かわいがっている猫にダニが寄生することがあります。外だけでなく家の中にも多様な種類のダニが生息しており、さまざまな症状を引き起こす原因にもなります。猫をダニから守るため、その種類や寄生しやすい場所、寄生された場合の対処法について知っておきましょう。
猫に寄生するダニの主な種類
世界的には名前が付いたものだけで5万5,000種以上いるダニですが、種類ごとにサイズや栄養の摂り方に違いがあります。
猫に寄生する代表的なダニの種類を見てみましょう。
マダニ
「マダニ」はダニの一種ですが、さらに数多くの種類に分かれています。世界には実に800種以上存在するといわれ、日本でも47種が生息するとされており、種類の多さに驚く人もいるでしょう。
成虫になるとその体長は3~8mmにまでなり、人の目に見える程のサイズになります。寄生することで、飽血状態(ダニが大量に血を吸った状態)になると、20mmにまで大きくなることもあります。
暖かい時期を好み、春から秋の初旬にかけて活発に活動するのが特徴です。一方温暖なエリアでは、冬季に活動するケースもある種類のダニです。
ミミヒゼンダニ
「ミミヒゼンダニ」は耳たぶから鼓膜にかけての外耳道という部分に寄生する性質を持っています。寄生された猫は、耳の周辺に皮膚病が現れてしまうことがあるので、飼い主は注意が必要です。
通称耳ダニ症と呼ばれる症状は、猛烈なかゆみを引き起こします。そのため、後ろ足でしょっちゅう耳をかく、床や壁に耳周辺をこすり付ける、頭を激しく振るといった動作が多くなります。
そのような仕草が確認できたらダニによる症状を疑い、診察を受けることが必要です。
ヒゼンダニ
「ヒゼンダニ」はミミヒゼンダニ同様、激しいかゆみをもたらします。猫に大きな不快感や苦痛をもたらす皮膚病の原因にもなるダニです。
とても小さいダニで、メスは成虫となっても約400μm(マイクロメートル/1μmは約0.001mm)程の体長にしかなりません。サイズは約325μmで目で確認はできません。
感染力が強い性質も持っています。複数猫を飼っている場合には、あっという間に他の猫へと感染してしまう可能性が高いです。
寄生を確認したら早急な対応が求められます。
ツメダニ
「ツメダニ」にもいくつか種類があり、その中で代表的なものが「フトツメダニ」で、成虫となった時の体長は0.3~1.0mmで、肉眼でも確認可能です。
比較的暖かい時期を好み梅雨時になると増殖しはじめます。そして秋口になるまで活動を続けるのです。
基本的に人間や動物の血を吸うことはしません。その点がマダニやヒゼンダニとの大きな違いで、養分は異種のダニを捕食することで得ています。
しかしまれに人間の体液を吸うこともあるようです。何かの理由で間違えて人を咬んでしまう場合があるといわれており、その場合1~2日後に赤い小さな腫れが現れ、かゆみが生じることがあります。
どこで寄生されるの?
ダニはどのように猫に忍び寄ってくるのでしょうか。
寄生される場所により対処の仕方が分かるでしょう。そこで寄生されやすい場所について解説します。
自由に外に出られる猫は屋外で
屋内だけでなく猫を自由に外に出している飼い主もいます。その場合は屋外にいる時に寄生されてしまう場合があるのです。
ダニは猫以外の動物をはじめ、木や草花といった、野外のいたる場所で活動していると考えられます。そして、いろいろな場所に出向いた際に、ダニのいる部分に触れてしまうのです。
ダニは短い時間でも寄生してしまいます。遠くにまで行かずとも、ベランダやバルコニーにちょっと出しただけでも、寄生のリスクがあることは知っておきましょう。
家の中で寄生されることも
「外に出さなければ心配はいらない」そう思っている人もいます。しかし例え家の中だけで暮らしている猫であっても、ダニが寄生する可能性は十分にあるのです。
ダニは暖かく湿度が高い場所を好みます。室内はこのような条件がそろっているため、ダニにとっては活動しやすい環境なのです。
絨毯やカーペット、カーテンは、温暖で多湿、そしてホコリやチリなどダニのエサになる汚れもあるので、ダニが好んで生息します。
観葉植物や植木鉢、プランターも、水分がありダニが養分とするエサも豊富な場所です。
このように室内にはダニが繁殖しやすいポイントがたくさんあります。室内でのダニ対策はとても重要です。
人や他のペットが持ち込む場合も
「人」がダニを室内に持ち込む原因になることもあります。さまざまな場所に出向き、そこで過ごすことでダニが寄ってきます。そのまま人が自宅に持ち帰ってしまうのです。
職場や学校、カフェ、車の中等あらゆる場所に、ダニは生息しています。他の場所で活動していたダニを、人が持ち込むケースはとても多いです。
猫以外のペットと一緒に暮らしている家庭もあるでしょう。他のペットがダニを持ち込むことも少なくありません。
犬であれば散歩は欠かせませんが、公園に散歩に連れて行った際に、ダニが寄生する可能性もあります。マダニは草むらによく生息していることから、公園の植垣に近付いた際に引き寄せてしまうことがあるのです。
どんな症状が出るの?
ダニに寄生された猫にはどのようなリスクがあるのでしょうか。ダニがおびき寄せる症状について考察します。
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
マダニによって引き起こされる感染症で、国内では比較的最近になって見られるようになったものです。渡航歴を有しない人の発症は、2013年以降確認されるようになりました。
生き物の多くに感染する特徴があり、人間をはじめ猫や犬も感染の可能性を持っているのです。
マダニの成長には哺乳類の血液が必要になります。人・猫・犬の区別なく咬み、血を吸う性質があるのです。
その際マダニがSFTSウイルスを持っていれば、ウイルス感染を引き起こします。発症すると発熱や下痢、嘔吐、倦怠感といった症状が現れますが、2021年1月現時点では有効な薬剤やワクチンはなく、対処療法に頼らざるを得ません。
ヘモプラズマ感染症
猫の赤血球に病原体が入り込み、赤血球が破壊されることで貧血を招きやすくなります。ダニが媒介になる他、ノミに咬まれることによっても発症につながる可能性がある感染症です。
疲労感の高まりによる生気の低下や、発熱、脱水症状、食欲不振が起こりやすくなります。また貧血に伴う粘膜の蒼白や、脾臓(ひぞう)の肥大(腹部の膨らみ)が現れるケースもあります。
重症熱性血小板減少症候群と同じく、ワクチンや予防薬は現時点で開発をされていません。
ライム病
主にマダニが媒介となってもたらされる感染症です。細菌の一種である「ボレリア菌」が引き起こすとされています。
症状としては関節の痛みや筋肉痛、発熱、頭痛があります。また悪寒や全身の倦怠感が出る場合もあり、いわばインフルエンザに感染した時と似た症状です。
全身に病原体が広がるに伴って、神経症状や皮膚症状、心疾患、目症状といったものも見られるようになります。
ライム病用のワクチンは日本国内では使用が認められていません。そのためマダニが多く生息する茂みや草むらには猫を近付けないことが、ライム病から守る大切な方法です。
耳疥癬
「耳疥癬(みみかいせん)」は耳ダニ症ともいわれ、猫がとてもかかりやすい寄生虫病です。
ダニ等を媒介として発症すると耳周辺は激しいかゆみに襲われます。そのためしきりに後足でかいたり、床や壁に耳をこすり付けたりすることが多いと、感染の可能性があるといえるでしょう。
また黒ずんだ耳垢がたまりやすくなった時も、耳疥癬かもしれません。
対処法としては駆虫薬である「アイバメクチン駆虫薬」を注射する他、かゆみが激しい場合にはステロイドを用いるケースもあります。
駆虫によって寄生したダニそのものを駆除した後に、外耳炎の予防のために、耳疥癬によって生じた耳垢の処置も合わせて行いましょう。
ダニの見つけ方
ダニは種類によって姿かたちが異なります。特徴もさまざまで、目に見えるほどの大きさに成長するものもあれば、成虫でも肉眼では確認不可能な種類もあります。
多様な種類のダニがいますが、「猫の様子がおかしいな」と感じてダニの寄生を疑った場合、まずは飼い主が確認してみることが大切です。そのためダニの見つけ方について紹介します。
顔や耳の周りを確認
猫に寄生する場合にダニが棲みつきやすい場所というものがあります。そこを中心的に確認するようにしましょう。
最も寄生している可能性が高い場所が、顔や耳の周辺です。猫がよく後ろ足で耳の辺りをかいている光景を目にする場合、ダニの寄生を疑った方が良いかもしれません。
口の周りには物を食べた後のカスや唾液があり、ダニにとっての養分や湿度があるため、生息するにはうってつけです。また、目やにをエサにしやすい目の周辺も、ダニが好む場所といわれます。
耳にたまった耳垢もダニの養分として好都合です。マダニが耳周辺を好んで寄生するのは、常にエサがあり、隠れる場所が多いからと考えられています。
体もチェック
ダニが生息しやすい場所は、顔や耳周辺だけではありません。体全体に寄生する可能性があるので、常に猫の体をチェックしてあげましょう。
猫を招き寄せて優しく全体の毛をかき分け、体の隅々にまで視線を送ります。サイズが大き目のマダニやツメダニであれば、人の目でも見つけられることがあるでしょう。
ダニはすぐに寄生し、短期間で増殖する性質を持っています。外に連れ出した時はもちろん、ベランダやバルコニーに出した後も、こまめにチェックするように心がけましょう。
部屋の中だけで暮らしている猫だからといって、油断は禁物です。飼い主が外から持ち込んだダニを寄せつけているケースもあるので、定期的なチェックをおすすめします。
寄生された時の対処法
愛猫がもしダニに寄生されてしまったら、症状を悪化させないためにも、早めの対応が望まれます。
飼い主として適切な対処法について知識を備えておきましょう。
動物病院へ連れて行くのがおすすめ
ダニが寄生してしまった場合は駆除薬の使用が効果的です。薬の作用でノミを効率的に撃退できるでしょう。
放置しておくと猫に現れる症状が重くなることに加え、ノミの繁殖の恐れもあります。駆除薬を的確に使用することで、約24時間以内に駆除することが可能です。
ただしあらゆるケースで特定の駆除薬を投与すればよいわけではありません。ノミの種類によって、使用するべき薬も異なるのです。
状況に合った薬を処方してもらうためには、やはり動物病院で診てもらうことをおすすめします。専門家の診察を受け、適切に対処しましょう。
ダニ専用のピンセットで取り除く方法も
飼い主がダニの駆除を行う場合、してはいけないことが「ノミをつぶす」ことです。特に、発見したノミがメスだった場合には要注意です。
メスのノミをつぶしてしまうと、保有していた卵が破裂し、周囲の皮膚に飛散してしまう場合があります。それが新たなノミの繁殖につながるリスクになり得るのです。
ノミを見つけたらダニ専用のピンセットで取り除くやり方もあります。専用のピンセットで丁寧に取り除いていくのです。
ただし慣れていないと取り扱いが難しいものでもあります。間違ってつぶすこともあるため無理せず、動物病院できちんと先生による治療を受けさせてあげましょう。
寄生されないための予防方法
寄生してしまったダニを退治する方法を知っておくことは大切ですが、寄せつけない環境を整えておくことも重要です。
寄生されないための方法についてまとめました。
定期的に市販の予防薬を与える
ペットショップやホームセンターでは、ダニの予防薬を販売しています。定期的に与えることで、ダニの寄生を防ぐ効果が期待できるでしょう。
予防薬にはいくつかタイプがあります。「錠剤」は口から体内へ取り入れるものですが、確実に飲み込んでくれる猫でなければ、飲ませるのに苦労する可能性があるでしょう。
「スポットオンタイプ」や「スプレータイプ」は、猫に体に垂らす・噴きかけるといった方法で使用します。さまざまな予防薬から、愛猫に適したタイプを選びましょう。
ブラッシングをする
毎日のブラッシングはダニ予防にとても効果を発揮します。丁寧なブラッシングを欠かさないことが大切です。
マダニやツメダニ等、比較的に体の大きな種類であれば、肉眼でも判別できます。そのため感染症になる前の段階で、早期に対処可能です。
ブラッシングしていて「ダニかな?」と思ったら、つぶしたり無理して摘まみ取ろうとせずに、できるだけ早めに動物病院で診察を受けることをおすすめします。
大切な猫をダニから守ろう
ダニは猫に寄生してさまざまな症状を引き起こす原因になります。生命力の強さから生活空間の多くの場所に生息しているため、いつ寄生されてしまうか分かりません。
寄生された時の正しい対処を知り、かつ寄せつけないための予防策を備えて、ダニから大切な愛猫を守りましょう。
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