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屋根勾配を詳しく知ろう!計算方法や各勾配のメリット・デメリットも

最終更新日: 2021年03月31日

屋根のリフォームをしたり、太陽光発電を設置したりする際には、屋根勾配を考慮しましょう。屋根勾配は耐久性・快適性を決める上で重要な要素です。屋根勾配の基本的な知識から、屋根リフォームや太陽光発電の設置で押さえるべきポイントを解説します。

屋根勾配の基本

屋根

ここからはまず基本的な知識として、屋根勾配のそもそもの意味と3つのタイプを紹介します。リフォームなどに着手する前に、チェックしておきましょう。

屋根勾配は屋根の角度のこと

「屋根勾配」とは建物の屋根がどれくらい傾斜しているかを示す角度のことです。屋根勾配は建物ごとに異なり、住居であってもすべてが同じわけではありません。

なお屋根勾配は建築業界では「寸法勾配」の単位で表記されます。

屋根を直角三角形に見立てて、例を挙げましょう。寸法10寸(約303mm)の水平な底辺に対して、上に垂直に延びた辺が1寸であれば、斜辺、つまり屋根勾配は1寸勾配と表されます。

よって寸の数値が大きくなるほど、屋根勾配の傾斜は急になるでしょう。

そのほかにも底辺と垂直の辺の比率を分数で表記したり、単純に角度で表記したりする場合もあります。

勾配によって3タイプに分けられる

屋根勾配は傾斜の度合いによって、以下の3タイプに分かれます。

  • 急勾配
  • 並勾配
  • 緩勾配

まずもっとも傾斜が急な「急勾配」は、6寸勾配以上の屋根勾配です。

次の「並勾配」は3~5寸勾配の範囲を指します。

そして最後は3寸勾配以下の「緩勾配」です。

最適な屋根勾配は、地域の気候・建物の位置・屋根材の種類などによって異なるため、後ほど詳しく解説をしていきます。

勾配ごとのメリット・デメリット

屋根リフォーム業者

ここからは3タイプの屋根勾配それぞれの、メリットとデメリットを解説します。最適な屋根勾配を考えるためにも、あらかじめ把握しておきましょう。

急勾配は雨漏りしにくいがコスト高

急勾配の屋根のメリットは、水はけがよく雨漏りをしにくいことです。

雨水が滞留しにくいため、カビ・苔・湿気による腐食などから屋根材を守れるのもうれしいポイントといえるでしょう。当然、雪も積もりにくいため、積雪地では特に重宝されます。

また屋根裏が広くなることで、収納・天窓としてスペース活用ができたり、断熱効果が期待できたりといった面も利点です。

一方で屋根の面積が大きく、施工作業の難易度も上がるため、施工・メンテナンスなどのコストは高くなります。くわえて台風・強風の影響を受けやすいのもデメリットです。

屋根が高くなることで、北側の日当たりが悪くなる可能性もあります。

並勾配は弱点が少ないものの没個性に

並勾配の屋根はもっともスタンダードなタイプで、デメリットはほとんどありません。あえて挙げるとすれば、デザインが没個性的になりがちという点のみになります。

一方、メリットとしては、まず最も普及している屋根のため、対応できる屋根材・デザインが豊富です。

同じ理由から雨漏り・経年劣化・損壊などのトラブルについても、業者のノウハウが蓄積されており、スムーズに対応してもらえる可能性が高いでしょう。

施工・メンテナンスの際にも、足場を必要としないケースがほとんどです。また基本的に雨水とともに汚れも流れやすく、耐久性も十分といえます。

緩勾配は強風に強い反面水はけが悪い

緩勾配のメリットとしては、まず耐風性に優れ、落雷の被害も受けにくい点が挙げられます。また屋根面積が小さくなることで、施工・メンテナンスのコストを抑えられるでしょう。並勾配と同じく足場も必要ありません。

一方のデメリットは水はけが悪いため雨漏りのリスクが高いという点です。また埃・ゴミなども堆積しやすく、ほかの2つのタイプと比べると、劣化のスピードは早めになります。

あまりスタンダードなタイプではないため、屋根材の選択肢もあまり多くはありません。

屋根裏のスペースが狭くなってしまうのも、人によってはデメリットといえるでしょう。

屋根勾配を決める上で重要な要素は

屋根瓦

屋根勾配を決める際には、どのような点を考慮すべきでしょうか。ここからは屋根勾配を決める上で、重要な要素をいくつか紹介します。

建築基準法など法的な制限がある

建物の高さ・広さは建築基準法などの法によって厳密に制限されています。

そのため屋根勾配を決める際にも、これらの法的な制限をクリアできるか、事前に確認する必要があるのです。

特に屋根勾配と関係するのが、隣接した道路や土地の日照・採光・通風に支障を与えないよう建物の高さを制限する「道路斜線制限」や「北側斜線制限」です。

屋根勾配を急にすればするほど傾斜はきつくなり、制限を超えてしまう場合もあるでしょう。そうなると当初の希望よりも緩やかな勾配に調整する必要があります。

屋根材ごとに最低勾配が決まっている

水はけなどの問題から、屋根の最低勾配は利用する屋根材ごとに決まっています。

規定よりも緩やかな勾配にしてしまうと、雨漏りなどのリスクがあるため注意しましょう。

屋根材ごとの最低勾配は、メーカーによっても異なるものの、おおよそ次のとおりです。

  • 金属屋根:1寸勾配以上
  • スレート屋根:3寸勾配以上
  • 瓦屋根:4寸勾配以上

この最低勾配の指定があるため、屋根を緩勾配にしたい場合、屋根材は防水性能に優れた金属屋根に限られます。

ただし金属屋根の場合でも、平葺き(ひらぶき)や横葺き(よこぶき)といった葺き方をするときは、3寸勾配以上が必要です。

一方、4寸勾配以上であれば、基本的にどのような種類の屋根材であっても対応できます。

屋根リフォームと屋根勾配について

屋根リフォーム業者

ここからは屋根をリフォームする際に覚えておきたい、屋根勾配のポイントを解説します。屋根のリフォームを検討されているのであれば、事前の知識として押さえておきましょう。

リフォームなら4寸勾配がおすすめ

屋根をリフォームして屋根勾配を変えようと考えているのであれば、特におすすめなのはスタンダードな4寸勾配になります。

ほかの屋根勾配と比べて汎用性が高く、耐水性・耐風性といった耐久面においても優秀です。

施工・メンテナンスの際には足場が必要ないため、業者に依頼する場合、コスト削減につながるのもうれしいポイントでしょう。

さらに瓦屋根を含むほぼすべての屋根材を使用することができ、選択の幅がかなり広がります。

形状が没個性的になりがちではあるものの、カラーバリエーションは豊富になるため、十分に差別化もはかれます。

このようにメリットが多いため、長期的な視点から考えると、4寸勾配はおすすめの屋根勾配です。

太陽光発電を設置するなら勾配に注意

太陽光発電のパネルを設置する場合、屋根勾配によって毎日の発電量は大きく異なります。

最も発電効率が高まるのは、太陽の光に対して、パネルが直角になっている状態です。

当然、日の高さは季節や地域によっても異なるため、まずは地域ごとの年間最適傾斜角を知る必要があるでしょう。

日本国内の主要地点で太陽光発電を設置するのに最適な屋根勾配は、南向きの屋根の場合、次のとおりです。

  • 北海道 札幌市:7寸勾配
  • 宮城県 仙台市:7寸勾配
  • 東京都 八王子市:6.5寸勾配
  • 愛知県 名古屋市:6寸勾配
  • 大阪府 大阪市:5.5寸勾配
  • 愛媛県 松山市:5.5寸勾配
  • 鹿児島県 鹿児島市:5寸勾配
  • 沖縄県 那覇市:3寸勾配

このように同じ日本国内であっても、北海道と沖縄県では太陽光発電に最適な屋根勾配に4寸勾配ほども差があります。

また屋根が西向き・東向きであれば、最適な屋根勾配はより緩やかになります。

せっかくのエネルギーを無駄にしないためにも、可能な限り、効率的に発電できる屋根勾配でパネルを設置するようにしましょう。

屋根リフォームの費用相場は

屋根リフォームの費用は施工内容だけでなく、屋根の面積や、現時点で使っている屋根材の種類などによっても大きく異なります。

屋根の面積を80㎡とすると、例えば屋根の美観・保護に有効な「塗装」であれば、塗料の種類によって18~51万円ほどの幅が出ます。

また屋根の「葺き替え工事」をする場合には、新たに設置する屋根材の種類によっても費用が変わり、相場は120~266万円ほどです。

一方、既存の屋根に新たな屋根材を重ねる「カバー工法」であれば、既存の屋根材を処分する必要がないため、80~100万円ほどで施工ができるでしょう。

屋根勾配の知識を深めよう

屋根

屋根の傾斜角度である屋根勾配は、住環境の耐久性・快適性・デザインなどを左右する重要な要素です。

勾配のレベルによって、それぞれにメリット・デメリットが存在するため、リフォームなどの際には事前の把握が欠かせません。

また屋根自体の耐久性やランニングコストを重視するのか、太陽光発電を設置するのかなどによっても、最適な屋根勾配は変わります。

屋根材・住まいの地域の気候・建物の位置などを考慮した上で、最適な屋根勾配を選びましょう。

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