結婚や妻の出産に伴い、被扶養者の追加をしたいけれども何を揃えれば良いのか、用紙はどこでダウンロードできるのか、など不明点が多い方もいらっしゃると思います。ここで要点をおさえてスムーズに手続きしましょう。
健康保険被扶養者(異動)届っていつ必要?
「扶養に入れる」「扶養から外す」という言葉を聞いたことがある方は大勢いらっしゃるのではないでしょうか。
意味は理解できても、具体的にどのタイミングで健康保険被扶養者(異動)届を提出しなければならないのか、いまいちピンとこない方のためにまずは手続きをすべきタイミングを具体例を交えながら解説します。
社員の被扶養者の増加
主に「(同居する)家族(親族)が増えた」場合に、その家族(親族)が被扶養者に該当する可能性があります。確認した上で被扶養者(異動)届を作成しましょう。
具体的には、結婚して妻が専業主婦になった、子どもが産まれた、などです。その他にも、共働きだったが妻が退職した、仕事を退職した実親の生活費を負担することになった場合なども該当することがあります。
被扶養者に該当するかどうかは
- 自分と対象者の続柄
- 対象者の年収
- 同居の有無
- 後期高齢者医療の被保険者か否か
上記の4点がポイントになります。
- は、配偶者・子・孫・兄弟姉妹・父母・祖父母などの直系親族の生活費を自分が負担している場合は、被扶養者に該当します。
- については、対象者の年収が130万円未満(60歳以上または障害者の場合は180万円未満)であってかつ自分の年収の半分未満かどうかが判断基準になります(一部例外もあり)。
- 同居の有無は、①で言及した以外の3親等以内の親族などの場合は、同居して生計を維持していることが条件になります。
- ですが、実親などが後期高齢者医療制度の被保険者にまだ該当していなければ、被扶養者の対象になり得ます。実親などが後期高齢者医療制度の被保険者に該当した時は、被扶養者の対象から外れます。
社会保険の扶養の条件に関する詳しい記事はこちら>>>社会保険における扶養の条件とは? 所得税の扶養との違いなどについて解説
【21年度4月最新版】異動届以外に必要な書類一覧
健康保険の被扶養者(異動)届は、その用紙以外にも対象者との続柄や収入状況などを判断するための必要書類をいくつか提出しなければなりません。
提出漏れが生じた場合は、処理が滞り、被扶養者の健康保険証が手元に届くのが遅れてしまうので、要注意です。ただし、一定の要件を満たしている場合には、それら必要書類の提出を省略することもできます。
被扶養に必要な書類のまとめ一覧表
目的 | 必要な書類 |
---|---|
提出書類 | 社会保険被扶養者(異動)届 国民年金第三号被保険者該当届 |
続柄の確認 | 戸籍謄本、戸籍妙本または住民票 |
収入の確認 | 課税証明書(年間収入が130万円未満と確認できるもの) |
別居の確認 | 仕送りの事実と仕送り額が確認できる書類 |
ここでは、必要な書類を一覧表にまとめました。自分が該当するものをそれぞれ用意してください。
では、それぞれについてみていきましょう。
住民票、戸籍謄本または戸籍妙本とは
自分と対象者の続柄を証明する必要書類として、戸籍謄本、戸籍抄本もしくは住民票を異動届に添付します。
対象者が自分と同居しており、自分が世帯主である場合には住民票を提出で対応することができます。これらを発行するためには役所で自ら手続きをしなければならないので、面倒に感じる方も多いことでしょう。
そこで便利なのが「マイナンバー」です。事業主が続柄を確認していれば、自分と対象者それぞれのマイナンバーを被扶養者(異動)届に記載し、備考欄の「続柄確認済み」にチェックを入れることで、戸籍謄本や住民票の提出を省略することができるのです。
年間収入130万円未満を証明できる課税証明書等
家族(親族)を健康保険の扶養に入れる場合は、その対象者の年間収入が130万円未満であることが条件の1つです。
この事実を証明する書類としては、対象者の「課税証明書」等が求められます。各年の1月1日~12月31日までの、1年間の所得に対する住民税の金額を証明する書類です。
課税の根拠となった所得額が記載されているため、所得証明の役割も果たします。この書類で年収が130万円未満か否かが判断できます。
ただし、①対象者が所得税法上の扶養親族に該当することを、事業主が確認している②対象者の年齢が16歳未満、のいずれかに該当する場合は、課税証明書等の提出を省略することができます。①については、被扶養者(異動)届の事業主確認欄の「確認」という箇所を〇で囲めば大丈夫です。
仕送りの事実と仕送り額が確認できる書類
対象者と別居している場合は、続柄確認書類や課税証明書等の他に、対象者の生活費を仕送りして彼らの生計を維持していることが確認できる書類が必要です。
講座振込の場合は仕送り額が明記されている通帳等のコピー、送金の場合は現金書留のコピーがその証明書類として適用されます。
ただし、これも例外があり、対象者が16歳未満もしくは16歳以上の学生である場合は、仕送り証明の各種書類は提出しなくても大丈夫です。
健康保険被扶養者(異動)届の書き方を一つ一つ説明
ここまで健康保険の被扶養者(異動)届を提出するにあたっての、対象者のパターンや必要書類について説明してきました。
用紙は以下のページからダウンロードできます。
ここからは、異動届の具体的な書き方について解説します。間違いがあると訂正届を提出することになり手間がかかるので、注意しましょう。
事業主記入欄
上部の事業所整理記号は忘れずに必ず記入しましょう。下部の「事業主確認欄」は、被扶養者の収入要件を事業主が確認できている場合は「確認」を〇で囲みます。これにより、課税証明書等の所得証明書類の提出を省略できます。
被保険者情報の記入(A欄)
A欄は被保険者の情報を記入します。ここでは注意点をまとめます。
①「被保険者整理番号」とは、社会保険の被保険者に割り振られている番号です。健康保険証の「番号」の箇所に書かれている数字が被保険者番号です。
⑤原則、個人番号(マイナンバー)を記載するようにしましょう。マイナンバーを記入した場合は、⑧の住所の記入を省略できます。
⑦今後1年間の見込み年収を記入します。
国民年金第3号被保険者資格についての申請・変更等を同時に提出する場合(B欄)
この欄は配偶者を扶養に入れる場合に使用します。国民年金保険の第3号被保険者関係届も兼ねています。
①日付は、被扶養者(異動)届を事業主へ提出した日を記入します。下部の「※第3号被保険者関係届の提出は配偶者(第2号被保険者)に委任します」にチェックを入れます。
④「個人番号(基礎年金番号)」とありますが、原則個人番号(マイナンバー)を記入するようにしてください。
⑤⑥配偶者が外国籍の場合のみ記入します。
⑨配偶者が被扶養者になる場合は、左側の「該当」を〇で囲みます。日付は、被保険者(自分)の社会保険の資格取得と同時に異動届を提出する場合はその資格取得日を、それ以外の場合は配偶者が被扶養者になった日付を書いてください。
⑩被保険者の資格取得と同時に提出する場合は、「1.配偶者の就職」を選びます。
⑫配偶者の今後1年間の見込み年収額を記入します。収入には非課税対象のもの(障害・遺族年金、失業給付金等)も含みます。
非課税対象に該当する収入がある場合は、それらの受給金額が明記されている通知書等のコピーも添付する必要があるので注意しましょう。
⑮「※続柄確認済み」の箇所は、事業主が被保険者と被扶養者となる配偶者との続柄を確認した場合、ここにチェックを入れることで添付書類を省略できます。⑳配偶者を扶養から外す場合など配偶者が被扶養者とならない場合に配偶者の年収を記入します。
その他の場合(C欄)
配偶者以外の家族(親族)を扶養に入れる場合にこのC欄を使用します。
⑤ここも個人番号(マイナンバー)の記入が必須です。
⑯別居で仕送りをしている場合は、1回あたりの仕送り額を備考欄に記入します。そして、最下部の「扶養に関する申立書」欄に1年間の仕送りの回数を記入し、署名捺印します。対象者が16歳未満または16歳以上の学生の場合は、添付書類を省略できます。
この記事を監修した社労士
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