庭の竹ぼうきやゴムホースに見知らぬ穴が開いていたら、タイワンタケクマバチが巣を作っている可能性があります。被害に遭う前に、適切な対策をとっておきましょう。タイワンタケクマバチの特徴や駆除方法について解説します。
タイワンタケクマバチとは?
大陸からやってきた外来種
タイワンタケクマバチは、中国南部からインドにかけての地域や、台湾に生息する蜂です。日本国内では、愛知県豊田市で2006年に初めて発見されました。
タイワンタケクマバチは2021年の現時点では、日本国内で以下地域に広がっています。
北陸地方 | 福井県 |
中部地方 | 石川県,長野県,愛知県,岐阜県 |
近畿地方 | 奈良県,三重県,京都府,滋賀県 |
タイワンタケクマバチの生息地域は徐々に拡大しているので、いずれは全国各地に広がる可能性もあります。
タイワンタケクマバチは分類上、ミツバチ科に属する蜂です。体長が約2cmで、体全体が黒色をしており、脚には黒色の毛が生えています。一般的に蜂の羽は「黒色」か「茶色」ですが、タイワンタケクマバチの羽の色は「褐色」なので判別はしやすいでしょう。
タイワンタケクマバチの主な営巣場所は、枯れた竹です。民家や農地などの竹棚、竹林、竹材置き場などに生息しています。
大陸から日本へ侵入したのも、輸入された竹材への混入が原因と言われています。
外来種タイワンタケクマバチの生態系への影響
タイワンタケクマバチは、エサである花の花粉や蜜を集めて、巣に帰ります。
タイワンタケクマバチが増えることで、在来種であるクマバチ含め、他のミツバチ科とエサの取り合いになる可能性があります。
またタイワンタケクマバチの背中には、「クマバチコナダニ」というダニが寄生しています。クマバチコナダニは、蜂に寄生していないと生きていけません。
このダニは室内に住み着くことはないとされていて、現状では人間にとっては害がないダニと言われています。しかし在来ダニと交雑し、遺伝子をかく乱する恐れがあり、生態系への影響が危惧されているのです。
タイワンタケクマバチは刺す?毒性は?
タイワンタケクマバチはミツバチの仲間で、毒針があります。
毒針はあるものの、おとなしい性格の持ち主であり、自分から人に攻撃することはめったにありません。しかし巣に近づいたり、接触したりして刺激すると、攻撃してくることも。
タイワンタケクマバチの毒性は、スズメバチと比べると弱いとされています。ただしアレルギー反応の強い体質の人は、まれにアナフィラキシーショックを引き起こす恐れがあるので注意が必要です。
またタイワンタケクマバチは、香水や制汗剤、整髪料などの匂いにも反応します。これらの物に含まれる成分が、蜂が仲間に危険を察知させる匂いの成分と似ているのです。
タイワンタケクマバチに遭遇したらまず、静かにゆっくりその場から離れることが得策です。またタイワンタケクマバチの分布地域にある竹林に入るときには、整髪料や香水を付けないよう、匂いにも気を付けましょう。
被害に遭わないための注意点
竹ぼうきやホースに巣を作る
タイワンタケクマバチの主な営巣場所は枯れた竹です。特に、20mm弱の太さがある竹を好み、2~3cm程度の穴を開けて子育てを行います。
具体的に以下のような場所に営巣するので、自宅の周辺に思い当たる場所がある方は、注意しましょう。
- 竹ぼうき
- 竹垣
- 枯れた竹
- ゴムホース
タイワンタケクマバチは「青々とした竹」よりも、穴の空けやすい「水分を失った竹」を狙います。また竹以外には、ゴムホースに穴を開けることも。
竹ぼうきやゴムホースに巣が作られていることを知らないまま触ってしまったり、刺激してしまうと、タイワンタケクマバチの攻撃を受けかねません。
多くの巣穴を開けられると、使い物にならなくなる可能性もあります。
巣を作らせない対策を
竹ぼうきやゴムホースに巣を作られないようにするためには、これらを屋外に放置しないことが重要です。家の中や倉庫で保管しておけば、安全性が増します。
巣の作られやすいところには、蜂が嫌う匂いを含んだ「忌避剤」を使用すると、寄り付きにくくなります。蜂用の殺虫スプレーや、木酢液などを散布しておきましょう。
また普段から、竹ぼうきなどに穴が空いていないか、チェックするのも大切です。すでにタイワンタケクマバチが潜んでいる可能性もあるので、触らずに「目視」で確認するのがポイント。
ちなみに竹ぼうきに巣穴が作られたとき、テープなどでふさいでも、タイワンタケクマバチはすぐに破ってしまいます。確実に駆除するためには、殺虫剤を使ったり、業者に依頼したりしましょう。
もしタイワンタケクマバチの巣を見つけたら
自分で駆除する方法
タイワンタケクマバチの巣を自分で駆除する場合は、殺虫剤が有効です。
殺虫剤のなかでも、アース製薬の「ハチアブスーパージェット」のような「ピレスロイド系」の殺虫成分を含んだスプレーがオススメ。蜂がピレスロイドを浴びると、飛ぶことができなくなり、死滅します。
作業を行う際は、防護服・長靴・手袋を着用し、肌を露出しないようにするのがポイントです。
服装の準備が整ったら以下の手順で駆除を行いましょう。
- 巣穴に殺虫剤を20~30秒ほど噴射
- 内部の隅々まで行き渡るように角度を変えながら噴射
- 飛び出してきた蜂を殺虫剤で駆除
- 木工用のパテで巣穴を埋める
殺虫剤を十分に噴射し、蜂が出てこなくなり巣穴を埋めることで再利用されるのを防げます。
駆除を行った後、忌避剤を巣穴があったところと、その周辺に散布しておくことで、さらに予防になりオススメです。
蜂の駆除業者に依頼しよう
タイワンタケクマバチの巣は、蜂に刺される危険性を考慮すると、自分で駆除するより業者に依頼したほうが安心です。
プロの蜂駆除業者なら、蜂の種類や巣の状態を正確に見極めて、より確実に巣を駆除してくれます。
自分で駆除作業を行った場合、刺されてしまうリスクは避けられません。業者に依頼すれば、このような心配をすることもありません。
蜂駆除業者の選び方
失敗しない蜂駆除業者を選ぶためには、住んでいる地域に対応しているか確認しましょう。蜂の種類を問わず対応してくれるかどうかも重要です。
できるだけ早めに駆除してもらえるよう、即日対応も可能な業者を選ぶとよいでしょう。アフターフォローが充実していれば、駆除後になにかあった場合でも対応してもらえます。
複数の業者から相見積もりをとって、料金や施工内容を比較するのもオススメ。ぼったくりを防ぐことができるので、安心して依頼できます。
他に日本に生息する危険な外来種バチ
セイヨウオオマルハナバチ
セイヨウオオマルハナバチは、名前の通り、西洋(ヨーロッパ)から来た蜂です。日本ではおもに北海道で分布しています。
体長は1~2cm程で、黒と黄色の縞模様が目印。お尻に白い毛が生えているのも特徴的です。ネズミが使った古い巣を再利用するなど、土の中に営巣する傾向があります。
またセイヨウオオマルハナバチのエサは、花粉や蜜です。食料を集めるとき、他の蜂の巣から盗んでしまうことも……。
攻撃性は低いですが、近づくと毒針が刺すことがあるため危険な蜂です。
ツマアカスズメバチ
ツマアカスズメバチの原産地は、インドネシア、インド、中国などです。日本では長崎県対馬市で始めて発見され、それ以降は福岡県、宮崎県、大分県などでも確認されています。
体長2~3cm程で、全体的に黒っぽい色をしており、お尻は鮮やかなオレンジ色です。また巣は、最初は茂みに巣を作る傾向があります。
夏から秋になると、巣をより大きくするために、場所を移動させます。地上から最大20mほどの、高く開放的なところに巣を移すのです。
ツマアカスズメバチは、ミツバチを捕食してしまうこともあるほど、攻撃性が高い蜂です。また繁殖能力が高いことも特徴。韓国では在来種のスズメバチの数を上回ったため、ミツバチの数が劇的に低下したと言われています。
セイヨウミツバチ
セイヨウミツバチは、セイヨウオオマルハナバチと同じで、西洋(ヨーロッパ)から来た外来種です。体長1.3cmほどで、全体的に黄色でお尻向けてに白から黒に変わる縞模様(しまもよう)になっています。
セイヨウミツバチの巣は、屋根裏などの閉鎖的な空間に作る傾向があり、大きさが約1mにもなります。巣が大きいほど個体が密集するので、大きい巣には近づかないようにしましょう。
またセイヨウミツバチは、在来種であるニホンミツバチより攻撃性が高いと言われています。
ハチの駆除業者はミツモアで探そう!
タイワンタケクマバチは、竹ぼうきやホースに巣を作るハチです。危険度は低いものの、誤って近づくと刺される恐れがあるため、巣を見つけたら駆除する必要があります。
タイワンタケクマバチの巣の駆除は、無料で複数業者の見積もりを出してくれるミツモアで探しましょう。求める条件に合った業者を、すぐに見つけられます。