桜の木を伐採する際には、さまざまな事柄を検討する必要があります。美しい花を咲かせてくれた桜に愛着があり、伐採をためらう人も多いでしょう。疑問や不安を解消し、適切な判断ができるよう、桜の伐採手順や費用相場などを詳しく解説します。
伐採した方がよい桜の木の状態や状況とは
桜は美しい花を咲かせる一方で、倒木や建物への影響など問題を引き起こすこともあります。しかし桜に愛着があり、伐採のタイミングを逃してしまうこともあるでしょう。桜の木を伐採した方がよい状態や状況について、具体的なケースを紹介します。
枯れて倒木の恐れがある
桜の木が枯れている場合は、伐採を検討しましょう。桜にも寿命がありますし、病気や根腐れなどが原因で枯れてしまうこともあります。
生きているときは水分を多く含んでいる木も、枯れると乾燥が進み、枝や幹が割れやすくなります。枯れた桜をそのままにしておくと、台風などの強風で倒れ、建物や道路、通行人などに被害を及ぼす可能性があるのです。
大変危険ですので、倒木の恐れが少しでもあるなら早めに伐採することをおすすめします。
病気にかかっている
病気にかかった桜の木も、伐採を検討する必要があります。桜がかかりやすい主な病気と特徴は以下の通りです。
- 根頭がんしゅ病:地面に近い根や接ぎ木の接合部分に『こぶ』ができる
- サクラてんぐ巣病:『こぶ』となった枝の一部から、ほうき上の小枝が出る
ほとんどの場合、治療や予防は困難で、病気にかかった桜はいずれ枯れてしまいます。また他の木が近くにあると、病気が伝染する可能性が高まります。
病気にかかった桜を残しておいても、倒木や感染のリスクが高まるばかりですので、早めに伐採に踏み切りましょう。
根が建物や設備に影響を与えている
桜には『根上がり』を起こしやすい特性があります。根上がりとは、成長した根が地表に現れる現象で、舗装された道路を突き破るほどの威力を持っています。
庭の桜が根上がりを起こすと、花壇やウッドデッキ・塀・水道やガスの排管・家の基礎部分などにダメージを引き起こす恐れがあるでしょう。
根上がりを放置すると、壊れた場所の修繕費用がかさむだけでなく、事故のリスクも高まります。根の成長具合もよく観察して、建物や設備に影響が出そうな場合は伐採を検討しましょう。
庭のリフォームや土地の有効活用を検討している
庭のリフォームや土地の有効活用を検討しているなら、桜の木の伐採は選択肢の1つです。例えば木があるために日陰が多くて困っているときは、伐採することで日当たりが良くなり、理想の庭に近付ける可能性があります。
また庭に駐車場やウッドデッキなどを設置したいときも、ほとんどの場合庭木が邪魔になります。なお庭のリフォームや他の用途に活用する場合は、単に伐採するだけでなく、根を完全に取り除く抜根作業も必要です。
桜の木を伐採する方法
実際に桜の木を切ったり、伐採現場を見たりした経験がある人は少ないでしょう。伐採を検討する前に、使う道具ややり方をイメージしておくことも大切です。桜の伐採に必要な道具と、基本的な手順を詳しく解説します。
桜の木の伐採に必要な道具
桜の伐採に必要な道具は、目的によって大きく以下の3つに分類できます。
- 木を切る:のこぎり・チェーンソー
- 木が倒れる方向を調節する:クサビ・ハンマー・ロープ
- 切り株を処理する:のこぎり・シャベル
のこぎりは手動タイプと電動タイプがありますが、伐採に使うなら電動がおすすめです。切り株処理には、根切りに適した刃を用意しましょう。
他にはヘルメット・手袋・防護メガネ・動きやすく汚れてもよい服など、安全に作業できる装備も必要です。
桜の木の伐採の基本的な手順
桜の木を伐採する際は、まずは周囲の安全を確保することから始めます。倒すときに建物や電線などに接触する恐れがないか、周辺に人がいないかをしっかりと確認しましょう。
邪魔な枝はあらかじめ切り、ひとまとめにしておきます。次に木を倒す方向を決め、その方向に引っ張るようにロープを張りましょう。
ロープを張ったら、チェーンソーやのこぎりで、幹の下部に切り込みを入れていきます。幹が細い場合は倒す方向の反対側を切るだけで済みますが、太い場合は先に倒す方向に『受け口』と呼ばれる切り込みを入れるのがポイントです。
切り込みが深くなったら、ロープを引いて木を倒す方向に誘導します。最後に、根元から切り株を取り除けば作業は完了です。
伐採後の桜の木の処分方法
伐採後の桜の木は、どのように処分すればよいのでしょうか。長年共に過ごしてきた桜を、有効活用したいと考える人もいるでしょう。
桜の木にはおもちゃなどの木工製品や、燻製チップとしての使い道があります。ただし、しっかり乾燥させないと、害虫やカビの原因となるため、個人で加工するのは難しいでしょう。
伐採後の桜は、可燃ごみとして自治体に回収してもらうのが無難です。もちろん、そのままの状態では出せませんので、指定の大きさに切ってまとめる必要があります。
なお、木の焼却処分は原則禁止です。自宅の庭や空き地で燃やすのは、絶対にやめましょう。
桜の木の伐採にかかる費用と業者選びのポイント
桜の木の伐採を業者に依頼すると、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。根を抜いたり、切った木を処分したりするにも費用がかかります。伐採の費用相場と費用を左右する要素、信頼できる業者を選ぶポイントを見ていきましょう。
伐採の費用相場は桜の木の高さによって変わる
桜の木の伐採費用は、木の高さによって変わります。一般的に、高さ3m未満なら数千円程度で、3〜5mでは1万〜2万円、5m以上では1万5,000〜3万円が伐採費用の相場です。
抜根費用は、幹の太さに左右されます。幹回りが30cm未満の小さな木でも1万円以上、幹回りが81cm以上の大きな木では、10万円近くかかることもあります。
木や根の処分まで依頼する場合は、別途回収費用がかかるケースも多いので、見積もり時にしっかり確認するようにしましょう。
伐採費用を左右する要素
伐採費用を左右するのは、木の高さや太さだけではありません。例えばアクセスが難しい場所にある桜や、建物や電線に近接している桜は、より慎重な作業が求められるため、割高になる傾向があります。
クレーンなど特殊な重機が必要な場合は、重機の使用料やドライバーの人件費が加算されるでしょう。伐採後の木の処分費用も、トラックまでの距離や高低差など、運搬にどれだけの労力がかかるかによって変わります。
安全に作業するためには、それなりに費用がかかることを押さえておきましょう。
頼れる業者を選ぶときのポイント
業者選びのポイントは、実績・口コミ・見積もりの内容を比較することです。ホームページに施工例を掲載している業者も多いので、自宅の状況に近いものを探してみると、イメージが湧きやすくなります。
口コミでは評価の高いコメントだけでなく、低いコメントも読んでおきましょう。見積もりの際は、現地調査を無料で行ってくれるかどうかも大切です。現地を見てもらえば、不明点などをその場で解決できます。
見積もりは必ず複数の業者から取り、作業内容や料金を比較しましょう。1〜2社だけでは内容が適正かどうかを判断できませんし、あまり多くても手間がかかります。実績や口コミから3社程度絞り込み、見積もりを出してもらうとよいでしょう。
桜の木の伐採を成功させるためのコツ
桜の木を伐採する際には、考慮すべきいくつかの重要なポイントがあります。自分で伐採することの危険性や伐採に最適な時期、お祓いするべきかどうかなど、桜の伐採を成功させるためのコツをチェックしましょう。
成長した桜の木を自分で伐採するのは危険
桜の木を自分で伐採すれば費用を抑えられますが、実際には容易ではありません。桜の木は重く、直径20cm程の太さでも、1mにつき30kgの重さがあります。
高さが3mだとしても90kgはあるため、一歩間違えれば大きな事故につながり、大変危険です。仮に上手く伐採できたとしても、抜根や処分に大きな労力がかかります。
このためよほどの若木でない限り、自分で伐採するのはおすすめできません。ほとんどの場合、伐採を検討するのは成長した木ですから、最初から業者に依頼する方が賢明といえるでしょう。
桜の木を伐採するなら冬から春がおすすめ
桜の木を伐採するなら、冬から春にかけての時期がおすすめです。冬は木の水分量が少ないため、重量が軽くなり作業しやすくなります。
葉が落ちているので、伐採後のごみが減るのもメリットです。家庭ごみとして処理するときにも、軽い方が集積所まで運ぶのも楽ですし、処理場では焼却のエネルギーが少なくて済むでしょう。
真冬がベストですが、降雪地帯なら雪が溶けてからでも遅くありません。最後に花を観賞して、葉が生える前に伐採するのも選択肢の1つです。
縁起を担ぐのであれば伐採前にお祓いを
日本には古くから、全てのものに神が宿っているとの考え方があります。特に木は神聖なものとして扱われることが多く、伐採すると悪いことが起こるのではないかと、心配する人は少なくありません。
縁起を担ぐのなら、伐採前にお祓いをするとよいでしょう。お祓いは寺や神社に依頼しても、自分でしても構いません。自分でお祓いする場合は、お神酒を供え、盛り塩する方法が一般的です。
どのような形式であれ、これまでお世話になった桜の木に、感謝の気持ちを伝えることが大切です。
桜の木の伐採は業者に依頼するのが賢明
桜の木が枯れたり病気にかかったりした場合、倒木や病原菌の拡散などで近隣に迷惑をかけるリスクがあります。成長した桜の根が地表に出て、住宅設備に影響を及ぼすことも考えられます。
このようなときは、速やかに伐採することを検討しましょう。とはいえ、大きくなった桜の木は、個人で処理できるものではありません。安全に、スピーディーに処理するためにも、専門業者に依頼することをおすすめします。
実績や口コミ、見積もりを比較して信頼できる業者を選び、桜とのお別れを悔いのないものにしましょう。