家づくりを始めたけど、建築家から片流れ屋根を提案された、、。「片流れ屋根ってどんな屋根?ダサくて安っぽい屋根にはしたくないけど、実際どうなの?」と考えた経験はありませんか。
近年シンプルでスタイリッシュな見た目の屋根にしたいという方に人気の屋根が「片流れ屋根」です。
一方向だけに勾配がある片流れ屋根は、外観がお洒落になるだけでなく太陽光発電の効率がよいなどのメリットがあります。一方で雨漏りしやすいなどのデメリットも。
片流れ屋根のメリット・デメリットを知って、屋根にもこだわったマイホームづくりを楽しみましょう!
片流れ屋根とは?
片流れ屋根はデザインを重視して住まいを建てる方に人気の屋根構造です。どんな特徴があり、その他の屋根とどんな違いがあるのでしょうか。
片流れ屋根とは?
片流れ屋根とは、一方向のみに傾いている屋根のことです。一枚の板を斜めにのせたような形状になっています。平屋や箱型などシンプルな外観の住まいでも個性的な印象にしてくれるため、最近建築される住宅で、よく採用されています。
屋根の代表的なスタイルの特徴<寄棟・切妻・陸屋根>
日本の住宅で取り入れられている屋根には、片流れ屋根のほかにも
- 寄棟屋根
- 切妻屋根
- 陸屋根
などさまざまなものがあります。
寄棟屋根は、四方向に屋根面があるのが特徴です。落ち着いた重厚感のある雰囲気が和風の家にぴったり。棟が四方向にあるので、風雨や日差しから外壁を守りやすく、家を長持ちさせてくれます。
切妻屋根は屋根といえばコレ、というほど一般的な屋根です。二つの屋根面で家を覆った形状のものです。比較的丈夫でメンテナンス費用も安いという特徴があります。
陸屋根は最近、戸建住宅でも増えてきたのが屋根です。フラット屋根や平屋根とも呼ばれる、勾配がない平面な屋根を言います。屋根を屋上として活用できたり、メンテナンスが簡単というメリットがあります。
片流れ屋根のメリット、デメリットとは?
おしゃれで人気な片流れ屋根ですが、そのメリットとデメリットにはどんな点があるのでしょうか。
片流れ屋根のメリット
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片流れ屋根のメリットは見た目のデザインがおしゃれに見えるというだけではありません。
住まいを作る人に最も大きなメリットは短時間で屋根ができ、施工方法も簡単なので施工費用が安くできるという点です。低予算でデザイン性が高い住まいができるだけでなく、メンテナンスやリフォームの費用も抑えられます。
また、屋根裏空間が小さくできるのもポイント。屋根の高さに天井高をあわせれば、天井の高い広々した室内が実現できます。屋根裏スペースを作って窓を付ければ、ロフト風の部屋に。収納スペースや趣味の部屋として活用する人も少なくありません。
太陽光発電パネルが最大限のせられるという理由で片流れ屋根にする人も増えています。南向きに傾斜した片流れ屋根にすれば、一日中太陽光発電パネルに日があたり、発電効率が最大限に高められます。
片流れ屋根のデメリット
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片流れ屋根のデメリットでよく言われるのは雨漏りです。屋根が片方にしか傾いていないので、雨漏りしにくいと思われがちですが、屋根と壁の境目部分から雨水がつたって、侵入することがあるのです。同時に、雨が一方向に集中するので、雨樋への負担も大きく、劣化しやすくなります。
また、片流れ屋根の軒の出が少ない面は日差しや風雨を直接浴びるため、外壁が傷みやすいという特徴もあります。
もう一つ、屋根や住まいを長持ちさせるために必要な屋根裏換気ができにくいという点もあります。一般的な切妻屋根では、棟や軒の左右に換気口があり、屋根裏や外壁の換気をしています。これにより、湿気を含んだ木材が乾燥し、適度な湿度を保ってくれます。
片流れ屋根では屋根の換気口は1つしかないため、外気が入りにくく、換気が機能しにくくなってしまうのです。
片流れ屋根のデメリットを知っておけば、屋根の施工時や住まい全体の設計時に、そのデメリットを踏まえた工法にしてもらうことも可能です。出来上がってから「こんなはずではなかった」ということにならないようにしておきたいですね。
太陽光発電パネルのメリット
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片流れ屋根のメリットの一つである太陽光発電パネル。太陽光発電のメリットには、光熱費の削減や、売電での収入アップなどがあげられます。
太陽光発電パネルのデメリット
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重量があって屋根の耐震力が弱まったり、屋根のメンテナンスがしにくくなる、というのはよく知られています。さらに、屋根を太陽光パネルで覆ってしまうことにより、南向きの片流れ屋根でも日照不足で湿度が溜まり、野地板が結露してしまうことがあるのです。
屋根や野地板が傷みやすいことを考慮した上で太陽光発電パネルを設置しなければ、屋根のメンテナンスやリフォームにかえってお金がかかってしまった、ということにもなりかねません。
片流れ屋根の雨漏り対策
構造上、雨漏りしやすいのが片流れ屋根の特徴です。だからこそ、施工時にはその特徴を踏まえた雨漏り対策をしておくことが重要。雨漏り対策としてどんな工事をするのか、あらかじめ大工さんに確認しておくのもおすすめです。
防水対策:隙間をふさいで伝い水を防ぐ
片流れ屋根でもっとも多い、伝い水による雨漏り。これを防ぐためには、伝い水が建物の中に入ってこないよう隙間をふさいでしまうのが効果的です。
片流れ屋根の軒下に水切り板金を付ける、破風板を野地板の上まで立ち上げる、などの方法のほか、防水シートで、棟から破風板に至る隙間の部分を完全に覆ってしまうという方法もあります。同じように、屋根と壁の接合部分も防水シートで覆っておけば、最も雨漏りの可能性が高い場所をふさぐことができます。
住宅建築の場合、屋根の野地板より上と下で職人さんが変わる場合もあります。あらかじめ、「棟に透湿ルーフィングを巻いてください」など、屋根工事業者に雨漏り対策を十分にしてもらえるよう依頼しておきましょう。また、どんな対策をするのかを説明してもらっておくと安心ですね。
換気対策:屋根の防水シートを透湿ルーフィングにする
換気対策では、まず屋根部分の防水シートを、換気能力が高い透湿ルーフィングにしてもらうのがポイントです。さらに、棟からの換気量が多くあるよう、棟換気用の部材をたくさん設置してもらうとよいでしょう。
さらに、屋根裏に送風ファンを付けるなど強制的に換気する仕組みを作るなどの工夫があればより安心です。
片流れ屋根でデザイン上、軒の出をなくしたい場合は、換気できるのが棟だけになるので、より換気しにくくなってしまいます。デザインにこだわるのでなければ、片流れ屋根でも軒の出がないものは避けましょう。
湿度対策:野地面や野地板上の換気や通気をよくする
北面への片流れ屋根になり、換気できずに湿度が高くなってしまう場合は、野地面や野地板上の換気や通気をよくする工法で対策します。
野地板に野地面換気システムを別途取り付けて小屋裏の湿気を外に排出する仕組みを作ったり、隙間をあけて並べた野地板を交差するように重ねたパネルを使った通気野地板を使用するなどの方法です。
いずれも、施工方法や設計が変わってしまうので、早めに湿気対策を依頼するようにしましょう。
片流れ屋根が雨漏りした場合の対処法
どんなに対策をしていても、経年劣化などもあり雨漏りが発生してしまうこともあります。もし、雨漏りしてしまったら、どのように対応したらいいのでしょうか。片流れ屋根は傾斜が大きいのでセルフ補修はとても危険。屋根のプロに早めに相談するのがおすすめです。
換気とルーフィングの見直しと水切りの設置
雨漏りが起きている場合は、小屋裏の換気やルーフィング素材の見直しも依頼すると、より安心です。
雨水が浸入した屋根の野地板は湿気をたっぷり含んでしまっていることがあります。また、水が浸入することで、野地板に貼ったルーフィング(防水シート)が傷んでいる可能性もあります。
屋根全体を点検してもらい、十分な換気とルーフィングのやり直しを行いましょう。換気しやすい屋根部材の設置や送風ファンの設置のほか、より防水効果と換気機能が高い透湿ルーフィングの使用も検討してみましょう。
棟の頂点部に水切り板金を設置するのも効果的です。野地板と破風を板金板で覆ってしまう方法で、水が野地板の下に入り込むのを防げます。
切妻屋根にリフォームすることもできる
いろいろな対策をしても雨漏りが治まらず、屋根の傷みも大きい場合は、思い切って切妻屋根へのリフォームを検討してもいいかもしれません。片流れ屋根を設置している方向に長く屋根面を設置し、反対側に短い屋根を付けるデザインであれば、片流れ屋根の印象を変えず、雨漏りリスクを大幅に軽減できます。
南面向きの屋根で太陽光発電パネルを設置している場合も、北面に短い切妻屋根にすることで、発電効率を下げずに、屋根の劣化リスクを抑えられます。
屋根の葺き替え費用は、100~200万円程度が相場です。リフォームをしなかった場合の住まい全体のメンテナンス費用と比較しながら、検討してみましょう。
専門の業者に依頼する
雨漏り修理や屋根リフォームなどで調べると、リフォーム業者や雨漏り修理専門業者など、いろいろな事業者が見つかります。どんな点に注意して業者を選ぶとよいでしょうか。
まず確認するのは、どんな屋根素材に対応してくれるか。施工事業者はさまざまな屋根材についてのある程度の知識を持っています。ですが、深い知識と経験がなければ、雨漏りの原因を突き止め、素材に合った対応をしてもらうのは難しいでしょう。自宅の屋根の素材が、瓦なのか、ガルバリウム鋼板なのかを知っておけば、瓦専門業者がよいのか、板金業者がいいのか、それぞれの屋根材にあわせて事業者が選べます。
また、修理の範囲や屋根の状況で選ぶのも一つの方法です。雨漏りが起きている部分だけすぐに対応してもらうなら、雨漏り修理の専門業者に相談するのがおすすめ。ですが、屋根全体の状況を確認し、葺き替えや葺き直しも含めて検討するなら、リフォーム事業者に依頼するほうが、コストも工事も安心です。
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片流れ屋根は、おしゃれな外観の家を考える方には魅力的な屋根です。雨漏りなどのデメリットもありますが、そのリスクを最大限に抑える方法や、切妻屋根でも片流れ屋根風に見えるデザインにすることも可能です。それでも雨漏りしてしまったら、屋根修理は専門家に相談するのがおすすめ。プロの経験と知識に基づく提案で、雨漏りリスクを低減しながら住まいを長持ちさせるリフォームができます。