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特許取得の流れと費用を解説!初めてでも分かる特許取得のポイント

最終更新日: 2021年07月08日

特許取得までは多くのステップがあり、必要書類など出願前の準備も大切です。手続きには適切な手順があるため、全体の流れや要所を把握した上で進める必要があります。特許取得の流れと必要な費用について解説します。

特許取得とは

注解特許法

法律により発明を守ってもらえる「特許権」を取得することを、特許取得と言います。まずは、特許権について理解を深めておきましょう。

特許権は発明を保護する権利

特許権とは、高度な技術的アイデアである「発明」を国に保護してもらえる権利です。商標権や実用新案権と同じ知的財産権の一つであり、特許法が根拠となっています。

特許権の対象となる発明は、「物」「方法」「物の生産方法」といった、形のない知的財産です。他の人も物理的な制約を受けずに実施できます。

特許権を取得していれば発明を独占できるため、当該発明により第三者が利益を得ても、権利侵害者として差し止めや損害賠償を請求することが可能です。

原則として、発明は権利取得時から20年間保護されます。医薬品などに関する発明の場合は、保護期間を最長25年間まで延ばせる可能性があります。

特許取得までの流れ

特許庁

特許を取得するためには、必要書類を作成し特許庁へ提出しなければなりません。出願の流れや申請方法の種類を理解しておきましょう。

特許願を作成する

特許を取得するときは、最初に特許願を用意しなければなりません。特許願の様式は、「独立行政法人工業所有権情報・研修館」のサイトからダウンロードできます。

特許願以外で必要な書類は、「特許請求の範囲」「明細書」「要約書」「図面」です。これら5種類の書類の記載例は、工業所有権情報・研修館の「特許出願書類の書き方ガイド」を参考にしましょう。

特許願の文字が不明瞭なケースでは、出願を受け付けてもらえないことがあります。印刷する際はインクがにじまないように、手書きの場合は文字が消えないように注意しましょう。

特許願には特許印紙を貼り付ける必要があります。特許印紙は郵便局などでの購入が可能です。収入印紙を貼り付けてしまうと手続きできません。

参考:各種申請書類一覧(紙手続の様式) | 独立行政法人工業所有権情報・研修館
参考:特許出願書類の書き方ガイド | 独立行政法人工業所有権情報・研修館

特許庁へ提出する

必要書類を全て準備できたら、特許庁へ提出します。提出方法は、特許庁の窓口への持参と郵送の2種類です。

窓口に提出する場合、願書の控えを用意しておけば、控えに受付印を押してもらえます。特許庁へ入館する際に身分証明書の提示を求められるため、忘れずに持参しましょう。

窓口で直接手続きするなら、庁内で特許印紙を購入すれば手間がかかりません。書類を郵送する場合は、簡易書留郵便や特定記録郵便で提出する必要があります。

手続きを書面で行うケースでは、書面のページ数に応じた電子化手数料が請求されます。出願後に送付される払込用紙での納付が可能です。

インターネットでも出願できる

特許の出願はオンラインでも行えます。電子出願する場合は、電子証明書の購入や申請人利用登録、電子出願用ソフトのインストールなどが必要です。

申請書類はひな型を使ってWordなどで作成し、特許庁提出用のフォーマットに変換した上で提出します。電子出願で提出できない書類は、書面申請しなければなりません。

全ての書類をオンラインで出願できれば、電子化手数料を支払わずに済みます。各都道府県に設置されている「知財総合支援窓口」に足を運べば、実際に操作しながら電子出願のサポートを受けることが可能です。

出願後の流れ

書類を書く人

特許を成立させるためには、出願後に審査を依頼し、発明をチェックしてもらう必要があります。出願後の流れを確認しておきましょう。

審査開始には出願審査請求書が必要

出願の手続きが済んだら、出願審査請求をする必要があります。出願審査請求は義務ではありませんが、出願の手続きを終えたままでは特許を取得できません。

審査請求を行える期限は出願から3年間です。出願後3年を過ぎても審査請求が行われなければ、その出願は取り下げたものとみなされます。

審査請求の手続きは、特許庁に「出願審査請求書」を送付すれば完了です。審査請求を行うと、出願は順番待ちの状態になります。

特許庁から何らかの通知が届くまでは、かなりの時間がかかることに注意しましょう。

実施される審査や確認の流れをチェック

特許審査では、最初に「方式審査」が行われます。方式審査とは、手続的・形式的に問題がないかチェックする審査です。方式審査をクリアしても、特に通知などはありません。

出願日から1年以内に、「国内優先権主張出願」と「外国出願」を行えます。出願日から約1年半後には出願が公開され、発明を実施した第三者に補償金を請求する権利が認められます。

出願審査請求後に行われる「実体審査」は、発明の具体的な中身に関する審査です。実体審査をクリアすれば「特許査定」により特許が認められます。

特許査定の謄本が送達された後に所定の特許料を支払い、特許庁の特許原簿に設定の登録がなされれば、特許権の取得は完了です。出願から特許取得まで、一般的には1~2年かかりますが、早期審査制度を利用すれば期間を短縮できるでしょう。

実体審査の結果によっては拒絶理由の通知も

実体審査で何らかの特許要件を満たしていないと判断された場合は、「拒絶理由通知書」が送付されます。拒絶理由通知を受けたら、主に「意見書の提出」または「手続補正」で対応可能です。

意見書の提出とは、審査官の審査に対して反論する方法です。拒絶理由に従って出願内容を修正する場合は、手続補正により拒絶理由を解消できます。

意見書の提出と手続補正は、拒絶理由通知を受けてから原則として60日以内に行わなければなりません。そのまま何の対応もしない場合は、応答期間が過ぎた後に、特許を認めないことを示す拒絶査定が送付されます。

特許取得の費用目安

電卓を持つ人

特許取得の手続きで発生する費用相場の目安を、自社のみで行う場合と専門家へ依頼する場合に分けて解説します。減免制度でコストを節約できることも覚えておきましょう。

自社のみで出願する際の費用

専門家へ出願作業を依頼せず、自社のみで出願する場合、出願時・審査請求時・特許料の納付時にそれぞれ費用が発生します。

特許出願の費用は14,000円、出願審査請求の費用は138,000円+(請求項の数×4,000円)です。特許料は1年分で2,100円+(請求項の数×200円)かかります。

特許料は最初に3年分を支払わなければなりません。請求項の数が1項の場合、費用の総額は14,000円+138,000円+4,000円+(2,100円+200円)×3=162,900円です。

特許庁の公式サイトには、費用を自動計算できるシステムが用意されています。項目を選んで数字を入力するだけで費用が分かる便利なシステムです。

参考:手続料金計算システム | 経済産業省 特許庁

専門家へ依頼するときの費用目安

弁理士などの専門家に手続きを依頼する場合、自社で出願する際の費用に加え、専門家へ支払う報酬が発生します。

出願してから特許取得までにかかる総費用の相場は、300,000~800,000円が目安です。拒絶理由通知に対応する場合は、さらに費用がかかります。

ただし、専門家へ依頼すれば、特許願をはじめとする全ての書類を正確に作成してもらえます。手続きにかかる時間や手間をなくしたい場合は、専門家への依頼がおすすめです。

減免制度で費用の節約が可能

中小企業などが出願する場合は、減免制度により出願審査請求料と10年分の特許料の減免措置を受けられます。

例えば、常勤従業員が20人以下で大企業に支配されていない中小企業なら、審査請求料と10年分の特許料は通常の1/3となります。設立後の年数や資本金などの条件も設けられているため、自社が該当するかチェックしましょう。

2019年4月1日以降に審査請求を行った案件に関しては、減免申請書を提出する必要がありません。出願審査請求書の「手数料に関する特記事項」欄に減免を受ける旨を記載すれば、減免措置を受けられます。

特許取得はポイントを押さえ正しい手続きを

判子を押す人

発明を保護する権利である特許権を取得するためには、特許取得の手続きを行う必要があります。書類を用意して特許庁に提出した後は、審査開始のための出願審査請求書を提出しなければなりません。

実体審査の結果次第では拒絶理由通知を受けることがあり、さらに手続きが増えます。全体の流れを理解し、要所を押さえて正しい手続きを行いましょう。

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