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ヒサカキは庭で育てられる?花の特徴や上手な育て方を紹介

最終更新日: 2021年02月02日

可愛らしい花をつけるヒサカキは環境適応能力が高いので、育て方がとてもシンプルです。そのため、いくつかのポイントを押さえるだけで綺麗に育つでしょう。ヒサカキが好む場所や肥料の与え方など、上手に育てる方法を解説します。

ヒサカキとは

ヒサカキ

ヒサカキは、サカキ科ヒサカキ属の植物に分類されます。名前の由来や花言葉、どんな特徴を持った植物かを紹介していきます。

ヒサカキは縁起のいい植物

ヒサカキの名前の由来は2つあるといわれており、どちらもサカキという植物に由来します。

ひとつ目は「非榊」から来ているという説です。葉っぱがサカキと近い形だが、サカキとは似て非なるものという意味を込め、非榊と名付けられたという説があります。

もうひとつは「姫榊」から来ている説です。サカキより小ぶりな葉っぱをしていることから、姫のように小さなサカキ、転じて姫榊(ヒサカキ)となったそうです。

サカキは神社に飾られていることが多い植物で、縁起がよいとされています。サカキが少ない地域では代わりにヒサカキを用いることがあるため、ヒサカキもまた縁起のよい植物とされているようです。

なお、サカキの主な生育地域としては関西から西の温暖な地域が挙げられます。

花言葉は「神を尊ぶ」

ヒサカキにはいくつか花言葉があり、なかでも代表的な花言葉が「神を尊ぶ」です。神社に飾られ、神様へ供えられる花であることが由来でしょう。

ほかには「控えめな美」や「内気」などの言葉もあるようです。これらはヒサカキの元になった「姫榊」という言葉が関係していると推測されています。

姫という言葉が示す上品でおしとやかなイメージが、それらの花言葉を連想させるのかもしれません。あるいは、小さく控えめに咲く花から由来している可能性もあります。

花はかわいらしいが臭いがある

ヒサカキの花は3〜4月にかけて開花し、クリーム色をしています。枝の下に並んで咲く特徴を持ち、花の大きさは5mm以下のものがほとんどです。

小さく可愛い見た目をしているため、神社で神様へ供えるだけでなく観賞用としても好まれます。

ただし、その可愛い外見とは裏腹に独特の強い臭いを持っています。人によって感じる臭いの度合いは異なりますが、一般的には好まれないタイプの臭いでしょう。具体的には、ガスの臭いや漬け物の臭いに例えられることが多いです。

ヒサカキを育てる環境

ヒサカキ

ヒサカキを自宅で育てたい場合、どういった環境が好ましいのでしょうか。ヒサカキが好む場所や条件を紹介していきます。

ヒサカキは暖かい場所を好む

ヒサカキはある程度までなら寒さにも耐えられる植物です。しかし元々は暖かい地域で自生していたため、寒い場所よりは暖かい場所を好みます。

特にヒサカキを植えてすぐのタイミングは、しっかり地面に根を張り成長できるよう、寒さから守りましょう。

具体的な寒さ対策としては根元部分にわらを敷くなどするのがよいです。また可能であれば、風が強く吹く場所には植えないなどの対策も行いましょう。

半日光のような場所が最適

ヒサカキはほかの品種と比べ、環境に適応する能力が高いです。そのため日当たりがよい場所と日陰、どちらでも成長します。

ただし、極端に日差しが強い場所や奥まった日陰は避けた方が無難です。

ヒサカキにとっての理想な環境は、午前中は日当たりがよく、午後からは日陰になるような場所が最適といわれています。

ヒサカキの育て方

ヒサカキ

ヒサカキを育てるときは、使う土の質や水のやり方、肥料などがポイントです。ヒサカキの生育に欠かせないそれらの要素について、ひとつずつ解説していきます。

用土は保水性のある肥沃な土を使う

ヒサカキは環境適応能力が高いため、湿り気のある土でも、乾いた土でもしっかりと育ちます。

なかでも特にヒサカキが好む土は、湿り気のある土です。ヒサカキを植える際は、土の保水性を高めるために赤玉土(小粒のもの)や腐葉土を混ぜましょう。

しかし、保水性の高い土はカビの繁殖なども懸念されます。ヒサカキはカビにも強いため基本的には問題ありませんが、それでも不安な場合は風通しのよい場所に植えるとよいでしょう。

水やりは土の状態を見ながら行う

ヒサカキは湿った土の方がよく育ちます。そのため土の状態を観察し、乾いているようであれば水やりを行いましょう。

ただし、夏の水やりには注意が必要です。夏場の水やりは朝か夕方に行いましょう。なぜならば、日中の暑い時間帯に水やりをした場合、暑さで水が蒸発し水不足になるばかりでなく、株が傷んでしまう恐れもあるためです。

冬は反対に、小まめな水やりを必要としません。土を見て乾燥がひどいようであれば水を与えても大丈夫ですが、基本的には雨が降ったときなどの水分で十分です。

肥料は固形のものを年に数回与える

植物に与える肥料には、液状のものと固形のものがあります。ヒサカキに適した肥料は固形のものです。

肥料を与えるタイミングは、2月と4月の年2回です。油カスや堆肥といった固形の肥料を置き肥として与えましょう。

また、2月と4月にそれぞれ肥料を与えた後、土や葉っぱの状態を見て栄養が行き届いていないと感じることもあるかもしれません。その場合は6月に再度肥料を与えるとよいでしょう。その際は冬用の寒肥ではなく、春先に使用するお礼肥を用います。

ヒサカキの手入れ方法

ヒサカキ

ヒサカキを育てる上で、剪定や植え替えが必要になることがあります。特に庭に植えた場合、庭の広さの都合で剪定を余儀なくされることがあります。

正しい剪定の仕方や植え替えの方法を覚え、ヒサカキを適切に手入れしましょう。

剪定の仕方

ヒサカキを適した環境で生育すると、10m近くまで大きくなることがあります。また、枝が絡むように生えることも特徴です。そのため、放置すると庭に収まりきらなくなってしまったり、風通しが悪くなり害虫が発生してしまったりする恐れがあります。

これらを防ぐためにも、ヒサカキの剪定を行いましょう。剪定にベストなタイミングは3〜7月頃までです。これは冬に行うよりも、ヒサカキへの負担が軽くなることが理由です。遅くとも10月までには剪定を終えましょう。

ヒサカキのサイズを調節したい場合は伸びている枝を、形を整えたい場合は枝の流れに反しているバランスが悪い枝を剪定します。

植え替えの仕方

植物の健康な状態を保つためには、植え替え作業が必要です。ヒサカキも例外ではありません。

植え替え自体は植物に負担をかける作業ではありますが、土を新しくすることで老廃物を取り除いたり、雑菌から守ったりできます。

ヒサカキを植え替える時期は、3月頃から9月頃がよいとされています。剪定の時期とほぼ同じタイミングと覚えておきましょう。ただし6月頃の梅雨時は、雨で栄養が流れるリスクがあるため避けた方が無難です。

植え替えの手順は以下になります。

  1. 古い根などを取り除きながら土をゆっくりとほぐしつつ、鉢から取り出す
  2. 植え替え先の鉢に入れる
  3. 鉢のフチ3cmくらいまで土を入れる
  4. 水を十分に与える
  5. 日陰の風が当たらない場所でゆっくりとなじませる

ヒサカキの注意すべき病害虫

ホタルガ

ヒサカキを育てるときは、病気・害虫にも気をつけなければいけません。どんな病気にかかりやすく、またヒサカキを好む害虫は何かを解説します。

ヒサカキがかかりやすい病気

ヒサカキがかかりやすい病気として「褐斑病(かっぱんびょう)」と呼ばれるものがあります。小さい斑点が葉っぱに現れ、やがて葉っぱを枯らしてしまう病気です。

予防策としては、風通しをよくして湿度を上げすぎないことが挙げられます。それでも発症した場合、規模が小さい段階ならばその部分を切り取ることで拡大を防げます。薬剤を使う場合も、早期の使用がもっとも効果的です。

また葉っぱや茎部分に円形のカビが現れる「炭疽病(たんそびょう)」にも警戒が必要です。病気が進行すると木が枯れてしまうため、こちらも早めの対策がポイント。炭疽病の予防法・対策は褐斑病と同じで、風通りをよくする、症状が出た部分を切るなどの方法が有効です。

ヒサカキにつく主な害虫

ヒサカキを好む害虫の代表がホタルガです。ホタルガの幼虫はヒサカキの葉っぱを好んで食べるため、ヒサカキに付いたまま放置すると、どんどん葉っぱを食い破られてしまいます。

ホタルガの駆除には殺虫剤を使用するほか、箸などでつまみ取る方法もあります。ただし、ホタルガの分泌液には毒があるため、直接手で触れることは避けましょう。

またホタルガ以外に、カイガラムシなどもヒサカキにとっては害虫となります。樹液が吸われることで栄養を失い、育たなくなってしまう恐れがあります。カイガラムシもホタルガ同様に、殺虫剤での駆除が確実です。

ヒサカキの増やし方

ヒサカキ

育てているヒサカキを増やしたい場合、主に種まきと挿し木による方法があります。それぞれのやり方について、説明していきましょう。

種まきの仕方

種まきは種をまいてヒサカキを増やす方法です。たくさん増やせるメリットがある一方で、時間が必要になるというデメリットもあります。

ヒサカキの種をまく際は、湿り気のある土にまきましょう。また午前中は日が当たり、午後からは日陰になる場所へ植えられればベストです。植えた後は乾燥に注意しつつ、水やりを行いましょう。

ヒサカキの種は実から採取したものを使用します。秋の終わり頃には実が熟すため、そのタイミングで種を収穫してまくとよいでしょう。

挿し木の仕方

もうひとつの方法が挿し木と呼ばれる、植物の一部を植えて芽を出させる方法です。ヒサカキにもこのやり方が有効です。

挿し木に使う部分は、ヒサカキの枝が適しています。古い枝よりも新しい枝を選びましょう。特に難しい手順はなく、枝をそのまま土に挿すだけで大丈夫です。

ヒサカキの挿し木を行うタイミングは、雨で栄養が流れないよう、梅雨が終わる7月頃がよいでしょう。

ヒサカキを育てて花を咲かせよう

ヒサカキ

ヒサカキはほかの植物と比べ、寒さや乾燥に比較的強いため育てやすい植物です。これから園芸を始めたいという方にもぴったりではないでしょうか。

正しい肥料の与え方や剪定、水やりの方法を学び、きれいな花を咲かせるヒサカキを育てましょう。