防草シートを地面に固定するのに必要なピン。
「いろいろな種類があって、どのピンをいくつ買えば良いのか分からない…」
「固定ピンを買ってみたけど、うまく刺さらない…」
そんな方に向けて、固定ピンの選び方から、ピンが刺さらないときの対処法まで詳しくご紹介します。
防草シートの固定ピンの特徴を比較
固定ピン5種類の特徴と刺さりやすさ・抜けにくさ比較
防草シートの固定ピンにはさまざまな形状や材質があります。
鉄製のピンは昔から使用されていて、現在でも一般的です。屋外で長期間使用していると、水分や酸素にふれて徐々に錆びてきますが、錆びることで地面から抜けにくくなるという効果もあります。
一方地中の配管などを傷つけにくいプラスチック製ピンもあります。耐久性が鉄ピンよりも低いので、半年以下の農作期間に使われることが多いです。
角型ピン
鉄製の中でもスタンダードな形状のピンです。コの字型になっており、打ち込んだあとが平らになります。
地中に障害物の多い場所や、かたい地面には向いていません。
U字型ピン
基本的な特徴は角型に似ていますが、地面から突出する部分がカーブを描いているピンです。
地面から軽く盛り上がった状態になるので、打ち込んだ後も比較的抜き取りやすいですが、人がつまずいたり、引っかかって抜けたりするおそれもあります。
L字型ピン
角型、U字型と異なり二股に分かれておらず、地中に軸を1本だけ打ち込むピンです。
障害物を避けやすい形状をしているので地中に石が多い場所に向いています。押さえる部分が少ない分、柔らかい地面だと抜けやすく不向きです。
釘型ピン
一般的な釘とほぼ同じ形状をしたピンです。太くて丈夫なつくりで、非常に固い地盤でも刺すことができます。反対に、やわらかい地盤だとすぐに抜けてしまいます。
ヘッド部分が小さく、防草シートを突き破ってしまうので、必ずワッシャー(シート押さえ)とあわせて使用しましょう。
プラスチック製ピン
プラスチック製ピンは、鉄製ピンの次によく使われています。鉄製よりも強度が低いものの、加工がしやすい点が特徴です。
鉄製ピンだと地中の配管に傷をつけてしまうリスクがありますが、プラスチックは鉄よりもやわらかく安全性が高いので、工事現場などの配管がある場所に適しています。
釘のような形をしており、地面に刺したあと抜けにくいようにトゲトゲの「返し」が付いている製品が多いです。返しがついていないとすぐに抜けてしまうので、プラスチック製のピンを使うときは返し付きのものを選びましょう。
紫外線によって劣化しやすく、長期間の使用には向いていません。半年以上使い続けるのであれば、鉄製ピンのほうがおすすめです。
打ち込みやすさ・抜けにくさ・安さ比較表
複数の観点から、どの種類のピンが優れているのかを簡単にまとめました。
「ワッシャー」はピンと合わせて防草シートを押さえるアイテム
ワッシャーとは防草シートを押さえるための平らなゴム製の円盤のようなものです。
防草シートの上にワッシャーを敷き、その上からピンを刺すことで、隙間ができるのを防ぎます。要はフタをするようなイメージですね。ワッシャーをかぶせることで、すき間から雑草が伸びてくるのが防止できます。
ワッシャーとピンは必ず一緒に使います。コストは高くなりますが、耐久性が著しく向上しますよ。ピンの隙間から雑草が伸びる可能性をなくしたい方は、利用してみましょう。
適切な防草シート固定ピンの選び方
材質や形状が異なるさまざまな固定ピンがある中で、自分が防草シートを張りたい場所に適したピンの種類を選ぶには、どんなところに着目すれば良いのでしょうか?
判断基準となるポイントは以下の3点です。
- 地盤の固さ
- 地中の障害物の多さ
- 使用する年数
それぞれ、どんなときにどの種類にピンが適しているのか解説します。
ポイント①:地盤の固さによって選ぶ
かなり重要なポイントの1つが、防草シートを張りたい地面の固さです。ピンの材質や形状によって、刺さりやすさが異なります。固い地面に刺さりやすいのは、以下の特徴をもったピンです。
- 地面に刺す軸の部分が太い(角型、U字型よりも釘型、L字型)
- 硬い材質でできている(プラスチック製よりも鉄製)
地盤の固さ別におすすめの種類をまとめました。
固い地盤におすすめ | 鉄製ピン(釘型)+ワッシャー |
鉄製ピン(L字型) | |
やわらかい~普通の地盤におすすめ | 鉄製(角型) |
鉄製(U字型) | |
プラスチック製ピン |
また、やわらかい地面にピンを刺すときは、なるべく長いものを選ぶようにしましょう。刺さる部分が長ければ長いほど抜けにくくなります。
ポイント②:地中の障害物の多さによって選ぶ
防草シートを張りたい場所の地中に、石や配管などの障害物がどれくらいあるかも確認すべきポイントです。
障害物の種類に応じたおすすめのピンの種類と理由は以下の通りです。
障害物の種類 | おすすめのピンの種類 | 利点 |
石や岩 | 鉄製ピン(釘型、L字型) | 埋まった石などを避けやすい |
水道管などの配管 | プラスチック製ピン | 配管を傷つけにくい |
また、障害物が多い場所ではあまり長いピンを使うのはおすすめできません。一般的な長さである20cm以下のピンを使う代わりに、打ち込む本数を多くして強度を補うようにしましょう。
ポイント③使用する年数によって選ぶ
固定ピンは屋外の環境にさらされ続けるので、程度の差はあれ徐々に劣化していきます。ピンの耐用年数を決めるのは、主に材質と太さです。
使用したい年数が長いほど、鉄製かつ太めのピンを選ぶことをおすすめします。
プラスチック製ピンは紫外線によってひび割れを起こすなど、短期間で劣化してしまうので、工事現場や、農作物の栽培などでの一時的な使用におすすめです。
一方鉄製ピンは地中に埋めると錆びていくものの、錆びのおかげで固定力が上がるという効果もあります。
一般的にピンの直径は3mm程度のものが多いですが、5年程度は使用に耐えるようです。4mm以上あれば10年以上もつこともあり、ピンは太いほどボロボロになりにくいです。
ピンを打つ間隔と必要な本数の計算方法
固定ピンを打つとき、基本的には本数を多めにした方が防草効果が高まります。理由は以下の通りです。
- 防草シートがめくれにくくなる
- すき間から雑草の種が侵入したり、日光が入るのを防げる
それでは、具体的にはどれくらいの間隔でピンを打つのがちょうどよいのでしょうか?
ピンを打つ間隔
固定ピンを打ち込む間隔は、25~50cmがちょうど良いです。
このとき、シートのふちだけでなく、全面に格子を描くイメージでピンを打っていく必要があります。
必要なピンの本数の数え方
防草シートの大きさをもとにして、必要なピンの本数を求める計算式は以下の通りです。シートのふちも中央部分も等間隔でピンを打った場合の本数が算出できます。
必要なピンの本数=(縦の長さ÷ピンの間隔)+1 × (横の長さ÷ピンの間隔+1) |
以下は、幅1mの防草シートを張るときに必要なピンの本数(目安)です。
面積 | 25cm間隔の場合に必要な本数 | 50cm間隔の場合に必要な本数 |
1㎡ | 25本 | 9本 |
10㎡ | 205本 | 63本 |
20㎡ | 405本 | 123本 |
30㎡ | 605本 | 183本 |
40㎡ | 805本 | 243本 |
50㎡ | 1005本 | 303本 |
60㎡ | 1205本 | 363本 |
70㎡ | 1405本 | 423本 |
80㎡ | 1605本 | 483本 |
90㎡ | 1805本 | 543本 |
100㎡ | 2005本 | 603本 |
大きな土地だとかなりの本数が必要ですが、ふちのみ25cm間隔で打ち、中央部分は50cmにするなどの工夫も可能です。
固定ピンの打ち方
防草シートを敷いてピンを打つまでの手順は以下の通りです。
固定ピンの打ち方
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防草シートは対策したい面積よりも少し大き目に切っておきましょう。全ての辺が+10cm長いくらいにしておくのがおすすめです。複数のシートを敷く場合には、シート同士の端を10cm程度重ねましょう。
工具は金槌や木製のハンマーなど、自宅にあるもので構いません。地中の配管を傷つけてしまう可能性がある場合は、最初から思いっきり打ち込むことはせず、軽めの力で様子を見るのがおすすめです。
防草シートの張り方については、以下の記事も参考にしてみてください。
防草シートにピンが刺さらない場合の対処法
いざ防草シートを固定するためにピンを打ち込もうとしても、なかなか刺さらないということがあります。
ピンが刺さらない原因として考えられるのは主に以下の2点です。
- 地盤の固さにピンが対応できない
- 地中の障害物にぶつかっている
これらの問題への5つの対処法を説明します。
ピンを打ち込む角度を変える
固定ピンは地面に向かって垂直に打ち込んでいきますが、真下に石などがあるとうまく刺さりません。その場合、ピンを傾けて角度を変えてみるとうまく刺さることがあります。
このとき、一度刺したときに空いた穴から再び打ち込むようにしてください。
ピンを打ち込む位置をずらす
角度を変えてもピンがうまく打てない場合は、元々打ち込もうとしていた位置から少しずらして再度垂直にピンを刺してみましょう。
ななめにするだけでは避けられなかった障害物を回避できることがあります。
最初に空けた穴は、忘れないうちに「粘着テープ」などでふさぎましょう。空いた穴をそのままにしておくと、そこから雑草が繁殖してしまいます。
ドリルで地面に穴をあけておく
地面が固くてどうしてもピンが刺さらない場合は、先にドリルで下穴を開けておくのもひとつの手です。
ドリルでピンの長さより短めの下穴を空けておき、そこにピンを刺し込んでたたき込めば、何もしない状態より刺さりやすくなるでしょう。
ただし、ピンを刺す位置すべてに穴を空けておくのはかなり手間がかかるので、地面の一部分が固い場合以外はあまりおすすめできません。
ピンの種類を替える
ピンが地面の固さに完全に負けてしまう場合は、そもそも用意したピンの種類が合っていない可能性が高いです。思い切って固い地盤に対応した種類に変更してみましょう。
同じ種類のもっと軸が太いピンにするか、鉄製のL字型ピンや釘型ピンを試してみるのがおすすめです。
障害物がある場合は短いピンに替える
地中に石や配管などの障害物があるにもかかわらず無理に打ち込もうとすると、ピンが折れて破損したり、ガス管や水道管などを突き破ってしまったりする恐れがあります。
地中の障害物が多い場合、短いピンに替えると障害物にぶつかる確率が下がるでしょう。固定力は下がってしまうので、本数を増やすなどの工夫も必要です。
おすすめの固定ピン5選
固定ピンはホームセンターで購入できるほか、通販サイト経由でも手に入れることができます。
種類別におすすめの固定ピンを4点ご紹介します。
鉄製・角型ピン
Uピン杭 黒丸付 防草シート 固定用 人工芝 おさえピン (15x3x15, 50本セット)鉄製の角型ピン。先端がななめにカットされているので、防草シートや土にさくっと差し込むことができ、位置を決めてから打ち込むまでの流れがとてもスムーズだと評判です。
先のほうに向かって少し広がった構造になっているので、刺すときは指で内側に押して二股部分が平行になるように打ち込みましょう。
鉄製・U字型ピン
ワッシャーがセットになったU字型の鉄製ピン。ワッシャーはポリエチレン製で割れにくいよう工夫がしてあります。
打ち込む軸が3.4mmと平均よりやや太く、先端がとがっているので、固い地面にも打ち込みやすいつくりです。
鉄製・L字型ピン
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他の種類のピンと比べて太くてずっしりと重いL字型ピンです。安定感があり、風が吹いてもシートがめくれる心配がないと評判です。
石が多い場所や地面が固い場所で特に役立つでしょう。
プラスチック製ピン
防草シートも販売しているアストロ社の製品。釘頭が3.3cmと大きめで、打ち込みやすいのが特徴です。プラスチック製ですが錆びにくい素材を使用しています。
固定ピンは別のアイテムで代用できる?
専用の固定ピンを大量に用意するのは一定のコストがかかります。「なにか手元にあるもので代用できないだろうか」と思われる方も多いかもしれません。
結論からお伝えすると、防草シートの固定には専用のピンを使うことを強くおすすめします。
100均の固定ピン
実はダイソーやセリアなどの大きな100円ショップにも、防草シートや固定ピンが売っています。1パックの本数が少なく、あまり丈夫ではないので、大規模な防草シート施工にはおすすめできません。
ただし「ホームセンターで販売されている固定ピンでは本数が多すぎる」「庭で少しだけ防草シートを張りたい」といった場合には、100円ショップの固定ピンを使うのも1つの手です。
耐久性はあまり高くありませんが、限られたスペースに一定期間シートを張れれば良いのであれば、検討してみてはいかがでしょうか。
釘
木材の固定などに使われる通常の釘は頭の部分が小さいので、防草シートを突き抜けてしまう可能性が高く、おすすめできません。
ワッシャー(押さえ板)と併用すれば使用できる可能性はありますが、きちんと防草シート固定用の大頭釘を用意するのが一番です。
ブロックや土嚢(どのう)で代用するのはおすすめしない!
固定ピンの代わりにブロックや土嚢(どのう)などを使おうと考える方もいるでしょう。しかし、これらは基本的にはおすすめしません。
ブロックを固定ピンの代わりに置く場合は、かなりの量が必要となり、見栄えがよくありません。間隔を開けて置けばすき間から雑草の種が入り込んでしまう可能性も上がります。
また、土嚢を重石代わりにすることも避けた方が無難でしょう。土嚢から土が防草シートにこぼれてしまうと、そこから雑草が生える可能性があるからです。
雑草対策には防草シートの使用がおすすめ
草刈りは体力的にも気力的にもつらいもの。そのため、一度やれば次からはもっと楽にやりたいと考える方も多いですよね。材質によりますが、防草シートは一度張ってしまえば1~5年程度はもちます。
除草剤も種類によっては予防効果がありますが、防草シートよりも効果は短期的。長期間草刈りをせずに済ませようとするなら、防草シートの方が適しています。
最も雑草の予防効果が高いのは、草刈りをして綺麗になった土地に防草シートを敷き詰め、固定ピンをたくさん打つこと。さらに防草シートの上に砂利を敷けば、長期間雑草に悩まされることはないでしょう。
防草シートと砂利をあわせて敷く方法は以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。