飛び石被害で保険適用を検討する場合は、事前に等級や免責金額とのバランスを考慮して決めることが重要です。保険の仕組みを理解しておけば、ベストな方法を見つけられるでしょう。
最終更新日: 2021年07月08日
適用保険の種類や注意点、賠償請求について解説します。
飛び石被害に保険を使うべきか？
飛び石被害には自動車保険を適用できますが、等級と免責金額に注意が必要です。適用できる保険の種類と、保険使用時に気を付けるべきポイントを解説します。
対象となる保険の種類
飛来中または落下中の物が、走行中に車体やフロントガラスに当たり、損害を受けることを「飛び石被害」といいます。
前方や脇を走行していた車が主な原因となるため、外部要因による損傷とみなされ、車両保険の対象として認められます。飛び石被害は一般型だけでなく、エコノミー型でも補償の対象です。
ただし車のメンテナンス中にフロントガラスがひび割れてしまった場合は、補償の対象にはなりません。火山の噴火や地震など、自然災害による飛び石被害も対象外です。
翌年の等級に注目して適用を検討する
自動車保険には、各保険会社に共通した等級制度が設けられています。等級制度とは、保険契約者の事故歴に応じて、保険料の割引や割増を適用する制度です。
等級の段階は1から20まであり、数字が大きいほど保険料は割高です。契約時は6等級から始まり、1年間無事故なら翌年度は等級が1段階上がりますが、事故を起こすと1または3段階下がります。
飛び石被害で車両保険を使うと、等級が1段階下がり、翌年度の保険料が高くなるのです。修理代を自分で払ったほうが安くなることもあるため、保険を使うかどうか慎重に検討する必要があるでしょう。
自己負担がある場合も
自動車保険に車両保険を付帯させる際は、免責金額を設定できます。免責金額とは、車両保険を使用する場合に、自分で負担する分の金額です。
免責金額を高く設定するほど、保険料は安くなります。免責金額をゼロにすれば保険料は高くなりますが、車両保険使用時に修理代の自己負担分は発生しません。
修理代が免責金額を下回っている場合、修理代は全額自己負担となります。飛び石被害で保険の適用を検討する際は、免責金額にも注意しなければなりません。
飛び石被害の修理を自分でする場合
飛び石によりフロントガラスに付いた傷は、自分で修理することが可能です。補修作業の大まかな手順や、自力修理のリスクについて解説します。
自分で修理する手順
フロントガラスのひび割れが1.5cm程度までなら、ガラスリペアキットで修理できます。ガラスリペアキットは、カー用品店やネットショップで購入可能です。
修理する際はあらかじめひび割れの周辺をきれいに清掃しておきましょう。ひび割れに浸透させるUVレジンは、塗装やゴムを劣化させる恐れがあるため、マスキングテープで保護しておくのがおすすめです。
最初にひび割れの中の破片をピンで取り除き、クリア板をひび割れに合わせて固定します。クリア板の穴にインジェクターを回し入れたら、UVレジンをインジェクターの中に入れ、ピストンを使ってUVレジンをひび割れに注入しましょう。
UVレジンを注入し終えたら、付属のクリアフィルムを貼り、完全に固まるまで放置します。UVレジンが硬化すれば、フィルムをはがして作業完了です。
自力の修理はリスクを伴う
フロントガラスに傷が付いた場合、自分では問題ない傷だと思っていてもプロが見ると修理や交換を必要とするケースがあります。傷の程度によっては車検に通りません。
ガラスリペアキットでの修理も、素人がきれいに仕上げるのは困難です。修理中に傷が広がり、さらに危険な状態になることもあります。
飛び石被害を負ってしまったら、ディーラーやガラス専門工場などのプロに見てもらいましょう。修理または交換により、フロントガラスをきれいな状態に戻せます。
飛び石被害は相手に賠償できる？
前方車からの飛び石で被害を受けた場合、相手の責任を問いたくなる人もいるでしょう。損害賠償請求ができるかどうかを解説します。
損害賠償請求は難しい
偶発的に他車から受けた飛び石被害の場合、相手の意図的な行為によるものとは認められにくいため、損害賠償請求をすることは困難です。
ドライブレコーダーを搭載していなければ、そもそも相手の特定も難しいでしょう。ただし、前方車の荷台に積まれていた砂利などが原因で被害を受けた場合は、ドライブレコーダーの映像を使って捜査してもらえる可能性があります。
飛び石被害は事故扱いになるため、被害を受けたら警察に届け出る通知義務があることも覚えておきましょう。
被害に遭わない運転を心がけよう
飛び石被害を受けると、保険手続き・修理・警察への届け出など、余計な手間や費用が発生してしまいます。被害に遭わないような運転を意識することが大切です。
飛び石は前方車から飛んでくることが圧倒的に多いため、車を運転する際は十分な車間距離を取りましょう。大型車の後方は、特に飛び石被害が発生しやすくなります。
砂利道などのオフロードを走る際も、前方車との距離に注意が必要です。雨が降った後の日や風が強い日も、飛び石の原因となる小石が道路に増えやすくなります。
飛び石被害の保険適用は等級や費用と相談
飛び石被害には車両保険を適用できますが、等級が下がるため翌年度の保険料が高くなります。自己負担分がある場合も含めて、保険を使うかどうか慎重な検討が必要です。
飛び石被害の修理を自分で行う場合は、さまざまなリスクを伴います。自分では問題ないと感じるひび割れでも、一度プロにきちんと見てもらいましょう。
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