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ROE(自己資本利益率)とは?意味や計算式、目安を分かりやすく解説

最終更新日: 2019年11月11日

「ROE」は経営や株の世界でよく耳にする言葉です。ROEの意味や計算式を正しく理解することで、客観的に企業の活動を分析することができるようになります。

ここではROEの目安となる数字の見方から、なぜ現在ROEが注目を集めているのかということまで具体的に解説していきます。

この記事の監修税理士

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区

安田亮(公認会計士・税理士・CFP🄬) 1987年 香川県生まれ 2008年 公認会計士試験合格 2010年 京都大学経済学部経営学科卒業 大学在学中に公認会計士試験に合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応等を経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。所得税・法人税だけでなく相続税申告もこなす。
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ROEとは

ROEとは
ROEとは

ROEは財務分析の指標となるものですが、具体的にどのようなものかイメージできない人もいると思います。そこで、まずはそのROEが何を示していて、どのような場面で活用されているのかをみていくことにします。

ROE=「自己資本利益率」

ROEは英語の「Return on Equity」の略語であり、日本語では「自己資本利益率」を指す言葉です。自己資本利益率は経営の効率性の指標となる数字の1つです。

ROEが意味するもの

ROEは、自分の資本に対してどれだけ利益が生み出されているのかを示すものです。ROEという数値を見ることでその企業が資本をいかに効率的に運用しているのかを客観的に見ることができるのです。

ROEの使い方

例えば、あなたがこれからある会社の株主になろうかどうか検討しているとします。株主になる訳ですから、その会社が資本をいかに効率的に運用しているのかという点は非常に重要ですよね。ROEはそうした会社の状況を客観的に数値化しているものです。そのため、ROEが高い会社には資本が集まりやすくなります。

ROEの計算式を解説!

ROEの計算式を解説!
ROEの計算式を解説!

ROEの数字を出すための計算式は、非常にシンプルなものです。企業が提出する決算報告書を見て、適切な数字を拾って計算すれば誰でもその数字を出すことができます。ここでは、初心者にもわかるように用語の解説も行いながらみていきます。

ROE(%)=当期純利益 ÷ 自己資本(期中平均) × 100

先に示したようにROE(%)の数字は「当期純利益÷自己資本(期中平均)×100」で求めることができます。ROEを見ることで、その期の自己資本利益率を一目で理解することができます。

なお、BS項目である自己資本は期中平均の数字を使います。具体的には自己資本の期首残高と期末残高の平均値を用います。

当期純利益と自己資本

ROEを算出する際には「当期純利益」「自己資本」をみることが必要になります。それぞれの考え方と見方を解説していきます。

当期純利益は「最終利益」とも呼ばれるもので、企業の「稼ぐ力」を示したものです。これは企業が携わる全ての活動から生み出された利益のことを指し、具体的には「全ての収益-全ての費用」で求めることができます。P/L(損益計算書)の最終利益を見ればその企業の当期純利益の数字を見ることができます。

自己資本は企業が自社内部で調達した資本を指す言葉です。B/S(貸借対照表)には「純資産の部」という項目がありますが、この部分の「株主資本」と「評価・換算差額等(その他の包括利益累計額)」の合計で求めることができます。

計算式を分解することができる!

なお、ROEの計算式を「売上高利益率×総資産回転率×財務レバレッジ」に分解することができます。この分解式は非常に重要です。なぜなら、これらのどれかを向上させることで企業はROEを上げることが可能になるからです。そのことについては後半部分で触れていますが、ここに出てくる数字を算出しやすいように、わかりやすい言葉で示すとこのようになります。

売上高純利益率=当期純利益÷売上高
総資産回転率=売上高÷総資産
財務レバレッジ=総資産÷自己資本

ROAとROEの違い

ROAとROEの違い
 ROAとROEの違い

ROEについてはある程度理解できたでしょうか。ところで、ROEについて知ろうとすると必ず「ROA」という言葉も登場します。似たような言葉ですが、会社の財務指標としてどちらも非常に重要な意味を持ちます。ここでは「ROAとROEの違い」について考えてみましょう。

ROAとは

ROAとは「Return On Assets」を略したものであり、「総資産利益率」を示すものです。ROEと同様に財務分析の収益性の指標となる数値です。ROEと違い、「自己資本」だけでなく負債を示す「他人資本」を含めた全ての資本をどれくらい効率的に運用しているかを示すものです。

ROAにもROEと同じように計算式があります。ROA(%)は「当期純利益÷総資産(期中平均)×100」で求めることができます。この総資産という数字もB/S(貸借対照表)で見ることができます。総資産は、借方(貸借対照表の左側)を全て合算したものです。

ROEとROAの違いとは

ROE「自己資本利益率」とROA「総資産利益率」の違いは次のようになります。

ROE=自己資本を使ってどれだけ利益を生み出したかを表す数値
ROA=総資産を使ってどれだけ利益を生み出したかを表す数値

わかりやすく解説してみたいと思います。ROEとROAの違いは「誰にとって重視される財務指標なのか」を考えていくと非常にわかりやすいものになります。

ROEは株主が自分の出資も含めた自己資本に対してその会社がどれだけ儲けたのかという、言い変えるのであれば株主にとって「投資利回り」を示すものです。そのため、ROEは株主が重視する財務指標です。

これに対しROAの分母になっている総資産には、株主だけでなく取引先などから調達した負債も含まれます。つまり会社の資産全体の運用結果としての収益性を示すのがROAということになります。その数字を重視するのは会社の経営者です。ROAは経営者にとって重要な財務指標なのです。

ROEとROAは大事な指標!

最近では「ROE経営」という言葉も登場し、ROEに対しての注目は非常に集まってきましたが、同様にROAも重要なものだといえます。

経営者は総資産をフル活用して利益に結び付けるための行動や施策が求められます。例えば新製品の開発、マーケットの拡大、無駄な経費の削減などを行えばROAが高まっていきます。ROAを高めることはROEを高めることにもなるのです。

一般的にROAが5%を超えていると優良企業であると判断されていますが、ROAは多額の借金を使って利益を出している企業でも「優良企業」にグループ分けされてしまいます。そのため、1つの数字を見るだけでは判断できないこともあるのです。企業の財務指標数字を見る時には、様々な視点で見るようにすると誤りがなくなるでしょう。

ROEの目安は?

ROEの目安は?
ROEの目安は?

投資家の指標は明確な基準が決まっていないことが多いのですが、ROEは明確な数値で見ることができるのです。こうしたことがROEに注目を集めていると言えるでしょう。ここでは具体的な数値を見ていく事にしましょう。

「伊藤レポート」では8%

知っておくべきROEの目安として「伊藤レポート」というものがあります。「伊藤レポート」とは一橋大学教授であった伊藤邦雄氏を座長とした、経済産業省の報告書の通称です。正式なタイトルは「持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家の望ましい関係構築~」というものです。

この2014年8月に公表された「伊藤レポート」ではROEの目標水準は8%という具体的な数字が掲げられたために、大きな反響を呼びました。2017年10月には最新版として「伊藤レポート2.0」が公開されています。

日本の平均は9.8%

日本企業のROEは2018年の数値で9.8%と報告されました。決して悪い数字とは言えないのですが、2017年には初めて10%を超えるなどの成長を見せていたものがここにきて0.6%のダウンとなっているために注意が必要です。

これらの数字を客観的にみると、日本企業は資本の増加に対して利益の伸びが追い付いていないという現状が浮き彫りになります。外国の投資家が日本企業の株を売り姿勢が強まる傾向になるために、このROEを高める動きが非常に重要な課題となっていると言えるでしょう。

ROEが10~20%なら優良

一般的にはROEが10%~20%であれば企業は優良であると言えます。投資家の視点で言い換えるのであれば、ROEが10%~20%の企業の株は質の良い投資銘柄である可能性が高いと言えます。

ROEが高い有名企業の例

ROEが高い有名企業の例
ROEが高い有名企業の例

前述したようにROEの数字を見れば、良い銘柄を見つけることができるということがわかりましたが、単純に数字だけを見て判断できないという側面がありますので注意しましょう。ROEの数字は企業の様々な背景やその業界によって数値が大きく左右されるものです。

花王

日本の日用品会社最王手である花王は、2015年にROEの15%を目標に掲げていました。その結果、14.8%と目標にはわずかに届かなかったものの、わずか5年の間でROEを1.5倍にまで引き上げ、日本企業としては高いROEを達成することに成功しました。

花王の総資産と財務レバレッジは、この5年で大きな違いはありません。ROE上昇の最も大きな理由は売上高純利益率を向上できたことによります。

楽天

楽天市場や楽天カードなどでおなじみの楽天ですが、2018年にはROEが19.5%と極めて高い数値を叩き出しました。この理由を調べると、楽天の利益率が飛びぬけて高いということではなく、財務レバレッジによってROEが高いということがわかります。

楽天は銀行や証券など金融業を抱えています。この証券業の金融負債や銀行業の預金などは負債として計算されるために株主資本が小さく見えるという結果になっているのです。

ROEの平均は業界で違う!

つまり、ROEの数値の示すものは複数の理由によってできているということです。それは業界によっても大きく異なるものです。

例えば、日本経済新聞に発表されているROEランキングを見てみましょう。「サービス」のROEを見てみるとTOP10社では軒並み35%を超える数字が目に飛び込みますが、「食品」のROEを見比べてみると13%程度でTOP10にランクインしていることが分かります。

ROEの数字を見て良い銘柄だと思った際には、同じ業種の他社と見比べることと、ROEを高めている理由は一体何であるのかを検討すべきです。しかし、ROEが短期的に向上している企業は非常に注目を集めるのも事実です。

ROEを向上させる方法5選

ROEを向上させる方法5選
ROEを向上させる方法5選

では、あなたが会社の経営者だとして自社のROEを短期的に向上させたいという目標を持ったとします。その際にはどんな取り組みをすべきでしょうか。

前述してきたようにROEの計算式は「売上高純利益率×総資産回転率×財務レバレッジ」という分解式があるということがわかっています。つまり「収益性」「効率性」「財務レバレッジ」のどれかを向上させることができればいいのです。

自社株買いをする

企業がいわゆる「自社株買い」をすれば、ROEを高めることができます。自己資本が減少し、1株当たり純利益が増加します。1株当たり純利益が増えるということは、株価が上がりやすくなるために投資家へのリターンも増えるということです。しかし、「自社株買い」は自己資本を減らすという行為ですので、客観的な視点での会社の安全性が失われます。そのため急激な「自社株買い」は大きなリスクでもあるのです。

増配をする

株主への配当を増やし、自己資本を減少させることで数値を高めるという手段もあります。配当というものは自己資本の利益余剰金から支払われるものなので、ROEを高める効果があります。大幅な増配がある企業は単純に業績が好調であるという理由の他にもこうした狙いもあるかもしれません。

コストを削減する

「売上高純利益率」を増加させるためにはコスト削減が最も簡単な手段だと言えます。しかしあまりに急激なコスト削減は大きなひずみを生み出すことになるでしょう。もちろん、会社コストで高い割合を占めるのは「人件費」です。単純に人件費を削ることができれば、ROEを上げることができるのです。しかし、これは会社にとって「諸刃の剣」といえるでしょう。

積極的に投資をする

会社が設備投資や、事業拡大を行うなどの積極的な投資をすることでROEを高めることができます。設備投資は収益性を高め、コスト削減が期待できる手段です。また、「投資」には企業内のものだけでなく、他の企業を買収する「M&A」という側面もあります。

M&Aを実施する

儲けている企業を買収(M&A)することができれば、大幅なコスト削減を見込むことができます。また場合によっては、一時的に評価益が純利益を押し上げる効果が期待できるかもしれません。さらに、儲かっている子会社を完全に子会社化することができれば連結ベースのROEが高まる効果があるでしょう。最近M&Aが流行しているのはこうした背景もあるのです。

ROEのまとめ

まとめ
まとめ

さて、今回はROEの目安となる数字の見方から、なぜ現在ROEが注目を集めているのかということまで具体的に見てきましたがいかがだったでしょうか。最後にまとめてみたいと思います。

・「ROE=当期純利益÷自己資本(期中平均)×100」で求めることができる
・ROEの計算式を分解すると、「売上高純利益率×総資産回転率×財務レバレッジ」となる
・ROEは「自己資本利益率」を示し、ROAは「総資産利益率」を示す
・一般的にはROEが10~20%なら優良と見られる
・ROEの平均は業種などで大きく異なるため、同業他社と比較することが重要
・経営者が自社のROEを高めるには「収益性」「効率性」「財務レバレッジ」のどれかを高める必要がある

ROEを知ることで新しい視点で経営や株について考えることができるようになります。もっと知りたい方は更に深堀りしてみるのもいいかもしれません。

安田亮公認会計士・税理士事務所 - 兵庫県神戸市中央区

近年、日本企業においてコーポレートガバナンスの強化も叫ばれており、株主重視の経営が 重視されています。 ROEは株主にとって重要な指標です。ROEが高ければ配当に回せる金額も多いということ となり、その銘柄は投資家にとって魅力的になります。 ROEを高めることで投資家にとって魅力的な企業にすることができるでしょう。
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