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芝生がかかりやすい病気の種類とは?枯れる、変色するなど症状も解説

最終更新日: 2024年04月19日

芝生にダメージを与える病気にはいくつかの種類があり、病気ごとに防ぐ方法も異なります。主な病気の種類や特徴、効果的な防除方法を紹介します。

芝生の主な病気「さび病」

病気にかかる作物

芝生に発生しやすい病気の代表格が「さび病」です。初期段階では葉の裏側に症状が見られるため、殺菌剤を散布する場合は葉の裏側まで丁寧に散布する必要があります。

さび病の特徴

金属に見られるさびのようなものが、葉に発生する病気です。最初は葉の裏側に黄白色の斑点が生じ、さまざまな色や形の斑点に変化していきます。

病原菌や植物により症状の種類が異なり、黒・白・橙・褐色などの色や多様な形として発生する病気です。芝生だけでなく野菜・果樹・庭木にも生じます。

芝生に発生する病気の代表格であり、冷涼で雨が多い初夏や秋に発生しやすいことが特徴です。さび病が進行すると葉や茎が変形し、そのまま放置すれば枯れ死してしまうケースもあります。

さび病が発生した部分の芝生は変色・変形するため、観賞価値が大きく損なわれるでしょう。深刻な病気ではないものの生育も悪くなることから、適切な処置が必要です。

さび病の防除方法

さび病は多湿な環境で発生しやすいため、風通しを良くして葉や茎に水分を残しにくくすることが重要です。日当たりが悪い場所で多く見られる点にも注意しましょう。

肥料のカリが不足していたり窒素が多すぎたりする場合も、さび病が生じやすくなります。施肥の際は適切な量を心掛けることが大事です。

さび病が発生している範囲が狭い場合は、見つけ次第摘み取って地中に埋める方法があります。殺菌剤を散布するなら殺菌効果をより高めるために、葉の裏側に薬剤がしっかりとかかるような散布を意識しましょう。

芝生の主な病気「赤焼病」

芝生

高温多湿の環境下で洋芝のみに発生する病気が「赤焼(あかやけ)病」です。発生後数日で広範囲に被害が及んでしまうため、きちんとした予防を意識する必要があります。

赤焼病の特徴

暖地型である日本芝には発生せず、寒地型の洋芝のみに生じる病気です。梅雨が明ける7月上旬から9月中旬にかけて発生します。

病原菌の生育適温は約35℃で、夜温が高くなりやすい25℃以上の熱帯夜が続く時期は注意が必要です。まとまった雨が降った後、土壌内に大量の水分がたまっているときに発生しやすくなります。

1度発生すると数日中に広範囲へ被害が広がるため、初期症状の早期発見と早めの防除が重要です。初期の兆候は数cm程度のパッチ(発生部分)に過ぎず、症状を見落としやすいでしょう。

発生直後の段階では、黄色・灰色・赤褐色の小パッチが見られます。数日経過すると円形のパッチになり、周辺に褐色~紫褐色の縁が発生します。

赤焼病の防除方法

発生後あっという間に広がってしまう赤焼病に関しては、日頃の予防を意識することが重要です。土壌内の水分が大量にたまらない環境作りを心掛ける必要があります。

土壌の排水性を良くし、芝の乾燥を促すために通気性も良くすることが大事です。水分がたまりやすい夜間の水やりは避け、なるべく早朝に散水しましょう。

赤焼病の病原菌は地上部の葉や茎を伝って広がることが多いため、治療の際は即効性が高いPA殺菌剤の少水量散布が効果的です。激しい雨が数日続いた後は赤焼病の発生環境が整うことから、予防的な薬剤散布も意識する必要があります。

同属の菌「ピシウム菌」による病気

赤焼病を発生させる病原菌は、120を超える種から成り立つ「ピシウム属菌」です。ピシウム属菌による赤焼病以外の病気を総称して「ピシウム病」といいます。

ピシウム病の代表的な病気が「雪腐(ゆきぐされ)病」です。雪が積もり土壌が凍結しない地域で、11月頃~5月頃の低温時期に発生します。近年は積雪地域以外でも発生が確認されている病気です。

雪腐病の予防は積雪前の時期に薬剤を散布しておくのが基本です。発生後は除雪や融雪剤処理を行った後、目砂や施肥により芝の生育を促進し、病気の症状を消滅させる効果が期待できます。

芝生の主な病気「ラージパッチ」

芝生で遊ぶ親子

気温と降雨の影響を受けて春と秋に発生しやすい病気がラージパッチです。発症するとパッチ内の芝が抜けやすくなり、最終的に芝がなくなってしまう恐れもあります。

ラージパッチの特徴

「葉腐(はぐされ)病」とも呼ばれるラージパッチは、特に日本芝で被害が大きくなりやすい病気です。20℃前後の気温で勢いが増すため、春と秋の時期に目立った被害が発生します。

排水不良や窒素過多もラージパッチを生じさせる原因です。最高気温が20℃前後で雨が降った後に発生しやすく、夏や冬に向けて症状は衰えていきます。

ラージパッチが発生すると黄から橙に変色し、約30cm~数mのパッチが融合して大型化します。雨が降った後にパッチの周辺が赤褐色に変色することも特徴です。

パッチ内の芝生は簡単に引き抜ける状態になります。放置しておくとほかの病気にもかかりやすくなり、症状が激しいケースでは芝がほとんどなくなってしまうこともあります。

ラージパッチの防除方法

ラージパッチ対策には予防・治療のいずれも薬剤の使用が効果的です。春は最低気温10℃以上の日が1~2回、秋は最低気温14℃以下の日が5~6回続いたときに予防散布しましょう。

ラージパッチの予防対策として散布する薬剤は、低濃度で使用できる「ベンレート水和剤」がおすすめです。さまざまな病害に効果があり、治療のための殺菌剤としても使えます。

被害が発生した後に使う薬剤は、消毒・殺菌効果がある「オーソサイド水和剤」が有効です。パッチの外側にも病原菌が広がっているため、1m程度広めに散布するのがポイントです。

薬剤以外の予防対策としては、土壌の排水性・通気性を確保することや、窒素を抑えた肥料を使用することが挙げられます。感染時期に芝を傷めないように、刈り込みなどの作業を控えることも大事です。

芝生の主な病気「ダラースポット」

広い芝生

ダラースポットは4~11月の間で朝露が付きやすい時期に見られる病気です。放置すると根まで病気に侵され、芝が生えない状態になってしまいます。

ダラースポットの特徴

円形状にくぼんだパッチができる病気がダラースポットです。芝が茶色・黄色・淡褐色・灰褐色に変色し、日本芝では葉にはっきりとした病斑が現れます。

刈高が高めの芝でいきなり大きなパッチになりやすいことが特徴です。低めに刈り込んである芝なら、比較的小さな初期段階のパッチが確認できます。

肥料焼けや乾燥害と区別しにくい病気ですが、朝露がある時間帯に白色の菌糸が確認できれば、ダラースポットだと判断できます。窒素不足で発生しやすいことも覚えておきましょう。

ダラースポットを放置すると根まで枯れてしまいます。土がむき出しの状態になり、芝が生えなくなることもあるでしょう。

ダラースポットの防除方法

ダラースポットを発生させないためには適切な肥料やりが大事です。窒素が不足すると発症しやすくなることから、特に窒素を切らさないように気を付けましょう。発病の抑制には尿素施肥も有効です。

朝露を放置すると菌糸の活動が活発になりやすいことから、朝方の刈り込みで物理的に朝露を落とす方法もあります。朝露を残しやすい夕方~夜間の水やりは避けましょう。

発生後の治療には抗菌剤の散布が効果を発揮します。同じ薬剤を連続で使用すると効きが悪くなるため、異なる種類の薬剤をローテーションで散布するのがポイントです。

芝生の主な病気「ブラウンパッチ」

公園の芝生

6月上旬から夏にかけて多発する病気がブラウンパッチです。高温多湿の環境下で生じやすく、勢いが増すと赤焼病との区別がつかなくなります。

ブラウンパッチの特徴

梅雨時期から9月下旬にかけて、主に寒地型の芝に発生しやすい病気です。直径約10cmのパッチが出現して芝を枯らしていき、放置するとパッチが融合して不定形の枯れ込みが広がります。

高温多湿の条件下で低く刈り込んだ芝に発生しやすい病気です。発生条件が整うと症状が急速に進み、赤焼病と見分けがつかなくなるでしょう。

窒素過多・排水不良・通気性の悪さも、被害を助長する原因です。芝の間に古い葉や刈った後の葉(サッチ)が残っている状態も、病原菌の発生を促進する一因となります。

ブラウンパッチの防除方法

ブラウンパッチを予防するためには、排水性や通気性の改善に努める必要があります。土壌酸度を見直し、pHが6.0以下にならないよう調整するのも有効です。

病原菌を増加させやすいサッチや朝露の除去も意識しましょう。施肥の際は窒素過多にならない肥料を選ぶことも重要です。

病気発生後の治療には、DMI剤・ジカルボキシイミド剤・SDHI剤といった殺菌剤の使用が効果を発揮します。同じ薬剤を連続で使用すると効果が薄れていくため、違う種類の殺菌剤をローテーションで散布するのがポイントです。

病気ではなく害虫の可能性も

芝生の上のバッタ

芝が変色したり枯れたりしている場合は、害虫から食害を受けている可能性もあります。芝に被害を与える代表的な害虫を紹介しましょう。

芝を食べる「シバツトガ」

成虫は灰白色の小さな蛾で、地際に生育する幼虫が夜間に芝の新芽を食べます。食害後の症状は乾燥による黄変症状に似ており、特に洋芝で発生しやすいことが特徴です。

シバツトガの成虫は春から秋にかけて年2~3回発生し、夜になると飛び回ります。成虫の体長は約8mm、幼虫は暗褐色で短い毛が生えています。

幼虫が生育する巣である「ツト」や食害の痕跡が、被害を受けた後の芝に残っているのが特徴です。多発が予想される時期には、成虫発生の最盛期から2週間程度前に防除を行います。

芝の根を食べる「コガネムシ類」

マメコガネやヒメコガネなどのコガネムシ類は、幼虫が地中で芝の根を食べます。根に食害を受けた芝は生育不良を起こすだけでなく、抜けやすくなってしまうでしょう。

コガネムシ類の成虫は晩春から秋にかけて発生します。幼虫は夏から翌年の春にかけて、芝の根に食害を与えます。

コガネムシ類の防除方法としては、成虫の動きが鈍る早朝に払い落としたり捕殺したりするのが一般的です。たい肥を施肥する場合は、たい肥に幼虫が潜んでいないか注意し、発見したら捕殺します。

葉や茎を食べる「スジキリヨトウ」

スジキリヨトウの幼虫は、夏から秋にかけて芝の葉や茎に食害を与えます。地際に生息する幼虫は見つけにくいため、放置すると急激に被害が拡大するケースもあるのです。

被害が一部分に集中することから、病斑と間違えやすいことが特徴です。若い幼虫は草丈の長い葉の先端部分に被害を与えやすく、食害を受けた葉は白く変色します。

スジキリヨトウの食害が多発すると、地上部が食べ尽くされることもあります。根は食害を受けないため、枯れ死には至りません。

芝生の病害虫を防ぐ日頃の手入れ

芝生の手入れ

芝生を健康で美しく育てるためには、日頃の手入れが大事です。病害虫を防ぐために有効な、芝刈り・エアレーション・サッチングについて解説します。

基本の手入れ「芝刈り」

芝刈りは芝生の基本的な手入れです。見た目を美しく保つだけでなく、草丈を短くして日当たりを良くし、芝生の生育を促進する効果があります。

元気な芝生は病害虫にも強くなるため、変色したり枯れたりしにくくなります。芝刈りで内部の蒸れがなくなれば、通気性が良くなり病気の発生を抑えられることもポイントです。

草に刺激を与えることで密度の高い芝生にできたり、害虫発生の原因となる動物のフンを発見しやすくなったりすることも、芝刈りのメリットです。美しい芝生を育てるためには、定期的な芝刈りを実施しましょう。

関連記事:芝刈り機と芝生バリカンは何が違う?種類や特徴について解説|ミツモア

自分で芝刈りをするのが難しい場合は、芝生の手入れ業者に依頼するという手もあります。

芝刈りをプロに依頼する

芝生に新鮮な酸素を送る「エアレーション」

地表に穴を開けて地中の通気性や通水性を良くする作業がエアレーションです。芝生に新鮮な酸素を送れるため、根が元気になり芝生の生育が促進されます。

植物がしっかりと育つためには、新鮮な水や酸素を根に送り込むことが大事です。芝生は1度植えたら定期的に耕せないため、エアレーションを行い新鮮な水や酸素が届きやすい環境を整える必要があります。

芝生の病気の多くは、土壌中の水分量が多くなることで発生します。エアレーションで土壌中の水はけが良くなり、病気の発生を抑えられることもメリットです。

関連記事:芝生の根切り(エアレーション)を理解しよう!最適な時期と必要な道具|ミツモア

古い葉や根を取り除く「サッチング」

芝刈り後に落ちた葉や古い葉・根が、芝生の下にたまったものを「サッチ」といいます。道具や機械を使ってサッチを取り除く作業が「サッチング」です。

サッチを放置していると病原菌や害虫が発生しやすくなります。日当たりをさえぎってしまうことや見た目が悪くなることも、サッチを放置するデメリットです。

芝生にさまざまな悪影響を及ぼすサッチは、サッチングで定期的に除去する必要があります。特にラージパッチやブラウンパッチの予防策として、適切なサッチングが効果的です。

関連記事:芝生のサッチングってどうやるの?必要な道具や手段について紹介|ミツモア

芝生の病気対策におすすめの殺菌剤

じょうろ

芝生に発生する各種病気の防除には殺菌剤の使用が有効です。優れた効果を発揮するおすすめの殺菌剤を紹介します。

石原バイオサイオレンス「ランマンPフロアブル」

ピシウム菌に対して優れた効果を発揮する殺菌剤です。ピシウム菌が原因となる赤焼病やピシウム病の防除に役立ちます。

ピシウム菌の菌糸生育を低濃度で阻害できるため、高い防除効果を期待できるでしょう。次世代の感染源となる菌の密度を低減できることも魅力です。

散布後に雨などで流れず乾燥すれば、その後に雨が降っても安定した効果を得やすくなります。約2週間の残効も期待できます。

発病前または発病初期に散布すれば、より高い効果を得られるでしょう。希釈時の粉立ちがなく分散性に優れていることから、手軽に処理できます。

住友化学園芸「GFベンレート水和剤」

ラージパッチやブラウンパッチの防除に高い効果を期待できる、予防効果と治療効果を兼ね備えた殺菌剤です。水で2,000~3,000倍に薄めて散布します。

病原菌の侵入を防ぐ浸透移行作用と、浸入した病原菌を撃退する治療効果により、病原菌の細胞分裂を阻害できることが特徴です。

草花・花木・庭木・野菜・ハーブなど、芝生以外にもさまざまな植物の病気に使えます。自宅で多くの植物を育てている人にもおすすめです。

住友化学園芸「オーソサイド水和剤80」

あらゆる種類の芝に発生する各種病気に効果が期待できます。糸状菌を原因として起こる病気に対し、特に優れた効果を発揮する殺菌剤です。

ラージパッチ・ブラウンパッチ・赤焼病の発病初期に、高い治療効果を得られるでしょう。病気の種類にあわせて300~800倍に薄めて散布します。

西洋芝の藻類やコケ類を抑える薬剤としても有効です。使用量や希釈水量を守れば、8回まで散布できます。

芝生の病気を対策しよう

芝生の主な病気には、さび病・赤焼病・ラージパッチ・ダラースポット・ブラウンパッチがあります。病気ごとに発生原因が異なるため、病気に適した対策を施すことが大事です。

芝生のトラブルは病気だけでなく害虫が原因で発生する場合もあります。日頃の手入れをきちんと行い、病気や害虫に強い元気で健康な芝生を育てましょう。

関連記事:芝生の正しい手入れ方法!年間スケジュールや必要な道具を紹介|ミツモア

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