住宅にとっくり型の巣があるなら、とっくり蜂(徳利蜂/トックリバチ)の巣かもしれません。トックリバチは、スズメバチに比べて危険度が低く、益虫でもあるため駆除しないのも1つの方法です。
トックリバチの特徴や駆除の必要性、似た巣を作る蜂の種類について解説します。
とっくり蜂(トックリバチ)とは?
特徴的な名前が付けられている「とっくり蜂(トックリバチ)」とは、どのような生き物なのでしょうか。見た目や生態など、トックリバチの基礎知識を紹介します。
スズメバチ科ドロバチ亜科の狩人蜂
トックリバチは、「昆虫類ハチ目スズメバチ科ドロバチ亜科」に属する、狩人蜂(かりうどばち)の1種です。寒い地域を除く本州・四国・九州に生息しています。
腹部のクビレが非常に特徴的で、胸はまん丸、胴体は細長、しっぽの辺りが急に大きく膨らんでいる見た目です。
トックリバチのなかにも複数の種類が存在しますが、ほとんどの場合には「ミカドトックリバチ」のことを指します。体長は1~1.5cm、全体的に黒色で、細長い胸部に1対の小さな黄色紋があるのが特徴です。
ミカドトックリバチ以外には、以下のような種類が代表的です。
- キボシトックリバチ
- キアシトックリバチ
- ムモントックリバチ
特徴的な体のカタチは同じでクビレが特徴的ですが、黄色い模様のカタチや色合いが微妙に異なっています。
巣の形状は「徳利(とっくり)型」
とっくり蜂(トックリバチ)という名前は、巣の形状が「徳利(とっくり)」に似ていることに由来しています。日本酒などを入れる、あの「徳利」です。
巣の上部にある1カ所の穴と、内部に空間がある壺(つぼ)のようなカタチが特徴です。
またトックリバチは単独行動をするため、巣の大きさは体長と同じく1~2cm程度しかありません。上部の穴から巣の内部へ卵を1つ産み付け、ガの幼虫を子どものエサとして入れておきます。
ドロバチの特徴、泥で巣を作る
とっくり蜂(トックリバチ)は、ドロバチ科に属しています。
「ドロバチ」とは、その名のとおり泥や土を使って巣を作るのが特徴。また全体的に、スズメバチやアシナガバチと比べて温厚で、毒性も弱いという種類の蜂です。
トックリバチも例にもれず、乾いた土に水を吐き出して泥状にして、それを積み重ねて巣のカタチを作っていきます。巣の大きさは、蜂自身と同じくらいです。
また、こちらから刺激を与えなければ、あまり積極的に人を刺すこともありません。
しかしオオスズメバチやコガタスズメバチ、ジガバチなど、徳利(とっくり)に似ている巣を作る種類は他にもいます。
そしてこれらの蜂は攻撃性も毒性も強いので、注意して見分けないと危険です。
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活動時期と生態
とっくり蜂(トックリバチ)は、単独行動をする蜂です。秋の終わりごろに営巣しはじめて、1つの巣につき1つの卵を産み付けます。
ふ化した幼虫を丁寧に育てるのではなく、狩ってきたエサを巣の中に入れておくだけの放任育児。幼虫は親蜂が残したエサを食べながら成長し、越冬します。
春ごろには成虫になり、活動が活発化するのは6~10月ごろ。エサだけを与えられて育った子供の蜂もまた、単独行動で巣立ちます。
もしトックリバチの巣を駆除するなら、子供の蜂が巣立つ春以降がよいでしょう。
トックリバチが作る巣の場所は、木の枝や岩などに見かけられます。人が住む場所では、屋根裏・軒下・床裏・外壁に作られていること多いです。
とっくり蜂(トックリバチ)は益虫?駆除の必要性は?
とっくり蜂(トックリバチ)は益虫?
とっくり蜂(トックリバチ)は、エサとして蛾(ガ)の幼虫などのイモムシを食べてくれます。
蛾の幼虫などのイモムシは植物に害を与えるので、家庭菜園やガーデニングをしている人にとって、イモムシを駆除してくれるトックリバチは益虫だといえるでしょう。
とはいえ「蜂の存在自体が嫌だ」と感じる場合や、トックリバチかどうか判断できない場合は、駆除を検討しましょう。
同じ徳利(とっくり)型の巣を作る危険な蜂もいるため、蜂の種類に確信が持てないなら、駆除するのがおすすめです。
基本的に駆除の必要はない
前述したように、とっくり蜂(トックリバチ)はスズメバチやアシナガバチなどの危険な蜂と比べて、穏やかな性格です。
毒針は持っているものの、その毒性はエサとなる生き物をしびれさせる程度の弱さ。
また単独行動をしているため、集団で攻撃してくることもありません。
もし家の近くに蜂の巣が出来ても、とっくり蜂(トックリバチ)だと判断できれば、放っておいても大丈夫です。
ただし人間側から危害を加えるような行為を見せると、攻撃してくる可能性があります。子育て中の巣に近づいた場合も、巣を守るために刺される恐れがあるため注意が必要です。
また巣のカタチだけを見てトックリバチだと思っていても、実はスズメバチなどの危険種だった、という可能性もあります。しっかり種類を見極めるのが大切です。
とっくり型の巣をつくるキケンな蜂との見分け方
徳利(とっくり)型の巣をつくるのは、とっくり蜂(トックリバチ)だけではありません。
トックリバチの巣だと思って油断していたけれど、実は毒性の強いコガタスズメバチの巣だった、なんてことも。
巣や蜂の特徴を見分けて、安全かどうかを確認しましょう。
コガタスズメバチ
コガタスズメバチの巣を見分けるポイント
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コガタスズメバチは、オオスズメバチと比べると小さいため「コガタ」という名前が付いています。
しかしスズメバチ全体のなかではそこまで小さいわけでもなく、女王の大きさが3cm程度、働き蜂で2~2.5cmほどです。
こちらから刺激しなければ攻撃してこないことが多いですが、巣を揺らしたりすると一斉攻撃してきます。毒性が強いため、刺されると大変危険です。
コガタスズメバチの巣は、初期の形が徳利(とっくり)型です。
トックリバチの巣とイチバン違う点は、巣の大きさ。1~2cmしかないトックリバチの巣に対し、コガタスズメバチの巣は初期でも10cm以上あります。ソフトボールくらいの大きい巣であれば、危険かもしれません。
またハッキリ見えるマーブル模様や、筒状の部分が長めであること、厚紙のような質感などもコガタスズメバチの初期巣の特徴です。
蜂自体の体の特徴も大きく異なるので、比較的見分けやすいでしょう。もしコガタスズメバチの巣が近隣にあるなら、速やかに駆除を依頼するのが得策です。
ツマグロスズメバチ
ツマグロスズメバチは沖縄県を中心に、熱帯地域や南西諸島に多く生息しています。体長は2~3cm、活動時期は4~12月です。刺激を与えたときの攻撃性が強く、危険な部類に属しています。
ツマグロスズメバチの初期巣もまた、徳利(とっくり)をひっくり返したようなカタチ。台風被害を避けるために地表付近でよく見られ、高い場所になると十数mもの木の枝に巣を作ります。
初期巣が徳利型である点はコガタスズメバチと同じですが、巣のサイズはそこまで大きくなりません。働き蜂が羽化してくると、球状やだ円形に変化していきます。
クモバチやジガバチなど
上記で紹介したスズメバチ科の蜂以外にも、泥を使って巣を作る種類がいます。クモバチやジガバチは、その代表的な種類です。
ただしこれらの蜂の巣は、もともと開いていた木の穴や、壁の平らな面、地面近くの低い場所に作られます。
蜂自体の性格がおとなしく、毒性もそこまで強くないので、とりあえず巣の周辺を刺激しないようにしていれば問題ありません。
ただし住宅やよく出入りする倉庫などに巣が作られてしまうと、刺される危険は否定できないので、早めに駆除を依頼するのがよいでしょう。
【まとめ】とっくり蜂(トックリバチ)の巣かどうかを見極めるのが大事
この記事では、とっくり蜂(トックリバチ)の生態などを紹介しつつ、特徴的な巣について解説しました。
トックリバチ自体は危険性が低く、むしろガの幼虫などのイモムシを食べてくれる益虫としての一面があります。そのため、巣を駆除するのを急ぐ必要はないでしょう。
しかし、巣のカタチが似ているコガタスズメバチなど、危険性の高い別種の蜂としっかり見分けなくてはいけません。
もし見分けがつかないようなら、念のため蜂の巣駆除の専門業者に依頼して、対策を打ってもらいましょう。
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