニヤ板を張り合わせ作られた「構造用合板」です。杉板は細長い板をいくつか用意して施工するのに対して、構造用合板は1枚のパネル状になっています。

構造用合板にもさまざまな規格があるものの、「縦910mm×幅1820mm×厚さ12mm」が一般的です。大きさにバラつきがある杉板より施工が簡単になります。すき間なく設置するため雨漏りを起こしにくく、強度が杉板より優れている点も強みです。

以前は通気性がよくない材質のため湿気がこもり、劣化しやすいのがデメリットとされていました。しかし近年では透湿性の高い防水シートがある、設計時から小屋裏換気が十分に考慮されるなど、通気性の悪さがカバーできるようになっています。

一部地区で義務づけられる「耐火野地板」

「耐火野地板」とはセメントと木片などを混ぜて作る、合板の野地板です。国土交通大臣から火災に30分程度耐えられると認定されています。防音・断熱機能にも優れ強度も高いため、価格は他のものより高い傾向です。

基本的には野地板の種類は自由に選べますが、都市計画において火災の延焼を防ぎたい一部地区では耐火野地板の施工が義務づけられています。耐火野地板を使わなければならないのは、「防火地域」「準防火地域」「屋根不燃区域」に当たるエリアです。

個人の住宅に使う野地板を選ぶときは、特定行政庁によって「屋根不燃区域」と定められた区域に該当するかを確かめる必要があります。住んでいる自治体の都市計画課に問い合わせ、家を建てる場所が「屋根不燃区域」なら耐火性野地板を選びましょう。

野地板のメンテナンス方法は2種類

木造の家

劣化した野地板を放置していると、雨漏りだけでなく家全体のトラブルにつながります。メンテナンスにはどのような工法があるのでしょうか?2種類の修繕方法とそれぞれの特徴を紹介します。野地板の状態に合ったメンテナンスを選びましょう。

補強効果もある「増し張り」

元々ある野地板の上から新しい野地板を重ねるようにして張るのが、「増し張り」という工法です。「重ね張り」とも呼ばれるこの方法では、劣化した既存の野地板を補強し強風や地震などの自然災害に耐える力を強くします。

増し張りは元の野地板に杉板を使っていた場合に施されるのが一般的です。また太陽光パネルを設置する際、屋根の強度や野地板の厚みが基準に満たないときにも採用されます。

野地板の一部が劣化していて雨漏りが起こっているケースでは、増し張りで対応が可能です。1㎡当たり1,000〜3,000円が増し張りの相場とされており、張り替えるよりも安くメンテナンスを済ませられます。

腐食しているときは「張り替え」

元の野地板が全体的に腐食しているときは、「張り替え」が必要です。腐った野地板を放置しておくと、屋根全体の傷みにもつながります。防水シートを剥がして確認すると、骨組み部分に当たる垂木まで傷んでいる場合もあるのです。

複数の箇所が痛んでいる場合も全体をまとめて張り替えた方が、部分的に増し張りで対応するよりコスパがよくなるケースもあるでしょう。しかし元の野地板を剥がす作業や廃材の処分も必要なため、増し張りよりも時間と費用がかかります。

古い野地板を処分する費用も合わせると、3,000〜6,500円が張り替え工事の相場です。さらに屋根材や垂木など他の部分にも傷みが見られるケースでは、大がかりなメンテナンスが必要になり数十万かかる可能性もあります。

野地板は雨漏りを防ぐ大事なパーツ

雨が滴る屋根

普段は目に見えない野地板も、住宅の雨漏りを防ぐのに大事な役割を持つパーツです。劣化が進んで屋根全体がダメージを受けないよう、耐用年数や状態を目安に定期的な修繕を検討しましょう。

種類は主に「杉板」「構造用合板」「耐火野地板」の三つです。現在の住宅では強度が高く施工のしやすい、構造用合板が多く使用されています。古い住宅では杉板を使われている場合が多く、屋根表面に損傷があると雨漏りしやすくなるのが難点です。

野地板が古くなったり傷んだりしたとき、メンテナンスする方法は「増し張り」と「張り替え」の2種類です。劣化や腐食の状態に応じて、適切な工法で修理を依頼しましょう。

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