車を処分する方法には売却・下取り・譲渡・廃車の4つがあります。車を処分するときはなるべく費用をかけないで手軽に済ませたいものです。車の状態に合わせて、お得かつ簡単に車を処分できるように、それぞれの方法について流れや注意点を解説します。
車を処分する4つの方法
車を処分する方法は4つあります。車の状態や必要な手間と費用に応じて適切な手段を選ぶことが大切です。売却・下取り・譲渡・廃車のそれぞれのメリット・デメリットについて解説します。
中古車の買取業者に売却する
車を処分する一つ目の方法は、買取業者への売却です。車の処分には費用がかかりますが、売却することで逆に一時収入を得られます。ただし車の状態が良くないと高値で売却するのは難しいです。
走行距離が短くて年式が新しいなら、中古車専門の買取業者に売却するといいでしょう。一般的に総走行距離が5万km未満、1年当たりの平均走行距離が1万km未満の車は需要があるため、高値がつきやすいです。総走行距離が5万kmを超えると査定が厳しくなり、走行距離が10万kmを超えると売却が難しくなります。年式は5年未満のものがいいでしょう。
メンテナンスが行き届いていることも大切です。傷や汚れがなく、カーナビなどの付属品があると査定額が高くなります。さらに貴重で需要の高い車種であるほど買取価格が高いです。
車をまるごと売却できなくても、バンパーやヘッドライトなど車の各パーツを売却できる場合もあります。車自体に価値がつかなかった場合は、部品買取の専門業者に査定を依頼してみるといいでしょう。
ディーラーに下取りしてもらう
車を処分する二つ目の方法は、ディーラーへの下取りです。下取りをしてもらうには、新しい車を購入する必要があります。まずは新車の購入を検討してから下取りを行いましょう。
下取りでは煩雑な手続きがほとんどありません。新しい車の購入時に古い車をディーラーに引き渡すだけなので、非常に手軽です。
売却時とは異なり下取りに出した車は必ずしも再流通されるとは限りません。古い車や故障している車でも引き取ってもらえることが多いです。
下取りのデメリットとして、下取り価格の不明瞭さが挙げられます。新車の見積もり前に中古車を下取りに出すことを伝えると、下取り額がいくらなのか曖昧になりがちです。買取業者や別の店舗でも相見積もりを取り、相場を把握することが大切です。
知人などに譲渡する
3つ目の車の処分方法は、家族や知人への譲渡です。大事に乗った車を、顔の見える相手に乗ってもらいたいという気持ちがあるときは、人に譲るといいでしょう。
フリマアプリを使えば、家族や友人以外の譲渡先を見つけることも可能です。無料か有料どちらの取引か、手続きや手数料はどちらが負担するか、当事者同士の話し合いで決めます。
必要な書類の用意や移転登録といった手続きを自分たちで行う必要があるため、手間がかかります。トラブルを避けるために各種手続きは早く済ませておき、重要事項を一緒に確認するようにしましょう。
廃車あるいは廃車の買取業者に売却する
最後に車籍を完全に抹消して廃車にすることも一つの手です。年季が入っていて売却や下取りをしても値段がつかない場合や、事故車や故障車は廃車にするのが適切です。車を修理するよりも新車あるいは中古車を購入した方が安く済むときは、思い切って廃車処理をしましょう。
廃車扱いの車でもパーツのリサイクル利用を目的に買い取りしてもらえるケースもあります。廃車にするための費用を節約できるので、廃車の買取業者に査定を依頼してみるといいでしょう。
車を売却する流れ
買取業者に車を売るには、どのような手続きが必要になるのでしょうか。車を処分する一つ目の方法、売却の流れについて解説します。
買取店に査定を依頼する
まずは買取業者を選び、車の査定を依頼します。買取業者を探すときはミツモアを利用すると便利です。ミツモアでは簡単な質問にいくつか答えるだけで、無料で最大5社の相見積もりができます。気になる業者とは事前にチャットで相談ができるので安心して取引できます。
買取業者を選ぶ基準の一つとして、JPUC(一般社団法人日本自動車購入協会)の適正買取店に認定されているかどうか確認するといいでしょう。消費者が安全にサービスを受けられるように、厳しい審査が行われているので安心です。
査定してもらう方法は「持ち込み査定」と「出張査定」の2種類あります。店舗に持ち込むのが難しい場合や十分な時間を取れない場合は出張査定を選ぶといいでしょう。
必要書類を用意して買取契約を結ぶ
査定額が確定したら、次に必要書類を用意します。売却時に必要な書類は普通自動車と軽自動車で異なります。
普通自動車の売却に必要な書類等
- 自動車検査証
- 自賠責保険証明書
- 自動車納税証明書
- 自動車リサイクル券
- 印鑑登録証明書
- 実印
- 譲渡証明書
- 委任状
- 振込口座情報
軽自動車の売却に必要な書類等
- 自動車検査証
- 自動車検査証記入申請書
- 自賠責保険証明書
- 軽自動車納税証明書
- 自動車リサイクル券
- 印鑑
- 振込口座情報
自動車検査証・自賠責保険証明書・(軽)自動車納税証明書・自動車リサイクル券・振込口座情報は共通して必要です。2005年1月1日以降に自動車を購入している場合は、購入時にリサイクル料金を払う義務があり、自動車リサイクル券を受け取っています。
普通自動車を売却するときの譲渡証明書および委任状、軽自動車の自動車検査証記入申請書は店舗側で用意してあります。普通自動車を売却するときは実印と印鑑登録証明書が必要ですが、軽自動車の場合は認印でも大丈夫です。
必要書類を準備して買取契約を結んだら、車の引き渡しを行います。後日口座に買取金額が入金されていることを確認したら手続きは完了です。
参考:「第73条第1項」使用済自動車の再資源化等に関する法律 | e-Gov法令検索
車を下取りに出す流れ
車を下取りに出すときも、大きな流れや必要書類は売却のときと大差ありません。車を下取りに出すときの流れと注意点について解説します。
新車を選んで下取りを依頼する
下取りに出して車を処分する場合は、まずディーラーもしくは中古車販売店で新しく購入する車を決めましょう。新しい車の契約をするために別途、書類や費用が必要になってきます。購入する車の目星がついたら、見積もりをしてもらいます。
購入する車の見積もりができたら、続いて所有している車の査定です。下取り額がいくらになるか正確に把握するために、下取り前の金額を聞いてから下取りを検討している旨を伝えることが大切です。
必要書類を用意して下取り契約を結ぶ
車を下取りに出すときにも、売却時と同じ書類が必要になります。普通自動車と軽自動車で必要書類が異なります。共通して必要な書類等は以下の6点です。
- 自動車検査証
- 自賠責保険証明書
- (軽)自動車納税証明書
- 自動車リサイクル券
- 印鑑
- 振込口座情報
軽自動車の場合、印鑑は認印で問題ありませんが、普通自動車の場合は実印と印鑑登録証明書が必要です。普通自動車では譲渡証明書や委任状、軽自動車では自動車検査証記入申請書も必要ですが、店舗で用意してあるので事前に準備しなくても大丈夫です。
下取りの査定額が分かったら、他店の見積もり結果などをもとに交渉をすると査定額が高くなることもあります。相場を把握した上で打診してみましょう。
下取り額が決まったら新しい車の購入と古い車の下取りの両方について契約を結びます。代金の支払いが完了して、車の納車および引き渡しを行ったら手続きは終了です。
車を譲渡するのに必要な手続き
車を譲渡する場合は、全ての手続きを自分で行う必要があります。トラブルに巻き込まれないように、早めに手続きを済ませておきましょう。
車と保険の移転登録を行う
車を譲渡する場合には、車と保険の移転登録が必須です。移転登録とは、車の所有者が変わったことを示すための名義変更です。移転登録をしておかないと、車検に出したり廃車にしたりできなくなります。
車の移転登録をするには、譲受人の住所を管轄する陸運局に出向く必要があります。軽自動車の場合に行くのは軽自動車検査協会です。陸運局や軽自動車検査協会に行く前に以下の書類を準備します。
自動車検査証は車検が切れていないことを確認しましょう。譲渡人と譲受人が管轄地域の異なる場所に住んでいる場合は、ナンバープレートを変更するために車も必要です。
普通自動車を譲渡する場合の必要書類等
- 自動車検査証
- 譲渡証明書
- 譲渡人の印鑑登録証明書
- 譲受人の印鑑登録証明書
- 譲受人の車庫証明書
譲渡証明書には譲渡人による実印の押印が必要です。印鑑登録証明書は3カ月以内に発行したもの、車庫証明書は1カ月以内に発行したものを用意しましょう。
軽自動車を譲渡する場合の必要書類等
- 自動車検査証
- 譲渡人の申請依頼書
- 譲受人の申請依頼書
- 譲受人の住所が証明できる書類の写し
申請依頼書には認印の押印が必要です。住所を証明するための書類の写しは3カ月以内に発行したものを準備します。
普通自動車の手続きに必要な手数料納付書や自動車税・自動車取得税申告書、申請書、軽自動車の手続きに必要な自動車検査証記入申請書、軽自動車税申告書(種別割、環境性能割)は陸運局に用意されています。
陸運局での手続きができるのは平日の日中だけです。自力で移転登録をするのが難しい場合は、オンラインで手続きができるOSS申請を利用するか、自動車販売店や行政書士に代行してもらうと手軽に済みます。
車の移転登録が終わったら、自賠責保険と自動車保険の移転登録も忘れずに行いましょう。
廃車にする3つの方法
車を処分する最後の方法、廃車手続きはどのように行うのでしょうか。廃車手続きを進める3つの方法について解説します。
自分で廃車の手続きを行う
廃車処理は自分で行うことができ、書類の申請と車の解体にかかる費用を負担します。自動車リサイクル券がない場合はリサイクル料、車を通常通り運転できない場合はレッカー代の支払いも必要です。
廃車にする手続きは平日に陸運局に出向いて行います。廃車の手続きは慣れない工程が多く、必要以上に時間と手間がかかってしまうものです。自力で処理することも可能ですが、ディーラーや買取業者に手続きの代行をしてもらうと手軽に済ませられます。
ディーラーや行政書士に代行してもらう
新車を購入するときはディーラーに廃車の手続きを代行してもらうといいでしょう。下取り査定で価値がつかなくても、廃車処理を代行してくれることがあります。車の解体から申請書類の作成まで、全工程を任せることが可能です。
ディーラーに廃車を依頼するデメリットを挙げるとすれば費用でしょう。手間と時間は節約できますが、10,000〜30,000円ほどかかることが多いです。
費用を抑えたい場合は行政書士に代行してもらうといいでしょう。5,000〜10,000円で廃車の手続きを代行してくれます。ただ、行政書士が代行してくれるのは書類の作成および申請だけです。車の解体やレッカー代が別でかかります。
廃車買取業者に売却する
車を廃車の買取業者に売却して、廃車処理も任せる方法もあります。買取業者に依頼した場合は、無料で廃車手続きの全工程を請け負ってくれることが多いです。自力やディーラーなどに代行してもらうよりも、廃車にかかる費用を抑えられます。むしろ買取費用を受け取り、プラスになるケースもあります。
廃車の買取業者としても廃車扱いの車で利益を得ることができるので、お互いにとって利益のある取引となっています。車としての役目を終えた車でも、ほかの用途で利用できます。費用と手間を考慮すると、廃車の買取業者に売却するのがいいでしょう。
廃車にするのに必要な手続き
自分で廃車手続きをする場合も、代行してもらうときも必要な手続きは同じです。廃車にするのに必要な手続きについて順番に解説します。
車を解体してもらう
車を廃車にするには、まず車を解体する必要があります。車を解体してもらった上で「解体報告記録日」の記録と「使用済自動車引取証明書」を発行してもらいましょう。続いて永久抹消登録手続きをするために、解体を証明する書類が必要です。
解体は廃車買取業者や解体業者に依頼するといいでしょう。ディーラーや中古車販売店などで依頼できることもありますが、高額になる可能性が高いです。個人からの解体依頼を請け負っていない業者もあるので注意が必要です。
車の解体を行うには自動車リサイクル法に基づく国の認可を受けている必要があります。解体業者として認可が下りているか確認することが大切です。
自社工場を持っている解体業者を選ぶと、仲介料の分だけ費用が抑えられます。廃車処理を一括して行っているため、簡単な手続きで済ませられます。業者を選ぶ際は自社工場の有無にも目を向けてみましょう。
永久抹消登録手続きをする
車の解体が完了したら、永久抹消登録の手続きをします。永久抹消登録をすることで、正式に廃車にできます。永久抹消登録手続きには、解体時にもらった「解体報告記録日」の記録と「使用済自動車引取証明書」のほかに、自動車検査証や印鑑登録証明書などの書類が必要です。
永久抹消登録に必要な書類等
- 自動車検査証
- ナンバープレート(前後2枚)
- 「解体報告記録日」の記録
- 使用済自動車引取証明書
- 印鑑登録証明書
- 実印
- 手数料納付書
- OCR申請書(第3号様式の3)
- 自動車税申請書
車検証に記載の住所と住民票のある現住所が異なる場合は、住民票も必要です。2回以上の転居を繰り返している場合は、戸籍附票を用意しましょう。住民票や戸籍附票および印鑑登録証明書は発行から3カ月以内のものでないと効力がありません。
手数料納付書とOCR申請書(第3号様式の3)、自動車税申請書は陸運局および隣の税事務所でもらえるので、事前に準備しないでも大丈夫です。
ナンバープレートを返却して、手数料納付書に確認印を押してもらったら廃車手続きは完了です。
車を処分するときの注意点
車を処分するときは、二度手間やトラブルを避けるために名義人や車検の有効期限に注意が必要です。還付金の受け取りも見落としてはいけません。車を処分するときに、共通して注意するべきポイントを紹介します。
車の名義人を確認しよう
車の名義人以外の人が処分の手続きを行うことはできません。車を使用しているのが自分でも、自動車検査証を確認したら自分以外の家族が所有者になっていることもあるので、注意が必要です。ローン会社やディーラーが所有者になっているケースもあります。車をローンで購入した場合は気をつけましょう。
名義人を変更するには、自動車検査証と印鑑登録証明書および実印が必要です。委任状を用意して手続きを代行することも可能です。
車検切れの車はレッカー移動が必要
車検切れの車で公道を走行できないので、車検切れの車を処分するときには注意が必要です。そのまま公道で運転してしまうと、罰則の対象となります。自賠責保険も切れていた場合は、さらに罰則が重くなります。レッカー移動を依頼しましょう。
レッカー代をかけたくない場合は仮ナンバーを発行してもらうことで、車検切れの車でも公道での走行が可能になります。運転免許証と自動車検査証、自賠責保険証明書、実印が必要です。役所あるいは陸運局に出向き、自動車臨時運行許可申請書をもらって記入します。手数料は自治体によって異なりますが、1,000円前後が一般的です。
車を処分したら還付金を受け取ろう
車を処分すると先払いしていた分の税金や保険料の還付を受けられます。余分に納めた税金は処分が完了した日の翌月から翌年3月までの期間に相当する金額が戻ってきます。自動車にかかる税金や保険料は一般的に1年間で数万円かかるので、最後までしっかり手続きをすることが大切です。
車を売却、下取りあるいは譲渡した場合は、自動車税とリサイクル料金の還付が受けられます。車を廃車にした場合は、自動車税のほかに自動車重量税と自賠責保険料の還付金も受け取り可能です。廃車時にリサイクル料金の還付はなく、むしろ自動車リサイクル券を紛失していれば料金を支払う必要があります。
税金の還付を受けるために特別な手続きをする必要はありません。後日、還付通知書が届くので、銀行あるいは郵便局で還付金を受け取ります。
一方で、保険料の還付を受けるためには保険会社に廃車した旨を連絡する必要があります。車の処分をディーラーや買取業者に任せた場合も還付金がもらえるので、事前に確認を取ることが大切です。
自分に合った方法で車を処分しよう
車を処分する方法には売却・下取り・譲渡・廃車の4つがあり、車の状態に応じて最適な方法を選ぶことで、処分費用を抑えられるほか、大切な車を次の人に託すことが可能です。
いずれの方法を選んでも、車の処分に関わる手続きは非常に煩雑です。自力で処分をすることもできますが、業者に任せると手軽に済ませられるでしょう。大切に乗った車を処分するときは、自分に合った方法を選ぶことが大切です。
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