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屋根のケラバとは何のこと?家を雨水や紫外線から守る大切な部分

最終更新日: 2024年06月28日

家屋などで一般的に使われている切妻屋根や片流れ屋根において、屋根の妻側の端には「ケラバ」という部分が作られます。一般的にあまり馴染みのない言葉でも、重要な役割をもつ部分です。ケラバの役割や修理方法などについて解説します。

ケラバは屋根の部分の名称

ケラバ

ケラバは切妻屋根や片流れの屋根でよく見られる仕様です。切妻屋根や片流れ屋根には、「地面に対して並行になっている辺(屋根の平側)」と「地面に対して並行ではない屈折した辺(屋根の妻側)」があります。

「雨どいがない妻側で、外壁からせり出た部分」がケラバです。切妻屋根や片流れ屋根以外の屋根においては、「雨どいがない、外壁からせり出た部分」のことを指します。

ケラバの大事な役割

ケラバには紫外線や雨風から外壁を守り、日当たりを調整する役割があります。

ケラバがついていないと、外壁は雨や風をしのげません。劣化するスピードが速まり、汚れなどが付着しやすくなります。

日当たりを調整するという面では、長めのケラバにしたほうが日光をより遮れます。どのくらいの日当たりにしたいのか、立地に合わせてケラバの長さを決定すれば、より快適な住居環境を作り出せるでしょう。

軒や破風、鼻隠しとの違い

ケラバは屋根のどの部分を示す言葉なのかは、前述したとおりです。では「破風」「鼻隠し」「軒」とはどのように違うのでしょうか。

まずはそれぞれが何を示すのか確認しましょう。

  • 破風(はふ):屋根の妻側の側面
  • 鼻隠し:屋根の平側の側面にある横板状の部材
  • 軒(のき):屋根の平側の外壁からせり出た部分

このように役割は似ていても、屋根のうちどの部分や部材を示す言葉なのかが根本的に違います。混同しやすいので注意しましょう。

特に間違えやすいのが、これらの言葉が「部分」を指すのか「部材」を指すのかという点です。鼻隠しは軒にある雨どいの下地としてつく部材の名称です。ケラバや破風は部分を指す言葉で、使い方が異なります。

またケラバには雨どいがついていませんが、軒には雨どいがついています。雨どいの有無は軒とケラバを見分ける簡単な方法のひとつです。破風はケラバの側面と考えるとわかりやすいでしょう。

ケラバの納まりはどうなっている?

ケラバ

ケラバの側面にあたる破風には、「ケラバ水切り」や「ケラバ板金」「破風板」「ケラバ瓦」がつけられます。

これらは水はけを良くしたり、雨やホコリなどのゴミが傾斜に沿って下に落ちるようにしたり、さまざまな役割を担っています。屋根材によって保護部品の素材は異なりますが、主なものは板金や瓦です。

この部分は目につきやすいので、家のデザインに合わせて好みのものを選ぶと外観がきれいに整います。取り付ける際には、機能面を重視しつつ、素材や形状、色なども吟味すると良いでしょう。

スレート屋根ではケラバ板金を使用

スレート屋根とは、粘土板岩を使用したスレートと呼ばれる屋根素材で施工した屋根のことです。デザイン性が高い上に薄くて軽く、耐震性もあるので人気があります。

業者によっては「コロニアル屋根」や「カラーベスト」などと呼ぶ場合があることを覚えておきましょう。

スレート屋根の場合、ケラバの側面は板金で保護されるのが一般的です。ケラバ板金、ケラバ水切りなどの板金が取り付けられ、雨水やホコリなどの汚れから屋根を守ります。

板金でできた端材は、10年ほどの耐久性があるといわれていますが、経年劣化によってサビや変形、釘の浮きなどが見られることがある点に注意しましょう。異常に気づくのが遅いと、水はけが悪くなって屋根全体が傷み、雨漏りの原因になります。

瓦屋根ではケラバ瓦を使用

瓦屋根の場合、ケラバの側面にはケラバ瓦という特殊な形の瓦を使用します。ケラバ瓦は平部の瓦をL字に折り込んだような形です。

デザイン性が高く破風との境目がきれいに見えつつも、雨どいのないケラバに雨による害が出づらいように、雨仕舞いを意識した形に作られています。

ケラバ瓦は雨や土、ホコリやゴミの詰まりは生じにくい構造になっているのですが、強風に弱く、瓦が飛散することもあります。瓦は落ちるととても危ない上に、瓦が剥がれてしまった下地部分は弱くなってしまうので、台風の後には注意してチェックしましょう。

ケラバは雨漏りしやすい?その原因

ケラバ

ケラバには雨どいが作られないのが一般的です。そのため水はけを考慮した端材をつけていても、腐食してしまったり、土埃が溜まって屋根にダメージを与えてしまったりすることがあります。

放置しておくと雨漏りの原因になるため、異常がないかたまにチェックし、定期的に交換を検討すると良いでしょう。

またケラバは軒と比べると長さが十分ではなく、短めに作られているのが一般的です。そのため軒下の外壁よりも、ケラバ下の外壁はダメージを受けやすいことを覚えておきましょう。

経年による劣化

住宅は時間が経てば経つほど劣化し、修理に手間がかかります。ケラバ部分も当然経年劣化は免れません。ケラバの損傷に気づかず過ごすと、屋根の下地内部まで傷みが出て大掛かりな修理工事になることもあるのです。

屋根部分は梯子を使って見てみないと詳しいことがわかりません。素人ではわかりづらいので業者任せになりやすいですが、ケラバの裏の部分は下から見上げることができます。木の色が変わっていたり、瓦の並びがずれていたりしたら、異常のサインだと考えましょう。

経年劣化はするものですがなるべく最小限の劣化で済むように、住宅の外観のチェックや確認を怠らないようにしましょう。

強風や積雪による損傷

台風が多い地域では、屋根瓦だけでなくケラバ瓦も、浮いたり吹き飛ばされたりしやすいです。そこから雨風による損傷で雨漏りをしてしまうこともあります。

また豪雪地帯ではケラバ部分が積雪に耐えきれず、板金が剥がれてしまうこともあるのです。

故障したまま放っておくと、雨漏りや屋根の破損の原因になります。屋根に負担がかかりそうな気象の後は、住宅周りと屋根を点検するようにしましょう。

保険を使って修理できる場合も

屋根の修理修繕は、加入している保険によっては無料で対処してもらえることがあります。経年劣化だろうと諦めずに一度保険会社に相談してみましょう。

ただし保険会社を通すと、工事までに少し時間がかかる場合があります。修理しないと住むのが困難になるような緊急性の高い損傷の場合、保険会社を通すべきか判断に迷うことがあるかもしれません。

少しでも審査を早められるように「どのような理由で屋根が損傷したのか(原因)」「いつ損傷したのか(時期)」「現時点どのような状態なのか(現状報告)」を記録し、準備しておきましょう。

ケラバに異常があればすぐに修理依頼しよう

屋根修理業者

ケラバは軒と違って雨どいがないため、水はけが原因で腐食したり、ホコリが蓄積して屋根にダメージを与えてしまったりすることがあります。もし異常を見つけたら、すぐに修理を検討しましょう。

異常を早期に発見できれば、大掛かりな修理にならず、ちょっとしたメンテナンス程度に留められます。

屋根は台風など気象の影響を受けやすい部分なので、住んでいる地域やその年の天候によっても、ダメージの進度は異なることも覚えておきましょう。ケラバを長持ちさせるには、こまめに住宅の点検をすることが大切です。

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