ムカデに咬まれると患部から毒が入ります。まずは患部を強めに絞りながらキレイな水で流しましょう。市販薬で様子を見る場合は、かゆみを抑える成分が含まれているステロイド剤を塗ります。腫れやかゆみなどの症状が引かなければ皮膚科などの専門機関を受診してください。
ムカデに咬まれたあと倦怠感、失神、じんましん、発熱、冷や汗、吐き気、めまいなどの全身症状が出た場合はアナフィラキシーショックの恐れがあるので、すぐに救急車を呼びましょう。
正しい応急処置とやってはいけないこと、あらわれる症状をくわしく解説します。
ムカデに咬まれたときの正しい応急処置!病院に行くべき?
ムカデの口には毒針の牙がついていて、咬まれると赤い腫れ、かゆみ、痛みなどの症状が出るので正しい対処が必要です。
【ムカデに咬まれたときの対処法】
※全身症状が出ている場合は救急車を呼ぶ |
ムカデに咬まれたときは上記の手順で対処しましょう。
発熱・じんましん・冷や汗・失神などの全身症状がある場合は、アナフィラキシーショックを起こしている可能性が高いので、すみやかに救急車を呼んでください。
患部を強めに絞りながらキレイな水で流す
ムカデだけでなく、ハチ、ブヨ、アブなどに刺されたときにも、一般的には「患部を絞って洗い流すことで毒を排出する」という対処が基本です。
傷口から細菌が入って感染症などを起こさないように、キレイな水を使うようにしてください。水を流しながら患部を強めに絞って、なるべく毒を排出するようにして応急処置しましょう。
ある程度の処置が終わったら、症状がそこまでひどくなければステロイド剤を塗って様子を見るようにしてください。
不安がある場合はそのまま皮膚科などの専門機関を受診しましょう。
かゆみを抑える成分が含まれているステロイド剤を塗る
ムカデの毒には「ヒスタミン」というアレルギー原因物質が含まれていて、かゆみや腫れを起こします。
そのため炎症を鎮める効果がある「ステロイド外用薬」のなかでも、かゆみを抑える成分が含まれている薬を選んで塗布しましょう。
かゆみを抑える成分には「抗ヒスタミン」や、「l-メントール」などの清涼感成分、「リドカイン」などの局所麻酔成分があります。
またステロイド剤は成分の強さが5段階に分かれていて、市販薬だと強い順に「ストロング」「ミディアム」「ウィーク」となっています。それぞれ対象年齢が指定されているので注意してください。
皮膚科などの医療機関では、「ストロンゲスト(最も強い)」と「ベリーストロング(とても強い)」に分類されているステロイド外用薬を処方することができるので、早めに治療するなら市販薬よりも受診がオススメです。
おすすめ市販薬①:ラシュリアPEクリーム
ミナカラ薬局の「ラシュリアPEクリーム」には、ミディアムに分類される「プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル」というステロイド成分が含まれています。
また「リドカイン」という即効性の局所麻酔成分によって、かゆみを抑える効果も。
パッケージには、薬剤師に経過を無料相談できるQRコードも付いているので、服薬に関する不安も解消しやすいのがうれしいポイントです。
年齢制限はなく小さい子供にも塗布することができます。連続で使用できるのは3~6日間までです。
おすすめ市販薬②:ムヒアルファEX
虫刺されといえば「ムヒ」というイメージがある方も多いのでは。
「ムヒアルファEX」はミディアムに分類される「プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル」というステロイド成分と、清涼感によってかゆみを抑える「l-メントール」などの成分が含まれています。
生後6か月未満の子供には使用できません。また連続で使用できるのは最長4週間までです。
症状が引かなければ皮膚科などの専門機関を受診
ムカデに咬まれたあと、腫れや痛みが引かない場合は早めに専門の医療機関を受診しましょう。
「ムカデに嚙まれたら何科にいくべき?」と疑問に思うかもしれませんが、以下のような場所で診療してもらえます。
【ムカデに咬まれたら何科に行く?】
※上記の病院がない場合は、対応している内科を探す |
ムカデに咬まれたときにやってはいけない処置とは?
ムカデに咬まれた際にやってはいけない処置と、医学的な根拠が乏しい処置について紹介します。
口で毒を吸い出してはいけない
アニメや漫画では、ヘビなどに咬まれたときの応急処置として「口で毒を吸い出す」という方法を取るシーンもありますが、医学的には推奨できる対処ではありません。
口内にある菌が傷口から入って、感染症を引き起こす可能性があります。また口内や口周辺に傷がある場合、そこから毒が侵入する恐れも。
そういったリスクを避けるために、口で患部から毒を吸い出すのはやめましょう。ムカデに限らず、ハチやヘビに咬まれたときも同じです。
以下の参考サイトはヘビ・ハチへの対処方法ではありますが、やはり「口で毒を吸い出す方法は、口付近に傷があるときは禁忌です」と記載しています。ムカデの毒もハチやヘビと同じくアナフィラキシーショックを起こすなどのリスクがあるので、同様にやめておいた方がいいでしょう。
「お湯が効く」は根拠が乏しい
「温熱療法」といって、患部に43~45℃程度のお湯をかけつづけて毒を弱めるという方法が紹介されることもありますが、素人判断でこの応急処置をするのはオススメできません。
たしかに温熱療法によって痛みが和らぐという事例もありますが、虫刺されはどちらかといえば冷やすのが一般的な療法です。「お湯をかけたほうが治りがよい」という根拠はありません。
「m3.com」という医療従事者専用サイトでの意識調査でも、「温めるか冷やすかなどがエビデンス(根拠)に乏しい」「中毒情報センターのムカデの項目には、どこにも43℃以上のお湯で酵素活性を失活せよとは書いておらず、情報が混乱していると感じた」といった回答が見られます。
一般家庭で43~45℃以上の温度を維持することが困難であること、また長時間お湯をかけることで火傷の恐れがあることなどが理由として挙げられます。誤った方法でおこなってしまうと、かえって血流がよくなり毒が回ってしまう可能性もあるので注意してください。
基本的には病院を受診するほうがよいでしょう。
ムカデに咬まれたときの症状
ムカデは毒をもっていて、「ヒスタミン」「ポリペプチド」「セロトニン」「酵素」などの成分が含まれています。
ムカデの種類によって毒性の強さは違い、また咬まれた人の体質によっても症状は違いますが、激痛・赤い腫れ・かゆみなどの炎症を引き起こすのが一般的。
ヒスタミンはアレルギーの原因物質で、ひどい場合はアナフィラキシーショックを引き起こすことも。冷や汗、血圧低下、蕁麻疹などの重度な全身症状が現れます。
【ムカデに嚙まれたときの症状】
【救急車を呼んだほうがいい重度の症状】
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ムカデに咬まれると、おもに上記のような症状が出ます。
とくに重度の症状については、アナフィラキシーショックの可能性もあるので救急車を呼びましょう。
アナフィラキシーショックは1回目にムカデに咬まれた時よりも、2回目に咬まれたときのほうが起こりやすい症状です。1回目に咬まれたときに体内で毒にたいする抗体が作られますが、この抗体が過剰反応して起こります。
ムカデが人を咬む理由や潜んでいる場所など
ムカデに咬まれないようにするために、ムカデについての基礎知識を知っておきましょう。
そもそもムカデとは?
ムカデは漢字で書くと「百足」で、その名のとおりたくさんの脚があるのが特徴です。体長は7~13cmほどで、寿命は6~10年ほどと長生きします。
5~6月の産卵期、そして孵化した子ムカデが活動しだす9~10月に見かける機会が増える虫です。
エサはゴキブリや蜘蛛などの昆虫。そのためゴキブリなどが発生している家のなかにはムカデも発生しやすくなります。
またムカデは夜行性で、夜間におこる被害がほとんどです。夜だと視界が狭く、ムカデに気づかずに触れてしまうケースも多いので注意する必要があります。
ヤスデやゲジゲジとの違い
ヤスデはムカデよりも丸みを帯びた胴体と、短い脚が特徴的な虫です。ヤスデは咬むことはありませんが、危険を感じると毒性のある体液を分泌します。この毒に触れると腫れや痛みが起こます。
ゲジゲジはムカデやヤスデよりも細長い手足が特徴的な虫です。咬むこともなく、毒も持っていません。病原菌を保有することもなく、家のゴキブリを捕食してくれるので、益虫と言われることもあります。
ムカデが人を咬む理由
ムカデは目が退化していますが、触角に触れたものにたいして反応します。人間にたいしても、こちらから何もしなければ咬んできませんが、刺激を与えると咬むので注意が必要です。
意識的にムカデに触れていないつもりでも、布団のなかに潜んでいたムカデを蹴ってしまったり、薄暗い場所で誤ってムカデに触れてしまったりするケースもあります。
また屋外でも、草をかき分けているときや、落ち葉を集めているときに誤ってムカデに触れてしまう可能性があるので注意しましょう。
ムカデが発生しやすい場所
ムカデが潜んでいるおもな場所は、石や落ち葉の下、植木鉢の下、湿気の多い床下、コンクリートの隙間、畑などです。
基本的にはゴキブリなどのエサがいる場所を好み、湿気がある暖かい場所にいることが多いです。
ムカデが多い家・地域におすすめのポイズンリムーバー
ポイズンリムーバーとは、注射器や搾乳機のような仕組みで患部から毒を排出するための器具です。
ムカデはもちろん、ハチ、アブ、ブヨ、ヘビなど毒性のある生き物に刺されたり咬まれたりしたときには、有効な応急処置の手段となります。
ポイズンリムーバーはこんな方にオススメです。
【ポイズンリムーバーがオススメの人】
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ポイズンリムーバーを所持しておけば、万が一ムカデに咬まれたときもすぐに対処することができます。
またブヨなどの毒性が強い虫刺されにも、早期対処ができることで症状を軽減させられるでしょう。
ムカデに咬れないための対策
今後ムカデに咬まれないようにするための対策について紹介します。下記の内容を読んでいただき、すぐに対処できるように準備しておきましょう。
関連記事:家のムカデを退治する方法 | ミツモア |
ムカデが出た場合の撃退方法
ムカデを見つけた場合は、以下の方法を取りましょう。
熱湯をかける
一番お手頃な方法です。100度の熱湯ではなくても、50度以上のお湯ならムカデを弱らせることができます。
ただし家で熱湯を使うと建材を傷めてしまうほか、屋外でも育てている植物を枯らしてしまう可能性があるので注意してください。やけどにも十分注意しましょう。
殺虫剤や冷却タイプのスプレーをかける
殺虫剤や虫を凍らせるタイプのスプレーもムカデには効果的です。ただし体長が大きいムカデだと、殺虫剤を少しかけただけでは死なない場合があります。そのときは根気強く殺虫剤をかけ続けましょう。
スリッパや新聞紙などでムカデの頭をたたく
スリッパや新聞紙、雑誌などでムカデの急所である頭をたたきましょう。しかし頭をつぶしたと思っても動き続けるムカデもいます。もしムカデが動き続けるようなら、熱湯もしくは冷却スプレーをかけてトドメを刺してください。
ムカデを家に侵入させないための予防対策
ムカデによる被害を抑えるためには「ムカデを家に侵入させない対策」をとる必要もあります。以下のような方法があります。
除湿剤や床下換気扇を使用する
ムカデは乾燥に弱いため、湿度の高い場所を好みます。梅雨の時期など家の中に湿気がたまりがちな場合には、除湿剤や床下換気扇を使用して湿気がこもらないようにしましょう。
家の清掃(ゴキブリを寄せつけないようにする)
ムカデはゴキブリを餌にしています。家の中に食べかすやゴミが落ちているとゴキブリが発生するため、ムカデが家の中に侵入する原因となります。普段から掃除を行いゴキブリの発生を防ぐことが重要です。
家の周辺に落ちている落ち葉や雑草を処分する
ムカデは家の周りに落ちている落ち葉や雑草、植木鉢に棲みつく場合があります。そのため落ち葉などは放置せず、こまめに家周辺の清掃を行いましょう。特に小さなお子様がいる場合は、落ち葉などで遊んでいるうちに誤ってムカデに触る可能性があるため注意が必要です。
侵入口の封鎖
ムカデは少しの隙間からでも簡単に部屋に侵入できます。ムカデが通れそうな隙間を見つけたら、しっかり封鎖しておきましょう。
ムカデの侵入口は下記の箇所が挙げられます。
- エアコンのダクト周辺
- 窓の冊子
- 換気扇
- 玄関ドア
- 風呂や台所の排水部分
玄関ドアや窓の冊子などは、タオルやテープなどでふさいでおくことで対処可能です。風呂や排水部分は蓋を閉めておきましょう。
ハッカ油やヒノキ液などの香りを侵入口に使用する
ムカデはハッカ油やヒノキ液などの香りが苦手です。もし侵入口の封鎖が難しい場合は、ムカデの苦手な香りを置いておくことをおすすめします。
ただしムカデなどの害虫対策は、難易度が高いでしょう。確実に駆除するには、隠れている箇所を特定するための専門知識や道具が必要になるケースもあります。特にムカデの駆除は、一歩間違えると自分自身が咬まれてしまう可能性もあり危険ですよね。確実にムカデを駆除したい場合は、害虫駆除業者に依頼することも検討しましょう。
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