ムカデの幼虫を発見した場合は、近くに親のムカデがいる可能性があるので注意が必要です。ムカデの危険性や対処方法などを解説します。
ムカデの幼虫と他の虫との見分け方は?
ヤスデは厚みのある体をしていますが、ムカデの幼虫は平らなのが特徴です。
ムカデの幼虫の駆除方法は?
最も手っ取り早いのは、殺虫剤を使用することです。熱湯をかけて駆除することもできます。
そもそもムカデはどんな虫?
無数の脚を持つムカデは、不気味な見た目のに加えて毒も持っているため、代表的な害虫として挙げられます。住んでいる地域によっては家の中に現れることも少なくありません。
急に出くわした際に冷静に対処できるよう、まずはムカデの生態や危険性を把握しておきましょう。
ムカデの生態
ムカデは漢字で「百足」と表記する通り、無数の脚を持つことが最大の特徴です。種類によって数が異なり、15対や30対から、中には170対に至る脚を持つものも存在します。
夜行性のため目が退化しており、触覚を頼りに移動し、獲物を探します。日が出ている時間帯は石や葉の裏でじっとして、日が沈めばクモやミミズなどの餌を求めて活動を始めるのです。
湿気があり涼しい場所を好むため、春から秋の終わり頃まで家の中で見かけることもあります。トイレや風呂場に出現することもあるので、小さい個体でも油断してはいけません。
ヤスデやゲジとの違い
無数の脚を持つ生物といえば、ムカデ以外にもヤスデやゲジも思い浮かぶでしょう。しかしヤスデもゲジも、ムカデとはまったく異なる特徴を持っています。
ヤスデはムカデよりも小さく、毒性はありません。しかし防衛反応として、危険を察知した際に悪臭を放つ体液を発します。建物の基礎部分を徘徊していることが多く、室内で見かけることはあまりありません。
ゲジはムカデよりも長い脚が特徴で、湿気のある場所を好む傾向にあります。素早く動き回るため、排気管などを伝ってトイレや風呂場に現れるケースが多いです。
ただ人間に対しての害はほとんどなく、ゴキブリや蛾などを捕食してくれる益虫という一面を持っています。
ムカデの危険性
前述の通り、ムカデはヤスデやゲジよりも危険性の高い生物です。ムカデが毒を持っているのは有名ですが、その毒性は非常に強く、噛まれると激しい痛みが何日も続くことになります。
また体質によっては「アナフィラキシーショック」と呼ばれる一種のアレルギー症状を引き起こし、命にも関わります。
噛まれてしまった際は、慌てずに、まずは水をかけ流しながら毒を絞り出しましょう。その後、虫刺されに効果のある抗ヒスタミン成分を含んだステロイド軟膏を塗って、腫れや痒みがひどくならないか様子を見ます。
痛みが取れなかったり、腫れが引かなかったりする場合はすぐに病院に行きましょう。
ムカデの幼虫を見かけたら注意
ムカデは幼虫であっても油断はできません。小さいながらも毒があり、さらに親が近くにいる可能性もあるためです。
そこでここでは、小さなムカデの幼虫を見かけた際に注意しておきたいポイントを紹介します。
幼虫の近くに親がいる
ムカデは虫の中では珍しく、孵化した幼虫を2カ月間ほど面倒を見る特徴を持っています。つまり、小さなムカデを見つけたら親も近くにいる可能性が高いので、害虫対策を考えましょう。
ムカデは梅雨の時期に年2回産卵をし、最大で50個もの卵を産みます。ムカデの幼虫の体長はおよそ2mmほどですが、その外見は成虫と変わりません。
ムカデの幼虫はヤスデと見間違う可能性もあるので、その点には要注意です。ヤスデは厚みのある体をしていますが、ムカデの幼虫は平らで、地面にへばりついて動き回ります。
9月から10月には1匹で行動し始める
ムカデの幼虫は、体長が20mmほどの大きさになる9月から10月頃に、単独での行動を始めます。
80円切手の縦の長さは22mmです。切手サイズのムカデを秋に見かけた場合は、成虫のムカデと判断してよいでしょう。
もちろん小さいムカデも毒は持っているので、油断はせず、殺虫剤などで対処しましょう。
発生原因を知る
ムカデの幼虫が発生するということは、ムカデにとって住みやすい環境がそろっている証拠です。では具体的に、どのような環境を好む傾向にあるのでしょうか。
ムカデの発生原因を把握すれば、対策も立てやすくなります。以下の2つのポイントを押さえておきましょう。
ムカデは湿気を好む
ムカデは高温多湿な環境を好むため、室内だけでなく庭にも湿気が溜まりやすい場所がないか確認しましょう。
例えば花壇や石、落ち葉の下は、ムカデにとっては快適な環境です。定期的に庭を手入れすることでムカデの発生を軽減できます。
また屋内に関しても、風の通りの悪い床下や屋根裏に入り込む場合があります。ジメジメとした梅雨や夏の時期の前には、ムカデ用の罠を設置するなど対策を講じましょう。
餌となる害虫がいる
ムカデはダニやゴキブリなどの害虫を餌としているため、ゴキブリやダニの対策をすることでムカデの発生を抑えられます。
生ゴミを溜めずに頻繁に捨てたり、防虫用のスモークを焚いたりなど、様々な対処法があるので、可能な限り行っていきましょう。
庭の雑草を放置しているのも、虫を引き寄せる要因になるので、草むしりもムカデ対策として有効です。
また、ムカデはネズミやコウモリなどの動物を狙う場合もあります。屋根裏をネズミが走り回っているようなら、先にネズミの駆除から対策しましょう。
ムカデの駆除方法
先述した通り、ムカデは強い毒性を持っているため、見かけた際はすぐに駆除するよう心がけましょう。
ここからはムカデの代表的な駆除方法と、見失った際の対処法を紹介します。
殺虫剤を使う
市販されている殺虫剤を使うのは、定番かつ確実な駆除方法のひとつです。
汎用性のあるスタンダードなタイプでも効果があります。しかし、メーカーによってはムカデ用の殺虫剤を販売していますので、購入を検討してみてはいかがでしょうか。
ムカデはゴキブリと比べて素早く動き回ることはありません。噛まれないように十分な距離をおいて噴射するようにしましょう。
熱湯をかける
殺虫剤の準備ができていないときにムカデに遭遇した場合は、熱湯も駆除方法として有効的なので、試してみましょう。
リビングや寝室に現れた場合は、トングなど柄の長い道具を使ってムカデを掴み、バケツの中や風呂場でお湯をかければ駆除できます。
お湯の温度は60度ほどでも駆除できます。風呂場に現れた際は、熱いシャワーをかければ簡単に退治することも可能です。
ムカデを見失ったら
ムカデは神出鬼没なため、ちょっと目を外しただけで見失ってしまうことも少なくありません。寝室で発見したムカデを見失ってしまえば、夜も安心して眠れません。
ムカデは水を好み、かつ上に登る習性を持っていることを覚えておきましょう。探し出せない場合は、これらの習性を利用しておびき出すことができます。
準備するものは簡単で、「濡らした新聞紙や雑巾」と「ビニール袋」です。ビニール袋の上に水で濡らした新聞紙や雑巾を置いて、キッチンや洗面所、トイレなどに設置して一晩待つだけです。
ムカデは水に引き寄せられて姿を現すことでしょう。ムカデは上に登るため、新聞紙・雑巾をなるべく大量に使って、山になるように重ねておきましょう。
家への侵入を防ぐ方法
危険性のあるムカデは、できることなら家の中に入らないように対策をしたいところです。
最後に、ムカデの侵入を防ぐのに効果的な3つの方法を紹介します。
侵入経路になる隙間を塞ぐ
物理的な予防策として、ムカデの侵入経路を調べて、隙間を防ぐ方法が挙げられます。代表的な侵入ポイントとしては、換気扇や換気口、網戸などです。
また玄関や窓のわずかな隙間から入ってくる場合もあります。換気扇や換気口を塞いでしまうと生活に支障が出る可能性があるので、網目の細かなメッシュを覆うことでムカデの侵入を防ぎましょう。
ただ、玄関や窓は、構造上、隙間を完全に塞ぐのは困難です。その場合は、設置型の殺虫剤を散布することで、ピンポイントで侵入経路を遮断する方法を検討しましょう。
嫌いな香りで予防する
家のまわりや部屋にムカデが嫌う香りを焚いて、寄せ付けないようにするも予防策のひとつです。代表的なのは「ハッカ油」です。正確にはハッカ油に含まれる「L-メントール」と呼ばれる香りをムカデは嫌います。
ほかにも、ローズマリーやヒノキ、ハッカなどの香りにも拒否反応を示すので、侵入経路に塗ってみたり、アロマを焚いてみたりするだけでも効果があるでしょう。
部屋をきれいにする
前述したとおり、ムカデは湿気を好み、ゴキブリやダニなどを餌としています。部屋を清潔に保つことで、ムカデの好む環境ではなくなるため、家の中に現れなくなる可能性は高いです。
また押入れやクローゼットなども、湿気が溜まりやすい環境です。ものを詰め込みすぎないように整理整頓をしましょう。もちろん部屋だけではなく、キッチンやトイレ、風呂場も害虫の温床になりやすいので、常に清潔な環境をキープすることが大切です。
キッチンであれば排水口を洗い、冷蔵庫に古い食材がないか定期的に確認しましょう。トイレやキッチンは常に換気扇を回して、湿度が上がらないように心がけるだけでも、ムカデの発生は軽減できます。
ムカデの幼虫が出たら注意
ムカデは強い毒性を持っているため、害虫の中でも特に注意が必要です。仮に幼虫でも気をつける必要があり、近くに親がいる可能性が考えられます。
ムカデの幼虫がいるということは、ムカデにとって快適な環境であるということです。湿気が溜まっている、餌となるゴキブリなどがいるといった条件がそろっていないか、屋内外を見直しましょう。
庭や部屋をきれいな状態にするだけでも、ムカデの発生を軽減できるので、ぜひ対策してみてください。