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台風に強い屋根材はどれ!?屋根の形状や屋根材別に詳しく解説!

最終更新日: 2024年01月23日

台風の多い日本では、家を建てたりメンテナンスをしたりする際の台風対策は必須です。

特に台風の影響を直接受ける屋根は、雨と風に強い屋根材を選ぶ必要があります。

この記事では、台風に強い屋根や被害を受けやすい屋根の形状、もし被害に遭ってしまったときの対処法や保険の使い方などを解説します。

屋根の台風対策を万全にして、台風を必要以上に怖がらない家づくりをしましょう。

台風に耐える強い屋根・耐えられない弱い屋根

台風に耐える強い屋根・耐えられない弱い屋根
台風に耐える強い屋根・耐えられない弱い屋根

屋根には、台風に強い屋根と弱い屋根があり、できるだけ強い屋根にしたいと考えるのは当然です。

ここでは、屋根が飛ばされる風の強さや耐風基準、強い屋根と弱い屋根、台風に強くなるメンテナンス方法などを解説します。

屋根が飛ばされる風の強さは風速何メートル?

気象庁のデータによる屋根に対する影響を抜粋します。

風の強さ(予報用語) 速さの目安 平均風速(m/s) およその瞬間風速(m/s) 屋根への影響
強い風 一般道の自動車 15以上〜20未満 20〜30 屋根瓦・屋根葺材がはがれるものがある
非常に強い風 高速道路の自動車 20以上〜30未満 30〜40 屋根瓦・屋根葺材が飛散するものがある
強烈な風 特急列車 30以上〜35未満 40〜50 固定の不十分な金属屋根の葺材が めくれる

このデータからわかるように、十分に固定されていない屋根ははがれやすいと言えるでしょう。

令和元年9月、関東に大きな影響を残した台風15号の最大瞬間風速は40メートルを超えたので、同じ規模の台風に耐えるためには、屋根の固定はかなり入念にする必要があります。

気象庁による台風の風の定義を要約すると

強い台風 風速33m/s以上〜44m/s未満
非常に強い台風 風速44m/s以上〜54m/s未満
猛烈な台風 風速54m/s以上

になるので、令和元年に来た台風15号レベルの「非常に強い台風」が来ると、屋根が飛ぶ確率は極めて高くなると予想されます。

基準風速と耐風等級とは

基準風速は地域によって設定されている基準が異なりますが、耐風等級1級で想定される最大風速のことを指します。

建築基準法では、耐風等級1級を満たす建設が求められていて

  • 極めて希に(500年に一度程度)発生する暴風による力に対して倒壊、崩壊等せず、希に(50年に一度程度)発生する暴風による力に対して損傷を生じない程度を耐風等級1級
  • 耐風等級1級より1.2倍の強さを耐風等級2級

としています。

つまり、台風の多い地域では基準風速が高く設定されていて、同じ耐風等級1級でも耐えられる強さが違うことになりますね。

地域別の基準風速はこちらでチェックできます。

固定できる防災瓦は台風に強い

日本ならではの瓦屋根ですが、実は軒先などの特定の場所以外は固定されていないことがあります。

瓦は重量があるので耐久性が高いですが、しっかり固定されていないと飛ばされたときの被害が大きくなる危険性があります。

瓦屋根なら、台風にも地震にも強い「防災瓦」がおすすめです。

上下の瓦をしっかりロックするので耐風性が高く、飛ばされる危険が低くなります。

スレート屋根は割れやすい

一般家庭の屋根に多く使われているスレート屋根は、大風の強風で割れてしまうことがあります。

日常的な雨や紫外線で劣化し主原料のセメントが脆くなるのが原因で、さらに台風の強い風や異常な量の雨で割れにつながります。

スレート屋根の耐用性は15年〜25年ですが、定期的なメンテナンスをおこなっているのが前提です。

10年を目安にチェックし、屋根塗装のメンテナンスをしましょう。

アスファルトシングルはメンテナンス次第で強くも脆くもなる

アスファルトシングルとは、北米で開発された屋根材で、ガラス繊維をコーティングし砂粒で表面を着色したものが主流で「シングル」とも呼ばれています。

施工しやすい・費用が安い・防音性や防風性が高い・といったメリットがありますが、セメント系接着剤で施工しているので、セメント量や圧着が不十分だと台風などの強風で飛ばされやすい屋根材です。

耐用年数は10年〜30年ですが、接着剤だけの固定だと接着力の低下するので、定期的なチェックやメンテナンスを怠ると劣化が早くなります。

しかし定期的にメンテナンスをして、さらに接着剤だけではなく釘留めをおこなえば、高い耐風性が期待できる屋根材です。

面積が大きく軽い屋根材は強風に弱い

工場や倉庫などで多く使われる、継ぎ目のない1枚の板金で作られた屋根は、雨漏りしにくいメリットがあります。

しかし継ぎ目がないので屋根が大きくなり、大きな屋根はそれだけ台風の影響を受ける面積が大きくなります。

さらに1枚の板金は軽く、飛ばされやすいのもデメリットなので、耐風性の高い屋根形状や屋根材を検討したほうがよいでしょう。

例えば同じ金属板の「エコグラーニ」は、60m/sに耐えられるよう作られていて、小さな面積に屋根材を組み合わせるので風の影響も受けにくい素材です。

台風被害に遭いやすい屋根の形状

台風被害に遭いやすい屋根の形状
台風被害に遭いやすい屋根の形状

屋根の形状によって、風の影響を受けやすい・被害に遭いやすいものがあります。

屋根を気に入ったデザインにしたい方は多いかもしれませんが、屋根の形状で台風の被害を多く受けてしまっては修理費がかさみますし、自宅や近隣宅への被害も心配です。

台風の被害に遭いやすい屋根を3つ紹介するので、参考にしてみてください。

切妻屋根(きりづま)

切妻屋根は2方向に屋根がある形で、戸建てで一番選ばれる形状です。

シンプルで人気の高い屋根ですが、台風では軒下からの風で飛ばされてしまう心配があります。

入母屋屋根(いりもや)

入母屋屋根は、上部が切妻屋根(2方向の屋根)、下部に寄棟造(よせむねづくり、4方向に傾斜する屋根)の構造で、格式高く、古くからの日本家屋に使われる屋根です。

4方向に屋根があるので耐風性はありますが、他の屋根より雨の侵入経路が多く、雨漏りの心配が多くなります。

軒の出幅

軒の出幅とは、通常の屋根より軒の幅が大きい屋根のことです。

軒があることで、日差しや雨の吹き込みを防ぎますが、台風に対しては下から吹き上げる風の影響をより受けてしまいます。

屋根材別・対台風

屋根材別・対台風
屋根材別・対台風

さまざまな種類がある屋根材、台風への対策に違いがあるのか、違うなら屋根材に合った対策をしたいと思いますよね。

日本のや屋根で多く使用されている「瓦屋根」「スレート屋根」「ガルバリウム鋼板」の3つの台風対策について解説します。

日本瓦屋根

和風の家によく使用される瓦屋根は、重くて耐久性が高いのが特徴ですが、重さゆえ台風などの強風で飛ばされたとき非常に危険な屋根でもあります。

瓦屋根は、桟木(さんぎ)と呼ばれる細い材料に、瓦を引っかけてあるだけです。

点検したとき瓦がズレや割れを発見したら、瓦のなかでもより台風に強い「防災瓦」で葺き替えしたほうがよいかもしれません。

前述しましたが、防災瓦は上下の瓦をしっかりロックするため耐風性が高く、台風の風で飛ばされにくいので安全性が上がります。

しかし屋根全体の葺き替えになるので費用が高額になります。

スレート屋根

スレート屋根は軽くて耐久性が高くよく選ばれる屋根材で、だいたい10年ごとのメンテナンスが必要です。

定期的にメンテナンスすればコスパのよい屋根材ですが、台風のときに飛んできたもので割れてしまう可能性があります。

スレート屋根でおすすめなのは「ガルテクト」と言う合金の材質で、傷がついても錆びにくく作られているので、台風でも傷みにくい素材です。

ガルバリウム鋼板

金属製のガルバリウム鋼板は、風に強く錆びにくいのが特徴です。

台風に強く費用も安い、さらに耐用年数は30年と長いため、コストを抑えて長持ちさせたい方におすすめの屋根材です。

耐用年数が高いからといってメンテナンスが必要ないわけではなく、10年くらいの間隔で業者による点検は必要です。

メンテナンスすることで、屋根をより長く使えます。

台風に強い屋根にするリフォームのススメ

台風に強い屋根にするリフォームのススメ
台風に強い屋根にするリフォームのススメ

台風に強い屋根にするには、定期的な点検が必要不可欠だと前述してきました。

では実際リフォームする場合はどうするのか、実際に欠損がある場合と、大きな問題がない場合の2種類を解説します。

すでに欠損がある場合は屋根の葺き替えをしよう

目に見える屋根の欠損では、割れや剥がれ、劣化が進むと室内の雨漏りにつながることもあります。

雨漏りまで進むとすでに屋根の機能はかなり落ちていて、外壁にも被害が拡大する可能性が出てくるので、屋根の葺き替えをしましょう。

葺き替えは費用が高くなりますが、台風に強い屋根材になり、強風や豪雨に強い屋根になります。

雨漏りがない場合はカバー工法で強化

雨漏りしていないなら、カバー工法で屋根材を強化しましょう。

カバー工法なら、葺き替えより費用が抑えられるのがメリットです。

屋根材が飛ばされてしまったときの対処法

屋根材が飛ばされてしまったときの対処法
屋根材が飛ばされてしまったときの対処法

近年の大型台風や竜巻の多発など、屋根材が飛ばされてしまう可能性はゼロではありません。

もし飛ばされてしまったらを想定し、もしものときのための対処法を知っておきましょう。

近隣に被害が及んでいないかを確認

もし屋根材が飛んでしまったら、自宅の敷地だけではなく、道路や近隣の住宅に被害を出していないか確認しましょう。

もし近所の住宅に被害が出てしまったら、今後のご近所付き合いに影響するかもしれません。

自然災害による被害は「不可抗力」として弁償義務はありませんが、被害状況によっては被害に対して修理費を払う場合があります。

しっかりと話し合いをして、遺恨を残さないようにしましょう。

業者に全体のチェックを依頼

屋根が飛んでしまったら、自分でなんとかしようとせず、プロの業者に点検チェックの依頼をしましょう。

屋根に登って確認するのは非常に危険ですし、素人が見ても状況確認を完璧にはできません。

状況によっては屋根の状況悪化や雨漏りにつながるかもしれないので、プロに点検してもらって、修理の見積もりを出してもらいましょう。

以下の関連記事では、雨漏りの修理にかかる費用相場を紹介しています。修理業者に依頼する際はぜひ参考にしてみてください。

関連記事:【場所別】雨漏り修理の費用相場・工事内容!依頼~完了までの流れや業者の選び方も|ミツモア

飛び込み営業には断固NOを!

台風直後には、突然の「飛び込み営業」が増えるので注意が必要です。

屋根の状況は外からでもよくわかるので、「屋根が飛んでいるから無料で点検する」と言って、実際は過剰に心配を煽り、法外な修理を提案をする被害が出ています。

なかにはもっと悪質な業者がいて、被害がなかったにも関わらずわざと屋根を剥がし修理させる業者がいるので、飛び込みの点検は断固拒否しましょう。

点検や見積もりはほとんどの業者で無料なので、屋根の点検は信頼できる業者にしたほうが安心です。

台風の被害の修理は火災保険が使える可能性がある

台風の被害の修理は火災保険が使える可能性がある
台風の被害の修理は火災保険が使える可能性がある

保険の名称からはつながりにくいですが、火災保険には特約で台風などの自然災害に対しての補償が受けられるものがほとんどです。

屋根の修理や葺き替えはどうしても費用がかさみますし、台風被害は屋根だけに止まらないかもしれません。

保険会社に連絡をして、台風被害が対象か確認しましょう。

簡単に保険申請の流れを説明します。

  1. 保険会社に連絡し、保険適応なら必要書類を送ってもらう
  2. 保険会社に連絡すると同時に、修理業者に点検してもらい見積もりを出す
  3. 保険会社の書類を記入し返送する。
  4. 場合によっては保険会社が被害チェックに来る
  5. 申請が通れば保険金が降りるので、修理業者に改めて依頼する

台風の被害は、地域で広がっている可能性が高いので、一時的に保険請求が集中します。

被害状況が大まかにわかったら、早めに保険会社に連絡するのがおすすめです。

保険請求数が多くて、保険会社からの連絡が遅くなるケースがあるので、あまりに連絡が遅い場合は最後連絡するとよいでしょう。

台風対策は日々のメンテナンスから

台風対策は日々のメンテナンスから
台風対策は日々のメンテナンスから

台風の屋根対策は、日頃のメンテナンスや定期的な点検がとても大切です。

手軽にできる点検方法を、「プロに点検を依頼」「自分での点検できる場所」の2点に絞って解説します。

屋根のプロに定期点検を頼む

屋根の寿命は屋根材によって異なりますが、プロに定期的な点検を依頼すると、異変にすぐ気付けるので安心です。

屋根のメンテナンスは10年ごとがおすすめと前述しましたが、メンテナンスの必要性や劣化具合を知るために、年に1回の定期点検をおこないましょう。

プロに経過を見てもらうことで劣化を見落としにくいですし、寿命より早く異常が出ても早くに発見できます。

早期発見と定期的なメンテナンスで、屋根を長持ちさせましょう。

自分で点検できる場所

高いところに登って点検するのはおすすめできませんが、ベランダや軒先から屋根の状態を観察することは可能です。

特に、台風が来る前と台風が通過した後は、屋根の状況の違いをチェックしておきましょう。

ただし、台風の前後はすでに風が強いので、決して屋根に登ったり不安定な格好で屋根を覗き込んだりは危険です。

本格的な点検はプロに任せ、自分では簡単にできるチェックに留めてくださいね。

台風に強い屋根のプロ探しはミツモアがおすすめ

地域のプロを探す際はミツモアの一括無料見積もりをご利用いただくと手間なくご自身の希望通りの業者を見つけることが可能です。

ぜひミツモアを利用してみてはいかがでしょうか。

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