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2022年4月 年金手帳が廃止?会社が年金手帳を必要とする理由~紛失時の再発行方法について~

最終更新日: 2021年09月07日

初めて公的年金制度の被保険者になったときに、個人毎に発行される年金手帳。普段は使う機会がないため、会社から提出を求められたときにどこに保管したのか忘れてしまい、探すのが大変だったという記憶のある方は多いと思います。

そもそも、年金手帳を自宅ではなく会社で保管しても問題ないものなのでしょうか?

今回は年金手帳の役割や会社での保管のこと、マイナンバーとの関係について見ていきます。

この記事の監修社労士

東京国際社会保険労務士事務所 - 東京都目黒区目黒

年金手帳について、基本のおさらい

年金手帳
年金手帳について

会社員の場合、入社時に会社に年金手帳を提出し、そのまま保管され退職時に返却という方が少なくないのではないでしょうか?

個人毎に発行されている年金手帳を会社が保管しているというのは不思議な感じがします。

ここでは、年金手帳の役割や会社が年金手帳を保管していることが多い理由について説明していきます。

年金手帳とは?

年金手帳は、国民年金、厚生年金、共済年金といった公的年金制度の加入者に対して発行される小冊子のような手帳のことです。

年金手帳には公的年金制度への加入時期によって色の違いがあり、茶色、オレンジ色、青色があります。平成9年1月以降の被保険者資格取得者からは青色の手帳が発行されています。

年金手帳には『基礎年金番号』という被保険者の年金の加入記録を管理するための重要な番号と氏名、生年月日、性別等の情報が記載されています。

年金手帳の役割は、就職して厚生年金保険に加入するとき、会社を退職して国民年金に加入する等のとき、住所変更、各種年金の受給手続きや相談のときに基礎年金番号等の確認を行うために提示する書類になります。

基礎年金番号とは?

年金手帳で確認できる基礎年金番号とはどんな番号でしょうか?

基礎年金番号は、平成9年1月以降、国民年金、厚生年金保険、共済組合で共通して使用する原則「一人に一つの番号」で10桁(4桁-6桁)の番号体系で表されています。最初の4桁が加入時の年金事務所の符号、残りの6桁は個人に与えられる番号となっています。

この被保険者毎の基礎年金番号は生涯変更になることはなく、この番号で被保険者ごとの被保険者期間、納付した保険料の履歴、年金受給等の記録の管理が行われます。

平成8年12月までは、それぞれの被保険者が加入する年金制度ごとに異なる7桁から12桁の番号体系で管理されていましたが、加入要件を満たしても届け出を忘れていたり、被保険者によっては複数の年金番号を持っていために年金の請求確認に時間がかかるなどの問題がありました。

そこで、届け出忘れによる未加入者の発生の防止や年金サービスの向上の観点から、平成9年1月から全ての年金制度に共通で使用できる基礎年金番号を導入して「一人に一つの番号」で管理されるようになりました。

年金手帳を会社が保管している理由

年金手帳は、新卒入社の際や転職の際に手続きのために会社に提出し、そのまま退職時まで会社が保管しているケースがあります。なぜ会社は退職時まで年金手帳を預かるのでしょうか?

被保険者は日常の生活を行う中で年金手帳を使用する機会はほとんどないため、いざ、年金手帳が必要だといった時にどこに保管したかわからなくなってしまうことが多くあるのです。

会社は、それによって手続きが遅れてしまうリスクを避けるために年金手帳を退職時まで保管して、そのようなリスクを減らすようにしていることがありました。

ただ、各種手続きに必要になるのは「基礎年金番号」です。会社によっては「基礎年金番号」だけをコピーして控えておけば年金手帳の提出が必要ない場合もありますので、年金手帳を手元においておきたい方は会社に確認してみましょう。

基礎年金番号が必要とされる場面

前述したように、会社が年金手帳を必要とするのは各種手続きにおいて年金手帳に記載されている「基礎年金番号」が必要だからです。

現在はマイナンバーと基礎年金番号が紐づいていますので、年金の手続きなどではマイナンバーまたは基礎年金番号で申請すれば良いことになっています。

海外に転出した場合や国民年金保険料の口座振替では、基礎年金番号の記入欄があります。年金事務所への電話にて、基礎年金番号は教えて頂けません。不明な場合には「年金手帳再交付申請書」を年金事務所に提出しましょう。(2022年3月以前)

その点では、基礎年金番号が記載されている年金手帳など基礎年金番号がわかる書類は大切に保管しておきましょう。

マイナンバーと基礎年金番号が紐づき年金手帳の提出は不要に

年金手帳とマイナンバーカード
年金手帳とマイナンバーカード

マイナンバー制度の開始により、マイナンバーと基礎年金番号が紐づいて各種手続きの方法が変わってきました。

このマイナンバー制度によって、行政機関や地方公共団体などにおいて、複数の業務間の情報の連携が進み、無駄が削減されて効率化が行われています。

ここでは、年金関係の手続きについてどのような効率化が行われているのかを見ていきましょう。

国民年金手続きはマイナンバーで運用される

平成28年11月に「行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用労に関する法律附則第三条の二の政令で定める日を定める政令」が公布・施行されました。

それに伴って、日本年金機構では、平成29年1月から基礎年金番号がわからない場合であってもマイナンバーの提示により相談が受けられるようになりました。

平成30年3月5日からは、日本年金機構では、これまで基礎年金番号で行っていた各種届出・申請についてもマイナンバーでできるようになり、住所変更届や氏名変更届の届け出が原則省略できるようになりました。

また、市区町村においても、国民年金被保険者関係届書など、これまで基礎年金番号を記載していた届書については、平成30年3月5日からマイナンバーを記入して提出することになっています。

ただし、日本年金機構、市区町村どちらも引き続き基礎年金番号での手続きも行うことができます。

マイナンバーと年金手帳(基礎年金番号)両方の準備が必要

各種年金の手続きにおいては、マイナンバーまたは基礎年金番号が必要になりますが、海外に転出した場合や国民年金保険料の口座振替の手続きなどを行う際にはマイナンバーではなく基礎年金番号で手続きを行うことになります。

よって、手続きによっては年金手帳(基礎年金番号)が必要な場合もありますので、念のため両方を準備しておいた方が良いでしょう。

2022年4月に年金手帳は廃止となる

ここまで説明してきた年金手帳ですが、2015年にマイナンバーが交付されるようになったことにより、行政手続きが徐々に簡素化かつ効率的に行えるようになり、2022年4月から年金手帳は廃止されることになりました。

よって、会社は新規採用時も年金手帳の提出を求めることなくマイナンバーのみ確認すればよいことになります。

年金手帳の廃止後に新たに国民年金の被保険者になった人には、「基礎年金番号通知書」が送付されるようになります。

ただし、基礎年金番号については廃止になるわけではないようです。基礎年金番号の動向については引き続き確認が必要です。

年金手帳を紛失した場合の再発行

年金手帳 再発行の手続き
年金手帳 再発行の手続き

年金手帳は滅多に使用する場面がないため、自宅で保管していてもどこに仕舞い込んでしまったかわからなくなっている方も多くいると思います。

年金手帳は紛失しても再発行の依頼や申請を行うことにより再発行してもらうことが可能です。

ここでは再発行の方法について説明します。

年金事務所に再発行を依頼する(2022年3月まで)

年金手帳の再交付を郵送で依頼する場合は「年金手帳再交付申請書」に必要事項を記入して、被保険者の住所を管轄する年金事務所、会社経由の場合は会社の住所を管轄する年金事務所、または、都道府県の(広域)事務センターに送付します。

申請書以外に提出が必要な書類があるかもしれませんので、事前に年金事務所に確認の連絡をしておいた方が良いと思います。

緊急性が高く即日発行が必要な場合には、申請者ご本人を証明できる書類を持参するか、もしくは社会保険労務士、法定代理人、事業主により窓口で即日交付してもらえる場合がありますが、この場合も事前に年金事務所に確認の連絡をしておいた方が良いでしょう。

電子申請(e-Gov)を使って再発行の申請をする

行政のポータルサイト「電子申請(e-Gov)」で年金手帳の再発行を行うことも可能です。e-Govを使用する場合には、e-Gov電子申請アプリケーションのインストールやe-Govアカウントの登録などの手続きが必要になります。

e-Govの利用準備ができれば、年金手帳再発行手続きから再交付の申請を行いましょう。

年金事務所の役割について確認しておく

年金事務所は、会社員や公務員の方には普段あまりかかわりのない所ですので、年金事務所がどんな所でどのような手続きができるのか説明しておきます。

社会保険庁が平成22年1月に廃止になったことに伴って、国(厚生労働大臣)の委任・委託を受けて国民年金・厚生年金の運営を行う日本年金機構が発足しました。

年金事務所は、社会保険庁が運営していた社会保険事務所の業務を継承して発足した日本年金機構の窓口機関で全国の主要都市に312か所に設置されています。

年金事務所の窓口では、国民年金、厚生年金保険の各種届出の受付や保険料徴収、年金手帳・年金証書の再発行、年金相談などの手続きができます。

ただし、新型コロナの影響により、年金事務所内に陽性が生じた場合には一定期間、年金事務所が閉鎖となっている場合があります。あらかじめ、下記にて、閉鎖・業務再開を確認しておいた方がよいです。

日本年金機構 大切なお知らせ >>

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年金手帳や年金証書の再発行を含む年金の各種手続きは複雑で、自身で行うことができないことはありませんが、大変多くの時間や労力がかかります。

このような年金の手続きは、社会保険の専門家である社会保険労務士に依頼することができます。スムーズに手続きを進めるためにも専門家に任せることも検討されてみてはいかがでしょうか。

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この記事の監修社労士

東京国際社会保険労務士事務所 - 東京都目黒区目黒

東京国際社会保険労務士事務所は、「助成金申請」を強みとし、支給実績を積み重ねながら、常に時代のニーズを先取りし、顧問先様に「親身」「手厚い」「迅速な返答」が評判の社労士事務所です。 特に、「人手不足」の昨今、「外国人雇用を行いたい」、「既に外国人雇用を行っている」企業様の「助成金労務相談顧問」を積極的に行っています。