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弁理士試験の難易度は?2018年度及び過去3年間の合格率を紹介

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最終更新日: 2018年12月28日

商標や特許の専門家である、弁理士。自社の商品やロゴ、発明を守るためには欠かせない存在ですが、実際に弁理士を目指すとしたら難易度はどの程度なのでしょうか。

過去の合格率・標準勉強時間などのデータや、他士業との比較を交えて解説します。

弁理士試験の難易度は?2018年は前年よりやや低下

2018年の弁理士試験は合格率が少しアップしました
2018年の弁理士試験は合格率が少しアップしました

多くの企業で国際特許の申請出願が増加し、「知的財産」を扱う弁理士の活躍の場は増加しています。国家資格である弁理士になるための方法は3つ。特許庁で審査官や審判官(国家公務員)として7年以上の経験を積む方法と、司法試験に合格して弁護士登録する際に弁理士としても登録する方法、そして、毎年実施される弁理士試験に合格する方法です。
3つのうち、一般的なのが弁理士試験。そしてその難易度は、多くの国家資格の中でも上位ランクに入ります。では、最近の難易度はどうなっているのでしょうか。

弁理士試験の難易度は?

弁理士試験には学歴や年齢などの制限がなく、学生から会社員まで、幅広い人が受験しています。しかしその難易度はとても高く、例年合格率は10%以下です。以前は5%未満という年もあったので、近年では少し合格率はあがっていると言えるでしょう。

◆弁理士試験の合格者数と合格率

 合格者数合格率
2015年316人6.6%
2016年296人7.0%
2017年255人6.5%

弁理士試験は「短答式試験(マークシート)」「論文式試験」「口述試験(面接)」の3つの試験があります。それぞれの試験で合格しなければ、次の試験に進めない仕組みになっており、各試験も難易度が高いのが特徴です。

2018年弁理士試験の難易度は前年よりやや上昇

2018年の弁理士試験は

  • 短答式試験 5月20日
  • 論文式試験 7月1日・22日
  • 口述試験 10月20日~22日

に行われました。

その結果、

  • 合格者数 260人
  • 合格率 7.2%

という難易度になりました。2017年より合格率は上昇しています。

各試験の合格率は

  • 短答式試験 20.1%
  • 論文式試験  23.9%
  • 口述試験  94.0%

でした。論文式試験、口述試験の合格率は下がったものの、短答式試験の合格率は、前年に比べ大幅にあがる結果となりました。

弁理士試験合格までの勉強時間と受験回数

弁護士や会計士など、多くの国家資格試験では、短期で合格した人の勉強時間を必要勉強時間として示すことがあります。

弁理士の必要勉強時間は3,000時間と言われています。行政書士で600時間、人気のTOEICで800点を取るために必要なのが1,000時間と言われているので、多くの資格の中でも勉強時間が必要な資格試験といえるでしょう。

また、弁理士試験の特徴の一つとして、一度で最終合格を目指すのではなく、何年もかけて合格を目指す人が多い、という点があげられます。2018年の最終合格者の平均受験回数は3.78回。受験回数で最も多いのは1~5回で、21回以上受験して、やっと合格したという人もいます。

2018年弁理士試験最終合格者の受験回数

受験回数
初めて11.5%
1~5回68.1%
6~10回13.8%
11~15回6.2%
16~20回0%
21回以上0.4%

弁理士試験では、それぞれの試験をクリアしないと次の段階に進めない仕組みになっていますが、1つの試験を合格した人は、その後、以下のようにその試験が免除されるようになっています。

  • 短答式試験合格者:その後2年間は短答式試験を免除
  • 論文式試験:翌年は論文式試験を免除

まず、1年目は短答式と論文式に合格することを目指して勉強し、2年目以降、口述試験対策をして、弁理士試験合格を目指す、という人も少なくありません。そのため、弁理士試験の合格者は複数回の受験者が多いのです。

弁護士・会計士と比べた弁理士試験の難易度

難易度が高い国家資格のランキングで上位にあがってくるのが、弁護士や公認会計士です。弁理士試験の難易度は、これらの試験と比較してどうなのでしょうか。合格率の目安は、

  • 弁護士(予備試験)3% ※司法試験は25%
  • 公認会計士 10%
  • 弁理士 7%

といわれています。年によって合格率の変動はありますが、資格試験の難易度ランキングでも、弁護士はダントツの1位。公認会計士と弁理士はそれに次ぐ位置です。

ちなみに、2017年の弁護士、公認会計士、弁理士の合格率は以下のとおりです。

  • 弁護士(予備試験) 4.2% ※司法試験は25.9%
  • 公認会計士 11.2%
  • 弁理士 7.2%

弁護士資格が取得できる司法試験では、予備試験に合格するか、法科大学院を修了することが受験条件になっています。なので、予備試験は非常に難易度が高いのですが、これに合格できれば、司法試験自体の合格率は25%で4人に1人が合格しています。受験の仕組みの違いもあるので、一概には比較できませんが、それでも、弁理士試験は、弁護士資格と並ぶ難易度の高いものであるといえるでしょう。

なお、各資格試験合格の目安となる必要勉強時間のランキングでも弁護士資格は上位。公認会計士や弁理士、司法書士などが続いています。

  • 弁護士   6,000時間
  • 公認会計士 3,000時間
  • 弁理士   3,000時間

弁理士試験合格者の年齢層は30代が最も多く、職業内訳は会社員が多くなっています。仕事をしながら、上記のような勉強時間を取るのは至難の業ですが、それだけの覚悟を持って受験している人が多い、ということもあらわれでもあります。

弁理士試験の難易度が高い理由は弁理士の人数?

実は、弁理士試験の受験者は、2008年をピークに年々減少しています。2008年に10,494人だった受験者数は、2018年には3,977人と半分以下になりました。受験者数が少なくなれば、合格率はあがってくるのが通常ですが、弁理士試験の合格率があがらないのは、なぜなのでしょうか。

これは、現在の弁理士の就業人口が増加していることが原因と言われています。2008年に弁理士として仕事をしている人の数は、7,806人でした。その後「知財立国」を目指すという国の政策にのって、毎年700~800人の弁理士試験合格者が生まれ、2018年10月現在、11,369人となりました。

弁理士が急増により、現在、弁理士の数は飽和状態に近くなっています。そのため、合格者数が減少し、難易度が高い状態が続いているのです。

しかし、昨今、国際特許申請数の増加や、企業に勤務する社内弁理士のニーズの高まる傾向があるとも言われています。
また、弁理士の平均年齢は上がっており、日本弁理士会に登録されている弁理士の平均年齢は50代です。そのため、若手の弁理士を求める声も高まっています。

弁理士試験の合格率は2018年から微増し、今後は安定していく気配です。効率よく時間を使い、戦略をたてて試験に臨めば、これまでより合格につながりやすくなることが期待されます。

弁理士試験の科目ごとの難易度

弁理士試験には3つのステップがあります
弁理士試験には3つのステップがあります

前述した通り、弁理士試験には3つのステップがあり、それぞれのステップをクリアしなければ次の段階に進めない仕組みになっています。
では、試験科目ごとの難易度はどうなっているのでしょうか。

弁理士試験の流れ

弁理士試験はマークシート形式の「短答式試験」、「論文式試験」、「口述試験」の順に進んでいきます。短答式試験の合格者だけが、論文式試験にすすみ、論文式試験に合格すると、口述試験を受けられます。

各試験の出題範囲は、法令や理工学の知識など幅広く、科目数も多いのが特徴です。

弁理士試験の初戦にして最難関!短答式(一次)試験

弁理士試験の受験者が最初にチャレンジするのが「短答式試験」。知財に関する法令に関する問題が60題出題されます。弁理士試験の中で最も合格率が低い試験です。総得点の65%を取ることに加え、出題される5つの科目それぞれで満点の40%を下回らないことが合格基準になっています。
さらに、論文式試験と口述試験を適正に行う視点から、工業所有審議会が相当と認めた得点以上であることも条件とされています。

短答式試験の合格率は、2015~2018年で以下になっています。2018年の試験では、合格率が大幅アップ。合格者も倍増しました。

  • 2015年 14.1%
  • 2016年 15.5%
  • 2017年  8.9%
  • 2018年 20.1%

試験時間は3.5時間。知財に関する法令について、幅広く、深く知識を求められます。

◆短答式試験の試験科目

試験科目出題数
特許・実用新案に関する法令20題
意匠に関する法令10題
商標に関する法令10題
工業所有権に関する条例10題
著作権法及び不正競争防止法10題

回答方式は五肢択一のマークシート式ですが、「以下の文章のうち正しいものはいくつあるか」など、正確な知識がなければ答えられない問題が多く出題されます。マークシート形式だからと油断できない試験です。

弁理士試験の本番!論文式(二次)試験

短答式試験に合格すると、論文式試験にすすみます。試験の際には、弁理士試験用法文が貸与され、それを見ながら試験に臨むのですが、記述式の問題の難易度は高く、短答式試験を合格した受験者であっても、合格率は25%前後です。

2015~2018年の論文式試験の合格率は以下です。

  • 2015年 24.4%
  • 2016年 25.3%
  • 2017年 24.2%
  • 2018年 23.9%

論文式試験は、法令に関する必修科目と、力学や化学、情報など6つの科目から1つ選択して受験する選択科目があります。選択科目は、受験願書の提出時に選択し、その後の変更はできません。

◆論文式試験科目
<必須科目:工業所有権に関する法令>

  • 工業所有権に関する法令
  • 特許・実用新案に関する法令
  • 意匠に関する法令
  • 商標に関する法令

<選択科目:次の6科目のうち1科目>

科目選択問題
1 理工Ⅰ(機械・応用工学)材料力学・流体力学・熱力学・土質工学
2 理工Ⅱ(数学・物理)基礎物理学・電磁気学・回路理論
3 理工Ⅲ(化学)物理化学、有機化学、無機化学
4 理工Ⅳ(生物)生物学一般、生物化学
5 理工Ⅴ(情報)情報理論、計算機工学
6 法律(弁理士の業務に関する法律)民法(総則、物理、債権から出題)

試験時間は

  • 必須科目
    特許・実用新案:2時間
    意匠:1.5時間
    商標:1.5時間
  • 選択科目:1.5時間
    となっています。

配点比率は、
特許・実用新案:意匠:商標:選択科目=2:1:1:1
です。

合格基準は、必須科目で、標準偏差による調整後の各科目の得点の平均が54点以上であることに加え、47点未満の科目がないこと、となっています。さらに、口述試験を適正に行う視点から相当と認めた得点以上であること、加えられます。選択科目では、科目の得点が60%以上であることが合格基準です。

弁理士試験の最終戦!口述式(三次)試験

短答式、論文式と、2つの試験をクリアしたら、最後に待っているのは面接方式の口述試験です。面接方式で、3つの科目について口述試験が行われ、受験者は各科目の試験室を移動しながら受験します。試験の際には、弁理士試験用の法文が用意されているので、試験委員の許可があれば、参照しながら回答できます。

2015~2018年の口述式試験の合格率は以下です。

  • 2015年 93.6%
  • 2016年 93.9%
  • 2017年 98.4%
  • 2018年 94.0%

口述式試験は、ほとんどの受験者が合格しています。

口述試験の試験科目は、工業所有権に関する3つの法令です。各科目10分程度の試験時間で行われます。

◆口述試験科目

工業所有権に関する法令
・特許・実用新案に関する法令
・意匠に関する法令
・商標に関する法令

採点は、試験ごとにA、B、Cの3段階で評価され、2つ以上Cがなければ合格です。基本的には、合格させるための試験とも言われているのが口述試験です。質問に対して黙り込まず、聞かれことにきちんと回答すれば、C判定にはなりにくいでしょう。

難易度が高い弁理士試験。合格後は求められる人材になれる!

3つのステップがあり、国家資格の難易度ランキングでも上位に入る弁理士試験。最初の短答式試験の時点でひるんでしまう人もいるかもしれません。確かに現在は弁理士の数は飽和状態に近いかもしれませんが、今後は国際特許出願などが増加するに従い、若手弁理士の需要は高まっていくことが予想されています。

特許事務所に勤めながら、独立を目指すにしても、企業弁理士として大手企業への就職を目指すにしても、求められる人材であることをアピールできる有効な資格の1つが弁理士です。資格を持って、求人数の多い売り手市場に乗り込むためにも、弁理士資格の取得を検討してみてはいかがでしょうか。