キクイムシは床やフローリング、家具などに使われる木材を食べる家屋害虫です。小さな昆虫ですが、放っておくと大切な家財に大きな被害を与えてしまいかねません。
キクイムシによる被害を予防するためにも、キクイムシの生態や発生原因、予防法などをチェックしましょう。
キクイムシはどこからくる?
キクイムシは外から家に持ち込んできた家具などの木材が原因で発生することが多いです。 例えば、新しく購入したタンスやクローゼットなどの木製家具の中に幼虫が潜んでいると家の中で成虫になり、室内で繁殖してしまうでしょう。
キクイムシの駆除方法は?
キクイムシは殺虫剤を使用して駆除することができます。殺虫剤はピレスロイド系の成分を含んだスプレータイプのものがおすすめです。 自分では完全に駆除できなかった場合は専門業者に駆除を依頼するとよいでしょう。
キクイムシの特徴
乾燥した木材を好む「キクイムシ」は、タンスやクローゼットなどの家財道具に穴を開ける厄介物です。
キクイムシの生態について詳しく知ることで、適切にキクイムシ対策を取りましょう。
キクイムシの生態
成虫のすがた | 幼虫のすがた |
成虫 | 幼虫 | |
体長 | 1mm~7mm | 3mm~4mm |
主な生息地 | 木材家具、フローリング、屋根裏、庭木、森林 | 木材家具、フローリング、屋根裏、庭木、森林 |
活動時期 | 5月~8月 | 9月~4月 |
活動時間 | 夜行性、夜になると飛び回り、木材の表面近くに産卵する | 不明 |
寿命 | 10日~3週間程度 | 約10ヶ月 |
キクイムシは家屋・家具で使われている木材に被害を与える赤褐色や黒褐色の甲虫で、とても体が小さいです。幼虫の時期は木材に開けた穴の中で育ち、成虫になってはじめて穴から出てきます。
成虫は長くても3週間程度で寿命を迎えるため、その姿を直接目にしたことのある人は少ないでしょう。しかし、幼虫でいる期間が長く、約10ヶ月間家具などの木材を食べて成長します。
一般的には春から夏にかけて成虫が発生しますが、近年はエアコンの普及による気温・湿度の安定化などによって、秋や冬にも出現するようになりました。
キクイムシによる人体への影響は少ない
住宅の木材を食い荒らすキクイムシですが、人を刺したり吸血したりすることはありません。また、ダニのようにアレルゲンの原因になったり、病原菌を運ぶという可能性も低いです。
しかし、稀にキクイムシによって出た木くずや糞を吸い込んで、アレルギーを発症する可能性もあるので、できるだけ早めに駆除するようにしましょう。
キクイムシの産卵方法
キクイムシの成虫は木材に産卵管と呼ばれる突起を差し込んで十数回産卵します。一つの穴あたり1~4個産み付けるので、一生で合計50個ほどです。
約10日で羽化し、木材の中を食い荒らして成長するので、外見は異常のない家具でも中身がボロボロになっているといったケースが考えられます。
ヒラタキクイムシの一生 | |
卵 |
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幼虫 |
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さなぎ |
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成虫 |
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キクイムシの被害を確認する方法は?
幼虫の平均的なサイズが3〜4mm程度のキクイムシですが、放置してしまえば家具に甚大な被害を与えかねません。まずは、キクイムシによる被害に気づくポイントやシロアリと区別する方法を見ていきましょう。
被害に気づくポイントは?木くずが落ちていたら要注意
キクイムシが木材家財の中に潜んでいるかどうかは、注意深く観察すれば気づくことができます。
まずは以下の3点をチェックしましょう。家具や壁、フローリングなどが被害に遭っていないか、くまなく確認します。
- 木材の家具・床・壁の近くに細かな木くずが落ちている
- 木材家財の表面に小さな穴が開いている
- 家具や壁からガリガリと木をかじる音がする
上記に該当する場合は、キクイムシが潜んでいる可能性が高いです。なるべく早めに対処しましょう。
また、成虫になったキクイムシは4〜8月にかけて頻繁に出没します。夜間に家の中を飛び回る小さな甲虫を見かけた場合は、どこから発生したのかも確認しましょう。
キクイムシを放置すると家具がボロボロになる
キクイムシを放置するのは絶対にNGです。被害を長期間放置していると、家具がぼろぼろになってしまいます。
1度繁殖すると、棲みついた家具の中に卵を産み付けてしまうため、キクイムシによる被害を発見したらすぐに駆除するようにしましょう。
キクイムシとシロアリの被害の見分け方
キクイムシと並んでよく話題に上がる害虫にシロアリがいます。見分け方は、主に2通りです。
- 被害箇所の状況で見分ける
- 虫本体の外見で見分ける
①被害箇所の状況で見分ける
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シロアリの被害を受けると、写真のように中身がスカスカになってしまいます。木材の表面からは被害が見えづらく、気づくのが遅くなってしまうことがあります。
キクイムシによる被害を受けると、家具や木材にぽつぽつと穴が空くのが特徴です。外見から確認することができるため、シロアリよりも被害に気づきやすいです。
また、キクイムシは広葉樹を食べますが、針葉樹を食べません。木造住宅の柱や梁にはスギやヒノキなどの針葉樹が使われるため、その部分は被害を受けません。一方シロアリは木材であればなんでも食べてしまいます。そのため柱や梁に穴が空いていた場合はシロアリによる被害だと判別できます。
②虫本体の外見で見分ける
キクイムシ | シロアリ | |
見た目 | 幼虫はイモムシ、成虫は甲虫 | 幼虫、成虫ともに黒アリに近い |
餌 | 広葉樹でできた家具や床 | ドアや柱、畳など何でも食べる |
被害 | 1~2mmの小さな穴 | 細長い穴 |
キクイムシは幼虫→蛹→成虫と成長していくので、幼虫と成虫で見た目が違います。イモムシのようなものが家具の中にいた場合は基本的にキクイムシの幼虫だと考えて問題ありません。
一方シロアリは幼虫から成虫まで見た目があまり変わらない不完全変態の虫です。幼虫であってもアリのような見た目をしています。
キクイムシの発生原因は?
発生原因は室内に持ち込まれた木材
キクイムシは主に、外から家に持ち込んできた家具などの木材が原因で発生します。
例えば、新しく購入したタンスやクローゼットなどの木製家具の中に幼虫が潜んでいた場合、家の中で成虫になり、室内で繁殖してしまいます。
新しい家具を購入する際は、表面に小さな穴が開いていないかチェックするのを忘れないようにしましょう。キクイムシは木に小さな穴を開けて、その中に卵を産み落とします。
キクイムシは主に木材家具やフローリングを食害する
キクイムシは木材を餌とする家屋害虫です。そのため、タンスや本棚などの木材家具に被害を与えます。
繁殖すると活動を範囲を広げ、フローリングや壁などの家屋自体に被害が及ぶケースもあるため注意が必要です。
キクイムシが好む木材
キクイムシの被害に遭いやすい家 |
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基本的にキクイムシはデンプンが変質していない新しい木材を好む傾向があり、新築して2年以内での被害件数が全体の約80%という報告もあります。
古い木材はでんぷん質が変質して、食害に遭いにくくなります。また、木造住宅に使用されるスギやヒノキなどの針葉樹は、卵を産み付けることができないため、被害にはあいません。
一方、ナラ・ラワン・キリ・ケヤキ・カシなどの広葉樹は、キクイムシの食害に遭いやすいです。フローリングや壁の材質として広葉樹を使っている場合はしっかりと対策するようにしましょう。
自分でキクイムシを駆除する
日本でキクイムシというと「ヒラタキクイムシ」が代表的です。他にもキクイムシ類には「ナラヒラタキクイムシ」「ケヤキキクイムシ」「アフリカヒラタキクイムシ」などがいます。
しかし、どのキクイムシでも共通の対処法で駆除することが可能です。
1回駆除しただけでは、キクイムシを完全に駆除できません。月に1回のペースで1年を通して行うようにしましょう。 |
殺虫剤(スプレー)による駆除がおすすめ!選び方も紹介
殺虫剤の選び方 |
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キクイムシは木材の穴の奥に潜んでいるため、エアゾール式(スプレータイプ)の殺虫剤が最適です。殺虫剤の中には、細いノズルがついた商品もあるので、ホームセンターやドラッグストアで探してみましょう。
ピレスロイド系の成分を含んでいる駆除剤は、キクイムシに対する駆除効果が高いため、おすすめです。殺虫剤の裏面の成分表を見ると、ピレスロイド系の成分が入っているか確認できます。
くん煙剤の使用はおすすめできない
くん煙剤は家にいるキクイムシ全体に駆除効果があるわけではありません。
外に出てきているキクイムシには効果がありますが、家具や木材の中にいるキクイムシには効果がほとんどないからです。
キクイムシ駆除の手順
手順 |
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殺虫剤でキクイムシを駆除するときは、木材に開いた小さな穴にノズルを挿して噴射します。穴の奥まで確実に薬剤を注入するように心がけてください。
ひとつの穴に対して1匹のキクイムシが生息しているので、完全な駆除を目標とするなら全ての穴に対して、月に1回のペースで噴射するのが理想です。
成虫のキクイムシは木材から出てきます。家具の表面に噴射しておくのも効果的ですので、ぜひ試してみましょう。
また、殺虫剤を使用する際は、周りに火気がないことを確認してから使うようにしましょう。煙がある場所などで使用すると、引火する恐れがあります。
おすすめの殺虫剤2選
おすすめの殺虫剤を紹介します。キクイムシの駆除をする際によく使われている「キクイムシコロリ」についても紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
キクイムシコロリ
キクイムシの殺虫剤として、キクイムシコロリがおすすめです。
人体にやさしく、低臭性であるため、家具にも気兼ねなく使えます。キクイムシ以外にもシロアリやムカデ、クモなど幅広い害虫に効果があるので、持っておいて損はありません。
キルノックG
キルノックGは人体に安全で殺虫性能の高いピレスロイド系の殺虫成分が使用されたエアゾール式の殺虫剤です。
ノズルが金属製なので、木材の穴に挿入しやすく、キクイムシの駆除に適しています。使用する際は周辺がベトベトにならないようにビニールなどで養生してから使用するのがおすすめです。
キクイムシの駆除を業者に依頼する
業者に依頼した方が良いケース |
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キクイムシは、完全に駆除することが難しく、根気強く駆除する必要があるため、手間もかかります。
業者に依頼すれば、楽に駆除することができるためおすすめです。
新築で食害が発生した場合は、建築を依頼した工務店に相談してみるのも手です。しかし、購入から数年経っていると、キクイムシが建材に潜んでいたのか判断が困難で、費用などの請求が難しくなるかもしれません。
キクイムシの駆除を業者に頼んだ方が良い理由
キクイムシは成虫になるまで、家具や木材の中に潜んでいるため、自分で駆除することが難しいです。また、自分で駆除をしても、完全に駆除できていなかった場合、被害範囲を広げる恐れもあります。
業者に依頼すれば、キクイムシの発生源の特定から駆除まで丁寧に行ってくれます。また、予防も行ってくれ、効果が長期間続きます。
費用は掛かりますが、手間や駆除・予防効果の高さを考えれば業者に依頼した方がよいと言えます。
キクイムシ駆除業者の選び方
キクイムシの駆除を業者に依頼する際に気を付けたいポイントは以下の通りです。
- 見積もりが無料か
- 作業内容がはっきりしている
- 余計なプランを追加してこようとしてない
- 保証内容が充実している
作業内容や作業にかかる費用を曖昧にする業者は後から、追加で費用を請求してくることがあるため注意が必要です。保証内容や業者の対応をしっかりと確認してうえで依頼するようにしましょう。
また、できるだけ業者に依頼する費用を安くするためには、相見積もりをとることが大切です。複数の業者を比較できれば、その中から最も安い業者に依頼することができます。
ミツモアでは、無料で最大5件の業者から見積もりを取ることができます。見積もりを取る際には、活用してみてください。
キクイムシを予防するには?
キクイムシを駆除できても、再発してしまってはせっかくの努力も無駄になってしまいます。再発を防ぐためのキクイムシの予防策を紹介します。
木材の表面に殺虫剤を吹きかける
殺虫剤はキクイムシを駆除するだけでなく、予防の道具としても活用することができます。
木材の表面に殺虫剤をかけておくことで、キクイムシが産卵するのを防ぐことができます。家具や木材の中のキクイムシを駆除する効果はありませんが、予防の効果は十分です。
殺虫剤を家具に直接散布したくないという方は、以下の見出しにある「木材の表面にニスや防腐剤を塗る」方法を取るのがおすすめです。
木材の表面にニスや防腐剤を塗る
微生物の侵入や増殖を防ぐために使用される「防腐剤」は、キクイムシなどの昆虫にも有効です。以前キクイムシを見かけたフローリングや壁、天井に塗布して、再発生を防ぎましょう。
木材用の防虫防腐剤もありますので、購入を検討してみてはいかがでしょうか。
またキクイムシは表面を加工されていない無垢を好むので、家の家財道具をニスや塗料で塗るのも予防につながります。
キクイムシが好まない木材を使用する
キクイムシが苦手な木材は、スギやヒノキなどの針葉樹です。ラワンやケヤキ・キリ・カシ・ナラ・タモなどの広葉樹が使われている際には、被害に遭いやすくなります。
あらかじめ防虫処理が施されている家具を購入するのもキクイムシ対策の1つです。ニスや塗装が施されている木材も被害に遭いにくいです。
キクイムシに食害を受けた家具はどうする?捨てるしかないの?
家具が食害を受けると、ぽつぽつと穴が開いていて不快感を覚えます。しかし、キクイムシに食べられても家具自体が使えなくなることはありません。
穴が開いていても特に気にならないという方は、そのまま使用し続けるようにしましょう。見栄えは悪くなりますが、買い替えの費用は掛かりません。
見るたびに不快感を覚えるので使いたくないという方は、家具が返品できるようであれば、返品するのがおすすめです。返品不可であれば、自治体のごみ処理のルールを確認したうえで、処分するようにしましょう。
家財を守るために日頃の予防が大切
木の中に潜むキクイムシは小さな甲虫ですが、油断していると大切な家財道具をダメにしてしまうかもしれません。
床に木くずが落ちていたり、穴が開いていたりする場合、すでにキクイムシの食害に遭っているサインとも考えられます。発生源を特定して殺虫剤などで駆除しましょう。
また、防腐剤を使ったり、家具をペイントしたりするなどの日頃の予防も大切です。今回ご紹介した内容を参考に、キクイムシを家から追い出し、快適な生活を目指してみてはいかがでしょうか。
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地域のプロを探す際はミツモアの一括無料見積もりをご利用いただくと手間なくご自身の希望通りの業者を見つけることが可能です。
ぜひミツモアを利用してみてはいかがでしょうか。
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