「森林整備をしたいが、どうしていいか分からない」「林業を営んでおり、所有する山の木を伐採しなければならなくなった」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は木の伐採をするための費用には、行政から補助金が出る場合があります。この記事では木の伐採で利用できる補助制度を詳しく解説します。「自分は該当するのか?」「どのくらいの補助金が出るのか?」「申請はどのようにすればいいのか」といった疑問を解決するのにお役立てください。
また木の伐採に関する補助制度には、森林整備をするための造林補助だけでなく、危険木の伐採の補助制度もあるので併せて説明します。
行政は「造林補助制度」で林業への支援を行っている
森林は国土の保全や水源のかん養・林産物の供給といった、国民にとって重要な多くの機能を有しています。そのため森林整備に対しては、行政が補助金を出しています(国事業名「森林環境保全直接支援事業」)。
林業を対象とした支援は国や都道府県・市町村ごとにさまざまな制度が存在し、ほとんどの森林整備作業は補助金の対象です。また林業を行っている団体だけでなく、個人で森林を所有している場合でも適用条件を満たせば補助金を受け取れます。森林整備を行う場合は、補助制度を利用できるか確認しましょう。
造林補助制度の補助金を受け取るための条件とは?
補助金を受け取るには「森林経営計画等を策定」したうえで「計画的に森林整備を行う」ことが条件となります。対象となる山林は0.1ヘクタール以上の大きさが必要で、事業や施業別に補助対象となる林齢(植栽してからの森林の年数)が決まっています。
造林補助の対象者は以下の通り。
- 地方公共団体
- 森林所有者、森林組合等、森林整備法人等、NPO法人等、森林所有者の団体
- 森林経営計画の認定を受けた者等
どのような森林整備が補助金の対象になるのか
補助金の対象となる森林整備作業は以下の通りです。
作業の種類 | 詳細 | 対象林齢 |
植え付け(人工造林) | ・伐採跡地などに新たな森林を造るために苗木を植栽する作業
・植え付け前に林地の整理を行う地ごしらえや、苗木代などが補助金の対象となる |
|
下刈り | ・植栽した苗木の成長を促すために、下層部に生える雑草や雑木を除去する作業
・周りの雑草木を刈り払わないと植栽木への日当たりが悪くなったり、つるが巻き付いて植栽木の幹を締め付けてしまったりすることも |
10年生以下 |
雪起こし | ・積雪の影響で倒れた木を起こし、縄などで固定する作業
・木が垂直に育つように行う |
25年生以下 |
枝打ち | ・余分な枝や枯れた枝を伐って落とす作業
・木がまっすぐに育ったり「無節」という状態になったりすることで、商品価値が上がりやすくなる |
30年生以下 |
除伐 | ・植栽木の成長を阻害する木の除去
・目的樹種以外の樹種を中心に、曲がっている木や成長が悪い木を伐る作業を行う |
25年生以下 |
保育間伐、間伐 | ・混み合った森林の植栽木の一部を伐採する作業
・植栽木が生長していくとお互いの育成を阻害することがあるため、本数を調整する |
60年生以下 |
更新伐 | 複層林の造成や人工林の広葉樹林化の促進、天然林の質的・構造的改善といった目的で不用になった木等の伐採を行う | 90年生以下 |
森林作業道 | 上記を行うために継続的に使用する林道を作る作業 | |
鳥獣害防止施設 | 鳥獣害を防ぐための施設の整備 |
森林作業道と鳥獣害防止施設を整備するための補助金は、上記の作業と一体的に行うことが条件となっています。作業の詳細は各自治体にお問い合わせください。
補助金はどれくらい出るのか?標準的な金額の一例をご紹介
補助金額は事業内容や作業の種類、また樹種や予算などによって異なります。
森林所有者が施業を行った場合の、1ヘクタール当たりの標準的な補助金額は以下の通りです。
作業の種類 | 林齢 | 条件例 | 標準単価
(万円/ha) |
補助金額
(万円/ha) |
人工造林 | – | スギの植栽
(3,000本以上/ha) |
112.5 | 76.5 |
樹下植栽 | – | コナラの植栽
(1,000本以上/ha) |
66.7 | 45.3 |
不要萌芽の除去 | 11年生~ | – | 44.1 | 28.0 |
下刈り | ~7年生 | – | 17.2 | 11.7 |
枝打ち(人力) | 11~30年生 | 不要高さ2~3m
本数2,000本/ha |
23.6 | 16.1 |
除伐 | 11~25年生 | – | 16.9 | 11.5 |
保育間伐 | 16~35年生 | 選木、伐倒、枝払、玉切 | 25.9 | 17.6 |
定性間伐 | 21~60年生 | 搬出材積
50㎥以上70㎥未満/ha 選木あり |
43.8 | 29.8 |
列状間伐 | 21~60年生 | 搬出材積
50㎥以上70㎥未満/ha 選木あり |
38.1 | 25.9 |
定性更新伐 | 11~90年生 | 搬出材積
50㎥以上70㎥未満/ha 選木あり |
45.1 | 30.7 |
造林補助の申請方法は?林業組合に委託することもできる
造林補助の申請は以下の流れで行います。
手順①:事前計画の作成、提出(人工造林・間伐・更新伐・森林作業道)
手順②:補助金交付申請(作業終了後)
手順③:検査、補助金交付
申請の際には申請書や森林計画のほかに施行地の位置を示した図面(位置図)や、施行地の形状や面積を示した図面(施業図)、作業前・作業中・作業後の写真を添付します。ただし2020年4月からは、GISデータやドローン等の画像の使用も可能となりました。
造林補助制度の申請は個人でも行えますが、森林組合を通して行うことが一般的。森林組合は、組合が置かれている一定範囲内の民有林を対象に業務を行っています。森林組合に委託すると自治体への補助金交付申請や、補助金交付・受領などを代理で行ってもらえます。
森林組合は補助金の窓口業務だけでなく森林整備の委託業務も行っているため、森林の管理が難しい人は森林組合へ加入するのがおすすめ。森林組合の加入料金は一律ではないので、詳細は加入する組合へお問い合わせください。
「危険木の伐採」にも補助金が出る場合がある
家屋や人身・交通に被害が出る恐れのある倒木の伐採にかかる費用を、補助する制度もあります。台風や土砂災害の影響で大木が倒れると大きな被害をもたらすことがありますが、伐採するには多くの費用がかかりますよね。そこで自治体が伐採費用を一部負担し、被害を未然に防ぐための補助制度を設けているのです。
危険木の補助制度を受けるための条件
この補助制度の適用条件は、各自治体によって異なります。危険木の大きさや生えている場所、倒木時に被害があるかどうかなどが条件となっているケースが多いでしょう。
また危険木の伐採補助の対象となる人は、以下の通りです。
- 危険木が存在する土地を所有、占有、管理する人
- 土地所有者以外の場合は、危険木の伐採許可を所有者から受けている人
対象者は主に土地の所有者ですが、自治会や森林組合・危険木の倒木によって被害を受ける人が行うこともあるでしょう。その場合は所有者から伐採許可を受けていることが証明できれば、補助対象になります。
全国にある危険木の伐採補助制度の実例
危険木の伐採補助制度は、全国の多くの自治体で行っています。一部の実例をご紹介します。
地域 | 補助金の金額 | 適用条件(一部) |
神奈川県 葉山町 | 補助対象経費の1/2
(上限10万円) |
・伐採する危険木が土砂災害警戒区域のうち、急傾斜地の崩壊を基準として指定されている土地にある
・危険木の大きさが直径20cm以上、かつ樹高が5m以上である |
京都府 京都市 | 補助対象経費の3/4
(上限30万円) |
・伐採する危険木が、森林法第5条に規定する地域森林計画の対象森林内にある |
兵庫県 市川町 | 補助対象経費の3/4
(上限75万円) |
・伐採する危険木の胸高直径が25cm以上、かつ樹高が5m以上である
・危険木が倒れることで人命および財産に被害を与える恐れがある |
岡山県 真庭市 | 補助対象経費の1/3
(上限30万円) |
・伐採する危険木が病害虫の被害等により枯死および枯損している
・胸高直径がおおむね30cm以上、かつ樹高がおおむね10m以上に大径化している |
宮崎県 川南町 | 補助対象経費の1/3
(上限20万円) |
・伐採する危険木が町道沿いに立ち、倒木により交通に支障をきたす恐れがある
・樹高が10m以上ある |
上記の通り補助金の金額や適用条件は、自治体によって異なります。適用条件の詳細や申請方法は各自治体へお問い合わせください。
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