芝生の根切りは「エアレーション」とも呼ばれ、芝生の成長をうながし丈夫に育てるために重要な作業です。根切りが必要な理由や最適な作業時期、必要な道具と方法を解説します。
根切り(エアレーション)は芝生の維持に欠かせない作業
水やりや芝刈りをしっかり行っていても、芝生の元気がなく弱ってきたと感じることがあります。このような状況で芝の成長を促進するためには、「根切り」や「エアレーション」と呼ばれる作業を行うと良いでしょう。
根切りとはどのような作業なのか、根切りを行うことで芝にどのような影響を与えるのかを解説します。芝生の根切りを行う最適な頻度もチェックしておきましょう。
根切りとは
根切りは道具を使って芝の根を切断し、土に穴を開けて土壌の環境を改善することを指します。芝生の管理で行う作業の中でも、成長を促し健康で丈夫な芝に育てるために欠かせない作業です。
成長して土の中で詰まっている弱った根を切ることで、芝の生命力を高められ、成長スピードが上がるのです。
またエアレーションといって、穴を開けて土壌に酸素が行き届きやすくする意味でも行われます。根切りは芝と土壌、両方に良い影響を与える手入れの方法と言えるでしょう。
芝生に根切りはなぜ必要
芝は放置していても徐々に広がっていく植物ですが、張った後、時間の経過とともに土壌や芝の状態が悪化してしまいます。踏まれることで押しつぶされた芝同士が密着したり、踏み固められて土が硬くなったりと、酸素が届きにくい状態になってしまうのです。
水はけが悪くなることも芝生にとって悪影響でしょう。根が詰まることで成長が阻害されるだけでなく、水はけが悪くなり酸素不足によって土壌の環境が悪化し、病気を引き起こす恐れがあるのです。
根切りを行うと、芝の根が切られることでより生命力が強くなり、成長が促進されます。また土に穴を開けることで酸素を取り込みやすくなり、病気を予防し土壌改善にもつながるでしょう。
根切りのベストな頻度は
根切りを行うのは、芝の成長期に2~3カ月に1度のペースで行うのが理想だとされています。春と夏が芝生のシーズンのため、この期間に根切りを行うと良いでしょう。
こまめに作業が行えない場合は春と夏の年2回、最低でも春に1回行うようにします。なお芝生の休眠期間である冬は、根切作業を行う必要はありません。
休眠期に根切りを行って刺激を与えてしまうと、かえって芝を傷めるため注意しましょう。
根切りはどの時期にするのが理想的?
芝生の根切りは芝の元気がないからといって、いつでも行えば効果が出るというものではありません。芝生の種類に合わせて、成長を促すのに最適な時期を選んで作業を行うようにしましょう。
芝の根切りを行うのに理想的な時期はいつなのか、暖地型と寒地型それぞれの種類ごとに適した時期を紹介します。
暖地型芝生なら気温15℃以上の時期
高麗芝や野芝などの日本芝や、バミューダグラスなどの西洋芝を暖地型芝生と呼びます。暖地型芝生は暖かい気温を好み、冬になると休眠期間に入って枯れていく種類です。
暖地型芝生の根切り作業を行う場合は、気温が15℃以上の3~6月か9月ごろに行うのがよいとされています。気温が25℃以上になる7~8月の夏は芝生が最も成長する時期ですが、この時期に根切りは行わないほうが良いでしょう。
成長期に刺激を与えることで芝生に余計な負担が掛かり、枯れる恐れがあります。
寒地型芝生なら気温5℃以上の時期
西洋芝のブルーグラスやベントグラスなどは、寒地型芝生と呼ばれています。寒地型芝生は寒冷地に適した芝生で、気温0度を下回る冬も枯れることがありません。
その反面、高い気温に弱く夏枯れを起こす場合があり、最も成長が盛んなのは15~25度の季節です。この成長期には根切りは行わず、3月中旬~6月中旬、9月後半~10月末にかけて行うのが理想的でしょう。
気温が5℃以上になる季節を目安にして、根切りやエアレーションを行います。
正しいやり方で根切りをしよう
いざ根切りを行おうと考えても、どのようなやり方をすればよいのか分からないという人は少なくありません。初心者が芝の管理をするとき、やみくもに根切りを行うのは避けたほうがよいでしょう。
まずは正しい根切りの方法をチェックしておくことをおすすめします。間違った方法で根切りを行い、せっかくの芝を台無しにしてしまわないためにも正しいやり方を確認しておきましょう。
まず芝を刈って短くする
根切りを行う事前の準備として必要なのが、芝を短く刈っておくことです。これは芝刈りを行うことで、芝の成長促進効果を高め、根元にも日光が当たりやすくなるという狙いがあります。
芝には根から3cmほどの部分に「生長点」と呼ばれる部分があり、この生長点より上の部分刈ることが芝刈りのポイントです。芝刈りによって成長スピードが速まり、その状態で根切りを行うことで成長促進の相乗効果が期待できます。
また根切りやエアレーションを行う前に芝を刈ることで、穴を開けやすく見やすくなって作業がしやすいというメリットもあるでしょう。
根切り用の道具で芝に穴を開ける
根切りやエアレーションには、専用の道具を使用します。芝生の根を切るためのターフカッターやスコップ、土に穴を開けるためのローンスパイクやローンパンチなどを使って作業を行いましょう。
根切りは根を切断できれば良いためローンスパイクなどでも行えますが、専用の道具であるターフカッターを使用するのが便利です。根切り用のパーツを取り付けられる電動芝刈機を使用するのも良いでしょう。
エアレーションを行うときは、ローンスパイクを足で踏みながら土に穴を開けます。7cm以下の距離を取りながら、細かく穴を開けていくと効果的です。
目土をして水をまく
芝生の根が乾燥するのを防ぎ、直射日光にさらされないようにするためにも、エアレーションを行ったら目土をする必要があります。エアレーションで出た土をトンボなど使って、穴の中に土を入れていきましょう。
目土をしたら、たっぷりと水をまきます。目土がしっかりと埋まるように水をまくことで、根に水分が行きわたりやすくなるのです。
目土をしっかりとなじませるように入れることで、穴の開いた土壌がふさがり見た目も整います。根の部分は乾燥に弱いため、エアレーションや根切りを行ったら1日以内に作業を行いましょう。
根切り作業での注意点は
根切りやエアレーションは、美しい芝生を保つために欠かせません。用具を使えば簡単にできるシンプルな作業ですが、失敗を避けるためにはいくつかの点に注意する必要があるでしょう。
以下では根切り作業を行う際に、気をつけたいポイントを説明します。きれいな芝生の庭を作るためにも、ぜひチェックしておきましょう。
樹木の近くは避ける
根切りやエアレーションに使うターフカッター・ローンスパイクなどは、根を傷付ける道具です。そのため、庭に植えている樹木の近くで作業を行うのは避けたほうがよいでしょう。
芝生の根だけではなく、近くに伸びている木の根まで傷付けてしまう恐れがあります。根が傷付くことで枯れる原因になるため、樹木の周りは2mほど距離をあけて作業を行いましょう。
穴をしっかりと開ける
家庭でエアレーション作業を行う場合、10cm未満の深さに開けることが多いでしょう。穴の深さが深いほど奥のほうまで影響を与えるため、本格的に作業を行う場合は15cmほどの深さまで穴を開けられる道具を使うことをおすすめします。
しっかりと穴を開けることで奥のほうの根まで切れて水や酸素が届きやすくなり、芝生の成長促進に役立つでしょう。
芝生の根切りで揃えておきたい装備は
根切りは難しい作業ではありませんが、きちんと道具を揃えておくことで快適に作業を進められます。芝生の管理を行う際に揃えておいて損はない道具ばかりのため、ぜひ購入しておくとよいでしょう。
根切りに使うのは、園芸用品店やホームセンターなど、身近な店で買える道具がほとんどです。ぜひ便利な装備をチェックして、芝生の管理をスムーズに行いましょう。
ローンスパイク
ローンスパイクは芝生の土に穴を開けて空気や水、肥料の栄養分を取り込みやすくなるように土壌改善を行うための道具です。グリップハンドルの持ち手があり、先のほうがナイフ状で、足で踏み込むようにしてズブズブと穴を開けます。
ナイフ状の部分は約10cmの間隔でついているものが多く、前後左右均等に穴を開けることでまんべんなくエアレーションを行えるでしょう。ローンスパイクに似た道具で、先端が中が空洞になっているローンパンチというものもあります。
ローンパンチは古くなった土を抜き取る「コアリング」のために使われるため、ローンスパイクの代わりに状況に合わせて使用してもよいでしょう。
ターフカッター
ターフカッターはローンスパイクのように持ち手のハンドルがついていて、下部に半月型の刃がついた根切り用のカッターです。「スライシング」と呼ばれる作業を行う道具で、カッター部分を芝面に突き刺して土の中の根を切ります。
ターフカッターを刺すときは20~30cmの間隔で、一直線になるように突き刺すと効果的です。スコップなどでも代用が可能ですが、専用のターフカッターを使用することで素早く作業を進められるでしょう。
スコップ
ローンスパイクやターフカッターなどを購入するのが難しい人は、スコップで代用するのもおすすめです。DIYで芝を張っている人や、園芸が趣味の人はすでに家にあるスコップを使うとよいでしょう。
足で踏み込めるような大きめのスコップを使用することがポイントです。専用の道具を使うよりも労力がかかりますが、極力費用を掛けたくない場合は代用してみましょう。
革のワーキンググローブ
革でできたワーキンググローブは、根切りやエアレーションを行うときにとても便利なアイテムです。根や刈った芝を素手や布製軍手でつかむとチクチクして刺さったり、作業中に思わぬケガをしたりする恐れがあります。
革のワーキンググローブであれば安全に作業が行えて、道具を持ったときに滑りにくいなどのメリットもあるでしょう。ホームセンターや園芸用品店などで数百円から購入できるため、チェックしてみることをおすすめします。
根切りをしっかり行い芝生を元気に
青々とした芝生の広がる庭は家の中から見ても癒されるものですし、家の印象を格上げしてくれます。しかし手入れを怠ってしまうと見た目が悪くなり、せっかくの芝が台無しになってしまうでしょう。
芝生の元気がない、なんとなく成長が遅くなってきたと感じたら、ぜひ根切り作業を行ってみてはいかがでしょうか。正しい方法で根切りを行い、生き生きとした元気な芝生に育ててみましょう。
自力で根切りをするのが難しい場合はプロに依頼を
根切り(エアレーション)の必要性ややり方を説明してきました。
自分で行うのが不安な方や、忙しくて手入れの時間がとれない方は、プロに頼んでみてはいかがでしょうか。
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