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個人事業主がローン審査を通るポイントは?おすすめの資金調達手段をご紹介!

最終更新日: 2024年06月28日

営業規模が小さく、収入が不安定であることが多い個人事業主はローンの審査に通りにくい職業の1つだと言われています。

しかし個人事業主でも審査のポイントをしっかりと抑えることで、審査には十分通過することは可能です。個人事業主が審査に通過するためには、とにかく確定申告書の内容が重要になります。

本稿では事業資金と個人ローンに分けて、個人事業主がローンの審査に通過するポイントを詳しく見ていきましょう。

この記事を監修した税理士

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渡邉謙(わたなべけん) 公認会計士・税理士・2級FP 1988年新潟県柏崎市出身。学習院大学経済学部経営学科卒業。 湘南江の島の近くに個人事務所を構え、若手税理士として精力的に活動中。 税務顧問の他に会社設立や融資支援も対応可能。クラウド会計の導入を積極的に推進しているのが特徴。

個人事業主がローン審査を通るための5つのポイント

審査に通過するポイントは5つ

個人事業主がローンの審査に通過しにくいと言われるのは、以下のような特徴があるためです。

  • 収入が不安定
  • 税金を滞納している人が少なくない
  • 意図的に所得を低くしている人もいる

これからご紹介する5つのポイントをクリアしていくことで、審査に通過する可能性は上がるでしょう。それでは個人事業主のローン審査におけるポイントを解説していきます。

1. 確定申告で虚偽の記載をしない

個人事業主の中には確定申告で売上を隠したり、経費を架空計上して経費を膨らませたりする人も少なくありません。また夫の扶養に入りたいがために、意図的に収入を低くしている主婦の個人事業主も少なくないと言われています。

「規模が小さい個人事業主の所には税務調査はほとんど入ることがないだろう」と考えて確定申告で虚偽の申告を行っていると、過去の収入まで遡って「確定申告書を提出してください」とローン審査で言われる可能性もありますので、虚偽の申告には絶対にしないでください。

2. 税金の滞納には気を付ける

ローンによっては審査で「納税証明書を提出してください」と言われることがあります。事業資金の審査を受ける場合には、ほぼ必ず提出を要求されるでしょう。

この際に税金の滞納があった場合にはほぼ確実に審査に通過することはできません

給与所得者であれば税金は源泉徴収されているので、固定資産税や自動車税くらいしか税金の滞納は発生しないのですが、個人事業主の場合には住民税や所得税まで滞納のリスクがあります。

ローン申込みの前には全ての税金を支払っている状態にしておきましょう。

3. 過度の減税対策は控える

個人事業主は接待交際費や会議費などによって、場合によっては外食代まで経費で落として利益を圧縮し、節税ができることもあります。

しかしローンの審査は申告所得をもとに行われるので、過度に税金対策をしすぎてしまうと所得が低くなり、審査では不利になってしまいます。

住宅ローンでは希望額の5分の1以上、そのほかのローンでは希望額の2倍以上の年収がないと審査通過が難しくなるので、少なくともローン申込み3年前くらいからは、審査に通過することができる程度の年収は確保しておくようにしましょう。

4. 複数社から借り入れをしない

借入件数が多い人は審査では不利になると言われています。

同じ100万円を借りている人でも、1社から100万円を借りている人よりも、複数社からの合計で100万円を借りている人の方が審査で不利になります。

複数社から借金がある人は借金の返済を別の借金で行う自転車操業状態になっている人が多く、このような人はいずれ破たんしてしまうと捉えられる可能性が高いためです。カードローンやクレジットカードのキャッシングであれば、2本程度の借入に留めておくようにしましょう。

5. 個人事業主のみが利用可能なローンを選ぶ!

個人事業主はカードローンなどの事業資金には利用できないローンの審査には不利だと言われています。

個人事業主は事業と生活が一体化していることが多いので、「本来事業資金には利用することができない個人向けのカードローンで借りたお金を結果的に事業資金に利用してしまう」と考えられることもあるためです。

銀行や消費者金融には個人事業主だけが利用できるローンが存在しており、このようなローンであれば「個人事業主だから審査でマイナスになる」というデメリットがないので審査には通過しやすくなります。

個人事業主がローンの借入を申し込む場合には個人事業主に有利な個人事業主専用のローンを選択するようにしましょう。

事業資金を調達する際におすすめの融資 4選

事業資金を借りることができる4つの方法

事業の運転資金や設備購入のための設備資金など、事業にしか使用することができない資金を事業資金と言います。

個人事業主が事業資金を借りることができる場所として以下の4つの金融機関をあげることができます。

  • 日本政策金融公庫
  • 信用保証協会(銀行)
  • 信用組合・信用金庫
  • 消費者金融系のビジネスローン

それぞれの金融機関にはどのような特徴があるのか、詳しく見ていきましょう。

1. 日本政策金融公庫

日本政策金融公庫には以下の特徴があります。

  • 開業資金に強い
  • 税金で運営される国の金融機関
  • 金利が低い
  • 運転資金は無担保・無保証で借りることができる

日本政策金融公庫は税金で運営される国の金融機関です。そのため営利目的というよりも、【中小企業に資金を供給する】という公的な使命を担っているので金利が低く設定されています。

また開業資金の融資を積極的に行っており、これまで事業者としての実績がない人であっても事業計画書がしっかりとしたものであれば、お金を借りられる可能性があります。

さらに運転資金であれば原則無担保無保証ですので、財産や有力な保証人を用意することができない人でも確定申告書や事業計画書の内容次第では融資を受けられる可能性があるのです。

2. 信用保証協会

信用保証協会とは銀行や信用金庫などの民間金融機関の事業資金融資を保証する公的な機関です。

信用保証協会の保証付融資とは銀行や信用金庫の融資に信用保証協会が保証をすることで、信用保証協会が直接融資を行っているわけではありません。

たとえ債務者が返済することができなかったとしても、信用保証協会が保証を行うので金融機関は不良債権を気にすることなく積極的に融資を行うことが可能です。銀行に融資を申し込むと、ほとんどのケースで信用保証協会の保証をつけて融資を行います。

信用保証協会の保証付融資の特徴は以下の通りです。

  • 地方自治体の制度資金と絡めることで低金利で借りることができる
  • 保証料がかかる
  • 運転資金は無担保無保証

地方自治体には制度資金融資という融資制度があります。

これは「信用保証協会が保証を行い、金融機関が融資をして地方自治体が金利や保証料の一部を負担する」という仕組みになっており、この制度を利用すれば金利も保証料も非常に低くなり、2%前後の低金利で借りることが可能です。

制度資金を利用しない場合には借入金額の数%が保証料として必要になり、金利も高くなる傾向があるので個人事業主はできる限り制度資金を利用した方がよいでしょう。

申込みは信用保証協会へ直接行くこともできますが、基本的には銀行などの金融機関窓口に行くと金融機関の担当者が信用保証協会と連絡をとって融資を行ってくれます。なお信用保証協会の保証付融資は信用保証協会が保証するため保証人は不要ですし、運転資金であれば担保も必要ありません。

3. 信用組合・信用金庫

信用組合や信用金庫でプロパー融資で借りるという方法もあります。

プロパー融資は信用保証協会や民間保証会社の保証をつけずに金融機関がすべてのリスクを背負う融資で、信用のある事業者しか借りることができません。

主な特徴は以下の通りです。

  • 金融機関から信頼されているという証になる
  • 保証料がかからない
  • 低金利が適用されることが多い
  • 担保や保証人を要求されることが多い

プロパー融資を借りることができるということは、金融機関がその事業者を信頼している証拠ですので対外的な信用に繋がります。また信用保証協会や保証会社がつかないので保証料はかかりません金融機関は格付けの高い事業者に対してしかプロパー融資は行わないので金利は低くなります

ただし金融機関にとっては融資の返済が滞った場合のリスクが高いので、担保や保証人を要求されることが多いのがデメリットです。

4. 消費者金融系のビジネスローン

アコム、プロミス、アイフル等にはビジネスローンの取り扱いがありますし、ビジネクストやビジネスパートナーという事業資金専門の消費者金融もあり、このような会社から事業資金を借りるという方法もあります。

消費者金融系のビジネスローンの特徴は以下の通りです。

  • 金利が高い
  • 融資までのスピードが早い
  • 税金を滞納していても借りることができる場合がある
  • 銀行の審査に落ちても借りることができる場合がある
  • 面談する必要なく非対面で借りられる

これまでご紹介した3つの借入方法と比較してビジネスローンの金利はかなり高くなることが大きなデメリットになります。

上記3つの借入方法では金利が5%を超えるようなことはほとんどありませんが、ビジネスローンでは法定上限金利ギリギリの18%(100万円以上は15%)に設定されていることが一般的です。そのぶん税金を滞納していたり、確定申告書が赤字であったり、日本政策金融公庫や銀行などでは借りることができない状況の事業者でもお金を借りることができます

また最短即日融資に対応しているところもあり、非対面の融資が基本です。

「どこからもお金を借りることができないがどうしてもお金が必要」や「銀行融資が実行されるまでの短期間だけ借りたい」という場合にはビジネスローンはメリットがあります。

消費者金融系のビジネスローンは長期間利用するものではありませんので、短期的にお金が必要な場面で利用するようにしましょう。

知っておくべき!返済不要な事業資金の調達法  2選 

返済不要の2つの資金調達方法

これまで個人事業主がお金を借りる方法について説明してきましたが、当然ながら借金には返済義務があります。

ここでは返済不要で資金調達ができる方法が2つあるので見ていきましょう。

補助金・助成金

補助金や助成金とは国や地方自治体や公共団体などが政策を実現する目的を達成するために助成金を出す制度です。

たとえば最近ではキャッシュレス決済普及のために、キャッシュレス決済対応のレジを購入する費用を国が助成するという制度がありますが、このような補助金や助成金は無数にあります。

中小企業庁のミラサポというホームページでは国や地方自治体の補助金・助成金を一括検索することができるので、興味のある方はどのような補助金や助成金があるのか調べてみるとよいでしょう。

補助金や助成金は返済不要ですが予算が限られているので倍率が高く、大企業も申請することが多いので補助や助成対象となるのは簡単ではありません。

また申請時・補助金や助成金受給後にも提出しなければならない書類が非常に多いというのもデメリットです。

参考:ミラサポ 未来の企業★応援サイト|ミラサポ

クラウドファンディング

クラウドファンディングとはネット上で事業を公開して不特定多数の人から事業に必要な資金を集める方法になります。

事業の趣旨に賛同して「応援したい」「事業に参加したい」という人を集めるものですので、単純にお金儲けのために事業であれば資金は集まりにくいのが実情です。

社会課題を解決する事業や、エンターテイメント性の高い事業であればお金を集めることができるかもしれませんクラウドファンディングサイトは無数にありますが、CAMPFIREやMakuakeなどが有名です。

「面白い」「応援したい」と人が思うような事業計画がある人はクラウドファンディングで資金を募ってみるのもよいでしょう。

参考:クラウドファンディング|CAMPFIRE(クラウドファンディング)

参考:Makuake(マクアケ)|クラウドファンディング

個人事業主が個人として利用できる4つのローン

個人事業主が利用できる個人ローンは?

個人事業主も以下の個人ローンを利用可能です。

  • 住宅ローン
  • カーローン
  • 銀行系カードローン
  • 消費者金融系のカードローン

個人事業主がそれぞれのローンを利用するためのポイントを詳しく解説していきましょう。

1.住宅ローン

住宅ローンは個人ローンの中では最難関の難易度で、金額が高額で返済期間が長期にわたるローンですので収入が今後も安定して継続することが重視されます。

個人事業主は給与所得者と比較して収入が不安定ですので、住宅ローン審査には不利になりやすいでしょう。収入が安定していると判断されるためには、最低限直近3年間は返済負担率の基準を満たすことができる程度の年収を確保しておくことが重要です。

返済負担率とは年収に占める住宅ローン年間返済額の割合のことで、ほとんどのローンで返済負担率は30%〜35%以下と決まっています。年収400万円の人であれば、120万円(30%の場合)以下になるように住宅ローンを組まなければなりません。

また個人事業主は住宅ローン審査には不利になりますが、フラット35であれば職業による申込条件がないので、基準さえ満たしていれば住宅ローンを組むことができる可能性があります。

金利も最長35年固定ですので、個人事業主の方で住宅ローン申し込みを検討している人はフラット35の利用を検討するとよいでしょう。

2.カーローン

カーローンも個人事業主が組むことができるローンになります。カーローンを組む場合には借入額の倍程度の年収があった方が安全です。こちらは過去の年収までチェックされるわけではないので、直近の確定申告で借入額の2倍程度の年収になるような確定申告をしておく必要があるでしょう。

個人事業主が購入した車は「減価償却費」で経費に落とすことができますが、支払った利息も「支払利息」として経費計上することができます。

しかしそのような会計処理を行うことができるのは、事業資金融資として日本政策金融公庫や信用保証協会の保証付融資で購入した自動車だけです。個人向けのカーローンで購入した自動車は、あくまでのプライベート用の自動車としてしか使用することができません。

「減価償却費」や「支払利息」などで確定申告で処理してしまうと、銀行から「事業用に使用している」と判断されて一括返済請求が行われ、個人信用情報がブラックになってしまうことがあるので、個人向けのカーローンで購入した自動車は個人向けの用途で使用して、経費処理しないようにしてください。

3.銀行系カードローン

個人事業主も銀行のカードローンを利用することができます。

銀行系カードローンは総量規制対象ではありませんが、今は自主規制によって年収の3分の1までしか借りることができません。したがって希望額の3倍以上の年収になるように確定申告を行う必要があります。

4.消費者金融系のカードローン

アコムやプロミスはアイフルなどの消費者金融のカードローンも個人事業主は借りることができます。

ただしこれらのカードローンは総量規制の対象ですので、年収の3分の1以内までしか絶対に借りることができません。

消費者金融系各社には前述したように個人事業主専用のカードローンが存在し、このローンは総量規制の対象外ですので年収の低い個人事業主でも利用することができます。主なローンとしては以下のようなものがあります。

  • アコム:ビジネスサポートカードローン
  • プロミス:自営者カードローン
  • アイフル:事業サポートプラン
  • オリックスクレジット:オリックスVIPローンカード BUSINESS
  • ビジネスパートナー
  • ビジネクスト

これらのローンであれば、個人信用情報に問題さえなければ申告所得の低い個人事業主でも借りることができる可能性が高いと言えます。

銀行や消費者金融の個人向けカードローンの審査に通過することができない場合には申込を検討してみましょう。

個人事業主がローンを借りる際に必要となる書類まとめ

個人事業主がローンで必要な書類は?

個人事業主がローンを借りる際に必要な書類は、どの資金を借りるのかによって大きく異なります。

ビジネスローンを借りる場合と住宅ローンを借りる場合に必要な書類をそれぞれ見ていきましょう。

ビジネスローンを借りる際の必要書類

ビジネスローンを借りる際に必要になる主な書類は以下の通りです。

  • 確定申告書(3期分)
  • 事業計画書
  • 本人確認書類
  • 納税証明書(消費者金融のビジネスローンは不要な場合が多い)
  • 開業届
  • 営業許可証(許可が必要な業種の場合のみ)
  • 資金繰表
  • 印鑑証明書(契約時)
  • 見積書など(設備購入時)

このほかにも審査の過程で様々な書類の提出を要求されることがあるので、指示されたら速やかに提出するようにしましょう。

住宅ローンを借りる際の必要書類

住宅ローンを借りる場合に必要になる主な書類は以下の通りです。

  • 確定申告書(3期分)
  • 本人確認書類
  • 健康保険証
  • 住民票
  • 不動産登記簿謄本
  • 公図
  • 住宅や土地の見積書やパンフレット
  • 建物図面(建築済みの住宅を購入する場合)
  • 確認済証(建築済みの住宅を購入する場合)
  • 印鑑証明書(契約時)

そのほかの書類としては、たとえば借り換えであれば現在返済している住宅ローンの返済予定表や返済用口座の通帳のコピーなどが必要になり、住宅ローンは購入する物件によって様々な書類が必要になります。

銀行の指示にしたがって、必要な書類は速やかに用意するようにしてください。

ローン審査を通る必要書類の作成は税理士におまかせ!

個人ローンや事業資金を個人事業主が借入を希望する際に絶対に必要で最も重要な書類は確定申告書です。

ローンの審査に通過したいのであれば、「審査に通過しやすい確定申告書」を作成する必要があります。会計の知識がない素人がこのような確定申告書を作成するのは難しいのが実情ですので、会計のプロである税理士に依頼した方がより審査の通過しやすい確定申告書を作ることができるでしょう。

事業資金や住宅ローンでは直近3年分の確定申告書の提出が必要になるケースが多いので、少なくともローンを申し込む3年程前には税理士へ相談しておいた方がよいでしょう。

監修税理士のコメント

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ローン申込時の注意事項ですが、個人信用情報にキズが無いことは非常に重要です。クレジットカード料金の引き落としや、携帯電話端末の分割料金の返済が遅延した等で、思わぬところで信用情報に傷がついている場合があります。念のため、申込前に信用情報機関に問い合わせ、過去2年間の信用情報に問題が無いか確認をしておくとよいでしょう。

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