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意外と知らない?ポートレート写真とスナップ写真の違い

最終更新日: 2024年06月28日

みなさん、ポートレート写真とスナップ写真の違いって意識されたことはありませんか?

同じように人物を撮った写真なのにあるときはポートレートと言われ、またあるときはスナップと呼ばれることがあります。

ここでは、そもそもポートレート写真とスナップ写真の違い、魅力的な人物写真を撮るためのそれぞれのコツについてお伝えしていこうと思います。

ポートレート写真とスナップ写真

ポートレート写真とスナップ写真
ポートレート写真とスナップ写真

まず、スナップ写真は、一瞬のうち気づかれぬ間に撮られていたり、自分以外のものに意識を向けている間に撮影される写真なのに対し、ポートレート写真は撮られることをちゃんと意識し、自意識と対峙した上で写真家とともに作り上げていく写真なのです。

スナップ写真を「撮られる写真」とするなら、ポートレート写真は「撮らせる写真」ということができます。

人物写真は大きく分けて2つに分類できる

これまで有名な多くのポートレート作品はもちろんのこと、歴史に名のあるスナップ作品も被写体が人物であることが多数を占めています。

では、人物を撮った写真作品が、ポートレートの作品とスナップの作品に分類される違いとは何なのでしょか。

スナップ写真を「撮られる写真」、ポートレート写真を「撮らせる写真」とするならば、両者の違いはズバリ「被写体の意識」の違いなのです。被写体となる人物が、撮られることを意識していれば、それはポートレート写真となり、無意識のうちに作品が成立していればそれはスナップ写真だといえると思います。

一見してわずかな違いにみえますが、両者の作品には自意識の違いが明確に区別されることから、一口に人物写真といっても2つに分類することができるのです。

①ポートレート写真

ポートレート写真とは、人物をテーマの中心に置いた肖像写真と言われているものです。

ただし必ずしも人物の全身を写さなければならない訳ではなく、顔や身体の一部分だけだったり、後ろ向きで顔が隠れていたとしても、人が作品のテーマの中心にある限りポートレート写真に分類されます。

また、撮影者が自分自身を撮影した写真も「セルフポートレイト」と呼びます。第29回木村伊兵衛賞を受賞した澤田知子の「Costume」では、澤田自身がさまざまな人物に扮し、自身を撮った作品です。

②スナップ写真

スナップ写真とは、日常の中で、目の前の光景や出来事、人物などを一瞬のうちに素早く撮影する撮影技法、またはそうして撮られた写真をいい、スナップショットとも言います。

スナップショットは狩猟用語にある不意に飛び立つ鳥などを銃で早撃ちする技術からの転用といわれ、スナップには「(機会などに)飛びつく」という意味もあります。

撮影場所は屋内外を問わず、撮影対象も幅広いのですが、料理や品物などあらかじめ入念な準備をした上で撮影が行われる「ブツ撮り」や、被写体である人物に事前に同意をとって撮影される「ポートレート写真」などとは区別されます。

歴史的名作「決定的瞬間」を撮影したフランスの写真家アンリ・カルチエ=ブレッソンや木村伊兵衛らはスナップショットの名手と評されています。

同じようで全く違うポートレート写真とスナップ写真

同じようで全く違うポートレート写真とスナップ写真
同じようで全く違うポートレート写真とスナップ写真

このように同じように人物を被写体として撮影するのに「被写体の意識の違い」という大きな違いがあるのがポートレート写真とスナップ写真なのです。

また、作品を作るという立場からこの二つの違いを簡単にいうと、テーマを「作る」か「探す」かの違いということもいえると思います。

ポートレート写真は被写体であるモデルとカメラマンとがあるイメージに対して、テーマを「作り出す」ための共同作業をすることになりますし、事前準備をせずに日常の光景や一瞬を切り取るスナップは、常にカメラを持ち、カメラマンが切り出した瞬間をテーマとすべくテーマを「探す」ことといえるのではないでしょうか。

ポートレート写真は「カメラマンとモデルの共同作業」

自分の姿かたちを、なるべく美しく残しておきたいということは、人間だれしも思うことです。そんな欲求を叶えるべく、写真がない時代は絵師が活躍しました。

ポートレート写真も自らの肖像を美しく残したいという、撮られる側からの欲求としてスタートしました。そしてそれに応える写真師もまた特殊な技能を持った職人でした。そんな時代のポートレートは「顧客満足」と密接に結びついていました。

歴史を振り返るとポートレートには常に撮られる側の思いというものがあり、そこには常に被写体の満足度が考慮されてきました。

ポートレートには撮られた人が喜ぶかどうか、という視点も見過ごすわけにはいきません。撮るものと撮られるもの、そこにはお互いに対する配慮が欠かせないのは当然のことですし、良いポートレートの作品はカメラマンとモデルとの共同作業の賜物なのです。

ポートレートは一種のコミュニケーションと言っていいのです。

スナップ写真は「日常をカメラマンが切り出した写真」

ポートレート写真が撮る側と撮られる側のコミュニケーションによって良い作品が出来上がるのに対して、スナップ写真の場合はどうでしょうか?

スナップはスナップショットといわれるように被写体が気がつかない一瞬の表情や仕草を捉え、周囲の風景を背景にとけ込ませる写真技術です。スナップ撮影には撮る側の主体性が写真の良し悪しに大きく関わってきます。

被写体である人物にいちいち同意を得て撮るのではなく、ここはと思った瞬間にカメラの設定をすばやく行い、的確にシャッターを押せるかどうかにかかってきます。

スナップ写真は、全てが一瞬のうちに完結してしまいます。常にカメラのシャッターが切れる態勢をとり、決定的瞬間を見逃さないよういつもシャッターチャンスをうかがっていることが必要です。

スナップ写真は、周到な準備の上で、一瞬の判断力、発見力がものをいうのです。

スナップとポートレートでは適したカメラやレンズが異なる

このように一瞬の瞬発力と判断力を要求されるスナップ撮影に対し、比較的じっくりと構え被写体と対峙するポートレート撮影では、適応するカメラやレンズも少し変わってきます。

機動力がものをいうスナップ撮影では、一眼カメラであっても小型で取り回しの効くカメラボディと広角域から標準域あたりの焦点距離のレンズ(30mmから50mm前後)が被写体を捉えるには使いやすいですし、実はスナップショットにはズームレンズを搭載したコンパクトカメラもお勧めなのです。

決定的瞬間を捉えようとするスナップショットには、大きなカメラや重たいレンズを振り回すことはあまり向いていないのです。大げさな機材では、街なかで撮る場合は周囲の視線も気になってしまいますね。

一方、ポートレート撮影では、ロケ地の状況や撮影のテーマなどにもよりますが、できれば三脚の使用をお勧めします。

しっかりとカメラを三脚にセット、背景に気を配った構図を作り、一眼レフにやや望遠系のレンズを選んでみてはいかがでしょうか。

カメラを三脚に固定した位置のままで、色々な焦点距離のレンズを交換して撮影してみることで写真効果の違いをいろいろ試してみると勉強になります。三脚固定であれば、しっかりと手前の眼にピントが合い、振った手や風になびく髪の毛をブラした動きのある撮影なども可能です。

このように同じ人物写真の撮影であっても、被写体であるモデル側の意識の違いだけでなく、撮る側の下準備や手法にも大きな違いが出てくるのがポートレート撮影とスナップ撮影の違いなのです。

ポートレート撮影のテクニックやコツ

ポートレート撮影のテクニックやコツ
ポートレート撮影のテクニックやコツ

ポートレート撮影は、奥が深く、実は写真のカテゴリーの中でも難しい方に分類されます。人の顔の表情というのは、その瞬間その瞬間でたえず変わり続けるので難しいのです。

ベストショットを撮るためにはある程度の忍耐と工夫、技術が必要となりますが、基本を押さえておけば、ポートレート写真のクオリティーはぐっと上がります。

レンズの選び方! F値に気をつけて望遠側で撮る

ポートレート撮影に向いているレンズは50mmから100mm前後の焦点距離をお勧めします。

50mmのレンズは人間の目に最も近い自然な描写をすると言われています、さらに焦点距離が長く望遠側になるにつれ像の歪みが無くなっていきます。

広角レンズは被写体と近い距離で全身を写すことができるので便利なのですが画面の周辺部分が歪んでしまう欠点があります。

ポートレートでは望遠レンズの方が背景がボケやすく整理された印象になります。撮影するときにはなるべくF値は解放(F値が一番小さな数値)で撮ってみましょう、より周辺がボケて被写体に立体感が出ます。

ストロボが無ければ、白い手袋でOK! アイキャッチを入れる

顔の印象はで随分と変わりますね。

正面からストロボをあてると眼にアイキャッチが入ります、アイキャッチが入ることで活き活きとした表情にみせてくれます。

ストロボをあてた人物を被写体にする場合、カメラ機能にある赤目軽減の設定をお忘れなく。あとからレタッチで修正もできますが、なるべくカメラの設定の段階で赤目になることを防いでおきます。

ストロボがない時でも、被写体の視線の側に、光や白いものを配置して瞳に潤いを入れてあげましょう。白い手袋をはめてカメラを構えたり、バストアップなら顔の下に白い紙を敷いたりして、できる限り光を取り込みましょう。

光の選び方! あえて半逆光で撮る

写真はよく「逆光を避けて撮りなさい」と言われますが、順光(カメラの背後から被写体に向かって光源が照らす状態)だとコントラストが強すぎて影ができ、また被写体の全てが見えすぎて平面的な印象になってしまいます。

被写体の斜め後ろに太陽がある程度の半逆光で撮れば、白とびや黒つぶれせず、肌のアラも隠された柔らかな印象の写真を撮ることができます。また、モデルさんにとっても眩しくないので良い表情を撮ることができます。

ただし、太陽を画角の中に入れてしまうとフレアやゴーストが発生してしまうので気をつけましょう。

全体を明るくしよう! 露出補正を使いこなそう

オートモードやP(プログラム)モード、A(絞り優先)モード、S(シャッタースピード優先)モードでは、自動露出機能(AE機能)が働くため、カメラが最適な露出を判断し、それに合うような絞り・シャッタースピード・ISO感度を決定します。

このAE機能で撮影すれば、自動でカメラが判断する適正な明るさの写真が撮れます。

しかし、状況によってはイメージしていた明るさと、カメラが適切だと判断した明るさが異なる場合があります。こんなときには適正露出から明るさを自分で変更したほうが撮りたいイメージに近づけるため、露出補正という機能を行いましょう。

明るくしたければ+側に、暗くしたければー側にして撮影しましょう。

逆光だって怖くない! 日中シンクロ

逆光というと写真には適していないと思われがちですが、実は逆光で写真を撮ることでドラマチックな写真になったり、全く違う印象の写真になったりと、逆光は魅力的な光源なのです。

逆光での撮影では、一般的には顔が暗く写り、写真を難しくしてしまうと考えがちですが、人工的な光を用意することでその悩みは解決できるのです。

フラッシュや外付けストロボ、手持ちライトでも良いので、表情が読み取れないような逆光による暗い状態に手前側から光を当てて撮影します、これを日中シンクロと言います。

露出は背景に合わせ、逆光で暗くなった顔は人工光で明るく照らすということです。

名前はとっつきにくいですが簡単ですね。

夜景と撮るなら! スローシンクロを使う

夜景を背景に人物を撮影したいときというのは、見たままに写真に収めるのが困難な被写体の上位にくるのではないでしょうか。

人間の脳は視神経を通じて光の量を調整し、どんな被写体をも明るく見せることができますが、カメラの場合は手前の人物はフラッシュで明るく写せても、遠くの夜景まではフラッシュの光が届かず、写らないということになってしまいます。

そんなときには、スローシャッターという機能を使いましょう。

フラッシュで人物を照らしたのちも、スローシャッターの機能を使うことによってシャッターを一定時間開き続ける(シャッタースピードを遅くする)ことで、光を多く取り込み、背景までも明るく写し、人物と背景の両方をきれいに写してくれます。

気をつけなくてならないことは、シャッタースピードが遅くなるぶん背景がブレてしまう恐れがあるので、三脚を使うなどしてカメラをできるだけ固定しておくことです。

スナップ撮影のテクニックやコツ

スナップ撮影のテクニックやコツ
スナップ撮影のテクニックやコツ

次に魅力的なスナップ写真を撮るためのちょっとした撮影テクニックやコツについてお話ししていきます。

世界的にも評価が高いストリートスナップの写真作家の森山大道は著書「ストリートスナップのすすめ」のなかで、良いスナップを撮るためのコツとして、たくさん撮ることだ言っています。

写真の「量は質を凌駕をする」とも言っているのです。

今はカメラはデジタルがほとんだだと思うので、昔のようにフイルム交換の手間もいらず、バッテリとカードさえ準備万端であれば、カメラは常に撮れる態勢に入っていることができます。

これはと思う瞬間に遭遇したなら、まずはシャッターを押してみましよう、迷うことはないのです、スナップはまずは数多く撮ることが先決なのです。

シャターチャンスは日常に溢れている

シャッターチャンスは人の集まる観光地や人気スポットだけではなく、移動する時間やふだんの生活の中にも潜んでいます。魅力的なスナップ写真を撮るには、カメラを持っていないときにも、周りを見渡して被写体を意識することが大切です。

季節の移り変わりを感じるシーンや街並みの変化など、気づく力、発見する力を養うため、ひと駅分歩いてみるのも良いでしょう。

ふだん見過ごしてしまうようなものであっても、歩きながら被写体を意識してみると、そこには写真にしたくなるような不思議な光景、面白い一瞬が見えてくることでしょう。

迷った時には光を探す

スナップ撮影において、何を撮っていいのかわからない、やみくもに撮ってしまっている、といった悩みを持つ方も多いと思います。

そういった場合には、晴天の日の逆光や半逆光など、光の差し込みや光の回り込み、光と影のコントラストなど、美しいシーンに反応して撮影してみましょう。

光を意識することで写真にメリハリが生まれ、奥行きや動きが出ることにより物語性やドラマチックな表現ができたりします。

構図はできるだけシンプルに

周りを観察する眼とともに必要なのが瞬発力です。

シャッターを切る直前に構図や露出を考えていると、せっかくのシャッターチャンスを取り逃がしてしまう可能性があります。スナップ撮影に慣れるまでは、今日はこの設定で撮ろうと決めてしまうのがおすすめです。

例えば構図なら、日の丸、シンメトリー、三分割など様々なセオリーがありますが、シンプルにまとめることで被写体を際立たせることができます。初めのうちはオートモードやPモードでバシバシ撮りましょう。

「愛情」は良し悪しの基準のひとつ

人が写った写真の発表の判断は、よく耳にする悩みのひとつですが、その写真に楽しさや嬉しさ、愛情を感じられるかどうかを意識することです。

写真を見たとき悪意を感じられる可能性があれば、作品として発表する覚悟がない限り発表を避けたほうがいいと思います。

撮影時も目があってそらしてしまうのではなく、「自分は撮影しています」という堂々とした態度で臨みましょう。

魅力が最大限引き出された人物写真を撮るために

魅力が最大限引き出された人物写真を撮るために
魅力が最大限引き出された人物写真を撮るために

その人物なり被写体の魅力が最大限引き出された写真を撮るためにはどうしたら良いのでしょうか。

そのためには色々なアプローチ方法があると思うのですが、

  • 「主役が一目でわかること」
  • 「主役を引き立てる背景、構図で撮影されていること」

の2点が大切になります。

上達するための最大のコツは、実際に写真を繰り返し撮影してみて改善すべきポイントを見つけ出すことです。

一度自分がモデルになりプロの撮影を体感してみる

どうでしょうか、人物を魅力的な被写体として写真に収めるためには、カメラ機材の選び方、構図や露出、撮影アングル、光の当たり方や色味の具合など様々な要素の上に成り立っています。

また技術的なこと以外にも、伝えたいことテーマが伝わっている写真になっているかなど、良い人物写真を撮るためには、多くの撮影現場での経験を必要とします。

プロの現場ではどのようにイメージを実際の写真に納めているのか、一度自らがモデルとなりプロの撮影を体験してみるのはいかがでしょう。

モデルとのコミュニケーションの取り方、ポージングのアドバイス、ライテイング、カメラワークなど多くの実績にもとずく経験と適切な技術が学べるはずです。

プロのカメラマンに撮影してもらうことのメリット

プロのカメラマンは被写体の魅力を引き出す撮影の仕方を熟知しているので、自分の知らない魅力を充分に引き出してもらうことができます。

友人や家族にとってもらうと恥ずかしくてモデルのようにすました表情や工夫を凝らしたポーズができないこともありますが、プロのカメラマンが相手だったらモデル気分で思いっきり撮影が楽しめます。

プロカメラマンに依頼すればきっと今まで自分でも気付かなかった自分の魅力に気づくことでしょう。自分では撮らないアングルやボーズなどプロならではの演出も魅力です。

また、専用のカメラやレンズはもとよりプロならではの撮影機材や小物、道具による撮影もメリットのひとつです。

写真一枚一枚に対して、光の量や角度を調節してくれますので、難しい逆光での撮影も感動するくらいの高いクオリティで撮ってもらえます。

自分たちでは撮れない写真が出来上がりそうですよね。

写真の最終段階での仕上げ、レタッチ納品により完成度の高い写真に仕上がることでしょう。

プロのカメラマンに撮影してもらう場合の費用相場

カメラマンに撮影現場に来てもらって撮影することを出張撮影と言います。屋外で人物撮影をする、運動会で親のかわりに撮影をするなど出張撮影のニーズは多いのです。

出張撮影の場合は、撮影時間によって料金が変わります。相場は撮影1時間で2〜3万円程度です。撮影時間が1時間増えるごとに1万円ほどの追加料金がかかります。

また、撮影場所がカメラマンの営業している地域から遠い場合は出張料金もかかる場合もありますので、依頼時に出張費がかかるのかを確認しておきましょう。

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