芝生を育てていると、茶色く枯れてしまうトラブルが時折発生します。芝の中には特定の季節に枯れる種類もありますが、そうでない場合は芝刈りのやり方、気温、病害虫などさまざまな原因が考えられます。
①特定の季節に枯れる芝生の場合
芝生には暖地型と寒地型の2つのタイプがあり、前者は冬場に枯れ、後者は夏に枯れやすいです。青々としていた芝生が茶色くなってしまうと、心配になりますが、根はちゃんと生きており、成長期がやってくればまた新芽を出します。
芝生の種類で枯れる時期がある
夏芝と呼ばれる暖地型の芝生は寒さに弱いので、秋になって気温の低下とともに、どんどん退色し始めます。
地上に出ている部分が枯れてしまうので、心配になってしまう人もいるでしょう。しかし地中の根は休眠しているだけで、生きています。春が訪れればまた新芽が出て、元気な青々とした芝生がよみがえるはずです。
一方寒地型の芝(冬芝)は寒い時期は元気でも、暑さには弱いため夏になると枯れてしまうことがあります。関東以北の夏でも涼しい地域では、年中青いままにしておくこともできますが、そのためにはきちんとした手入れが必要です。
対策
暖地型の芝が冬に枯れてしまうことは仕方のないことですが、芝が枯れる休眠前にできる対策があります。
それは休眠前の9~11月ごろに肥料をしっかり与えておくことです。肥料を与えておくことで、春に新芽が出てきたときによく育つようになるでしょう。
また寒地型の芝は夏に枯れてしまう可能性があります。しかし、特に寒地型の芝である西洋芝は、上手く管理すれば夏でも青々とした状態を維持できます。
そのために大切なのは「水やり」です。梅雨明け後の7月には2日おきに、8月は毎日午前中に水を与えましょう。
②芝刈りで「軸刈り」をしてしまった場合
芝刈りをした後に枯れてしまったなら、「軸刈り」をしてしまった可能性があります。芝にとって深刻なダメージになりかねませんので、軸刈りをしてしまわないように注意が必要です。
茶色く変色してしまう軸刈り
芝刈りをした後に芝が茶色く変色してしまったなら、軸刈りをしてしまったのかもしれません。
芝には茎の茶色い部分と緑色をした部分の境目あたりに「生長点」があります。そして芝の成長とともに、生長点も上へ伸びていきます。
しばらく芝刈りをせず、長く伸びた芝を短く刈ってしまった場合、生長点も一緒に刈り取って(軸刈りをして)しまった可能性があるでしょう。
軸刈りをしてしまうと光合成をする葉がなくなり、新しい葉も成長しにくくなってしまいます。そのためなかなか新芽が出てこず、茎の茶色い部分だけが残った状態のままになってしまうのです。
対策
対策方法としては生長点の位置を把握し、軸刈りをしないことです。芝を刈る際はあまり短く刈らないように気を付けます。およそ芝の2/3を残し、1/3だけ刈ることです。芝が5cmほどであれば3~3.5cmは残しましょう。
定期的に芝刈りを行い、生長点の高さをそろえておけば刈りやすいはずです。しかししばらく芝刈りができず芝が伸びてしまった場合には、一気に刈らず何回かに分けて短くしていきましょう。
また10cm程も伸びてしまった場合は、生長点もかなり高い位置まで来ており、どの高さで刈っても軸刈りをしてしまうことになるので、そのシーズンは刈らずに置いておきます。
暖地型の芝ならシーズンが終わった頃か、休眠期になって地上部が枯れた頃に、短く刈り取るようにしましょう。
回復させる方法
軸刈りをしてしまった芝が回復するかどうかは、時期や根に栄養が蓄えられているかどうかによるでしょう。軸刈りは芝生にとってかなりのダメージを与えることになるため、回復にはかなりの時間を要します。
春~初夏の時期なら、肥料を適量与えてしばらくそっとしておけば回復するでしょう。しかし夏以降に軸刈りをした場合は、そのまま枯れてしまう可能性が高いです。
1カ月ほど様子を見ても、緑の葉が出てこず回復しない場合は、芝を新たに張り替えるしかありません。
③購入する前から芝生が傷んでいた場合
せっかく芝を購入して張ったのに、すぐに枯れてしまうことがあります。その場合は購入前から傷んでいた可能性が高いでしょう。
傷んでしまっていた可能性がある
購入時点で既に傷んでいたために根付かないことがあります。ホームセンターなどで売られている切り芝は、切り出されてから数日経過すると傷み始めます。特に平積みになっていると蒸れやすいうえ、潰れてしまうこともあるかもしれません。
また店の外に陳列されていて、直射日光に長時間さらされていたなら、芝が乾燥して水不足になっている可能性もあります。購入時にすでに枯れている場合もあるので、購入の際には注意が必要です。
対策
切り芝は、切り出されて数日経てば傷みます。そのため切り芝を購入する際は、経過日数を確認するとよいでしょう。
また平積みで売られていないか、変色していないかもチェックします。葉が茶色い・黒い場合は根付かずに枯れてしまう可能性が高いですが、黄色い場合はまだ根付く希望があります。購入後はできるだけ早めに芝を張りましょう。
他にも最初の芝張りだけはプロに依頼するという手もあります。プロであれば、要領や必須の作業を熟知しているため、安心して任せられるでしょう。
④病気が原因の場合
芝生がかかりやすい病気に「ラージパッチ」と呼ばれる、葉が黄色く変色する病気があります。病原菌が原因ですので、殺菌剤の散布が有効です。
黄色く変色している場合は注意
芝生が黄色く変色してきた場合は、ラージパッチという病気にかかってしまったのかもしれません。「葉腐病」とも呼ばれるラージパッチは、病原菌によって感染する病気です。
感染してしまった部分は次第に茶色く変化し、やがて枯れてしまいます。またそのまま放っておくと、感染範囲が外側へどんどん広がっていく性質があり、完治しても跡が残ってしまうことがあります。
しかも一度ラージパッチに感染した箇所は、毎年症状が現れるので大変厄介です。
ラージパッチの発生時期は、最高気温が20度前後になる春の終わりから初夏・秋ごろが多いです。特に雨が降って湿度が高く、風もほとんど吹かない日が続くと悪化しやすいでしょう。
春に天候のよくない日が続いた年は、さらに発生リスクが高くなります。
対策
菌が原因で感染するラージパッチには、殺菌剤を散布することが有効です。病原菌は芝生の根元にいるので、殺菌剤を散布する際は根本に薬剤がしっかりいきわたるようにまきましょう。
また芝の葉には、水をはじく性質があります。薬剤を散布する際は、必ず一緒に展着剤を使いましょう。展着剤を使えば、植物の表面にしっかり薬剤を付着させてくれます。
さらにあまり何度も同じ薬剤を使用していると、耐性菌が発生して、薬の効果が見られなくなる可能性があります。そのためいくつかの薬剤を、ローテーションさせて使うことがおすすめです。
回復させる方法
ラージパッチに有効な殺菌剤を用法どおりに散布すれば、数週間から1カ月程度経過した頃には効果が現れます。完全な治癒までは2カ月以上はかかるので、気長に待ちましょう。
しかし前述のとおり、一度ラージパッチに感染してしまった箇所は再発します。できるだけ、症状が出る前に殺菌剤を予防的に散布しておくのが望ましいでしょう。
⑤除草剤が原因の場合
除草剤は選び方や使用方法を誤ると、芝に深刻な被害を与えます。特に間違った薬剤を使って枯らしてしまうと、回復はできないので注意しましょう。
選択性除草剤と非選択性除草剤
除草剤には「選択性除草剤」と「非選択性除草剤」という2つの種類があります。選択性除草剤とは、育てている植物にはあまり効かず、雑草のみを枯らすことのできるタイプのものです。
しかし種類によっては、芝まで枯れてしまうものもあります。例えば日本芝に使っても問題ないが、西洋芝に使うと薬害が出て枯れてしまうということもあります。そのため、選択性除草剤でも、選ぶ際は注意が必要です。
また散布する量が過ぎても芝が枯れる原因になり得ます。選択性除草剤は効果が限定的であるといっても除草剤ですので、芝にも多少の影響はあるのです。
特にプロ用の除草剤はごく微量でも強い効力を持ち、少し与えすぎるだけで薬害がある可能性があります。一般向けの除草剤でもまきすぎは禁物です。
一方、非選択性除草剤とは散布すると雑草だけでなく、育てている植物まで枯らしてしまう除草剤のことです。基本的に農耕地や植物を栽培している箇所には使いません。
対策
除草剤は正しく選びましょう。除草剤には選択性のものと非選択性のものがあり、芝生用には必ず選択性のものを選びます。
除草剤には、製品ラベルに適用作物や使用方法の記載があります。適用作物とは雑草の被害から守るべき作物のことで、除草剤による除草効果が発揮されるべき対象ではありません。
また製品ラベルには、使用時期・使用方法・使用可能な適用場所・安全使用上の注意など、除草剤を使用するにあたって大切な情報が書いてあります。記載事項をしっかり確認し、購入・使用するようにしましょう。
さらにあまり同じ除草剤の使用を繰り返すと、雑草に耐性ができてしまい、最初ほどの効果が得られなくなってしまいます。そのため複数の除草剤をローテーションして使うことがおすすめです。
回復させる方法
非選択性の除草剤を使用して枯れてしまった場合は、回復させる術はありません。新しい芝を敷くしかないでしょう。
また選択性の除草剤によって枯れてしまった場合でも、積極的に回復を促す方法はありません。
どうしても気になる場合は、2~3日ほどたっぷりの水を芝に与えてみましょう。しかしそれ以外は特にできることはありませんので、様子を見ながら回復を待ちます。
また回復力を上げようと、肥料を与えてみたくなるかもしれませんが、与えすぎは禁物です。弱っている芝にとっては逆に負担になりかねません。肥料をあげるなら、薄い液肥にとどめるようにしましょう。
⑥害虫が原因の場合
芝には三大害虫と呼ばれる、被害に遭いやすい害虫がいます。害虫によって枯れた場合、それぞれ特徴的な枯れ方をするので見つけやすいはずです。早期に発見して、被害を最小限に抑えましょう。
三大害虫
芝生の三大害虫といわれる虫には、スジキリヨトウ・シバツトガ・コガネムシがいます。
スジキリヨトウとは、ヨトウムシとも呼ばれる蛾の幼虫です。日中は土の中に潜み、暗くなると出てきて葉や茎を食い荒らします。特に葉の先端部分を好んで食べ、食害にあった部分は白く枯れてしまうのです。
比較的刈り高の高い芝でよく見られ、芝刈りをしていないのに葉の先が白く枯れている場合は、スジキリヨトウが潜んでいる可能性が高いでしょう。
シバツトガも蛾の幼虫で、ツトガとも呼ばれます。日中は苞(ツト)と呼ばれる芝生や砂で作った巣に潜んでいることが多いでしょう。幼齢期には芝生と同じような緑色をしており、成長するにつれて徐々に灰色に変化していきます。
シバツトガは芝生の葉や茎を食い荒らすので、芝がまだらに枯れたり、密度が低下してしまったりするのです。大量に発生してしまうと、被害も広範囲にわたってしまうため、早期の対策が必要です。
コガネムシは幼虫が厄介。コガネムシの幼虫は地中で孵化し、孵化した幼虫は芝生の根を食害します。コガネムシの幼虫の被害に遭うと芝が抜けやすくなったり、剝がれやすくなったりします。
対策
害虫対策には殺虫剤の散布が効果的です。特にスミチオンという殺虫剤は、スジキリヨトウ、シバツトガ、コガネムシという芝の三大害虫すべてに効果を発揮します。
卵から成虫まですべてのステージに効果的である一方、人間や動物に対しての影響は少ないので安心でしょう。
またそもそも害虫被害に遭いにくい、健康な芝を育成することも大切です。害虫がつきやすい芝とは、エサとなるアミノ酸の一種や糖分をたくさん含んでいるものです。
これらは土壌不良や肥料の過不足、天候不良などによって起こります。光合成をしっかり行える健やかな環境で芝を育てれば、害虫は寄り付きにくくなるでしょう。
回復させる方法
害虫による被害に遭っても被害は部分的にとどまり、全体が枯れてしまうことはありません。
芝の健康状態を回復するような対策を取ることで、害虫による被害からも回復させることができます。芝の健康状態の回復に必要なことは光合成の促進、土壌環境の改善です。
光合成の促進は、与える肥料を工夫することで行います。ケイ酸・カリ・マグネシウム・チッソ・リン酸などをバランスよく含んだものや、アミノ酸や有機酸を含んだものを活用するとよいでしょう。
土壌環境の改善はエアレーションやスライシングをすることが基本ですが、併せてサッチ分解剤を使用します。サッチ分解剤は、シバツトガに苞を作らせないために有効です。
また繰り返し害虫の被害に遭わないためにも、害虫忌避剤を併せて使うとより効果的でしょう。
芝生が枯れないように気を付ける
芝生が枯れた場合、原因に対して正しく対応することが大切です。季節以外の原因で芝生が枯れてしまった場合、再び緑を取り戻すには少々時間がかかります。
芝を購入する際は芝の状態に注意し、上手に植え付けましょう。また除草剤の使用方法にも注意が必要です。
害虫が寄り付かないよう日頃の手入れもしっかり行い、芝生を枯らさないように気を付けながら育ててみましょう。
芝張り・芝生の手入れに悩んだらプロに依頼を
芝生が枯れてしまった場合の対処法について解説してきました。
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