最近では、人間だけでなくペットの供養方法も選択肢が増えつつあります。選択肢としては自宅供養やペット霊園などさまざまな方法がありますが、中には大切なペットが亡くなったとき、自然に還してあげるために遺骨を散骨しようと考える飼い主の方もいます。
そこで、本記事では大切なペットの散骨方法や注意点のほか、散骨が選ばれる理由やおすすめの業者についても解説します。
ペットの散骨とは
ペットが亡くなった後、通常は火葬を行い遺骨となります。散骨とは、遺骨を粉末状に砕き、撒いて自然に還す葬送方法です。
ペットの散骨も、基本的には人間の散骨と変わりません。散骨が行われる場所は海・山・私有地などさまざまですが、もっとも一般的な方法は海洋散骨です。
ただし、いずれの場合も散骨できる場所とできない場所があり、事前に確認したり、許可を得たりする必要があります。
散骨では遺骨の全てを撒く必要はなく、一部は手元供養とすることも可能です。
ペットの散骨が選ばれる理由
ペットの供養にはさまざまな方法がありますが、その中でも最近注目を集めているのが散骨による葬送です。ここでは、散骨が選ばれる理由やメリットを紹介します。
飼い主と同じ場所で供養するため
長年一緒に暮らしていたペットを、家族の一員として考えている方は多いでしょう。大切なペットが亡くなったとき、「自分と同じ場所で供養したい」と考えるのは自然なことかもしれません。
しかし、日本では人間とペットが同じお墓に入ることは難しいのが現状です。法律等で禁止こそされていないものの、他の利用者への配慮や宗教上の理由などから、対応しているペット霊園はごく一部に限られます。
そこで、散骨による葬送であれば、飼い主と同じ場所でペットを供養できることから、散骨を選ぶ方がいるのです。
金銭的な負担を減らすため
金銭的な負担を減らすために散骨を選ぶ方もいます。ペット霊園や納骨堂などでは、お墓の建立費や管理費がかかることがあります。
散骨の場合もチャーター便や業者への依頼に諸費用はかかりますが、他の供養と比較すると価格が抑えられる場合が多いです。また、葬送後の管理費等もかかりません。
自然に還してあげたいため
大切なペットにのびのびと自由で居てほしいという想いから、自然に還すことを選択する方もいます。
「お散歩で走り回るのが好きだった」「海で遊ぶのが好きだった」というペットであれば、海に散骨することで、亡くなった後も海を見るたびに思い出してあげられます。
ペットの散骨にかかる費用相場
ペットの散骨にかかる費用は、火葬方法や散骨方法、立ち会いがあるかどうかなどで大きく異なります。あくまで目安となりますが、大まかな相場は以下の通りです。
費用の種類 | 相場の目安 |
---|---|
火葬費用 | 1万円〜4万円 |
粉骨費用 | 5千円〜2万円 |
散骨費用 | 1万円〜数十万円 |
ペットを散骨する方法
日本国内ではペットの散骨を禁止するような決まりや特別な手続きはなく、火葬後に自分で散骨することも不可能ではありません。
しかし、遺骨は必ず粉末状にしなければならず、散骨に際してさまざまなマナーを守る必要もあります。そのため、基本的には一連の勝手がわかっている専門業者への依頼をおすすめします。
ペットの散骨を業者へ依頼する主な方法は、以下の2通りです。
- ペットの散骨の専門業者に依頼する
- 人間の散骨も取り扱う業者に依頼する
ペットの散骨の専門業者に依頼する
ペットの散骨に特化して対応している専門業者です。ペット霊園やペット葬儀社など、ペット供養に関する専門サービスが行っている場合がほとんどです。
人間の散骨も取り扱う業者に依頼する
人間の散骨に対応している業者が、ペットの散骨も行っていることがあります。業者の中には、飼い主とペットを一緒に散骨できる個別散骨などに対応しているところもあります。
ペットの散骨で注意すべきポイント・マナー
ペットの法的な手続きや申請は必要ありませんが、注意すべきポイントやマナーを押さえておきましょう。
- 骨は必ず粉末状にする
- 他人の迷惑にならない場所で散骨する
- 定められた条例やルールに従う
それぞれについて解説していきます。
遺骨は必ず粉末状にする
遺骨は必ず粉末状にして、原型を留めない形にしてから散骨しましょう。火葬後の遺骨はひと目で骨だとわかるだけでなく、散骨場所によっては人の骨と間違われて事件やトラブルに発展してしまう恐れがあります。
粉骨が可能な業者が散骨にも対応している場合が多いので、問い合わせる際に詳細を確認しておくと良いでしょう。
他人の迷惑にならない場所で散骨する
飼い主にとっては大切なペットの散骨でも、人目に付きやすい場所での散布は控えましょう。例えば海に散布する場合も、養殖場や海水浴場などの周りは避けるようにします。
定められた条例やルールに従う
散骨は違法ではありませんが、国や自治体、土地の管理者などによって、条例やルールが定められていることがあります。
例えば、以下のエリアでは散骨の規制や禁止が発表されてます。
規制・禁止エリアある自治体と地域
- 北海道長沼町
- 長野県諏訪市
- 北海道岩見沢市
- 埼玉県秩父市
- 静岡県御殿場市
- 埼玉県本庄市
- 宮城県松島町
- 神奈川県湯河原町
- 静岡県熱海市
- 神奈川県箱根町
- 静岡県伊東市
- 静岡県三島市
- 愛媛県愛南町
- 鹿児島県伊佐市
- 熊本県南阿蘇村
このように、場所や海域によっては散骨が禁止されている場合もあるため、不安な場合は事前に確認しておきましょう。
喪服は避ける
散骨に立ち会う場合、当日は喪服の着用を避け、平服や段着を着用するのが一般的です。
特に海洋散骨では、船着場は人目の付きやすい場所にあることがほとんどです。そのため、他の方への配慮として平服を着用するのがマナーとして知られています。
また、使用する船や天候によっては、大きな揺れが発生する場合もあるかもしれません。万が一船の事故やトラブルが発生したときのことを考えても、喪服のような身動きの取りにくい服装ではなく、動きやすい服装が望まれます。
ペット散骨業者5選
ここからは、ペットの散骨に対応している業者をピックアップしてご紹介します。
- エコルート ペット散骨
- 海洋記念葬シーセレモニー
- ブルーオーシャンセレモニー
- お墓のミキワ
- 新たな旅立ち 海洋葬
1. エコルート ペット散骨
「エコルート ペット散骨」は、海洋葬に対応している散骨業者です。散骨場所は東京の海、東京湾奥エリアの2海里沖合。
郵送パックで全国からの代行散骨を受け付けているため、立ち会いが難しい方や、地方エリアに住んでいる方でも依頼しやすいのが魅力です。
2. 海洋記念葬シーセレモニー
「海洋記念葬シーセレモニー」は、飼い主の方と一緒に散骨が可能な散骨業者です。人間の散骨業者としてさまざまな散骨プランに対応しており、その中でペット散骨も提供しています。
国内だけでなく、グアムやハワイまで幅広いエリアに対応しているのも大きな特徴。献花用花びらや写真撮影なども行ってくれるので、ゆっくりと時間をかけて葬送したい方におすすめです。
3. ブルーオーシャンセレモニー
「ブルーオーシャンセレモニー」も、飼い主と一緒に散骨が可能な散骨業者です。チャーター散骨プランのほかに、複数の遺族で行う合同散骨プランの用意もあります。
ほかにも代行散骨や立会い粉骨に対応しており、自分たちに合わせて葬送方法を選べるのが魅力です。
4. お墓のミキワ
「お墓のミキワ」は海洋散骨のほかに、墓じまいや粉骨、永代供養までさまざまな葬送に対応している散骨業者です。散骨を希望する方の中には、墓じまい後の遺骨を散骨する方もいます。
すべての遺骨を散骨したくないという場合は、遺骨の一部をメモリアルグッズにして手元で保管することも可能。お墓や散骨に関する悩みや不安があるという方は、一度お墓のミキワに相談してみてはいかがでしょうか。
5. 新たな旅立ち 海洋葬
「新たな旅立ち」では、犬、猫、小動物の旅立ちを見送る会食プラン付きの「ペットプラン」を提供しています。プレジャーボートに桟橋から乗船し、控室や散骨後のご会食にはマリーナ内のレストランでおだやかなひとときを過ごせます。
担当のプランナーにオプションやアレンジを希望できるので、セレモニーを行ってしっかり葬送したい方、明るい雰囲気の中で大切なペットの旅立ちを見送りたい方におすすめです。
ペットの散骨に関するよくある質問
最後に、ペット供養に関するよくある質問を簡単に紹介します。
- 散骨してはいけない場所は?
- 散骨は違法ではない?
- 自分で散骨することは可能?
それぞれについて解説していきます。
Q.散骨してはいけない場所は?
散骨の際は、以下の場所は避けるようにしましょう。
- 住宅地
- 私有地ではない山
- 観光地の周辺
- 養殖場や漁場の近く
- 河川
- 湖
など
Q. 散骨は違法ではない?
散骨は違法ではありません。ただし、先述の通り散骨場所を選ぶ際は注意が必要です。また、節度のあるマナーを心がけ、周囲へ配慮して散骨しましょう。
Q. 自分で散骨することは可能?
自分で散骨することも可能です。ただし、その場合は遺骨を自分で粉末状にする必要があります。全てを散骨せずに一部を砕く程度であれば負担にならないケースもありますが、少しでも不安な場合はプロへの依頼をおすすめします。
また、個人での火葬は野焼き行為とみなされてしまう恐れがあるため、避けるようにしましょう。
まとめ
予算やお住まいの地域によっては、散骨前の火葬業者を探すのに苦労してしまうこともあるかもしれません。大切なペットとのお別れはとても寂しいですが、しっかりお見送りをするためにもできるだけ早く火葬業者を見つけることをおすすめします。
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