雨や風から車を守ってくれるカーポートは、車の乗り降りの際に濡れなくて済むメリットがあり、戸建てで設置している方は多いのではないでしょうか。
しかしカーポートは台風の影響を受けやすく、強風で屋根が飛び車に被害が出たり、近隣トラブルの原因になるケースがあります。
この記事ではカーポートの台風対策はもちろん、車への対策や、もし台風被害を受けてしまったらどうするのかも紹介します。
台風シーズンを前に、しっかりカーポートの台風対策をしておきましょう。
まずはカーポートの仕組みを知ろう
カーポートの仕組みを理解することは適切な台風対策につながるので、
- カーポートの目的
- カーポートの種類
- カーポートの素材
- カーポートの仕組み
のポイントに分けて解説します。
カーポートを設置する目的とは
カーポートとは、柱と屋根だけでできた「簡易的な車庫」のことです。
- 雨風や紫外線から車を守る
- 車の乗り降りのとき、雨に濡れにくい
車の劣化を防ぎ、汚れからも守ってくれるので、洗車の回数が少なく済みます。
車庫よりも費用が安いこともメリットです。
カーポートには2種類ある
カーポートには
- 片方にのみ柱がついている「片支持タイプ」
- 両方に柱がついている「両支持タイプ」
の2種類あるので、それぞれ説明します。
片支持タイプ
片支持タイプは、片方にのみ柱がついているタイプのカーポートで、圧迫感が少ないのが特徴です。
しかし支えが片方にしかないので、台風には弱いと言えます。
片支持タイプの場合、柱の補強がおすすめなので、台風対策の章で別途解説します。
両支持タイプ
両支持タイプは両側に柱がついているので、乗り降りのしにくさや圧迫感を感じる方がいますが、片支持より強度があり台風に強い作りになっています。
台風対策をメインに考えるなら、両支持タイプのカーポートがおすすめです。
カーポートの仕組み
カーポートは柱と屋根で構成されていますが、台風に強く作られていません。
素材と、作りについて解説します。
カーポートの支柱の素材
多くのカーポートで採用されている素材が、錆びにくいアルミの柱と紫外線に強い熱線遮断の屋根材です。
屋根材は1枚板ではなく、同じ大きさのものを何枚も並べて固定されています。
理由は
- 運搬のしやすさ
- 設置のしやすさ
- 台風で飛散したときの被害を抑えるため
ですが、「台風で屋根が飛ぶのは困る」と思われる方が多いと思います。
しかし、カーポートの屋根はあえて飛ぶようになっているんです。
カーポートの屋根は飛ぶように作られている
カーポートの屋根が飛ぶように作られている理由は、屋根と柱が強く固定されていると、柱まで壊れたり飛んだり、被害が大きくなるからです。
台風などの強風では屋根に1番大きな力が加わります。
屋根が飛んでも被害は出ますが、柱まで壊れると
- 下に置いてある車が壊れる
- 自宅に大きな被害が出る
- 近隣の家に被害が出る
が考えられ、屋根だけが飛んだときと比べ物になりません。
「飛びやすいなら屋根の固定を強固にしよう」とする方がいますが、柱への被害に及ぶ可能性が高くなるので、やめたほうがよいでしょう。
カーポートの台風対策とは?
では実際に、カーポートの台風対策は何をするべきなのでしょうか?
前述したように、カーポートの屋根は飛びやすくできているので、飛ぶことを前提にした対策が必要です。
カーポートの被害を最小限に抑えるための対策を紹介します。
カーポートの周辺にある小物を家の中に入れる
カーポート近くに置いてあるガーデニング用品や子どものおもちゃ、柱に立てかけてあるシャベルや自転車の空気入れなどの小物は、強風で飛んでしまうかもしれないので家の中に入れましょう。
出したままだと、飛んだときの衝撃でカーポートの屋根を突き破ったり、車が傷付いたりする可能性があります。
カーポートの屋根材を外す
可能なら、台風の前にカーポートの屋根材を外しておくのも一つの手段です。事前に外しておけば飛ばされる心配はありません。
しかしカーポートの高さに上がっての作業は簡単ではなく、滑ったり落ちたりするかもしれないので、命綱をつけて2名以上で作業するなどの工夫が必要です。
また台風が通り過ぎたら元に戻すので、戻し方を考えがら外すようにしましょう。
飛散防止ネットを張る
飛散防止ネットとは、強風で外れた屋根が飛んでいかないようにするためのもので、カーポートを覆えるサイズのゴルフネットや防風ネットがおすすめです。
あくまでも外れた屋根が飛んでいかないようにするためで、屋根が外れないようにするものではありません。
屋根材が飛ぶと、自宅や近隣に迷惑をかけるかもしれないので、二次被害を防ぐための手段です。
片支持タイプにはサポートをつける
片支持タイプのカーポートには、反対側を補助する「サポート」の柱があり、取り外しができる「着脱式」と、固定して使用する「固定式」に分かれます。
着脱式は不要なとき取り外せるので、外したときは乗り降りや駐車がしやすい特徴があり、多く選ばれているタイプです。
台風などの強風のときは必ずつけて強度を高めますが、合わせて屋根の補強もしておくとさらに安心です。
支柱の補強をする
屋根が飛ばないよう補強する手段として、「屋根材ホルダー」使う方法があります。
屋根材ホルダーをつけると、もし強風で屋根と支柱が外れても、屋根が飛散しないように抑えてくれます。
しかし、絶対外れないわけではありません。
また基本的に屋根材ホルダーは「両支持タイプ」に適応していて、「片支持タイプ」では強度が足りず柱が折れる可能性があるのでサポートのある片支持タイプにのみ使用できます。
リフォームの予定があるときには強固な屋根材に変えるのも手
カーポートの付け替えリフォームの予定があるなら、台風に強い屋根材に変えると安心感が増します。
前述したように、台風に強いのは両支持タイプなので、土地の制限がなければ両支持タイプを選びましょう。
屋根材は半透明の「ポリカーボネート」が多いですが、金属タイプの「折板屋根」のほうが頑丈です。
台風対策を第一に考えるなら、「両支持タイプ」で「折板屋根」がおすすめです。
車の台風対策もしておこう
カーポートだけでなく、車の台風対策もしておきましょう。
台風では想像できないようなものが飛散し、車に被害が出る可能性があります。
毛布や段ボールで窓ガラスを包んで傷や破損を防ぐ
フロントガラスやフロントドア、リアガラスを毛布や段ボールで包んでおく方法で、傘など危険性が高いものが飛んできても毛布や段ボールがガラスを守ってくれます。
特にフロントガラスは壊れると修理に10万円以上と高額な費用がかかるので、しっかり保護するのがおすすめです。
保護する際は、毛布や段ボールが簡単に外れないように、しっかりロープなどで止めましょう。
ボディカバーをするときにはきっちり縛る
汚れから守ってくれるボディーカバーですが、台風対策で使用する際は上下左右まんべんなく縛る必要があります。
ボディーカバーは風であおられると、カバーが中途半端に外れ車に傷がついたり、カバーが飛ばされたりするのが心配です。
難易度は高めですが、全方向からカバーをしっかり縛って保護しましょう。
折れそうなパーツは外しておく
車に後付けしたパーツは、万が一を考えて外しておくと安心です。
大型のウィング、スキーキャリアやルーフボックスなどですが、もし外せない場合は、養生テープで補強しておきましょう。
実際に台風の被害にあってしまったら
どんなに入念に台風対策をしても、被害にあってしまうかもしれません。
実際に被害が出てしまったらどうするべきか、順に説明します。
まずは破損した部品を回収
もしカーポートの屋根が飛んでしまった場合、すぐに屋根を回収しましょう。
カーポートの屋根は何枚かに分かれているとはいえ、1枚はそれなりに大きく、放置しているとさらに遠くに飛んでしまう恐れがあります。
回収したら、室内に入れるか、飛ばされないように重石を乗せるなどして保管します。
台風の衝撃でカーポートの屋根材が割れることがあるので、割れた場合破片も集めましょう。
近隣に部品が飛んでしまっていないかを確認
隣近所との距離が近かい、風のあたりが激しいなどの場合、近所の家の敷地内に飛ばされる可能性があります。
もし近所の方の家や家財に被害が出た場合、相応の対応が必要です。
台風などの自然災害で出た被害は、「不可抗力」として弁償の義務はありませんが、被害の度合いによっては弁償や被害に対しての修理費を負担する場合があります。
もし被害が出てしまったら、しっかりと話し合い遺恨を残さないようにしましょう。
火災保険の適応範囲か条件をチェック
火災保険は「火災」だけでなく、「台風」「強風」「豪雨」「落雷」「積雪」も補償の対象です。
ご自身が加入している火災保険が、カーポートの補償も含まれているかどうか条件をチェックしましょう。
なかには、自宅に対してのみ補償対象で、カーポートは入っていないケースがあります。
カーポートを後から設置した方に多いので、補償対象かどうかのチェックは必須です。
近隣の家に被害を出してしまったら保険対象外
火災保険は自宅の補償で使えますが、近所の家に被害を出してしまった場合は保険の対象外です。
台風での被害は不可抗力で弁償の義務はありませんが、「被害が出るかもしれない状況を放置していた」場合は、個人で弁償が必要になるかもしれません。
火災保険ではなく、自動車保険などの特約で適応するケースがあるので、加入保険の条件を確認してみましょう。
火災保険の申請方法
火災保険でカーポートが対象になっているのを確認したら、保険会社に申請の連絡をしましょう。
台風による被害は、広範囲の地域で出ているはずなので、申請が重なることが予想されます。
被害のチェックをしたら、早急に申請したほうが、保険金を受け取る時期も早くなりますよ。
火災保険を利用する方法を、順に説明します。
1.保険会社と修理業者に連絡する
まず保険会社に連絡して、必要な書類を依頼します。
同時に修理業者かカーポートを設置した業者に連絡し、被害状況の確認と見積もりを出してもらえば、事前に金額を把握できます。
業者がチェックに来たとき、保険会社に現状を説明するときのアドバイスをもらっておくこともおすすめです。
2.必要書類を記入する
保険会社から送られてきた書類を記入し、返送します。
書き方がわからないときは保険会社に直接聞いたり、被害状況は業者に聞いたりしてもよいでしょう。
3.保険会社の被害チェック
場合によっては、保険会社による被害状況のチェックがおこなわれます。
返送した書類との相違が無いかなどをチェックします。
4.保険会社から保険金が降りる
調査の結果が出たら、指定口座に保険金が入金されます。
1ヵ月以内には入金されますが、台風被害では多くの保険申請が重なるため、もっと時間がかかる場合があります。
あまりに遅いようなら、審査はどうなっているのか随時確認したほうがよいでしょう。
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